11 / 58
11.悩むべきこと
しおりを挟む
私は、入学式後のホームルームを終えて、寮の部屋まで帰って来ていた。
今日は入学式がメインだったので、授業もなくこれで終わりである。
とりあえず、私はベッドの上に寝転がった。色々と疲れているからだ。
「はあっ……」
今日一日で、色々と気になることはあった。
まず、セリティナのことである。
彼女が近づくと、私の痣が疼く。それは、一体どういうことなのだろうか。
彼女は、聖痕を宿しているとされている。それが、私の背中にある痣と何かしらの関係があるとでもいうのだろうか。
近づく度に熱を帯びられるというのは、中々厳しいものだ。
これから、私は彼女と毎日隣の席で過ごす。毎日、あの熱を体験するというのは、できることなら避けたい所だ。
「といっても、原因がわからないし、学校に行かない訳にもいかないし、どうすることもできない訳だけど……」
正直言って、セリティナとのことは考えても無駄だろう。
考えた所で、答えは出ない。この熱を帯びなくなることを願うしかないだろう。
「となると、もう一つの悩みの種の方を考えるべきかな?」
という訳で、私はもう一つの悩みを考えることにした。
それは、レリクス様のことである。
彼は、私のおかしな点を的確に見抜いてきた。
一体、彼は私のことをどこまで理解しているのだろうか。
「まあ、別に知られてそこまで困るという訳ではないのかもしれないけど……」
私の事情は、色々と複雑である。
前世の記憶を持っているという私の事情は、できればあまり話したくないことだ。
ただ、仮に知られたとしても、そこまで困ることはないかもしれない。
そもそも、そんな素っ頓狂な話はどこまで信じられるのだろうか。
私に前世の記憶がある。そこまでは、まだ信じられるかもしれない。
だが、この世界がゲームの世界だったとか、そういう話は信じられるだろうか。それは少し、怪しい所である。
「まあ、それで奇異の目で見られたり、噂を流されてそれが広まったら困るけど……」
私の事情を聞けば、この世界に暮らす人々はきっと狂っていると思うだろう。
噂が学校中に広まったりすれば、私は孤立することになる。
それは、できれば避けたい所だ。
せっかく自由を手に入れたのに、また息苦しい場所ができるのは嫌なのである。
「そんなことをする人ではないよね……」
ただ、レリクス様は例え私の事情を知ったとしても奇異の目では見ないだろうし、それを広めることはしない気がする。
彼は、とてもいい人だ。腹黒い所はあるが、少なくともそんなことをする人ではないだろう。
「ということは、とりあえず問題はないということかな……」
私は、そんな風に呟きながら思考を終えた。
恐らく、大丈夫。そう思ったからだ。
今日は入学式がメインだったので、授業もなくこれで終わりである。
とりあえず、私はベッドの上に寝転がった。色々と疲れているからだ。
「はあっ……」
今日一日で、色々と気になることはあった。
まず、セリティナのことである。
彼女が近づくと、私の痣が疼く。それは、一体どういうことなのだろうか。
彼女は、聖痕を宿しているとされている。それが、私の背中にある痣と何かしらの関係があるとでもいうのだろうか。
近づく度に熱を帯びられるというのは、中々厳しいものだ。
これから、私は彼女と毎日隣の席で過ごす。毎日、あの熱を体験するというのは、できることなら避けたい所だ。
「といっても、原因がわからないし、学校に行かない訳にもいかないし、どうすることもできない訳だけど……」
正直言って、セリティナとのことは考えても無駄だろう。
考えた所で、答えは出ない。この熱を帯びなくなることを願うしかないだろう。
「となると、もう一つの悩みの種の方を考えるべきかな?」
という訳で、私はもう一つの悩みを考えることにした。
それは、レリクス様のことである。
彼は、私のおかしな点を的確に見抜いてきた。
一体、彼は私のことをどこまで理解しているのだろうか。
「まあ、別に知られてそこまで困るという訳ではないのかもしれないけど……」
私の事情は、色々と複雑である。
前世の記憶を持っているという私の事情は、できればあまり話したくないことだ。
ただ、仮に知られたとしても、そこまで困ることはないかもしれない。
そもそも、そんな素っ頓狂な話はどこまで信じられるのだろうか。
私に前世の記憶がある。そこまでは、まだ信じられるかもしれない。
だが、この世界がゲームの世界だったとか、そういう話は信じられるだろうか。それは少し、怪しい所である。
「まあ、それで奇異の目で見られたり、噂を流されてそれが広まったら困るけど……」
私の事情を聞けば、この世界に暮らす人々はきっと狂っていると思うだろう。
噂が学校中に広まったりすれば、私は孤立することになる。
それは、できれば避けたい所だ。
せっかく自由を手に入れたのに、また息苦しい場所ができるのは嫌なのである。
「そんなことをする人ではないよね……」
ただ、レリクス様は例え私の事情を知ったとしても奇異の目では見ないだろうし、それを広めることはしない気がする。
彼は、とてもいい人だ。腹黒い所はあるが、少なくともそんなことをする人ではないだろう。
「ということは、とりあえず問題はないということかな……」
私は、そんな風に呟きながら思考を終えた。
恐らく、大丈夫。そう思ったからだ。
38
お気に入りに追加
1,859
あなたにおすすめの小説
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
婚約破棄は踊り続ける
お好み焼き
恋愛
聖女が現れたことによりルベデルカ公爵令嬢はルーベルバッハ王太子殿下との婚約を白紙にされた。だがその半年後、ルーベルバッハが訪れてきてこう言った。
「聖女は王太子妃じゃなく神の花嫁となる道を選んだよ。頼むから結婚しておくれよ」
虐げられた人生に疲れたので本物の悪女に私はなります
結城芙由奈
恋愛
伯爵家である私の家には両親を亡くして一緒に暮らす同い年の従妹のカサンドラがいる。当主である父はカサンドラばかりを溺愛し、何故か実の娘である私を虐げる。その為に母も、使用人も、屋敷に出入りする人達までもが皆私を馬鹿にし、時には罠を這って陥れ、その度に私は叱責される。どんなに自分の仕業では無いと訴えても、謝罪しても許されないなら、いっそ本当の悪女になることにした。その矢先に私の婚約者候補を名乗る人物が現れて、話は思わぬ方向へ・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
やり直し令嬢は本当にやり直す
お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。
【完結】異世界転生した先は断罪イベント五秒前!
春風悠里
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したと思ったら、まさかの悪役令嬢で断罪イベント直前!
さて、どうやって切り抜けようか?
(全6話で完結)
※一般的なざまぁではありません
※他サイト様にも掲載中
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる