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1.親友と婚約者が
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ラフェリアとは、幼少期の頃から付き合いがあった。
私のオルビリアス伯爵家と彼女のエルピードル伯爵家との間には交流があり、その縁で私達も仲良くなったのだ。
彼女と私は、親友と呼べる関係であると思っている。それは、この国の多くの者達が通っている魔法学園でも変わらない。
婚約者であるルビウス・ウルグロ伯爵令息とは、最近知り合ったばかりだ。
以前からお互いに面識はあったが、実際に話したことは少なかった。
しかし彼は紳士的な人である。魔法学園でも私のことを気遣ってくれるし、彼に対しては感謝の気持ちでいっぱいだ。
親友と婚約者に恵まれた私は、幸せ者であるといえるだろう。
私なんかには、過ぎたる幸福であると言っても過言ではない。
「ルビウス様……」
「ラフェリア……」
そんな風に思っていた私は、目の前の光景に固まっていた。
そこにいるのは、私の親友と婚約者だ。ルビウス様は、ラフェリアと抱き合っている。二人ともお互いを見つめて、とても幸せそうだ。
「ずっとこうしたいと思っていた」
「私もです、ルビウス様」
「このような所でしかこうすることができないのが、もどかしい限りだ」
「それは仕方ありません。私達の関係は、決して公にできないものなのですから」
ルビウス様は、私の婚約者である。それは既に、公表されている事実だ。
その事実がある中で、二人は親密にしている。それはつまり、これが不貞であるということだ。
会話からして、それを二人はきちんと理解している。その上でこのようなことをしているということが、私は信じられなかった。
「アノテア・オルビリアス……僕にとって、あれはなんとも忌々しい存在だ」
「……アノテラ、ですか」
「まったく、どうしてこの僕があのような女と結婚しなければならないのか……父上の判断を呪ってしまうよ」
「そうですね……その婚約さえなければ、私達もこんな風に隠れる必要がないというのに」
二人は、自身の置かれている境遇について愚痴を零していた。その言葉の節々からは、私に対する侮蔑のような感情が読み取れる。
信頼していた二人の言葉は、私の心に深く突き刺さった。二人はずっと私を欺いていたのだ。信じていたのは、私だけだったということなのだろう。
それを理解した私は、その場にゆっくりと崩れ落ちていた。それは意識しての行為ではない。自然とそうなってしまったのだ。
そのため、私は大きな物音を立ててしまった。それによって二人が、人の存在を悟るのは、至極当然のことだといえるだろう。
私のオルビリアス伯爵家と彼女のエルピードル伯爵家との間には交流があり、その縁で私達も仲良くなったのだ。
彼女と私は、親友と呼べる関係であると思っている。それは、この国の多くの者達が通っている魔法学園でも変わらない。
婚約者であるルビウス・ウルグロ伯爵令息とは、最近知り合ったばかりだ。
以前からお互いに面識はあったが、実際に話したことは少なかった。
しかし彼は紳士的な人である。魔法学園でも私のことを気遣ってくれるし、彼に対しては感謝の気持ちでいっぱいだ。
親友と婚約者に恵まれた私は、幸せ者であるといえるだろう。
私なんかには、過ぎたる幸福であると言っても過言ではない。
「ルビウス様……」
「ラフェリア……」
そんな風に思っていた私は、目の前の光景に固まっていた。
そこにいるのは、私の親友と婚約者だ。ルビウス様は、ラフェリアと抱き合っている。二人ともお互いを見つめて、とても幸せそうだ。
「ずっとこうしたいと思っていた」
「私もです、ルビウス様」
「このような所でしかこうすることができないのが、もどかしい限りだ」
「それは仕方ありません。私達の関係は、決して公にできないものなのですから」
ルビウス様は、私の婚約者である。それは既に、公表されている事実だ。
その事実がある中で、二人は親密にしている。それはつまり、これが不貞であるということだ。
会話からして、それを二人はきちんと理解している。その上でこのようなことをしているということが、私は信じられなかった。
「アノテア・オルビリアス……僕にとって、あれはなんとも忌々しい存在だ」
「……アノテラ、ですか」
「まったく、どうしてこの僕があのような女と結婚しなければならないのか……父上の判断を呪ってしまうよ」
「そうですね……その婚約さえなければ、私達もこんな風に隠れる必要がないというのに」
二人は、自身の置かれている境遇について愚痴を零していた。その言葉の節々からは、私に対する侮蔑のような感情が読み取れる。
信頼していた二人の言葉は、私の心に深く突き刺さった。二人はずっと私を欺いていたのだ。信じていたのは、私だけだったということなのだろう。
それを理解した私は、その場にゆっくりと崩れ落ちていた。それは意識しての行為ではない。自然とそうなってしまったのだ。
そのため、私は大きな物音を立ててしまった。それによって二人が、人の存在を悟るのは、至極当然のことだといえるだろう。
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