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32.謎の痛み
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「お二人とも、おはようございます」
「あ、おはようございます」
「おはようございます、セリティナさん」
私がレリクス様と話しをしていると、セリティナがやって来た。
彼女の聖痕と私の痣、それが同じものだったと判明したが、それから特に何かあったという訳ではない。彼女とも、普通に級友として過ごしているのだ。
ただ、少し気になることがあった。
最近、彼女近づいても痣は反応しない。熱すらも帯びなくなったのだ。
それは、一体どういうことなのだろうか。今度、ズグヴェルさんに聞いてみてもいいかもしれない。
「……」
それから、セリティナはゆっくりと椅子に座った。
その表情には、若干の陰りが見える。何かあったのだろうか。
「セリティナさん、どうかしたんですか?」
「え?」
「なんだか、浮かない顔をしているような気がするんですけど……」
「そ、そうですか……?」
気になったので質問してみると、セリティナは明らかに動揺していた。
それは恐らく、私の質問が図星だったからだろう。彼女の周りで、何かがあったのだ。
「……もしかして、それは聖痕に関わる事柄ですか?」
「え?」
私の質問に続いて、レリクス様がそんな質問をした。
その質問に、私はとあることを考える。もしかして、彼が監視させているのは、彼女なのかもしれないと。
「いえ、僕が調べた情報で、あなたが何か不快になったりしたのかと思って……」
「あ、いえ、そういうことではないのです……」
レリクス様の言葉に、セリティナは首を横に振った。
そのことに、レリクス様はあまり反応を示さない。元々、言葉通りのことを心配していたという訳ではないということなのだろう。
「でも、実は聖痕関連というのは、そうなんです」
「おや、そうなんですね」
「ええ、なんだか、最近聖痕が痛くて……」
「痛い……」
セリティナの言葉に、私とレリクス様は顔を見合わせることになった。
聖痕に痛みを感じる。その現象に関して、私達は色々と知っていたからだ。
「痛み……それは、よくあることなんですか?」
「いいえ、そのようなことは初めてで……」
「なるほど……それは、困ったことですね」
レリクス様は、わざとらしく考えるような仕草をした。
聖痕の痛み、その原因は彼もある程度推測できているだろう。そのため、実際にはそこまでわからないということではないはずだ。
もっとも、彼女の聖痕に関して、私達も完璧にわかるという訳ではない。まだまだ考えるべきことはあるのだ。
とりあえず、私も考えてみることにする。一体、その痛みはなんなのだろうかと。
「あ、おはようございます」
「おはようございます、セリティナさん」
私がレリクス様と話しをしていると、セリティナがやって来た。
彼女の聖痕と私の痣、それが同じものだったと判明したが、それから特に何かあったという訳ではない。彼女とも、普通に級友として過ごしているのだ。
ただ、少し気になることがあった。
最近、彼女近づいても痣は反応しない。熱すらも帯びなくなったのだ。
それは、一体どういうことなのだろうか。今度、ズグヴェルさんに聞いてみてもいいかもしれない。
「……」
それから、セリティナはゆっくりと椅子に座った。
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「セリティナさん、どうかしたんですか?」
「え?」
「なんだか、浮かない顔をしているような気がするんですけど……」
「そ、そうですか……?」
気になったので質問してみると、セリティナは明らかに動揺していた。
それは恐らく、私の質問が図星だったからだろう。彼女の周りで、何かがあったのだ。
「……もしかして、それは聖痕に関わる事柄ですか?」
「え?」
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その質問に、私はとあることを考える。もしかして、彼が監視させているのは、彼女なのかもしれないと。
「いえ、僕が調べた情報で、あなたが何か不快になったりしたのかと思って……」
「あ、いえ、そういうことではないのです……」
レリクス様の言葉に、セリティナは首を横に振った。
そのことに、レリクス様はあまり反応を示さない。元々、言葉通りのことを心配していたという訳ではないということなのだろう。
「でも、実は聖痕関連というのは、そうなんです」
「おや、そうなんですね」
「ええ、なんだか、最近聖痕が痛くて……」
「痛い……」
セリティナの言葉に、私とレリクス様は顔を見合わせることになった。
聖痕に痛みを感じる。その現象に関して、私達は色々と知っていたからだ。
「痛み……それは、よくあることなんですか?」
「いいえ、そのようなことは初めてで……」
「なるほど……それは、困ったことですね」
レリクス様は、わざとらしく考えるような仕草をした。
聖痕の痛み、その原因は彼もある程度推測できているだろう。そのため、実際にはそこまでわからないということではないはずだ。
もっとも、彼女の聖痕に関して、私達も完璧にわかるという訳ではない。まだまだ考えるべきことはあるのだ。
とりあえず、私も考えてみることにする。一体、その痛みはなんなのだろうかと。
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