失踪した婚約者の連れ子と隠し子を溺愛しています。

木山楽斗

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17.私の結論

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「……アムドラさん、私の結論は決まりました」
「……そうですか」

 アムドラさんとロナティアの気持ちを知って、私は今回の件に対する自分なりの答えを出すことができた。
 彼らがやったことは、許されることではない。どのような理由があっても、人の命を奪っていいはずがない。それはわかっている。

「私には、あなた達の罪を暴くことはできません。ヴォルダー伯爵が生きていたら、私もきっと彼に苦しめられていたでしょう。それを考えると、とても苦しくて……少なからず、私はあなた達の行いに感謝しています。だから私は、あなた達の共犯者になります」

 私の結論は、決して褒められるべきものではないだろう。
 だが、少なくとも私は彼らを非難することはできない。彼らは私を助けてくれたのだから。
 故に私は、彼らの罪をともに背負うとしよう。これからは私も共犯者だ。

「エリシアさん……すみません、あなたを巻き込んでしまって」
「いえ、いいのです。それよりも……」

 アムドラさんの申し訳なさそうな表情に、私はゆっくりと首を振った。
 私が彼らの共犯者になることはいいと思っている。ただ問題は、ロナティアのことだ。

「ロナティア、あなたは……」
「私のことは気にしないでください。これでも、決意していますから……それに、この件でヴォルダー伯爵家が失脚したら、どの道私も終わりです」
「ええ、そうなのよね……」

 幼いながらに、ロナティアはとても冷静に状況を見ていた。
 彼女の言う通り、この罪を告発したらロナティアに未来はないのだ。
 しかしこれだけは、はっきりさせておかなければならない。もしもロナティアが未来で考えを変えた時、私達はきちんと罰を受けなければならないのだ。

「……あなたの気が変わったら、いつだって告発していいのよ。そうですよね、アムドラさん」
「ええ、もちろんです。あなたが独り立ちできるようになった時、考えが変わったなら、迷わず僕達のことを裁いてください」
「……わかりました」

 私達の言葉に、ロナティアは力強く頷いた。
 彼女ならきっと、未来で厳正な判断を下してくれるだろう。それまで私達は、彼女のことを守っていかなければならない。

「アムドラさん、一つお願いがあります」
「なんでしょうか?」
「私と婚約していただけますか?」
「婚約……」

 そこで私は、アムドラさんにそのような提案をした。
 ロナティアの傍にいるためにも、アムドラさん達と罪を一緒に背負っていくためにも、それは必要なことだ。これからの未来のためにも、私はアムドラさんと結婚したいと思っている。

「……僕で良ければ、構いませんよ。あなたのような人に妻になっていただけるなら光栄です」
「褒めたって、何もでませんよ」
「本心ですよ」

 私とアムドラさんは、固く握手を交わした。
 こうして私は、ヴォルダー伯爵家に起こったことの真実を知ったのだった。
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