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 私は、イルリナとその思いに応えてくれたソルバン様に感謝していた。
 こんなにも幸せな気持ちになるのは、とても久し振りである。

「ありがとうございます、ソルバン様……あなたのおかげで、私は助かりました。妹の望みは叶いました。あなたには、感謝の気持ちしかありません」
「いえ、気にしないでください。この手紙を見て、何も思わないような人はいませんよ。今回は、その対象がなんの運命か僕だっただけです。あなた達の思いは、報われて然るべきものだったのですよ」

 私の感謝に、ソルバン様は笑顔で応えてくれた。
 何も思わない人はいないと言っているが、そうではないだろう。この手紙を、嘘だと思う人もいるし、真実だと思っても、何もしない人もいるはずである。
 そんな人とは違い、ソルバン様は私達を助けてくれた。それは、彼が本当にいい人だからに他ならない。
 そういう所を、妹は見抜いていたのだろう。だから、きっと、このような手紙を出したのだ。

「……それにしても、イルリナはそこでソルバン様と知り合ったのですか? 私は、二人が知り合いだとまったく知りませんでしたが……」
「ああ、僕と彼女は、王族同士の会食の時に会っていたのです。その時、ゼパイル殿の婚約者として紹介されたのです」
「ああ、そういうことでしたか……」

 ソルバン様とイルリナが出会ったのは、私がまったく知らない出来事の時だった。
 王子の婚約者であるイルリナだったからこそ呼ばれる会。そこで、知り合っていたようである。

「ですが、まさか、こんなことを頼まれるとは思っていませんでしたがね。まさか、ラクリデ王国の内部でそのようなことになっているとは、驚きましたよ」
「そうですよね……」

 出会った時は、お互いにこのようになることなど予想もしていなかっただろう。
 しかし、結果的にその出会いは私を救ってくれたのだ。本当に、イルリナにもソルバン様に感謝の気持ちしかない。
 二人が出会い、私を救おうとしてくれたことを、私はとても嬉しく思う。

「……いい笑顔ですね」
「え?」
「イルリナさんから、少し聞いていました。自分の姉は、辛い立場にあると……」
「あっ……」

 そこで、ソルバン様は少し暗い顔でその話を切り出してきた。
 どうやら、そのこともイルリナは彼に伝えていたようである。
 もしかしたら、それを伝えることで、彼がより協力してくれるようになることを期待していたのかもしれない。
 こうして、私はソルバン様とその話をすることになるのだった。
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