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夢追い編
第34話、風に舞う種
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「あのさ、芸能学校って言われてもあんまり想像つかないんだけど……やっぱり授業とかが普通の高校とは違うの?」
やがて彩音は紫音に問いかけ
「そうですね。貴方達と同じく、定められた最低限の科目を講習した上で更にそれぞれの科に応じたカリキュラムが組まれています」
紫音の属するアイドル科は歌やダンス、同じ留学生だった藤咲鳴海のように作曲家を目指すなら作曲の授業があるという。
「歌の授業とか、作曲の授業とか想像つかないな」
「それに、この学校では定期的に成果発表も兼ねたライブがありまして」
「作曲科が作った曲を使ってアイドル科が歌う時もあるんだ」
その時、声が聞こえ三人が校内へ視線を向けるとそこには赤髪の生徒、藤咲鳴海の姿があり彼は言葉を続けた。
「この学校にはアイドル科、作曲科、俳優・女優科、音楽科があってね、彼女はアイドル科、僕は作曲科にいるんだ」
アイドル科はアイドル、作曲科は作曲家、俳優・女優科はそれらに、音楽科は主に楽器演奏と声楽に分かれそれぞれ目指している。
そして先程藤咲鳴海が話したように、作曲科の生徒が作った曲にアイドル科や音楽科が歌いライブに臨んだり、同じく作曲科が作った曲が俳優・女優科の生徒が行う劇に使われたり各科には接点があるという。
間もなく、教師と他の生徒も待つ集合場所に集まると京進学園の教師の案内の元彩音達は学園内に足を踏み入れた。
「皆さんにはそれぞれアイドル科・作曲科のクラスにて五日間授業に参加してもらいます。少しでも芸能の世界に触れて貰えればと」
(あれ……?)
話を聞きながらふと彩音はある事を思う。
彩音と亜理紗は紫音のクラスに編入し、間もなく彩音の予感は的中した。
それは、アイドル科になった場合、その授業に参加するということは自分達もアイドルの為の授業をするのか、という予感。
「…………」
目の前で行われている光景に言葉を失い、今は『ボーカル』の授業、つまりは歌の授業である。
そして生徒達に混ざって彩音達も発声練習から歌までする事になり、この光景には彩音の隣で霧島亜理紗も複雑そうな表情をしていた。
そして、真剣に授業を受けるこの学校の生徒達を見ているうちにふと彩音は思った。
そもそもアイドルとはなんなのか、と──
この日本と言う国の中には様々な職業が存在し、人の為になるもの、有名な職業と言えどそれそれが思い浮かべるものは違うだろう。
しかし多くの人がその言葉だけは知っていて、キラキラしてて楽しそうな職業と言えばどうたろう。
アイドルと聞けば誰だって一度はテレビで見たことあるし、その存在くらいは誰もが知っている。
テレビで見るアイドルと言えば、華やかな衣装を身につけ、音楽番組で輝かしいスポットライトを浴びながら歌って踊り存在そのものが輝いている。
(何も気にした事ない自分からしたら芸能人やアイドルはキラキラしてて、当たり前のように恵まれた容姿をしていて)
アイドルとはそういうものだと当たり前のように分かっていたつもりでいたその考えは白桜律紫音に出会い、彼女の通う学校に来たことで覆された。
アイドルと言う世界がどんな世界なのかを。
「おかえりなさいませ」
彩音が芸能学校『京進学園』に通い始めて二日目。
別の場から帰宅する為後から帰宅することとなった彩音を啓はにこやかに出迎え、いわゆる王子スマイルと比喩されそうな輝かしさを見せている。
いつもならばそんな爽やかスマイルに嫌味の一つや二つを吐く彩音だが、今の彩音にそんな余裕は無く疲れた様子でリビングに入るとその中にあるソファに倒れ込んだ。
「もう……無理」
その様子に啓が目を丸くしサアラも視線を向けると
「随分お疲れのご様子ですが……今飲み物を用意致しますね」
と若干焦った様子で冷蔵庫に向かうと彩音の傍にサアラが歩み寄り、様子を伺っているとそんなサアラの元に更なる声が聞こえてくる。
「ま、まさかあそこまできついなんて……」
その一言にサアラは思い出しながら
「確か、学校の行事で別の学校に行ってるのよね? 桜丘高校より遠くて朝も早いし、電車を使うから疲れたとか?」
「違うんだ……」
と彩音から返ってくる中コップに入った飲み物を持ってきた啓がコップを差し出し、彩音は起き上がるとそれを一気に飲み干し一息つくとサアラと啓に向けてその理由を話し始めた。
一般校と異なり、テレビでよく見かける『芸能人』を目指す為の学校『京進学園』。
そんなアイドル科のクラスに交換留学することになった彩音はアイドルを目指す生徒達と同じ授業の数々を体験する事になった。
「アイドルって歌ったりするわけだし単純に歌の練習するのかなーと思ったんだけどさ、歌うのってあんなに大変だったっけって感じに疲れるの」
ただ単純に歌えばいいってものではなく、音程はもちろん声量も必要なのは少し考えればまあわかる。
けどそれを維持し続けながら歌い続けるのは至難の業だったのだ。
「でいざボーカルの授業が終わったかと思いきや今度はダンスの授業。最初は楽しかったけどただでさえ体力ないからね……」
それがここまで疲弊しきってる理由だと知り呆然としていた啓とサアラだが、彩音の京進学園生活の話はまだ続いた。
それらの授業も大変だったが、芸能の世界を目指すものとして必要なスキルは単純に目につく歌唱力だけではなく、それは普段より必要とされるものにもある。
「ちょっと姿勢が崩れてるとすぐ注意されてるし、常に正しい姿勢でいるのって難しい……!」
彩音や亜理紗、交換留学で来た生徒はあくまで体験として来てるからかそこまで注意されないものの本校生徒となれば話は別。
少しでもおかしければ指摘され、彩音からすれば皆一見姿勢が悪くは見えない。
仮に授業を聞く態度と考えるなら全く問題はなく、芸能という世界を目指すからこそ芸能人としての立ち振る舞いとして指摘されているのだ。
そう話を聞いていた啓が思い出すように顎に手を当てると彩音は視線を向け
「お話を聞くに、私達の通う学校に似ていますね」
「私達のって……執事の?」
「ええ。私達執事は従者として主の側に仕える者なのでその立ち振る舞いや姿勢には人一倍厳しいものです」
私も何度も注意された覚えがあると懐かしむ姿に彩音は再び俯かせると黙り込んだ。
アイドルは可愛くてスタイルが良くて、選ばれた人しかなれないっていうのはよく言われる話。
テレビでよく見かけるあのアイドルは、歌手は、芸能人は選ばれた人達で、始めからそう言った才能がある人達の集まりだと思っていた。
(だけど本当はそれだけじゃアイドルにはなれない)
容姿が良くて歌が上手くても多くの人がその世界を目指すこの世界、業界として当たり前のことは当たり前に出来て、その上で一つでも武器がなければテレビに出る事さえ叶わない。
テレビで司会者と会話してステージで歌って。
一定間隔でCDを出してライブをして。
そんなアイドルになれば誰でも出来るものだと思っていたことが、それさえも叶わないアイドルが沢山いるなんて知りもしなかった。
「元々見た目はよくて、それを維持する為にだとか更によくする為だとか、歌やダンスの為に練習をするとか、そういう意味での努力は必要なんだって思ってたけど」
それ以上に普通なら気にも留めないような所でとてつもなく努力を必要とする世界だった。
「歌いながら踊るのがあんなに大変なんてね。私もやったけどサビまで持たないうちに疲れちゃって」
「それを、テレビで見る人達は当たり前のようにこなしてるのよね」
「つまり、あの人達は一曲歌いきるだけの体力があるってことだよね。ライブともなればもっと長い時間、沢山の曲を歌うわけで……」
そんな努力の末になれるものがアイドルなんだと彩音は衝撃を受けながら噛み締めていた。
三日目が終わろうとしていた日のこと、HRを終えた彩音と亜理紗の元に紫音がやって来ると二人に頼みたい事があると言った。
それは歌の練習をする為見て欲しいと言うもので、それを聞いた彩音は目を丸くしながら
「それはいいけど……私達じゃアドバイスなんて出来ないよ?」
「私もそう思うわ」
そう隣で亜理沙も少し困った様子で
「この学校に通う生徒に頼んだ方が的確な意見も貰えると思うのだけど」
「確かにそうではあるのですが、貴方達一般の人の意見が聞きたいのです。私の歌をどう思ったか。その感想を」
そう告げる紫音に二人は迷いながらも頷き、間もなく紫音の後をついていくまま防音室にやって来るのだった。
紫音の音楽プレーヤーから音楽が流れ、それに合わせて二人の前で歌唱し始める。
「…………」
歌を聴いて率直に思ったことは、彼女がアイドルを目指していると言うことが頷けてしまう程綺麗な歌声だと思った。
彼女はアイドルを目指しながら歌手のような、さらに言えば天使の歌声と表現するのが一番近いような声で聖歌を聞いているかのように透き通った音が馴染んでいく。
まるで時を忘れそうになるくらい心地のいい歌声だった。
「……どうでしたか」
数分後、歌い終えた彼女は二人へ感想を求めた。
しかし彩音も亜理沙も呆然としたまま
「どうって……上手いとしか」
と彩音が困り気味に答えると亜理紗も
「私も。私はあんまりアイドルには詳しくないけど申し分ないくらい上手だと思う」
おそらく彩音も亜理沙も感じた事は同じで、一般人からすると彼女は十分に高い歌唱力を持っていると言う認識だった。
やがて紫音は黙り込み、難しい表情を浮かべると彩音の声が聞こえ
「やっぱり、白桜律さんが求めるようなアドバイスは」
「あぁいえ、決して貴方達の感想に不満があるわけではなくて」
と彼女は申し訳無さそうな表情で顔を上げると
「少し、考え事をしてしまっただけです。折角貴重な時間を頂いてお付き合い頂いてるというのに私ときたら……申し訳ありません」
「でも、アイドルというのはほとんど歌に加えてダンスもするものよね」
と亜理沙が考えながら口にすると
「私もここでの授業を受けて分かった事だけど……ダンスっていうのは見栄えを意識すればするほど想像以上の体力がいる。それに加えて歌も兼ねるとなると……」
「……そうですわね。私も、技術だけでなく体力も、まだまだ課題は沢山あります」
やがて、紫音が二人にお礼を言うと亜理沙はこれから桜丘の放送部の方に報告も兼ねて一旦戻ると言う。
そして霧島亜理沙が部屋から去ると部屋には彩音と紫音だけとなる。
「…………」
沈黙が流れ、彩音も帰ろうかと迷っていたところ部屋を見渡した。
机も椅子もない。音楽室とはまた違う更地のような部屋で防音室と名付けられている程だからか音の反響の仕方も普通の部屋とは違う気がした。
「そう言えば、もうすぐ定期試験があるって……」
ふとHRでこの学校の教師が言っていた事を思い出し投げかけると紫音は振り向き
「やっぱり、普通のテストじゃないんだよね」
「そうですね。とは言え、私達も貴女方のような基礎科目の定期試験はありますわ? ここは高等学校も兼ねた芸能学校ですもの」
しかし、HRで言われていた定期試験というのはそのことではなくまた別のもの。
「今度行われるのは……アイドル科の試験の事です」
高校生とした基礎科目の定期試験に加え、各科によってそれぞれ定期的に行われる定期試験と言うものがありアイドル科は約一ヶ月後に迫っているという。
その内容は時期によって異なるものの、今回の試験はこの京進学園一年の中でも重要で大きな試験の一つなのだとか。
「オリジナル曲を用意し歌唱を披露するという試験内容なのですが、プロに依頼するとなると膨大な依頼料がかかりますから、多くの生徒は作曲科にお願いするのです」
作曲科は試験外の事の為アイドル科が楽曲の提供を頼む形で行われ、作曲科の作った楽曲をアイドル科が歌いその歌唱力、パフォーマンス力を評価する。
アイドル科にとっては毎年この時期に定められた恒例の試験である為作曲科もこの時期には依頼が来る事は知っており、作曲科の生徒にとっても経験の場となる為積極的に提供してくれる生徒も多いと言われているのだ。
「なるほど。それぞれの科に接点があるとは言ってたけどこういうことで……」
しかし、そう話している紫音の表情がふいに暗くなり、彩音が視線を向け
「本来であれば既に練習に取り掛からなければならないのですが……」
「……?」
どこか歯切れの悪い言葉に疑問符を浮かべると、そんな彩音に気づいた紫音は話を続けた。
「私も、課題曲を決め試験に向け練習しなければならないのですが、私が試験で歌う曲はまだ決まっていないのです」
この話自体は梅雨明けの季節から言われていて、早くに楽曲提供者と協力関係を結ぶ中紫音にはある問題があった。
それは、彼女自身の出の問題。
「私が音楽家の名家、白桜律家の人間ということは入学当初から噂になっていたようで、この話し方や雰囲気が理由で近寄り難いと思われているそうなのです」
そう明かす内容に彩音は目を丸くすると
「私は気にせず仲良くして欲しいと頼んだのですが……。クラスメイトともそんな状態で、作曲科の方にも何人かにお願いしたのですが断られてしまったのです」
その理由は彼女が音楽に精通している身から完成度の低い楽曲だと貶されるのではないかと思われ、実際そう話している所を見てしまったのだとか。
「そこまで私は他の皆さんとは違う雰囲気を出してるでしょうか」
「……まあ」
と答えざるを得ない状況に言葉を返せば
「雰囲気とか、口調から普通の人じゃないなって感じは凄くした。それに……」
「それに?」
視線を向けられ聞き返されると彩音は迷いながら
「アイドルを目指してるって言われて納得しちゃうくらい、白桜律さんは美人って感じがして……」
それは紛れもない褒め言葉でありながら、裏を返せばだからこそ近寄り難く感じてしまう。
そう彩音は俯いている紫音を見ながら
(恵まれた容姿をして、申し分ない歌声を持つこの人でも上手く馴染めないって悩んだりするんだ)
「でも、曲が決まらないと試験にも挑めないんじゃ」
そう投げかけると紫音は頷きながら
「その通りですわ。本来ならもっと早く決めるべき事なのに、どこか近寄り難く接せられるあまり私も謙遜してしまって……」
「一緒にクラスに来てたあの人に頼むのは……?」
と咄嗟に思いつきを問えど
「彼は今年の作曲科一年生の中でも期待される生徒だそうで、教師の方々からも期待されてると言う話を聞いています」
おそらく既に多くの人から頼まれている可能性があり、作曲科にも試験がある可能性を考慮すると頼みづらいと言い紫音は黙り込む。
しかし、やがて小さく息を吐くと
「なんて、貴方に言っても仕方ありませんわね。どうか忘れて下さいませ」
「でも……」
「私が恐れたりせず作曲科の方に頼めばいいだけの話なのです」
「……」
言いかけた言葉は音に出ず止まる。
今目の前で困ってる人がいるのに何も気の利いた言葉も助言も出来ない。
(あそこであんなに悩みを抱えた人を皆と一緒に解決させてきたのに)
その中にいて達成感や誇らしさ、清々しさを感じながら結局凄いのはちょっとしたことから話を広げて聞き出して、解決させてしまうあの人たちなんだと唇を噛むと手を握り込んだ。
(私も人の助けになれるって、ちょっと変われたんだって思ってたのが馬鹿みたい。結局何も変わってなくて……何も出来ないんだ)
それが異様に悔しくて、手を握ったままいるとふと聞こえた声に顔を上げた。
「そう言えば……貴方があの時歌っていた曲……誰の曲ですの?」
「え……?」
目を丸くし、紫音を見ると
「誰って……誰の曲でもないけど」
その答えに今度は紫音が目を丸くし
「誰の曲でもないって……」
「あれは、私が小学生の頃に作った曲なんだ」
長い沈黙が流れ、彼女は唖然とした様子で
「作曲の心得がありますの……?」
「あ、えっと、小さい時から趣味というか、遊びでよく歌を作ってたんだ」
そのまま紫音は彩音の話に耳を傾けており
「今は東京の学校に来てるけど、私の住んでた所は田舎って言うより僻地みたいな所だったんだ。兄弟もいないし、両親が仕事でよく空けるから私の遊びと言えばゲームか本を読むくらいで……」
本は園児や小学生にとって少し難しい本くらいなら読めるほど好きだったし、だから多少難しい言葉も分かるようになるくらい色んな本を読んでいた。
「でも、田舎とも呼べないほど外れに住んでたからさ、近くに本屋もなくて読み終えた時なんかは時々退屈になっちゃう時もあって」
父が帰ってきてかつ買いに行ける時でもなければ新しい本は手に入らない。
だから退屈の果てに生まれたものが歌だった。
(あの歌を彼女が……?)
話を聞いた紫音は夏祭りで見た光景を思い出す。
話を聞くまで彼女はどこかに属する歌手か何かだと思っていて、そうだと言われても納得してしまう技術を持っていた。
彩音は苦笑いしながら話し続けており
「始めは子供向け番組の歌を真似して歌ったりしてたくらいなんだけど、小学生くらいになった時自分で勝手に歌を作るようになったんだ」
まだ伴奏もなくメロディーも定かではない子供の歌レベル。
そこからメロディーが生まれだし、簡単な伴奏が入った曲が作れるようになったのはもう少し後の事ながらその時から始まっていたという。
その趣味は成長してからも変わらず、小学生の頃に作ったあの曲を数年前に編曲して作り直したものがあの曲なのだと聞いた時紫音は言葉を失っていた。
しかし同時に都会育ちの紫音は娯楽に溢れるこの地に生まれ育ちながら、幼い頃よりあらゆるものを叩き込まれた日々を思い出す。
(彼女とは少し状況は違うけれど、同じように自由にしたいことが出来なかった)
それまでは決められたものだけを学ばされ、自由のない生活を強いられてきたからそれらを一切知らないまま今ここでその差に愕然としている。
クラスメイトが当たり前のように知っていることを何一つ知らず、流行りのドラマもアーティストも分からず会話に入っていけないことに。
「私は幼い頃より両親や先生からヴァイオリンを教え込まれ……この道も、到底理解されたものではありませんでした」
そう話す声に彩音の表情が変わると
「母も父も演奏家。私はそんな音楽の名家に生まれたのですから両親の後を継ぐのは当然のこと……」
「…………」
「でも、それでも私はこのアイドルという職業につきたいのです。これは、私が初めて抱いた『夢』なのだから。だから……貴方にお願いがあるのです」
と彩音に身体ごと向けた紫音は彩音へ視線を上げると
「試験に使う私の曲を……貴方に作って頂きたいのです」
やがて彩音は紫音に問いかけ
「そうですね。貴方達と同じく、定められた最低限の科目を講習した上で更にそれぞれの科に応じたカリキュラムが組まれています」
紫音の属するアイドル科は歌やダンス、同じ留学生だった藤咲鳴海のように作曲家を目指すなら作曲の授業があるという。
「歌の授業とか、作曲の授業とか想像つかないな」
「それに、この学校では定期的に成果発表も兼ねたライブがありまして」
「作曲科が作った曲を使ってアイドル科が歌う時もあるんだ」
その時、声が聞こえ三人が校内へ視線を向けるとそこには赤髪の生徒、藤咲鳴海の姿があり彼は言葉を続けた。
「この学校にはアイドル科、作曲科、俳優・女優科、音楽科があってね、彼女はアイドル科、僕は作曲科にいるんだ」
アイドル科はアイドル、作曲科は作曲家、俳優・女優科はそれらに、音楽科は主に楽器演奏と声楽に分かれそれぞれ目指している。
そして先程藤咲鳴海が話したように、作曲科の生徒が作った曲にアイドル科や音楽科が歌いライブに臨んだり、同じく作曲科が作った曲が俳優・女優科の生徒が行う劇に使われたり各科には接点があるという。
間もなく、教師と他の生徒も待つ集合場所に集まると京進学園の教師の案内の元彩音達は学園内に足を踏み入れた。
「皆さんにはそれぞれアイドル科・作曲科のクラスにて五日間授業に参加してもらいます。少しでも芸能の世界に触れて貰えればと」
(あれ……?)
話を聞きながらふと彩音はある事を思う。
彩音と亜理紗は紫音のクラスに編入し、間もなく彩音の予感は的中した。
それは、アイドル科になった場合、その授業に参加するということは自分達もアイドルの為の授業をするのか、という予感。
「…………」
目の前で行われている光景に言葉を失い、今は『ボーカル』の授業、つまりは歌の授業である。
そして生徒達に混ざって彩音達も発声練習から歌までする事になり、この光景には彩音の隣で霧島亜理紗も複雑そうな表情をしていた。
そして、真剣に授業を受けるこの学校の生徒達を見ているうちにふと彩音は思った。
そもそもアイドルとはなんなのか、と──
この日本と言う国の中には様々な職業が存在し、人の為になるもの、有名な職業と言えどそれそれが思い浮かべるものは違うだろう。
しかし多くの人がその言葉だけは知っていて、キラキラしてて楽しそうな職業と言えばどうたろう。
アイドルと聞けば誰だって一度はテレビで見たことあるし、その存在くらいは誰もが知っている。
テレビで見るアイドルと言えば、華やかな衣装を身につけ、音楽番組で輝かしいスポットライトを浴びながら歌って踊り存在そのものが輝いている。
(何も気にした事ない自分からしたら芸能人やアイドルはキラキラしてて、当たり前のように恵まれた容姿をしていて)
アイドルとはそういうものだと当たり前のように分かっていたつもりでいたその考えは白桜律紫音に出会い、彼女の通う学校に来たことで覆された。
アイドルと言う世界がどんな世界なのかを。
「おかえりなさいませ」
彩音が芸能学校『京進学園』に通い始めて二日目。
別の場から帰宅する為後から帰宅することとなった彩音を啓はにこやかに出迎え、いわゆる王子スマイルと比喩されそうな輝かしさを見せている。
いつもならばそんな爽やかスマイルに嫌味の一つや二つを吐く彩音だが、今の彩音にそんな余裕は無く疲れた様子でリビングに入るとその中にあるソファに倒れ込んだ。
「もう……無理」
その様子に啓が目を丸くしサアラも視線を向けると
「随分お疲れのご様子ですが……今飲み物を用意致しますね」
と若干焦った様子で冷蔵庫に向かうと彩音の傍にサアラが歩み寄り、様子を伺っているとそんなサアラの元に更なる声が聞こえてくる。
「ま、まさかあそこまできついなんて……」
その一言にサアラは思い出しながら
「確か、学校の行事で別の学校に行ってるのよね? 桜丘高校より遠くて朝も早いし、電車を使うから疲れたとか?」
「違うんだ……」
と彩音から返ってくる中コップに入った飲み物を持ってきた啓がコップを差し出し、彩音は起き上がるとそれを一気に飲み干し一息つくとサアラと啓に向けてその理由を話し始めた。
一般校と異なり、テレビでよく見かける『芸能人』を目指す為の学校『京進学園』。
そんなアイドル科のクラスに交換留学することになった彩音はアイドルを目指す生徒達と同じ授業の数々を体験する事になった。
「アイドルって歌ったりするわけだし単純に歌の練習するのかなーと思ったんだけどさ、歌うのってあんなに大変だったっけって感じに疲れるの」
ただ単純に歌えばいいってものではなく、音程はもちろん声量も必要なのは少し考えればまあわかる。
けどそれを維持し続けながら歌い続けるのは至難の業だったのだ。
「でいざボーカルの授業が終わったかと思いきや今度はダンスの授業。最初は楽しかったけどただでさえ体力ないからね……」
それがここまで疲弊しきってる理由だと知り呆然としていた啓とサアラだが、彩音の京進学園生活の話はまだ続いた。
それらの授業も大変だったが、芸能の世界を目指すものとして必要なスキルは単純に目につく歌唱力だけではなく、それは普段より必要とされるものにもある。
「ちょっと姿勢が崩れてるとすぐ注意されてるし、常に正しい姿勢でいるのって難しい……!」
彩音や亜理紗、交換留学で来た生徒はあくまで体験として来てるからかそこまで注意されないものの本校生徒となれば話は別。
少しでもおかしければ指摘され、彩音からすれば皆一見姿勢が悪くは見えない。
仮に授業を聞く態度と考えるなら全く問題はなく、芸能という世界を目指すからこそ芸能人としての立ち振る舞いとして指摘されているのだ。
そう話を聞いていた啓が思い出すように顎に手を当てると彩音は視線を向け
「お話を聞くに、私達の通う学校に似ていますね」
「私達のって……執事の?」
「ええ。私達執事は従者として主の側に仕える者なのでその立ち振る舞いや姿勢には人一倍厳しいものです」
私も何度も注意された覚えがあると懐かしむ姿に彩音は再び俯かせると黙り込んだ。
アイドルは可愛くてスタイルが良くて、選ばれた人しかなれないっていうのはよく言われる話。
テレビでよく見かけるあのアイドルは、歌手は、芸能人は選ばれた人達で、始めからそう言った才能がある人達の集まりだと思っていた。
(だけど本当はそれだけじゃアイドルにはなれない)
容姿が良くて歌が上手くても多くの人がその世界を目指すこの世界、業界として当たり前のことは当たり前に出来て、その上で一つでも武器がなければテレビに出る事さえ叶わない。
テレビで司会者と会話してステージで歌って。
一定間隔でCDを出してライブをして。
そんなアイドルになれば誰でも出来るものだと思っていたことが、それさえも叶わないアイドルが沢山いるなんて知りもしなかった。
「元々見た目はよくて、それを維持する為にだとか更によくする為だとか、歌やダンスの為に練習をするとか、そういう意味での努力は必要なんだって思ってたけど」
それ以上に普通なら気にも留めないような所でとてつもなく努力を必要とする世界だった。
「歌いながら踊るのがあんなに大変なんてね。私もやったけどサビまで持たないうちに疲れちゃって」
「それを、テレビで見る人達は当たり前のようにこなしてるのよね」
「つまり、あの人達は一曲歌いきるだけの体力があるってことだよね。ライブともなればもっと長い時間、沢山の曲を歌うわけで……」
そんな努力の末になれるものがアイドルなんだと彩音は衝撃を受けながら噛み締めていた。
三日目が終わろうとしていた日のこと、HRを終えた彩音と亜理紗の元に紫音がやって来ると二人に頼みたい事があると言った。
それは歌の練習をする為見て欲しいと言うもので、それを聞いた彩音は目を丸くしながら
「それはいいけど……私達じゃアドバイスなんて出来ないよ?」
「私もそう思うわ」
そう隣で亜理沙も少し困った様子で
「この学校に通う生徒に頼んだ方が的確な意見も貰えると思うのだけど」
「確かにそうではあるのですが、貴方達一般の人の意見が聞きたいのです。私の歌をどう思ったか。その感想を」
そう告げる紫音に二人は迷いながらも頷き、間もなく紫音の後をついていくまま防音室にやって来るのだった。
紫音の音楽プレーヤーから音楽が流れ、それに合わせて二人の前で歌唱し始める。
「…………」
歌を聴いて率直に思ったことは、彼女がアイドルを目指していると言うことが頷けてしまう程綺麗な歌声だと思った。
彼女はアイドルを目指しながら歌手のような、さらに言えば天使の歌声と表現するのが一番近いような声で聖歌を聞いているかのように透き通った音が馴染んでいく。
まるで時を忘れそうになるくらい心地のいい歌声だった。
「……どうでしたか」
数分後、歌い終えた彼女は二人へ感想を求めた。
しかし彩音も亜理沙も呆然としたまま
「どうって……上手いとしか」
と彩音が困り気味に答えると亜理紗も
「私も。私はあんまりアイドルには詳しくないけど申し分ないくらい上手だと思う」
おそらく彩音も亜理沙も感じた事は同じで、一般人からすると彼女は十分に高い歌唱力を持っていると言う認識だった。
やがて紫音は黙り込み、難しい表情を浮かべると彩音の声が聞こえ
「やっぱり、白桜律さんが求めるようなアドバイスは」
「あぁいえ、決して貴方達の感想に不満があるわけではなくて」
と彼女は申し訳無さそうな表情で顔を上げると
「少し、考え事をしてしまっただけです。折角貴重な時間を頂いてお付き合い頂いてるというのに私ときたら……申し訳ありません」
「でも、アイドルというのはほとんど歌に加えてダンスもするものよね」
と亜理沙が考えながら口にすると
「私もここでの授業を受けて分かった事だけど……ダンスっていうのは見栄えを意識すればするほど想像以上の体力がいる。それに加えて歌も兼ねるとなると……」
「……そうですわね。私も、技術だけでなく体力も、まだまだ課題は沢山あります」
やがて、紫音が二人にお礼を言うと亜理沙はこれから桜丘の放送部の方に報告も兼ねて一旦戻ると言う。
そして霧島亜理沙が部屋から去ると部屋には彩音と紫音だけとなる。
「…………」
沈黙が流れ、彩音も帰ろうかと迷っていたところ部屋を見渡した。
机も椅子もない。音楽室とはまた違う更地のような部屋で防音室と名付けられている程だからか音の反響の仕方も普通の部屋とは違う気がした。
「そう言えば、もうすぐ定期試験があるって……」
ふとHRでこの学校の教師が言っていた事を思い出し投げかけると紫音は振り向き
「やっぱり、普通のテストじゃないんだよね」
「そうですね。とは言え、私達も貴女方のような基礎科目の定期試験はありますわ? ここは高等学校も兼ねた芸能学校ですもの」
しかし、HRで言われていた定期試験というのはそのことではなくまた別のもの。
「今度行われるのは……アイドル科の試験の事です」
高校生とした基礎科目の定期試験に加え、各科によってそれぞれ定期的に行われる定期試験と言うものがありアイドル科は約一ヶ月後に迫っているという。
その内容は時期によって異なるものの、今回の試験はこの京進学園一年の中でも重要で大きな試験の一つなのだとか。
「オリジナル曲を用意し歌唱を披露するという試験内容なのですが、プロに依頼するとなると膨大な依頼料がかかりますから、多くの生徒は作曲科にお願いするのです」
作曲科は試験外の事の為アイドル科が楽曲の提供を頼む形で行われ、作曲科の作った楽曲をアイドル科が歌いその歌唱力、パフォーマンス力を評価する。
アイドル科にとっては毎年この時期に定められた恒例の試験である為作曲科もこの時期には依頼が来る事は知っており、作曲科の生徒にとっても経験の場となる為積極的に提供してくれる生徒も多いと言われているのだ。
「なるほど。それぞれの科に接点があるとは言ってたけどこういうことで……」
しかし、そう話している紫音の表情がふいに暗くなり、彩音が視線を向け
「本来であれば既に練習に取り掛からなければならないのですが……」
「……?」
どこか歯切れの悪い言葉に疑問符を浮かべると、そんな彩音に気づいた紫音は話を続けた。
「私も、課題曲を決め試験に向け練習しなければならないのですが、私が試験で歌う曲はまだ決まっていないのです」
この話自体は梅雨明けの季節から言われていて、早くに楽曲提供者と協力関係を結ぶ中紫音にはある問題があった。
それは、彼女自身の出の問題。
「私が音楽家の名家、白桜律家の人間ということは入学当初から噂になっていたようで、この話し方や雰囲気が理由で近寄り難いと思われているそうなのです」
そう明かす内容に彩音は目を丸くすると
「私は気にせず仲良くして欲しいと頼んだのですが……。クラスメイトともそんな状態で、作曲科の方にも何人かにお願いしたのですが断られてしまったのです」
その理由は彼女が音楽に精通している身から完成度の低い楽曲だと貶されるのではないかと思われ、実際そう話している所を見てしまったのだとか。
「そこまで私は他の皆さんとは違う雰囲気を出してるでしょうか」
「……まあ」
と答えざるを得ない状況に言葉を返せば
「雰囲気とか、口調から普通の人じゃないなって感じは凄くした。それに……」
「それに?」
視線を向けられ聞き返されると彩音は迷いながら
「アイドルを目指してるって言われて納得しちゃうくらい、白桜律さんは美人って感じがして……」
それは紛れもない褒め言葉でありながら、裏を返せばだからこそ近寄り難く感じてしまう。
そう彩音は俯いている紫音を見ながら
(恵まれた容姿をして、申し分ない歌声を持つこの人でも上手く馴染めないって悩んだりするんだ)
「でも、曲が決まらないと試験にも挑めないんじゃ」
そう投げかけると紫音は頷きながら
「その通りですわ。本来ならもっと早く決めるべき事なのに、どこか近寄り難く接せられるあまり私も謙遜してしまって……」
「一緒にクラスに来てたあの人に頼むのは……?」
と咄嗟に思いつきを問えど
「彼は今年の作曲科一年生の中でも期待される生徒だそうで、教師の方々からも期待されてると言う話を聞いています」
おそらく既に多くの人から頼まれている可能性があり、作曲科にも試験がある可能性を考慮すると頼みづらいと言い紫音は黙り込む。
しかし、やがて小さく息を吐くと
「なんて、貴方に言っても仕方ありませんわね。どうか忘れて下さいませ」
「でも……」
「私が恐れたりせず作曲科の方に頼めばいいだけの話なのです」
「……」
言いかけた言葉は音に出ず止まる。
今目の前で困ってる人がいるのに何も気の利いた言葉も助言も出来ない。
(あそこであんなに悩みを抱えた人を皆と一緒に解決させてきたのに)
その中にいて達成感や誇らしさ、清々しさを感じながら結局凄いのはちょっとしたことから話を広げて聞き出して、解決させてしまうあの人たちなんだと唇を噛むと手を握り込んだ。
(私も人の助けになれるって、ちょっと変われたんだって思ってたのが馬鹿みたい。結局何も変わってなくて……何も出来ないんだ)
それが異様に悔しくて、手を握ったままいるとふと聞こえた声に顔を上げた。
「そう言えば……貴方があの時歌っていた曲……誰の曲ですの?」
「え……?」
目を丸くし、紫音を見ると
「誰って……誰の曲でもないけど」
その答えに今度は紫音が目を丸くし
「誰の曲でもないって……」
「あれは、私が小学生の頃に作った曲なんだ」
長い沈黙が流れ、彼女は唖然とした様子で
「作曲の心得がありますの……?」
「あ、えっと、小さい時から趣味というか、遊びでよく歌を作ってたんだ」
そのまま紫音は彩音の話に耳を傾けており
「今は東京の学校に来てるけど、私の住んでた所は田舎って言うより僻地みたいな所だったんだ。兄弟もいないし、両親が仕事でよく空けるから私の遊びと言えばゲームか本を読むくらいで……」
本は園児や小学生にとって少し難しい本くらいなら読めるほど好きだったし、だから多少難しい言葉も分かるようになるくらい色んな本を読んでいた。
「でも、田舎とも呼べないほど外れに住んでたからさ、近くに本屋もなくて読み終えた時なんかは時々退屈になっちゃう時もあって」
父が帰ってきてかつ買いに行ける時でもなければ新しい本は手に入らない。
だから退屈の果てに生まれたものが歌だった。
(あの歌を彼女が……?)
話を聞いた紫音は夏祭りで見た光景を思い出す。
話を聞くまで彼女はどこかに属する歌手か何かだと思っていて、そうだと言われても納得してしまう技術を持っていた。
彩音は苦笑いしながら話し続けており
「始めは子供向け番組の歌を真似して歌ったりしてたくらいなんだけど、小学生くらいになった時自分で勝手に歌を作るようになったんだ」
まだ伴奏もなくメロディーも定かではない子供の歌レベル。
そこからメロディーが生まれだし、簡単な伴奏が入った曲が作れるようになったのはもう少し後の事ながらその時から始まっていたという。
その趣味は成長してからも変わらず、小学生の頃に作ったあの曲を数年前に編曲して作り直したものがあの曲なのだと聞いた時紫音は言葉を失っていた。
しかし同時に都会育ちの紫音は娯楽に溢れるこの地に生まれ育ちながら、幼い頃よりあらゆるものを叩き込まれた日々を思い出す。
(彼女とは少し状況は違うけれど、同じように自由にしたいことが出来なかった)
それまでは決められたものだけを学ばされ、自由のない生活を強いられてきたからそれらを一切知らないまま今ここでその差に愕然としている。
クラスメイトが当たり前のように知っていることを何一つ知らず、流行りのドラマもアーティストも分からず会話に入っていけないことに。
「私は幼い頃より両親や先生からヴァイオリンを教え込まれ……この道も、到底理解されたものではありませんでした」
そう話す声に彩音の表情が変わると
「母も父も演奏家。私はそんな音楽の名家に生まれたのですから両親の後を継ぐのは当然のこと……」
「…………」
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と彩音に身体ごと向けた紫音は彩音へ視線を上げると
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