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12.授業の前に
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私は、今日はもう魔法学校に来ていた。
今日からは授業が始まる。その事実に、私は少し億劫になっている。
前世の記憶が、私にはあるのだが、その記憶の中でも私は学校に通っていた。
そこでも授業は受けていたのだが、正直あまり好きではなかった。大切なことだということはわかっているのだが、それでも授業はあまり面白いとは思えなかったのだ。
「エルファリナさん、おはようございます」
「あ、おはようございます」
そんなことを考えていると、レリクス様がやって来た。
当然のことながら、クラスの面子も席も変わらないので、彼は私の横に座る。
私は、少しだけ緊張していた。
彼が、私の事情をある程度知っているからだ。
そのことに関しては、昨日整理した。
だが、それでも気になってしまうのだ。
「なんだか、少し元気がありませんね?」
「え? そう見えますか?」
「ええ、そう見えます……何かあったんですか?」
「いえ、そういう訳では……」
レリクス様は、今日も鋭い指摘をしてきた。
それに対して、私は誤魔化そうとした。しかし、それが無駄であることを思い出す。
「そうですね……今日から授業が始まるので、少し億劫なんです」
「授業が始まるから? どういうことですか?」
「授業というものは、あまり楽しくないものですから、あまり楽しみではないのです」
「そうなのですね……」
私の言葉に対して、レリクス様は不思議そうにしていた。
それは、そうだろう。この世界の人々は、今まで授業を受けたことがない。
それなのに、私がこんな口振りなのは、そう簡単には理解できないだろう。
「エルファリナさんは、授業を受けたことがあるんですか?」
「さて、どうでしょうか?」
「どうでしょうか、ですか」
レリクス様は、当然の質問をしてきた。
私はそれに対して、適当な答えを返す。
裏で私が何かを考えているということは、彼もわかっているだろう。どうせ見抜かれるので、私もあえてそういう回答をした。
彼と会話する時は、こんな感じでいいだろう。誤魔化しても見抜かれる以上、このようにはぐらかすくらいが丁度いいはずだ。
「なるほど、あなたも中々やるようですね?」
「そうでしょうか?」
「そうだと思います。昨日に比べて、随分と冷静ですからね」
私に向かって、レリクス様は笑みを浮かべてきた。
それは、いつも通りの笑みではない。少しだけ裏が見えたのだ。
ただ、私は知っている。その笑みが、彼女の本来のものであると。
そのためなのか、少ししっくりきた。やはり、彼はこういう風な笑みを浮かべる人物なのだと。
今日からは授業が始まる。その事実に、私は少し億劫になっている。
前世の記憶が、私にはあるのだが、その記憶の中でも私は学校に通っていた。
そこでも授業は受けていたのだが、正直あまり好きではなかった。大切なことだということはわかっているのだが、それでも授業はあまり面白いとは思えなかったのだ。
「エルファリナさん、おはようございます」
「あ、おはようございます」
そんなことを考えていると、レリクス様がやって来た。
当然のことながら、クラスの面子も席も変わらないので、彼は私の横に座る。
私は、少しだけ緊張していた。
彼が、私の事情をある程度知っているからだ。
そのことに関しては、昨日整理した。
だが、それでも気になってしまうのだ。
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それなのに、私がこんな口振りなのは、そう簡単には理解できないだろう。
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「そうでしょうか?」
「そうだと思います。昨日に比べて、随分と冷静ですからね」
私に向かって、レリクス様は笑みを浮かべてきた。
それは、いつも通りの笑みではない。少しだけ裏が見えたのだ。
ただ、私は知っている。その笑みが、彼女の本来のものであると。
そのためなのか、少ししっくりきた。やはり、彼はこういう風な笑みを浮かべる人物なのだと。
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