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夢追い編
第40話、異国の兄
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「皆に頼みがあるんだ」
「頼み?」
何事もない日常の中で彩音は緋香琉、クロスと共に沙織から頼みがあると話を切り出された。
「沙織から頼み事とは珍しいな」
「実は、もうすぐうちの町で小規模な秋祭りがあるんだよね。それを手伝ってもらえないかなーって」
「秋祭りの手伝い? というと屋台とか?」
「違う違う。私も旅に出るまではよく手伝ってたんだけど、多分飾りつけを作ったり飾ったりする手伝いだと思う」
「別に構わないけど……」
こうしてとある秋の休日、三人は会場となる広場に集まった。
「町単位の小さなお祭りだから屋台は数店舗でるかなーって感じかな。でも子供が結構集まるから簡単な劇とか毎年やってるんだ」
やがて役割分担され、緋香琉とクロスが別の担当に行くと彩音と沙織の二人は外観の飾りつけを担当することになり、まずはその為の飾りを作るはずだった。
「沙織ちゃん、久しぶりね。帰ってきてたなんて、今年も手伝ってくれるの? 本当助かるわあ」
「いえいえ、私も楽しいですし」
「沙織ちゃん、学校はどうだい? 最近色んな所で化け物が出るらしいから心配でねえ」
「あはは、大丈夫ですよ」
作業を始めて間もなく、彼女は同じく準備に関わる地域の人々から話しかけられ、その幅は年配まで幅広い。
代わる代わる話しかけていく人々にまるで親しく世間話をする沙織に感心し作業をしながら
「学校のみならず地元でもコミュ力爆発してんの」
「別にそんなつもりはないんだけどなー」
「沙織ちゃんも手伝いに来てたんだね」
そんな中、またしても誰かがやって来て今度は男性の声。
本当に幅広いと感心しながらその人を見た瞬間彩音は言葉を失った。
「あ、新宿さん、こんにちは」
視線を向けた先にいたのは見知った姿で、そんな彩音に気づかず沙織は彼と言葉を交わし
「こじんまりした祭りは若者はあまり関心もないし、毎年手伝いに来てくれるのは沙織ちゃんくらいだよ」
「とか言う新宿さんだって今年も来てるじゃないですかー」
「……あれ」
ふと困惑していた彩音の姿に気が付くと目を丸くし、やがて笑みを浮かべると
「これは奇遇だねえ」
それは紛れもなく『あの』新宿さんだった。
彼もここに彩音がいるとは思っていなかったのか半ば驚いた様子を見せたものの、すぐにいつもの調子で話しかける姿に疑問を感じた沙織は問いかける。
「……? 新宿さん、彩音の事を知ってるんですか?」
「まあね。まさかこんな所で会えるとは思わなかったけど」
「えっ、沙織と新宿さんって知り合いだったの……?」
と彩音もまた目を丸くしながら沙織に問いかけた。
沙織がこれまで都市伝説であるミラクルレターの正体を解明しようとしている事は彩音もよく知っており、その手伝いをさせられたこともある。
結局結果は得られ無かったものの、今でも諦めていないことも知っているからこそこの場で起きた事はあらゆる困惑を招いた。
「まあね」
「えぇ……?」
様子を見る限り沙織は彼がそのミラクルレターの関係者とは知らない様子で、彩音が何を考えているのか気づいたのか新宿は人差し指を自らの口に当て彩音は黙り込んだ。
やがて少し考えた彼は口を開き
「なるほど。確か沙織ちゃんも桜丘高校だったっけ。つまり」
「あぁそうです。彩音とはクラスメイトなんですよ」
「なるほどなるほど」
「それで、他の上京してきた友達も含めて折角だからお祭りの準備を手伝ってくれないかって頼んで……」
「えっ、というか新宿さんまた仕事をサボってるんですか」
とふと自然と思った事を問いかけると新宿は残念そうに息を吐き
「サボってるって俺の認識酷いなあ。今回に限ってはきちんとリーダーにも話してあるし許可もとって来てるよ」
それでも疑問が拭えない彩音の様子に新宿は困ったように
「ここは新宿区にある町だから、つまり俺の故郷でもあるわけ」
と言われやっと理解と納得が出来そうになるが、それでも普段サボり魔かつナンパ男として悪評高いこの人物が地域の小さな祭りの準備へ手伝いに来ていることが不思議でならない。
そんな彩音に気づいてか
「ここのお祭りの手伝いは毎年参加しててね、地域貢献……というより活性化も兼ねてね」
「何だか意外ですね……」
「意外って俺、そんなに不真面目に見えるかな」
「いやだって、いつもサボり過ぎて怒られてるじゃないですか」
小学生の頃、地域に住む小学生高学年は毎年この時期に行われる祭りの準備への参加が定められており、その時に沙織と新宿は初めて顔を合わせたという。
小学生を卒業し、強制でなくなった後も毎年この秋祭りの手伝いに参加していた事からそれなりに話す仲なんだと彩音は話を聞いていた。
「ここしばらく見なかったからどこかへ引っ越して行っちゃったかと思ったよ」
「あぁ、それは……中学の頃、ちょっと休学して旅に出てたので」
「えっ、あの旅、学校を休んでしてたの!?」
彩音が驚き、それに沙織が笑っているとふと沙織は彩音に向け奇妙な笑みを浮かべながら
「それより、彩音こそ新宿さんと接点なさそうだけど……どこで知り合ったの?」
「えっ」
正直に答えるわけにもいかず、返答に迷っていると沙織は新宿へ視線を向け
「あー、もしかして、また街中でナンパでもしてたんですか? それで彩音に話しかけて」
「どうしてそうなるかな」
と面白半分に話していると新宿は肩を竦め
「彩音ちゃんのクラスメイトって事は六本木ってやつもいるでしょ? 六本木とはちょっとした知り合いでね」
「六本木君? また意外そうな人の名前が」
と沙織が意外そうに新宿へ視線を向け
「新宿さんと六本木君は全く違うタイプって言うか、それこそ接点がなさそうだけど」
「これでも六本木とはちょっとした職場仲間でね。とは言えボランティアのようなものに近いんだけど」
「五月に沙織が限定パフェ食べに行こうって言った時、一人で行こうとしたから迷いかけたの」
そう彩音が口を開き沙織の視線が向くと
「そしたら六本木君に会って、たまたま一緒にこの人がいたの」
「そうそう。俺が道案内をしようとしたら凄い睨まれて……」
そう話す新宿に対して会話を返す沙織を見ながら
(新宿さんが『新宿』にいるって変に思わないのかな)
しかも小学生の頃に初めて対面したと言うのなら、おそらく一切変わらない新宿の姿に違和感は感じないのか。
そう思えど沙織は気にする様子もなく作業は進められていった。
そして沙織が飾り付けの為登りながら他の大人と作業をしている間、少し離れた場でそれを見ていた彩音は隣で話しかける新宿に振り向いた。
「それにしても、クラスメイト以前に彼女と知り合っていたなんてね」
そう関心を持ちながら言う姿に彩音も肩を竦めながら
「私も沙織も初めて会った時は『こんな所に自分以外の日本人がいるなんて』って驚いたくらいですもん」
それがどんな偶然か、再びこの地で再会した事を話すと
「私は東京出身でもないのにあの学校の同じ新入生だなんて、偶然通り越してもはや奇跡みたいなものですよ。沙織と同い年だったとも思いませんでしたし」
「偶然って怖いよねえ」
やがて、新宿が口を開くと彩音の表情が変わり
「夏休みに入ってからというもの、全然来ないから皆寂しがってたんだよね。特にゆかりとか俺辺りがさ」
「…………」
「夏休み明けて東京に戻って来ただろうからまた会える、と思ったら今度は学校の制度に参加して来られなくなってたみたいだし、クラスメイトの六本木はともかく俺が先に会うなんてね」
そうふと息を吐く姿に視線を向けると
「俺達に愛想が尽きて来なくなっちゃったのかと思ったよ」
「……ただ単に、色々あって来られなかっただけです」
と返ってきた言葉に新宿が少し驚いたように視線を向けると、彩音は話す言葉を考えるように俯きながら
「ここに来て、新宿さん達に会ってから……偶然か必然か、色んな事が起きました」
「…………」
「正直納得いってませんけど、あの部屋の皆と話していると不可能だと思っていたことが少しだけ『もしかしたら』って思えるようになってしまったんです」
「それは……」
と新宿は途中まで言いかけるがそれを止め、ふと視線を正面に戻しながらフッと笑みを浮かべると
「ひょっとして、あいつのおかげかな?」
「それでは、これから文化祭の出し物を決めます」
黒板に大きく『文化祭』と書かれた中、教壇に立った霧島亜理紗は学校から配られた要項用紙と見比べながらクラスに向け告げた。
「基本的にはなんでもありだけど、予算は限られているからあまりお金のかかるものは出来ないことを頭に入れて案を出して下さい」
そしてメガネを上げながら
「でも、ものによっては部活動や学校の備品から借りられる場合もあるから一応案として出しては欲しい」
「知っての通りここは部活動が多い。そしてクラスもかなり多い。故に毎年人気なものは被ることも多々ある」
そう仕切る霧島を横から見ていた後藤が口を開くと
「もし優勝を狙うつもりなら意外性や個性のあるものにし、一味も二味も違うものにしないと優勝は難しい……とアドバイスしておこう」
やがて少しずつ案が出されそれが黒板に書き出されていき、毎年凝った出し物をするクラスや部活動が多い為凝ったものにするつもりであれば早期に内容を決めた方がいいとも言われている。
そして……
「ふふ……ふふふふ……」
「口から魂出てるぞ!?」
昼休み、彩音と沙織を誘いに来た緋香琉とクロスは姿を見せた彩音の様子に驚きの声を上げた。
そんな二人に説明するように沙織が話し
「さっき文化祭の出し物を決めててね~」
「あぁ文化祭の」
「そっちのクラスは何をやるか決まった?」
と問いかけると緋香琉が苦い表情を浮かべながら
「うーんまあ、うちのクラスは演劇部のやつがいてそのせいというか……」
「劇か! いいねえ。劇なら被っても内容まで被らないだろうし、評価の要素は沢山あるから優勝の可能性も高いしこれは見に行かないとねぇ?」
「ええー? 私的には折角の文化祭なんだから屋台とかやりたかったなあ。劇もセリフ覚えるのとか苦手だし……」
「多数決で決まったとはいえ……劇なら私でも出来そうだから、どんな劇になるのか楽しみだわ」
と心を浮き立たせる沙織の横で、緋香琉は教室の入口近くの柱に倒れかかる彩音を見ると
「で、そっちは何をするんだ? 彩音のその様子を見るにうちらと同じくただの屋台……とかではなさそうだけど」
「……だって」
「え?」
微かに聞こえた声に緋香琉が振り向くと彩音は告げる。
「メイド、執事喫茶だって」
「……お、おう…それはまた……」
一度時が止まったかのような沈黙の末に緋香琉が困惑した声を上げると、ふと近くから別の声が聞こえ
「全員面白半分で入れただろ……」
そこには彩音と同じく乗り気ではなさそうな翔太と苦笑いしていた青空がおり、翔太は深いため息を吐きながら
「なんだよメイド&執事喫茶って……」
「鈴木と北条が後押しした原因ではあると思うぞ」
と青空が苦い表情で笑いながら沙織を見ると
「委員長のことだからてっきり反対すると思ったんだけどなあ……」
「沙織と北条が原因ってなんだ?」
「あはは、メイド&執事喫茶を提案したの私なんだ」
と明かす沙織に緋香琉が視線を向けると
「折角本物の執事がいるんだからこれしかないって思って……」
「それで北条も原因の一つだって言うのか」
「あの委員長も委員長で『やるなら徹底的に!』って乗り気になるとは思わなかったし」
「ええと、なんだか申し訳ありません」
そんな二人に対し、話が聞こえていた啓は苦笑いしながら謝り一同が視線を向けると
「衣装とかどうするんだよ」
「それは霧島さんと相談して決めてく感じかなー」
帰宅後、ソファに倒れ込んだ彩音に対して啓は鞄を椅子に置き、聞こえてくる呟き声に視線を向けた。
「何でこんなことになるのかなー」
そう彩音は落胆した様子から顔を上げ
「『おかえりなさいませ、ご主人様♡』とか言うんでしょ? そんなの可愛い子しか許されない台詞だわ!」
「……? 普通の挨拶ではありませんか?」
そう疑問符を浮かべながら問いかける姿に彩音は起き上がり視線を向けると
「それが普通って何? 本職だから?」
「確かに、ご主人様のご帰宅をお出迎えする場合は普通にそう言いますが……。何でしたら、もし私があの学校に編入していなければここでお嬢様のお帰りを待つ形になっていたでしょうし……」
「……まさか、もしそうなってたら毎日帰る度にお帰りなさいませ、お嬢様的なことを言われてたの……?」
その様子を少し想像し、彩音が表情を歪ませている一方啓は考えるように視線を上に向かせながら
「しかし、文化祭の出し物として挙げられた喫茶店というのは、おそらくこの地で有名な娯楽としてあるメイドや執事喫茶の事ですよね」
本職としてならばともかく、この日本において有名な娯楽としてのそれらは見たことがなく
「私は娯楽としてのそれらを見た事はないのですが、お嬢様はあるのですか?」
「ないよ!」
そう反射的に答えると啓は話を続け
「喫茶店というくらいですから、メニューも考えなければいけないのではないのでしょうか。喫茶店を営むのは私も始めての試みなので少し楽しみでもありますが……」
ふと言葉が消え、長い沈黙に彩音が啓へ視線を向けると彼は難しい表情をしていた。
そんな姿に彩音が違和感を感じた時
「……お嬢様、お話があるのですが」
理由もなく、そう切り出された時何か不穏な気配を感じ、視線を向けたままでいると目を伏せていた啓は目を開き
「実は……明日、兄が日本へ来るそうなんです」
「えっ、お兄さん?」
どこか思い詰めたような雰囲気に身構えていたものの、発せられた言葉は予想していたものとは大きく違ったものだった。
だからこそ妙に不穏な雰囲気を発している理由が分からず
「お兄さんって……」
「兄は私と同じく執事で、イギリスの大富豪の元に仕えているのです」
「それは凄い……!」
そう話している啓の表情がどこか思い詰めたようなものであることに気付かぬまま、彩音はふと疑問を持つと
「……あれ、何の用に? 確か啓は生まれも育ちもイギリスなんだよね。ということはお兄さんもイギリス育ちのはずで……もしかしてお兄さんは違うの?」
「いえ、兄も私と同じくイギリス生まれイギリス育ちのハーフです。おそらく兄は……」
「……?」
「私の様子を見に……来るのではと」
どこか思い詰めたような表情でそう告げた真の意味は今の彩音には分からなかった。
兄弟がいない彩音にとって兄弟という響きは憧れで、いつでも遊び相手がいるということで羨ましい存在でもある。
そして、何より弟である啓の様子を見に来るくらいなのだから、兄弟仲が良いのだろうと軽い気持ちで想像していた。
「…………」
何便もの飛行機が離着陸を繰り返す着陸場の中、開いた扉の中からスーツ姿の男性が現れる。
サングラスを外し空を見上げるが、その視線は懐かしみとは違う感情を秘めているように感じられた。
やがて兄が日本に来ると言われた日、啓は放課後一人で学校から離れた喫茶店にいた。
決して安物の店ではないが、一般人でも手が出せる価格設定で本格的な紅茶やコーヒーが楽しめるということでSNS上でも人気の店と言われている。
兄から日本に来ると送られた手紙の中にはこの場で待ち合わせる事とし、その日時まで指定されていた。
「いらっしゃいませー」
扉が開き鈴が鳴ると一人の男性が入店する。
店員に待ち合わせしている体を告げ、ボックス席に座る啓の姿に気づくと近づいてゆく。
そしてやがて啓の視界に立ち止まった男性の姿が入り、視線を上げると数年合わせていなかった互いの姿を確認し口を開いた。
「久しぶりだな、啓」
「……兄さん」
外見として似る部分は少ないものの、同じ髪色をしどこか面影が似て兄弟と言われても違和感はない姿をしている。
線が一本通ったように正された姿勢はただ立っているだけで優雅な雰囲気を滲ませており、見る者を引き寄せるような、彼の周りだけ違う空気が流れているかのようだった。
それから間もなく、啓と対面するよう男性が腰を下ろすと現れた店員に注文をする。
「ダージリンティーを」
店員が去り、終始緊張した面持ちでいた啓が口を開き
「お久しぶりです、兄さん」
「そうだな」
一旦言葉が途切れると沈黙が流れ、啓の全身に緊張として力が入っているとそんな啓に向け兄、北条玲が投げかけると
「数年ぶりだろうか。俺がウィルトラベルク家に仕えてからというものの、お前の顔を見る機会も無くなってしばらく経つものだからな」
「…………」
「お前の話は父上と母上から聞いている。無事仕え先が定まり、今は日本の家に仕えているそうだな」
「……はい。そうです」
運ばれてきた紅茶に手をかける仕草ですら一流と呼べる優雅さで、なんの変哲もない喫茶店が彼によって彼の周りだけどこかの高級喫茶店に様変わりしたようだった。
そう改めて目の前の兄の威光を感じていると再び聞こえる声に顔を上げ
「日本に来る前にお前が仕えている家名を調べたが……」
「頼み?」
何事もない日常の中で彩音は緋香琉、クロスと共に沙織から頼みがあると話を切り出された。
「沙織から頼み事とは珍しいな」
「実は、もうすぐうちの町で小規模な秋祭りがあるんだよね。それを手伝ってもらえないかなーって」
「秋祭りの手伝い? というと屋台とか?」
「違う違う。私も旅に出るまではよく手伝ってたんだけど、多分飾りつけを作ったり飾ったりする手伝いだと思う」
「別に構わないけど……」
こうしてとある秋の休日、三人は会場となる広場に集まった。
「町単位の小さなお祭りだから屋台は数店舗でるかなーって感じかな。でも子供が結構集まるから簡単な劇とか毎年やってるんだ」
やがて役割分担され、緋香琉とクロスが別の担当に行くと彩音と沙織の二人は外観の飾りつけを担当することになり、まずはその為の飾りを作るはずだった。
「沙織ちゃん、久しぶりね。帰ってきてたなんて、今年も手伝ってくれるの? 本当助かるわあ」
「いえいえ、私も楽しいですし」
「沙織ちゃん、学校はどうだい? 最近色んな所で化け物が出るらしいから心配でねえ」
「あはは、大丈夫ですよ」
作業を始めて間もなく、彼女は同じく準備に関わる地域の人々から話しかけられ、その幅は年配まで幅広い。
代わる代わる話しかけていく人々にまるで親しく世間話をする沙織に感心し作業をしながら
「学校のみならず地元でもコミュ力爆発してんの」
「別にそんなつもりはないんだけどなー」
「沙織ちゃんも手伝いに来てたんだね」
そんな中、またしても誰かがやって来て今度は男性の声。
本当に幅広いと感心しながらその人を見た瞬間彩音は言葉を失った。
「あ、新宿さん、こんにちは」
視線を向けた先にいたのは見知った姿で、そんな彩音に気づかず沙織は彼と言葉を交わし
「こじんまりした祭りは若者はあまり関心もないし、毎年手伝いに来てくれるのは沙織ちゃんくらいだよ」
「とか言う新宿さんだって今年も来てるじゃないですかー」
「……あれ」
ふと困惑していた彩音の姿に気が付くと目を丸くし、やがて笑みを浮かべると
「これは奇遇だねえ」
それは紛れもなく『あの』新宿さんだった。
彼もここに彩音がいるとは思っていなかったのか半ば驚いた様子を見せたものの、すぐにいつもの調子で話しかける姿に疑問を感じた沙織は問いかける。
「……? 新宿さん、彩音の事を知ってるんですか?」
「まあね。まさかこんな所で会えるとは思わなかったけど」
「えっ、沙織と新宿さんって知り合いだったの……?」
と彩音もまた目を丸くしながら沙織に問いかけた。
沙織がこれまで都市伝説であるミラクルレターの正体を解明しようとしている事は彩音もよく知っており、その手伝いをさせられたこともある。
結局結果は得られ無かったものの、今でも諦めていないことも知っているからこそこの場で起きた事はあらゆる困惑を招いた。
「まあね」
「えぇ……?」
様子を見る限り沙織は彼がそのミラクルレターの関係者とは知らない様子で、彩音が何を考えているのか気づいたのか新宿は人差し指を自らの口に当て彩音は黙り込んだ。
やがて少し考えた彼は口を開き
「なるほど。確か沙織ちゃんも桜丘高校だったっけ。つまり」
「あぁそうです。彩音とはクラスメイトなんですよ」
「なるほどなるほど」
「それで、他の上京してきた友達も含めて折角だからお祭りの準備を手伝ってくれないかって頼んで……」
「えっ、というか新宿さんまた仕事をサボってるんですか」
とふと自然と思った事を問いかけると新宿は残念そうに息を吐き
「サボってるって俺の認識酷いなあ。今回に限ってはきちんとリーダーにも話してあるし許可もとって来てるよ」
それでも疑問が拭えない彩音の様子に新宿は困ったように
「ここは新宿区にある町だから、つまり俺の故郷でもあるわけ」
と言われやっと理解と納得が出来そうになるが、それでも普段サボり魔かつナンパ男として悪評高いこの人物が地域の小さな祭りの準備へ手伝いに来ていることが不思議でならない。
そんな彩音に気づいてか
「ここのお祭りの手伝いは毎年参加しててね、地域貢献……というより活性化も兼ねてね」
「何だか意外ですね……」
「意外って俺、そんなに不真面目に見えるかな」
「いやだって、いつもサボり過ぎて怒られてるじゃないですか」
小学生の頃、地域に住む小学生高学年は毎年この時期に行われる祭りの準備への参加が定められており、その時に沙織と新宿は初めて顔を合わせたという。
小学生を卒業し、強制でなくなった後も毎年この秋祭りの手伝いに参加していた事からそれなりに話す仲なんだと彩音は話を聞いていた。
「ここしばらく見なかったからどこかへ引っ越して行っちゃったかと思ったよ」
「あぁ、それは……中学の頃、ちょっと休学して旅に出てたので」
「えっ、あの旅、学校を休んでしてたの!?」
彩音が驚き、それに沙織が笑っているとふと沙織は彩音に向け奇妙な笑みを浮かべながら
「それより、彩音こそ新宿さんと接点なさそうだけど……どこで知り合ったの?」
「えっ」
正直に答えるわけにもいかず、返答に迷っていると沙織は新宿へ視線を向け
「あー、もしかして、また街中でナンパでもしてたんですか? それで彩音に話しかけて」
「どうしてそうなるかな」
と面白半分に話していると新宿は肩を竦め
「彩音ちゃんのクラスメイトって事は六本木ってやつもいるでしょ? 六本木とはちょっとした知り合いでね」
「六本木君? また意外そうな人の名前が」
と沙織が意外そうに新宿へ視線を向け
「新宿さんと六本木君は全く違うタイプって言うか、それこそ接点がなさそうだけど」
「これでも六本木とはちょっとした職場仲間でね。とは言えボランティアのようなものに近いんだけど」
「五月に沙織が限定パフェ食べに行こうって言った時、一人で行こうとしたから迷いかけたの」
そう彩音が口を開き沙織の視線が向くと
「そしたら六本木君に会って、たまたま一緒にこの人がいたの」
「そうそう。俺が道案内をしようとしたら凄い睨まれて……」
そう話す新宿に対して会話を返す沙織を見ながら
(新宿さんが『新宿』にいるって変に思わないのかな)
しかも小学生の頃に初めて対面したと言うのなら、おそらく一切変わらない新宿の姿に違和感は感じないのか。
そう思えど沙織は気にする様子もなく作業は進められていった。
そして沙織が飾り付けの為登りながら他の大人と作業をしている間、少し離れた場でそれを見ていた彩音は隣で話しかける新宿に振り向いた。
「それにしても、クラスメイト以前に彼女と知り合っていたなんてね」
そう関心を持ちながら言う姿に彩音も肩を竦めながら
「私も沙織も初めて会った時は『こんな所に自分以外の日本人がいるなんて』って驚いたくらいですもん」
それがどんな偶然か、再びこの地で再会した事を話すと
「私は東京出身でもないのにあの学校の同じ新入生だなんて、偶然通り越してもはや奇跡みたいなものですよ。沙織と同い年だったとも思いませんでしたし」
「偶然って怖いよねえ」
やがて、新宿が口を開くと彩音の表情が変わり
「夏休みに入ってからというもの、全然来ないから皆寂しがってたんだよね。特にゆかりとか俺辺りがさ」
「…………」
「夏休み明けて東京に戻って来ただろうからまた会える、と思ったら今度は学校の制度に参加して来られなくなってたみたいだし、クラスメイトの六本木はともかく俺が先に会うなんてね」
そうふと息を吐く姿に視線を向けると
「俺達に愛想が尽きて来なくなっちゃったのかと思ったよ」
「……ただ単に、色々あって来られなかっただけです」
と返ってきた言葉に新宿が少し驚いたように視線を向けると、彩音は話す言葉を考えるように俯きながら
「ここに来て、新宿さん達に会ってから……偶然か必然か、色んな事が起きました」
「…………」
「正直納得いってませんけど、あの部屋の皆と話していると不可能だと思っていたことが少しだけ『もしかしたら』って思えるようになってしまったんです」
「それは……」
と新宿は途中まで言いかけるがそれを止め、ふと視線を正面に戻しながらフッと笑みを浮かべると
「ひょっとして、あいつのおかげかな?」
「それでは、これから文化祭の出し物を決めます」
黒板に大きく『文化祭』と書かれた中、教壇に立った霧島亜理紗は学校から配られた要項用紙と見比べながらクラスに向け告げた。
「基本的にはなんでもありだけど、予算は限られているからあまりお金のかかるものは出来ないことを頭に入れて案を出して下さい」
そしてメガネを上げながら
「でも、ものによっては部活動や学校の備品から借りられる場合もあるから一応案として出しては欲しい」
「知っての通りここは部活動が多い。そしてクラスもかなり多い。故に毎年人気なものは被ることも多々ある」
そう仕切る霧島を横から見ていた後藤が口を開くと
「もし優勝を狙うつもりなら意外性や個性のあるものにし、一味も二味も違うものにしないと優勝は難しい……とアドバイスしておこう」
やがて少しずつ案が出されそれが黒板に書き出されていき、毎年凝った出し物をするクラスや部活動が多い為凝ったものにするつもりであれば早期に内容を決めた方がいいとも言われている。
そして……
「ふふ……ふふふふ……」
「口から魂出てるぞ!?」
昼休み、彩音と沙織を誘いに来た緋香琉とクロスは姿を見せた彩音の様子に驚きの声を上げた。
そんな二人に説明するように沙織が話し
「さっき文化祭の出し物を決めててね~」
「あぁ文化祭の」
「そっちのクラスは何をやるか決まった?」
と問いかけると緋香琉が苦い表情を浮かべながら
「うーんまあ、うちのクラスは演劇部のやつがいてそのせいというか……」
「劇か! いいねえ。劇なら被っても内容まで被らないだろうし、評価の要素は沢山あるから優勝の可能性も高いしこれは見に行かないとねぇ?」
「ええー? 私的には折角の文化祭なんだから屋台とかやりたかったなあ。劇もセリフ覚えるのとか苦手だし……」
「多数決で決まったとはいえ……劇なら私でも出来そうだから、どんな劇になるのか楽しみだわ」
と心を浮き立たせる沙織の横で、緋香琉は教室の入口近くの柱に倒れかかる彩音を見ると
「で、そっちは何をするんだ? 彩音のその様子を見るにうちらと同じくただの屋台……とかではなさそうだけど」
「……だって」
「え?」
微かに聞こえた声に緋香琉が振り向くと彩音は告げる。
「メイド、執事喫茶だって」
「……お、おう…それはまた……」
一度時が止まったかのような沈黙の末に緋香琉が困惑した声を上げると、ふと近くから別の声が聞こえ
「全員面白半分で入れただろ……」
そこには彩音と同じく乗り気ではなさそうな翔太と苦笑いしていた青空がおり、翔太は深いため息を吐きながら
「なんだよメイド&執事喫茶って……」
「鈴木と北条が後押しした原因ではあると思うぞ」
と青空が苦い表情で笑いながら沙織を見ると
「委員長のことだからてっきり反対すると思ったんだけどなあ……」
「沙織と北条が原因ってなんだ?」
「あはは、メイド&執事喫茶を提案したの私なんだ」
と明かす沙織に緋香琉が視線を向けると
「折角本物の執事がいるんだからこれしかないって思って……」
「それで北条も原因の一つだって言うのか」
「あの委員長も委員長で『やるなら徹底的に!』って乗り気になるとは思わなかったし」
「ええと、なんだか申し訳ありません」
そんな二人に対し、話が聞こえていた啓は苦笑いしながら謝り一同が視線を向けると
「衣装とかどうするんだよ」
「それは霧島さんと相談して決めてく感じかなー」
帰宅後、ソファに倒れ込んだ彩音に対して啓は鞄を椅子に置き、聞こえてくる呟き声に視線を向けた。
「何でこんなことになるのかなー」
そう彩音は落胆した様子から顔を上げ
「『おかえりなさいませ、ご主人様♡』とか言うんでしょ? そんなの可愛い子しか許されない台詞だわ!」
「……? 普通の挨拶ではありませんか?」
そう疑問符を浮かべながら問いかける姿に彩音は起き上がり視線を向けると
「それが普通って何? 本職だから?」
「確かに、ご主人様のご帰宅をお出迎えする場合は普通にそう言いますが……。何でしたら、もし私があの学校に編入していなければここでお嬢様のお帰りを待つ形になっていたでしょうし……」
「……まさか、もしそうなってたら毎日帰る度にお帰りなさいませ、お嬢様的なことを言われてたの……?」
その様子を少し想像し、彩音が表情を歪ませている一方啓は考えるように視線を上に向かせながら
「しかし、文化祭の出し物として挙げられた喫茶店というのは、おそらくこの地で有名な娯楽としてあるメイドや執事喫茶の事ですよね」
本職としてならばともかく、この日本において有名な娯楽としてのそれらは見たことがなく
「私は娯楽としてのそれらを見た事はないのですが、お嬢様はあるのですか?」
「ないよ!」
そう反射的に答えると啓は話を続け
「喫茶店というくらいですから、メニューも考えなければいけないのではないのでしょうか。喫茶店を営むのは私も始めての試みなので少し楽しみでもありますが……」
ふと言葉が消え、長い沈黙に彩音が啓へ視線を向けると彼は難しい表情をしていた。
そんな姿に彩音が違和感を感じた時
「……お嬢様、お話があるのですが」
理由もなく、そう切り出された時何か不穏な気配を感じ、視線を向けたままでいると目を伏せていた啓は目を開き
「実は……明日、兄が日本へ来るそうなんです」
「えっ、お兄さん?」
どこか思い詰めたような雰囲気に身構えていたものの、発せられた言葉は予想していたものとは大きく違ったものだった。
だからこそ妙に不穏な雰囲気を発している理由が分からず
「お兄さんって……」
「兄は私と同じく執事で、イギリスの大富豪の元に仕えているのです」
「それは凄い……!」
そう話している啓の表情がどこか思い詰めたようなものであることに気付かぬまま、彩音はふと疑問を持つと
「……あれ、何の用に? 確か啓は生まれも育ちもイギリスなんだよね。ということはお兄さんもイギリス育ちのはずで……もしかしてお兄さんは違うの?」
「いえ、兄も私と同じくイギリス生まれイギリス育ちのハーフです。おそらく兄は……」
「……?」
「私の様子を見に……来るのではと」
どこか思い詰めたような表情でそう告げた真の意味は今の彩音には分からなかった。
兄弟がいない彩音にとって兄弟という響きは憧れで、いつでも遊び相手がいるということで羨ましい存在でもある。
そして、何より弟である啓の様子を見に来るくらいなのだから、兄弟仲が良いのだろうと軽い気持ちで想像していた。
「…………」
何便もの飛行機が離着陸を繰り返す着陸場の中、開いた扉の中からスーツ姿の男性が現れる。
サングラスを外し空を見上げるが、その視線は懐かしみとは違う感情を秘めているように感じられた。
やがて兄が日本に来ると言われた日、啓は放課後一人で学校から離れた喫茶店にいた。
決して安物の店ではないが、一般人でも手が出せる価格設定で本格的な紅茶やコーヒーが楽しめるということでSNS上でも人気の店と言われている。
兄から日本に来ると送られた手紙の中にはこの場で待ち合わせる事とし、その日時まで指定されていた。
「いらっしゃいませー」
扉が開き鈴が鳴ると一人の男性が入店する。
店員に待ち合わせしている体を告げ、ボックス席に座る啓の姿に気づくと近づいてゆく。
そしてやがて啓の視界に立ち止まった男性の姿が入り、視線を上げると数年合わせていなかった互いの姿を確認し口を開いた。
「久しぶりだな、啓」
「……兄さん」
外見として似る部分は少ないものの、同じ髪色をしどこか面影が似て兄弟と言われても違和感はない姿をしている。
線が一本通ったように正された姿勢はただ立っているだけで優雅な雰囲気を滲ませており、見る者を引き寄せるような、彼の周りだけ違う空気が流れているかのようだった。
それから間もなく、啓と対面するよう男性が腰を下ろすと現れた店員に注文をする。
「ダージリンティーを」
店員が去り、終始緊張した面持ちでいた啓が口を開き
「お久しぶりです、兄さん」
「そうだな」
一旦言葉が途切れると沈黙が流れ、啓の全身に緊張として力が入っているとそんな啓に向け兄、北条玲が投げかけると
「数年ぶりだろうか。俺がウィルトラベルク家に仕えてからというものの、お前の顔を見る機会も無くなってしばらく経つものだからな」
「…………」
「お前の話は父上と母上から聞いている。無事仕え先が定まり、今は日本の家に仕えているそうだな」
「……はい。そうです」
運ばれてきた紅茶に手をかける仕草ですら一流と呼べる優雅さで、なんの変哲もない喫茶店が彼によって彼の周りだけどこかの高級喫茶店に様変わりしたようだった。
そう改めて目の前の兄の威光を感じていると再び聞こえる声に顔を上げ
「日本に来る前にお前が仕えている家名を調べたが……」
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