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18.厄介な人物

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「さて、バウールに付き合っていると時間がかかるので、早い所食堂に向かった方がいいでしょう」
「レリクス様、それは少しひどいのではありませんか?」
「いえ、本当なのです。彼は、中々に厄介なので……」

 レリクス様は、食堂に向かいたがっていた。
 それは、恐らくバウールと一緒にいると疲れるからだろう。

 基本的に、レリクス様は彼のことを苦手としている。
 理由はいうまでもなく、度を越した敬い方をしてくるからだ。

「セリティナよ、問題はない。レリクス王子殿下が、そう思うのも当然だ」
「バ、バウール様?」
「殿下がご学友とともに食堂に向かうことを邪魔してしまったのは、この私の落ち度だ」
「そんなことはないと思いますけど……」

 バウールの態度に、セリティナは困惑していた。
 別に、今回のことで彼に非はない。というか、誰にも非があるようなことではなかっただろう。
 それなのに、何故か彼はそんなことを言っている。普通に考えると、それは意味がわからないことだろう。

 正直、私もバウールの思考回路はよくわからない。
 彼は、他の面ではとてもまともなのに、レリクス様が関わると訳がわからなくなるのだ。

「レリクス王子殿下、本当に申し訳ありませんでした。これで、私は失礼します」
「あ、まあ、失礼してくれるなら、僕はそれでいいんだけど……」
「それでは……」

 バウールは、レリクス様に深々と頭を下げてから、去って行った。
 相変わらず、訳がわからないその行動に、セリティナは混乱している。恐らく、自分を助けてくれた時の彼と今の彼が違いすぎて、彼女の感情は大変なことになっているのだろう。

「セリティナさん、わかりましたか? 彼は、あんな風に厄介な人なのです」
「……確かに、少し厄介な面はあるのかもしれませんね」

 レリクス様の言葉に、セリティナはゆっくりと頷いた。
 先程の色々なことで、彼の言っていることが理解できたのだろう。

「……エルファリナさんは、あまり驚いていないようですね?」
「え?」
「まるで、彼のことを知っているような、そんな様子に見えましたよ」
「……そんなことは、ないと思いますけど?」
「そうですか……」

 レリクス様は、あのような状況でも私の様子を観察していたようだ。
 それは、驚きである。ばれていないと思っていたが、そうでもなかったようである。

 とりあえず、私は誤魔化しておいた。
 彼の前では、全て見通されてしまう。それは、厄介である。
 だが、だんだんとそれも慣れてきた。こうやってはぐらかすのも、手慣れてきたのではないだろうか。
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