15 / 24
15
しおりを挟む
私とソルバン様は、王城の中庭に来ていた。
太陽の光も、吹き抜ける風も、とても心地いい。やはり、外に出るのはいいことである。
「楽しそうですね?」
「はい……とても、気持ちいいです」
「それなら良かった。ここまで、連れて来た甲斐がありましたよ」
私が喜んでいるのを、ソルバン様は見抜いていた。
しかし、それは当然だ。私自身、とてもはしゃいでいるのを自覚している。恐らく、とてもわかりやすいだろう。
「……そういえば、周りに人がいませんね?」
そこで、私はそのことを指摘した。
人の目が気になる私としては、中庭に人がいないことは嬉しいことだ。
だが、ここまで誰もいないと逆に心配になる。何か起こっているのではないだろうか。
「ああ、それは当然です。中庭は、憩いの場所ですが、あまり人は寄ってきません。僕や他の王族の目がある以上、兵士達は休めませんからね」
「そういうことですか……」
ソルバン様の言葉で、あまり気にする必要がないことは理解できた。
確かに、王族の目があるのに、この中庭で休みたいとは思わない。だから、ここに近づいてくるのはソルバン様達王族だけなのだろう。
「まあ、つまり、王族の目はあるということだな」
「え?」
「あっ……」
そう思っていた私の耳に、男性の声が聞こえてきた。
私とソルバン様は、ゆっくりとその方向を向く。
「ゼノルス兄さん……」
「よう。ソルバン、こんな所でご令嬢を連れまわすとは、お前も中々やるようになったな?」
「そ、そういうのではないよ。この人は……」
「おっと、事情を説明する必要はないぜ。俺だって、色々と話は聞いている。そのお嬢さんが、隣国で冤罪をかけられたという双子のお姉さんだろう?」
現れた人物は、ソルバン様のお兄様であるようだ。
会話からもわかるし、その顔つきからもわかる。二人は、とてもよく似ているのだ。
ただ、私達程ではない。双子ではないと思うので、それは当然のことだが。
「俺は、ゼノルス。ソルバンの兄で、このレパンディア王国の第二王子だ」
「あ、えっと……ラクリデ王国のアルリナ・ルバルデです」
「ああ、知っているとも。なるほど、あのイルリナ嬢と本当にそっくりだ。やはり、双子の姉というのはここまで似るものなのだな……」
ゼノルス様は、私の顔を見て、驚いていた。
そういえば、彼も会食でイルリナと会っているはずなのだ。だから、そっくりな私を見て、そのような反応をしているのだろう。本当に瓜二つなので、双子にあまり慣れていない人が驚くのは当然のことである。
太陽の光も、吹き抜ける風も、とても心地いい。やはり、外に出るのはいいことである。
「楽しそうですね?」
「はい……とても、気持ちいいです」
「それなら良かった。ここまで、連れて来た甲斐がありましたよ」
私が喜んでいるのを、ソルバン様は見抜いていた。
しかし、それは当然だ。私自身、とてもはしゃいでいるのを自覚している。恐らく、とてもわかりやすいだろう。
「……そういえば、周りに人がいませんね?」
そこで、私はそのことを指摘した。
人の目が気になる私としては、中庭に人がいないことは嬉しいことだ。
だが、ここまで誰もいないと逆に心配になる。何か起こっているのではないだろうか。
「ああ、それは当然です。中庭は、憩いの場所ですが、あまり人は寄ってきません。僕や他の王族の目がある以上、兵士達は休めませんからね」
「そういうことですか……」
ソルバン様の言葉で、あまり気にする必要がないことは理解できた。
確かに、王族の目があるのに、この中庭で休みたいとは思わない。だから、ここに近づいてくるのはソルバン様達王族だけなのだろう。
「まあ、つまり、王族の目はあるということだな」
「え?」
「あっ……」
そう思っていた私の耳に、男性の声が聞こえてきた。
私とソルバン様は、ゆっくりとその方向を向く。
「ゼノルス兄さん……」
「よう。ソルバン、こんな所でご令嬢を連れまわすとは、お前も中々やるようになったな?」
「そ、そういうのではないよ。この人は……」
「おっと、事情を説明する必要はないぜ。俺だって、色々と話は聞いている。そのお嬢さんが、隣国で冤罪をかけられたという双子のお姉さんだろう?」
現れた人物は、ソルバン様のお兄様であるようだ。
会話からもわかるし、その顔つきからもわかる。二人は、とてもよく似ているのだ。
ただ、私達程ではない。双子ではないと思うので、それは当然のことだが。
「俺は、ゼノルス。ソルバンの兄で、このレパンディア王国の第二王子だ」
「あ、えっと……ラクリデ王国のアルリナ・ルバルデです」
「ああ、知っているとも。なるほど、あのイルリナ嬢と本当にそっくりだ。やはり、双子の姉というのはここまで似るものなのだな……」
ゼノルス様は、私の顔を見て、驚いていた。
そういえば、彼も会食でイルリナと会っているはずなのだ。だから、そっくりな私を見て、そのような反応をしているのだろう。本当に瓜二つなので、双子にあまり慣れていない人が驚くのは当然のことである。
1
お気に入りに追加
900
あなたにおすすめの小説
【完結】従姉妹と婚約者と叔父さんがグルになり私を当主の座から追放し婚約破棄されましたが密かに嬉しいのは内緒です!
ジャン・幸田
恋愛
私マリーは伯爵当主の臨時代理をしていたけど、欲に駆られた叔父さんが、娘を使い婚約者を奪い婚約破棄と伯爵家からの追放を決行した!
でも私はそれでよかったのよ! なぜなら・・・家を守るよりも彼との愛を選んだから。
出て行けと言って、本当に私が出ていくなんて思ってもいなかった??
新野乃花(大舟)
恋愛
ガランとセシリアは婚約関係にあったものの、ガランはセシリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、ガランは自身の機嫌を損ねたからか、セシリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてセシリアはガランの前から失踪してしまうこととなるのだが、ガランはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はセシリアの味方をすると表明、じわじわとガランの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。
【完結】王女と駆け落ちした元旦那が二年後に帰ってきた〜謝罪すると思いきや、聖女になったお前と僕らの赤ん坊を育てたい?こんなに馬鹿だったかしら
冬月光輝
恋愛
侯爵家の令嬢、エリスの夫であるロバートは伯爵家の長男にして、デルバニア王国の第二王女アイリーンの幼馴染だった。
アイリーンは隣国の王子であるアルフォンスと婚約しているが、婚姻の儀式の当日にロバートと共に行方を眩ませてしまう。
国際規模の婚約破棄事件の裏で失意に沈むエリスだったが、同じ境遇のアルフォンスとお互いに励まし合い、元々魔法の素養があったので環境を変えようと修行をして聖女となり、王国でも重宝される存在となった。
ロバートたちが蒸発して二年後のある日、突然エリスの前に元夫が現れる。
エリスは激怒して謝罪を求めたが、彼は「アイリーンと自分の赤子を三人で育てよう」と斜め上のことを言い出した。
私を婚約破棄後、すぐに破滅してしまわれた旦那様のお話
新野乃花(大舟)
恋愛
ルミアとの婚約関係を、彼女の事を思っての事だと言って破棄することを宣言したロッド。うれしそうな雰囲気で婚約破棄を実現した彼であったものの、その先で結ばれた新たな婚約者との関係は全くうまく行かず、ある理由からすぐに破滅を迎えてしまう事に…。
【完結済み】「こんなことなら、婚約破棄させてもらう!」幼い頃からの婚約者に、浮気を疑われた私。しかし私の前に、事の真相を知る人物が現れて……
オコムラナオ
恋愛
(完結済みの作品を、複数話に分けて投稿します。最後まで書きあがっておりますので、安心してお読みください)
婚約者であるアルフレッド・アルバートン侯爵令息から、婚約破棄を言い渡されたローズ。
原因は、二人で一緒に行ったダンスパーティーで、ローズが他の男と踊っていたから。
アルフレッドはローズが以前から様子がおかしかったことを指摘し、自分以外の男に浮気心を持っているのだと責め立てる。
ローズが事情を説明しようとしても、彼は頑なに耳を貸さない。
「こんなことなら、婚約破棄させてもらう!」
彼がこう宣言したとき、意外なところからローズに救いの手が差し伸べられる。
明かされたのはローズの潔白だけではなく、思いもよらない事実だった……
婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む
柴野
恋愛
おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。
周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。
しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。
「実験成功、ですわねぇ」
イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
【完結】義母が来てからの虐げられた生活から抜け出したいけれど…
まりぃべる
恋愛
私はエミーリエ。
お母様が四歳の頃に亡くなって、それまでは幸せでしたのに、人生が酷くつまらなくなりました。
なぜって?
お母様が亡くなってすぐに、お父様は再婚したのです。それは仕方のないことと分かります。けれど、義理の母や妹が、私に事ある毎に嫌味を言いにくるのですもの。
どんな方法でもいいから、こんな生活から抜け出したいと思うのですが、どうすればいいのか分かりません。
でも…。
☆★
全16話です。
書き終わっておりますので、随時更新していきます。
読んで下さると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる