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天界試験編
第22話、天に存在する者
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それから数日後の部屋の中。
彩音はベッドの上で膝を抱えて座り込み、そんな様子を蒼真は宙に浮かびながら黙視していた。
その原因はつい直前まで行われた第二試験。
『気をつけろ。この中には堕天使を想定して作られた模擬堕天使がいる。異能持ちであれ人間の能力が一切使えない以上安易な行動は危険だ』
第二試練は広大なフィールドに隠された四種類の印を集めるという内容だった。
それらを妨害するように空間内には天界の創り出した模擬堕天使が徘徊しており、度々襲われては戦闘となった。戦闘を繰返しながらフィールドを駆け巡り何とか三つの印を集めきったものの想定を絶する状況に疲弊は避けられなかった。
「ネルラが唱えられないなんて……」
そうぽつりと聞こえた声に蒼真が視線を上げると心中を察しながら口を開き
「そもそもこの試練は俺達天界人の能力の適正を調べるもの。天使としての素質があるかどうか……その為の試験だ」
もし人間の能力まで関係してしまえば、軍人や戦闘能力を備えたものを契約者にした方が有利になるし、人間に戦わせようとする天界人、また自ら戦おうとする人間が現れないとも言い難い。
しかし、そもそも人間を契約者として共に試験に臨ませるのは天使の使命に含まれているからで、特定の人間の持つ能力まで試験に関係させるのは天界人の素質を見定める試験として相応しくないと蒼真は語っていく。
「天使は魂を導くもの。この世、あの世……生きとし生きるものの魂を見守り、死した者や迷える魂を導くのが天使の役目だ」
「…………」
「もちろんその対象には人間も含まれており、守護すべき対象であるからこそ導きの対象を守護した上で試験に合格する事がこの試験が見定める本質だ」
よって人間が戦いに参加することは禁じられ、その影響で異能力や一部の者だけが持つ能力は意図的に封じられるようになっているのだという。
「そして天界にも掟はあり、原則導く対象となる人間に直接手を下すことは禁じられている。しかし……この試験だけはその掟の条件が緩和されるんだ」
この天界試験においてのみ、人間への攻撃は命を奪う程でない限り処罰を受けることはない。
「だから言ったんだ。気をつけろと。場合によっては敢えて人間を狙う者も稀にいると言われている」
処罰がなくとも大前提の掟として厳守する者が大半だが、天界人にもまた人間のように様々な思考、性格を持つという。
好戦的な天界人も中にはおり、この試験ではそれらの傾向も見て試験官や大天使がその天界人に与えるに相応しい役割を見出す。
「好戦的で強い天界人なら神や天使直属の親衛隊や護衛部隊、頭のキレるやつは天界の政治に携わらせたりな。だが……」
それらは全て最低限ラインを厳守し、使命を果たせる者という大前提がつく。
己を律する事も出来ず掟を破るような天使は天使と呼ぶに相応しくなく、欲望や一時の感情のままに掟を破り天使としての道を外れるものも存在する。
「殺戮を繰り返したり掟を破り続けたり……重罪を犯した者は天界から追放される事もある。それがいわゆる堕天使への堕落というやつだ」
そんな堕落の予備軍として試験中の素行も上にチェックされており、採点や与えるべき役目への判断基準としてマイナス点になる。
「とは言え、この試験のみに至っては命を取らなければ処罰の対象にはならず戦略として狙うには構わない。つまり……頭のいいやつや逆に悪いやつはそれを利用する可能性もあるということだ」
天界人が一人前と認められ、神より称号と使命を与えられ与えられた使命を尽くす存在。それが天使である。
与えられる役目とは人間が想像するように神に仕えたりあらゆる魂を導いたり、他にも魂を利用し悪行を働く存在の討伐部隊、天界や地上界の守護や監視など多岐に渡る。だが天使や天界に在る者にとっての原則の教え。
それは天使は『魂を導く存在』だということ。
故に天界人が天使になる為の天界試験には導きの対象である人間と契約を結び、能力を認められると同時に守らなければならない前提条件がある。
「つまり、この試験はお前が何かをする必要は無い。俺の為の試験が故に……おとなしくしておくのが吉だ」
と蒼真は彩音を見ながら告げる。
「導きの対象である人間を守りながら試験に合格しなければ天使の役目は与えられない。つまり契約者であるお前を守る事は俺の義務でもある」
これでも彩音より長い時を生きていると続けて話せば、彩音は呆然と無愛想な表情のまま宙に浮かぶ蒼真を見上げた。
それから更に数日が経ち、試験に呼び出されることも無く昼休み。
いつものように屋上で購買組を待っていた所姿を現した蒼真を見ると彩音は問いかける。
「そう言えば、ふと思ったんだけどやっぱり天の存在って事は人に見られたりしちゃいけないの?」
「原則はな。しかし天界人は契約者や同等の者にしか見えないようになっているから不意をつかれて見られることはない」
そう蒼真は宙に浮いたまま校舎前を行き来したり昼食を取る生徒達を見ながら
「意図して見せることも出来るが……まずそれが必要となる状況がないな」
下界の人間にとって天使や神は言わば神話にまつわる存在で、信仰の上成り立つ事も多いため滅多に姿を現すものでもないと話す。
そしてふと空を見上げながら
「が、地上の者が思うよりずっと……俺達天界はそうかけ離れた存在でもない」
「……?」
そう天を仰ぎながら話す言葉に彩音が疑問符を浮かべると蒼真は話し続け
「命あるもの、いつかは生を終え天上へと還る。肉体から離れ彷徨う魂を天上へと導くのは天使にとって何よりも重要な役目だ」
だが、基本人間が生きる間に天使と出会うことは無く、こうして契約に選ばれた人間でさえ別れが訪れれば自然と月日と共に記憶は薄れゆくもの。
それでも目に映らないだけで地上にも天使は存在していると言うのだ。
「前にも言った通り……天使が与えられる役目は様々で、天界と下界共に彷徨える魂を狙う者から守ったり、導いたり異変がないか監視する者とかがいるんだ」
「つまり、今も近くにいる可能性が?」
「ある。それどころか今まさに……俺達を見ているかもな」
間もなく開始された第三試験終了間近。
強ばらせた表情の先には天界が用意した存在『眷属』がおり、道を切り開く為に蒼真が戦っていた。
しかし敵の数は多く、数体の使徒は蒼真の横をすり抜け彩音の元へと向かっていく。
「!」
その姿に気づいた蒼真はすぐに方向転換し彩音に迫っていた使徒を殴り飛ばした。
激戦の末、周囲にいた使徒を倒しきった時蒼真は息を吐き視線を動かすと目に入った彩音の姿に黙り込む。
「…………」
声をかけようとした瞬間『合格』の言葉が聞こえそれは中断され、両者の体が光ると瞬く間に元いた場所……彩音の部屋へと戻っていた。
言葉を発さぬまま、全身の力が抜けたようにベッドに座り倒れ込むとそんな様子を見た蒼真は口を開く。
「『勇気の守護者』。そうとは思えない姿だな」
「…………」
「……誰もが死に対して恐怖する。何もおかしな事ではない」
だからこそ人間と共に試験に挑ませる、それが天使の役目を表していると心の中で呟きながら蒼真は自らの手を見ると握り
(しかし……俺も想像していたよりずっと楽なものではないな)
神や大天使からの使命や任務は天使が受け持つもので、天界人はそれらに至るまでの過程に過ぎない。
故にこれは天界人の誰もが通る道であり、試験にて初めて実戦としての戦闘というものを経験する。
(天使として必要な力は天界人にも備わっており、人間と契約し、この試験でよりその使い方を見定めていく)
人間がよく天使と結びつけるように想像する武器は弓。
しかし実際にはそんなことはなく、天使の扱う武器もそれぞれだ。
そんな蒼真に物としての武器はなくその武器は拳。
(元々大天使や神から生まれた天界人であれば武器を与えられる者もいるが……基本は己で得意とする術を見つけなければならない)
その果てにしっくりきたのはこの拳だった。
天使らしくない、と自らでも思いながら僅かに視線を伏せると口を開き
「だが、確かに俺も想像以上に思い通りにいってない部分もある」
「あの化け物は一体何……?」
と問われたことに対して蒼真は一呼吸置くと答える。
「あれは天の使いだ」
「なっ……!?」
と倒れ込んでいた彩音が勢いよく起き上がると蒼真は宙に浮いたまま説明するように話していく。
「どうも人間は人のような姿をして白い翼を生やしているものを天使だと想像しがちだが、天使と一概に言えど人間のように天使にも種がある」
「…………」
「とはいえ、正確にはあれはおそらく天使が眷属として生み出し召喚したものだろう。おそらく……試験が進めば進むほどますます厳しいものとなる」
その言葉に彩音は俯き、長い間が空くとふと呟かれた言葉に蒼真は反応した。
「……昔に戻ったみたいだ」
「昔?」
反応するまま視線を向けると彩音は膝を曲げたまま
「魔法も大して使えなくて、まだ戦えなかった頃の話。あの頃の私は何も出来なくて、ただ戦える人に守られてばかりだった」
恐怖のままに怯えるばかりで、臆病者だったにも関わらずいつも魔物と戦う物語の世界に夢見て憧れて、ここもあんな世界だったら良かったのになっていつも思っていた。
それからあるきっかけで魔法が使えると知り力を得たものの、いざ現実のものとなり目の前に降りかかった時身体は恐怖で思うように動かなかった。
そのまま彩音は語り続け
「どんな攻撃も防いでくれる女神ネルラの魔法『ネルラ』、痛みを無くす『ペイン』、そして悲惨な光景を見なくする『ミラージュ』が使えるから私は与えられた使命をこなせた。だけど……」
(知ってたよ。それは強くなれたように思えて本当はなにも変わってないって)
一切の力も魔法も使えない今、迫り来る死の恐怖から逃れる術はなくかつての無力さを再び突きつけられたような感覚がしていた。
あれだけ戦えたはずの化け物を前にした時、身体は動かなくて声さえ出ず、それはまるで戦うことを知らないような普通の人のよう。
下手をすれば普通の人より遥かに弱い生き物にさえ思えた。
罪悪感に塞ぐ彩音を見ていた蒼真は僅かに目を伏せながら口を開いた。
「……だが、こう試験を終える度に目に入るお前の精神の擦り切れようは見ていて見過ごせるものでもない」
と視線を向ける彩音に返すと
「守護者という大役を担ってる以上、お前という存在を無下には出来ないと俺は思っている。守護者は極めて特別な資格のある者しかなれないからな」
「…………」
「守護者とはそれに必要な素質や重要性だけで言えば天使よりも上で神に等しいと言えなくもない。つまり、この試練をリタイアする選択が必要とも言える」
「っ!」
「そうすれば、この試験において二度と命に危険が及ぶ事はない」
その声に彩音は目を丸くし、蒼真へ視線を向けるとそれに気づいた蒼真は
目線を合わせるように目の前まで下がってくる。
「そんなこと、できるの?」
「ああ」
と頷く蒼真に対して呆気に取られながら
「けど、確か私が生まれた時から契約者として決まってたんでしょ? そんな中、もしリタイアしたら蒼真はどうなるの……?」
「新たな人間と契約を交わし、再び試験を受ける事になるな」
その場合、天界人でも与えられる使命をこなしながら新たな契約候補を探すこととなり、原則初試験の場合は命を宿した人間が契約候補となる。
「まあ、二回目以降ともなれば適応者さえいれば、生まれたてでなくとも契約者として選ぶことは可能だ。ただ……ほとんどの者が新たな命を選ぶがな」
その理由の多くは経過と共に能力や人格を自らの目で見定める事が出来、純粋な理由は最もタイミングのいい時期を見極め契約や試験に持ち込めるからである。
しかし、それは言えば生命が自我を得て、契約に適した姿に成長するまでまた時間がかかると言う事でもある。
「天界人も天界や地上界の歴史、使命等学ぶ学校があり生まれた多くの天界人が通うものだ」
特定の神が始めから自らに仕えさせる為に作り出した天使は例外に当たるものの、天界という世界の元生を受けたほとんどの天使が学校に通い、その間に天界試験のパートナーたる人間を知らされる。
契約者と一概に言えど、天界試験においては人間との相性も無関係とは言い難く、それは天使となれば一人前として自らの力を使いこなせるが天界人にはそれが出来ないからだと言う。
「それを補うのが人間との契約だ」
古来より天の存在は一時的に契約する事でその力を増幅させる事が出来、まだ自らで引き出せない力を解放する事が出来るという。
「天使の称号を得るということは、一人前として認められると同時にある程度力を使いこなせる実力の証明でもある。相性と、いかに増幅された力を使いこなせるかが試験の鍵なんだ」
「神話とか話には神様と契約したり加護を与える話があるけど、もしかしてそれは」
「神ともなれば一定の力を持つ故力を得る為に神側から契約を求める必要はないが、同じ理屈で有り得る話ではある。だが神ともなれば目的は逆の……力や加護を与える為に行われる事がほとんどだ」
加護を与える事で人間でも神に近い能力を得たり、力を増幅させられたり
「お前も経験はあるだろう?」
「…………」
「例え同じ契約だとしても、天界人とはまるで受ける影響の規模が桁違いだ。何にせよ、加護を与える事が出来るのは上級天使か神だけだがな」
だから、契約者たる人間との相性を踏まえて拘る天界人も存在し、だとすれば尚更次の契約者が現れるのがいつかは分からなくなる。
「まあ、俺はそこまで拘るつもりはないが、いずれにせよそう簡単に契約者が見つかる訳ではないということだ。その人間が契約を受け入れてくれるとも限らないしな」
「じゃあ……」
「だが別に構わない」
「なんで?」
問いかければ微動だにしない表情で答えは返ってきた。
天使となり、与えられた使命を果たす事こそ天界人のあるべき姿であり、だから蒼真も天使になるべくこうして試験を受けている。
「だが、早く天使となって使命を果たしたいかと言われれば微妙な所だ。使命感もあまり自覚がないというのが本音でな」
「……」
「だから……もしこれ以上嫌だと言うのなら俺は構わない」
次の日、彩音は歩きながら昨日蒼真の言った事を考えていた。
そんな中屋上には沙織の姿があり、その横にいる着物を纏った天界人、ハクの声に振り向く。
「ここまでは何とか突破してきたようですが、どうやら余裕では無い様子でしたしこれからもっと雲行きは怪しくなるでしょうね」
「とか言って、ハクは余裕そうだったよねー」
「まあ、私は『天使』ですから」
と飄々とした様子で答え、沙織がハクへと視線を向けてから何秒か沈黙が流れるとそれを破るようにハクは口を開き
「とは言え、このまま脱落してしまうのはいささか惜しいですね」
その声に沙織が視線を上げると彼は関心を持つように
「知識として頭の片隅にありはしたものの、まさかこの目で守護者を目にすることができるなんて偶然としか言えませんし」
「そんなに凄いものなの?」
「凄い、というより珍しいでしょうか。何せ守護者とは常に存在しているものではなく、条件と素質が合った時にのみ誕生するものですから」
そして、そんな守護者たる人間と契約したあの天界人も見ている分には面白く、もしかしたら秘めたる素質がありかもしれないと心弾ませながら口を開く。
「ここは一つ、手を打ってみるのも良いかもしれませんね」
授業風景を窓の外から見つめながら蒼真は思う。
(ここから先の試験は一層危険で厳しいものになる)
何故なら、次の試験から他の受験者も同じ地で試験を受ける事になり試験の内容次第では天界人との戦いも有り得るからだ。
「慎重に臨まなければ」
「そうですねえ」
「っ!」
ふと声が聞こえ振り向くといつの間にかハクが同じように漂っていた。
「なっ、お前、いつの間に……!」
「一つ言えることは、最終試験はトーナメント形式ですし少なくとも最終試験は避けられないでしょうね」
と蒼真の驚きに対して気にせぬ様子で口にすると蒼真は視線を鋭くしたまま投げかけ
「何の用だ」
「そろそろ第三試験を終えたのではないかと思いまして、そちらの様子はどんなものかと聞きに来ただけですよ?」
「…………」
黙り込んだ蒼真を見て笑みを浮かべると
「そこでよければ、私と次なる試験に向けて特訓をするのはどうでしょう。手合わせをすれば何もしないよりは実戦経験も積まれるのではないかと思い……」
「断る」
と即答に笑みは消え、蒼真に試験を向けると蒼真は俯きながら
「俺はまだ、俺のやり方で強くなれるはずだ。少なくとも、貴様の手を借りるほど弱くはない」
「…………」
「次の試験から俺達と同じく試練を受けている者も参加しそれぞれ競うことになるだろう。そしてその第四試験は……明日の夕方行われる」
これまでの試験は予告もなく突如現実世界から切り離されたように別の空間に転移され、自身達だけによる個人試験だった。
しかし今回予告のあった第四試験と最終試験はこれまでと異なり、個人での試験ではなく受験者である天界人達が何度かに分けたうちの一つの会場に集まり試験に臨む。
そして試験内容からも天界人同士争う必要が出てきて、より危険が伴う為準備期間としてこうして事前に予告されるのだと言う。
「危険性に辞退を判断する人間も多くはない。故にその判断と心構えをさせる為の時間のようなものだ」
そして翌日、授業後蒼真に指示されるままやってきたのは屋上。
しばらく何もなく立ったままでいると、ふと気がついた時には見慣れない場所に立っていた事に気づいた。
『これより第四回天界人承認試験を開始する』
これまでと同じ試験を取り仕切る声が聞こえ、姿を見せることもなく空間内に響いていく。
『今回の試験内容は指定された場にある印を持って指定の場へ納めよ。それぞれに一つ印の場を示すヒントを与えるが、印の数は限られている為心してかかるように』
「…………」
『各受験者は天が用意した同一の会場に転移されそれが開始の合図となる。諸君らの健闘を祈る』
彩音はベッドの上で膝を抱えて座り込み、そんな様子を蒼真は宙に浮かびながら黙視していた。
その原因はつい直前まで行われた第二試験。
『気をつけろ。この中には堕天使を想定して作られた模擬堕天使がいる。異能持ちであれ人間の能力が一切使えない以上安易な行動は危険だ』
第二試練は広大なフィールドに隠された四種類の印を集めるという内容だった。
それらを妨害するように空間内には天界の創り出した模擬堕天使が徘徊しており、度々襲われては戦闘となった。戦闘を繰返しながらフィールドを駆け巡り何とか三つの印を集めきったものの想定を絶する状況に疲弊は避けられなかった。
「ネルラが唱えられないなんて……」
そうぽつりと聞こえた声に蒼真が視線を上げると心中を察しながら口を開き
「そもそもこの試練は俺達天界人の能力の適正を調べるもの。天使としての素質があるかどうか……その為の試験だ」
もし人間の能力まで関係してしまえば、軍人や戦闘能力を備えたものを契約者にした方が有利になるし、人間に戦わせようとする天界人、また自ら戦おうとする人間が現れないとも言い難い。
しかし、そもそも人間を契約者として共に試験に臨ませるのは天使の使命に含まれているからで、特定の人間の持つ能力まで試験に関係させるのは天界人の素質を見定める試験として相応しくないと蒼真は語っていく。
「天使は魂を導くもの。この世、あの世……生きとし生きるものの魂を見守り、死した者や迷える魂を導くのが天使の役目だ」
「…………」
「もちろんその対象には人間も含まれており、守護すべき対象であるからこそ導きの対象を守護した上で試験に合格する事がこの試験が見定める本質だ」
よって人間が戦いに参加することは禁じられ、その影響で異能力や一部の者だけが持つ能力は意図的に封じられるようになっているのだという。
「そして天界にも掟はあり、原則導く対象となる人間に直接手を下すことは禁じられている。しかし……この試験だけはその掟の条件が緩和されるんだ」
この天界試験においてのみ、人間への攻撃は命を奪う程でない限り処罰を受けることはない。
「だから言ったんだ。気をつけろと。場合によっては敢えて人間を狙う者も稀にいると言われている」
処罰がなくとも大前提の掟として厳守する者が大半だが、天界人にもまた人間のように様々な思考、性格を持つという。
好戦的な天界人も中にはおり、この試験ではそれらの傾向も見て試験官や大天使がその天界人に与えるに相応しい役割を見出す。
「好戦的で強い天界人なら神や天使直属の親衛隊や護衛部隊、頭のキレるやつは天界の政治に携わらせたりな。だが……」
それらは全て最低限ラインを厳守し、使命を果たせる者という大前提がつく。
己を律する事も出来ず掟を破るような天使は天使と呼ぶに相応しくなく、欲望や一時の感情のままに掟を破り天使としての道を外れるものも存在する。
「殺戮を繰り返したり掟を破り続けたり……重罪を犯した者は天界から追放される事もある。それがいわゆる堕天使への堕落というやつだ」
そんな堕落の予備軍として試験中の素行も上にチェックされており、採点や与えるべき役目への判断基準としてマイナス点になる。
「とは言え、この試験のみに至っては命を取らなければ処罰の対象にはならず戦略として狙うには構わない。つまり……頭のいいやつや逆に悪いやつはそれを利用する可能性もあるということだ」
天界人が一人前と認められ、神より称号と使命を与えられ与えられた使命を尽くす存在。それが天使である。
与えられる役目とは人間が想像するように神に仕えたりあらゆる魂を導いたり、他にも魂を利用し悪行を働く存在の討伐部隊、天界や地上界の守護や監視など多岐に渡る。だが天使や天界に在る者にとっての原則の教え。
それは天使は『魂を導く存在』だということ。
故に天界人が天使になる為の天界試験には導きの対象である人間と契約を結び、能力を認められると同時に守らなければならない前提条件がある。
「つまり、この試験はお前が何かをする必要は無い。俺の為の試験が故に……おとなしくしておくのが吉だ」
と蒼真は彩音を見ながら告げる。
「導きの対象である人間を守りながら試験に合格しなければ天使の役目は与えられない。つまり契約者であるお前を守る事は俺の義務でもある」
これでも彩音より長い時を生きていると続けて話せば、彩音は呆然と無愛想な表情のまま宙に浮かぶ蒼真を見上げた。
それから更に数日が経ち、試験に呼び出されることも無く昼休み。
いつものように屋上で購買組を待っていた所姿を現した蒼真を見ると彩音は問いかける。
「そう言えば、ふと思ったんだけどやっぱり天の存在って事は人に見られたりしちゃいけないの?」
「原則はな。しかし天界人は契約者や同等の者にしか見えないようになっているから不意をつかれて見られることはない」
そう蒼真は宙に浮いたまま校舎前を行き来したり昼食を取る生徒達を見ながら
「意図して見せることも出来るが……まずそれが必要となる状況がないな」
下界の人間にとって天使や神は言わば神話にまつわる存在で、信仰の上成り立つ事も多いため滅多に姿を現すものでもないと話す。
そしてふと空を見上げながら
「が、地上の者が思うよりずっと……俺達天界はそうかけ離れた存在でもない」
「……?」
そう天を仰ぎながら話す言葉に彩音が疑問符を浮かべると蒼真は話し続け
「命あるもの、いつかは生を終え天上へと還る。肉体から離れ彷徨う魂を天上へと導くのは天使にとって何よりも重要な役目だ」
だが、基本人間が生きる間に天使と出会うことは無く、こうして契約に選ばれた人間でさえ別れが訪れれば自然と月日と共に記憶は薄れゆくもの。
それでも目に映らないだけで地上にも天使は存在していると言うのだ。
「前にも言った通り……天使が与えられる役目は様々で、天界と下界共に彷徨える魂を狙う者から守ったり、導いたり異変がないか監視する者とかがいるんだ」
「つまり、今も近くにいる可能性が?」
「ある。それどころか今まさに……俺達を見ているかもな」
間もなく開始された第三試験終了間近。
強ばらせた表情の先には天界が用意した存在『眷属』がおり、道を切り開く為に蒼真が戦っていた。
しかし敵の数は多く、数体の使徒は蒼真の横をすり抜け彩音の元へと向かっていく。
「!」
その姿に気づいた蒼真はすぐに方向転換し彩音に迫っていた使徒を殴り飛ばした。
激戦の末、周囲にいた使徒を倒しきった時蒼真は息を吐き視線を動かすと目に入った彩音の姿に黙り込む。
「…………」
声をかけようとした瞬間『合格』の言葉が聞こえそれは中断され、両者の体が光ると瞬く間に元いた場所……彩音の部屋へと戻っていた。
言葉を発さぬまま、全身の力が抜けたようにベッドに座り倒れ込むとそんな様子を見た蒼真は口を開く。
「『勇気の守護者』。そうとは思えない姿だな」
「…………」
「……誰もが死に対して恐怖する。何もおかしな事ではない」
だからこそ人間と共に試験に挑ませる、それが天使の役目を表していると心の中で呟きながら蒼真は自らの手を見ると握り
(しかし……俺も想像していたよりずっと楽なものではないな)
神や大天使からの使命や任務は天使が受け持つもので、天界人はそれらに至るまでの過程に過ぎない。
故にこれは天界人の誰もが通る道であり、試験にて初めて実戦としての戦闘というものを経験する。
(天使として必要な力は天界人にも備わっており、人間と契約し、この試験でよりその使い方を見定めていく)
人間がよく天使と結びつけるように想像する武器は弓。
しかし実際にはそんなことはなく、天使の扱う武器もそれぞれだ。
そんな蒼真に物としての武器はなくその武器は拳。
(元々大天使や神から生まれた天界人であれば武器を与えられる者もいるが……基本は己で得意とする術を見つけなければならない)
その果てにしっくりきたのはこの拳だった。
天使らしくない、と自らでも思いながら僅かに視線を伏せると口を開き
「だが、確かに俺も想像以上に思い通りにいってない部分もある」
「あの化け物は一体何……?」
と問われたことに対して蒼真は一呼吸置くと答える。
「あれは天の使いだ」
「なっ……!?」
と倒れ込んでいた彩音が勢いよく起き上がると蒼真は宙に浮いたまま説明するように話していく。
「どうも人間は人のような姿をして白い翼を生やしているものを天使だと想像しがちだが、天使と一概に言えど人間のように天使にも種がある」
「…………」
「とはいえ、正確にはあれはおそらく天使が眷属として生み出し召喚したものだろう。おそらく……試験が進めば進むほどますます厳しいものとなる」
その言葉に彩音は俯き、長い間が空くとふと呟かれた言葉に蒼真は反応した。
「……昔に戻ったみたいだ」
「昔?」
反応するまま視線を向けると彩音は膝を曲げたまま
「魔法も大して使えなくて、まだ戦えなかった頃の話。あの頃の私は何も出来なくて、ただ戦える人に守られてばかりだった」
恐怖のままに怯えるばかりで、臆病者だったにも関わらずいつも魔物と戦う物語の世界に夢見て憧れて、ここもあんな世界だったら良かったのになっていつも思っていた。
それからあるきっかけで魔法が使えると知り力を得たものの、いざ現実のものとなり目の前に降りかかった時身体は恐怖で思うように動かなかった。
そのまま彩音は語り続け
「どんな攻撃も防いでくれる女神ネルラの魔法『ネルラ』、痛みを無くす『ペイン』、そして悲惨な光景を見なくする『ミラージュ』が使えるから私は与えられた使命をこなせた。だけど……」
(知ってたよ。それは強くなれたように思えて本当はなにも変わってないって)
一切の力も魔法も使えない今、迫り来る死の恐怖から逃れる術はなくかつての無力さを再び突きつけられたような感覚がしていた。
あれだけ戦えたはずの化け物を前にした時、身体は動かなくて声さえ出ず、それはまるで戦うことを知らないような普通の人のよう。
下手をすれば普通の人より遥かに弱い生き物にさえ思えた。
罪悪感に塞ぐ彩音を見ていた蒼真は僅かに目を伏せながら口を開いた。
「……だが、こう試験を終える度に目に入るお前の精神の擦り切れようは見ていて見過ごせるものでもない」
と視線を向ける彩音に返すと
「守護者という大役を担ってる以上、お前という存在を無下には出来ないと俺は思っている。守護者は極めて特別な資格のある者しかなれないからな」
「…………」
「守護者とはそれに必要な素質や重要性だけで言えば天使よりも上で神に等しいと言えなくもない。つまり、この試練をリタイアする選択が必要とも言える」
「っ!」
「そうすれば、この試験において二度と命に危険が及ぶ事はない」
その声に彩音は目を丸くし、蒼真へ視線を向けるとそれに気づいた蒼真は
目線を合わせるように目の前まで下がってくる。
「そんなこと、できるの?」
「ああ」
と頷く蒼真に対して呆気に取られながら
「けど、確か私が生まれた時から契約者として決まってたんでしょ? そんな中、もしリタイアしたら蒼真はどうなるの……?」
「新たな人間と契約を交わし、再び試験を受ける事になるな」
その場合、天界人でも与えられる使命をこなしながら新たな契約候補を探すこととなり、原則初試験の場合は命を宿した人間が契約候補となる。
「まあ、二回目以降ともなれば適応者さえいれば、生まれたてでなくとも契約者として選ぶことは可能だ。ただ……ほとんどの者が新たな命を選ぶがな」
その理由の多くは経過と共に能力や人格を自らの目で見定める事が出来、純粋な理由は最もタイミングのいい時期を見極め契約や試験に持ち込めるからである。
しかし、それは言えば生命が自我を得て、契約に適した姿に成長するまでまた時間がかかると言う事でもある。
「天界人も天界や地上界の歴史、使命等学ぶ学校があり生まれた多くの天界人が通うものだ」
特定の神が始めから自らに仕えさせる為に作り出した天使は例外に当たるものの、天界という世界の元生を受けたほとんどの天使が学校に通い、その間に天界試験のパートナーたる人間を知らされる。
契約者と一概に言えど、天界試験においては人間との相性も無関係とは言い難く、それは天使となれば一人前として自らの力を使いこなせるが天界人にはそれが出来ないからだと言う。
「それを補うのが人間との契約だ」
古来より天の存在は一時的に契約する事でその力を増幅させる事が出来、まだ自らで引き出せない力を解放する事が出来るという。
「天使の称号を得るということは、一人前として認められると同時にある程度力を使いこなせる実力の証明でもある。相性と、いかに増幅された力を使いこなせるかが試験の鍵なんだ」
「神話とか話には神様と契約したり加護を与える話があるけど、もしかしてそれは」
「神ともなれば一定の力を持つ故力を得る為に神側から契約を求める必要はないが、同じ理屈で有り得る話ではある。だが神ともなれば目的は逆の……力や加護を与える為に行われる事がほとんどだ」
加護を与える事で人間でも神に近い能力を得たり、力を増幅させられたり
「お前も経験はあるだろう?」
「…………」
「例え同じ契約だとしても、天界人とはまるで受ける影響の規模が桁違いだ。何にせよ、加護を与える事が出来るのは上級天使か神だけだがな」
だから、契約者たる人間との相性を踏まえて拘る天界人も存在し、だとすれば尚更次の契約者が現れるのがいつかは分からなくなる。
「まあ、俺はそこまで拘るつもりはないが、いずれにせよそう簡単に契約者が見つかる訳ではないということだ。その人間が契約を受け入れてくれるとも限らないしな」
「じゃあ……」
「だが別に構わない」
「なんで?」
問いかければ微動だにしない表情で答えは返ってきた。
天使となり、与えられた使命を果たす事こそ天界人のあるべき姿であり、だから蒼真も天使になるべくこうして試験を受けている。
「だが、早く天使となって使命を果たしたいかと言われれば微妙な所だ。使命感もあまり自覚がないというのが本音でな」
「……」
「だから……もしこれ以上嫌だと言うのなら俺は構わない」
次の日、彩音は歩きながら昨日蒼真の言った事を考えていた。
そんな中屋上には沙織の姿があり、その横にいる着物を纏った天界人、ハクの声に振り向く。
「ここまでは何とか突破してきたようですが、どうやら余裕では無い様子でしたしこれからもっと雲行きは怪しくなるでしょうね」
「とか言って、ハクは余裕そうだったよねー」
「まあ、私は『天使』ですから」
と飄々とした様子で答え、沙織がハクへと視線を向けてから何秒か沈黙が流れるとそれを破るようにハクは口を開き
「とは言え、このまま脱落してしまうのはいささか惜しいですね」
その声に沙織が視線を上げると彼は関心を持つように
「知識として頭の片隅にありはしたものの、まさかこの目で守護者を目にすることができるなんて偶然としか言えませんし」
「そんなに凄いものなの?」
「凄い、というより珍しいでしょうか。何せ守護者とは常に存在しているものではなく、条件と素質が合った時にのみ誕生するものですから」
そして、そんな守護者たる人間と契約したあの天界人も見ている分には面白く、もしかしたら秘めたる素質がありかもしれないと心弾ませながら口を開く。
「ここは一つ、手を打ってみるのも良いかもしれませんね」
授業風景を窓の外から見つめながら蒼真は思う。
(ここから先の試験は一層危険で厳しいものになる)
何故なら、次の試験から他の受験者も同じ地で試験を受ける事になり試験の内容次第では天界人との戦いも有り得るからだ。
「慎重に臨まなければ」
「そうですねえ」
「っ!」
ふと声が聞こえ振り向くといつの間にかハクが同じように漂っていた。
「なっ、お前、いつの間に……!」
「一つ言えることは、最終試験はトーナメント形式ですし少なくとも最終試験は避けられないでしょうね」
と蒼真の驚きに対して気にせぬ様子で口にすると蒼真は視線を鋭くしたまま投げかけ
「何の用だ」
「そろそろ第三試験を終えたのではないかと思いまして、そちらの様子はどんなものかと聞きに来ただけですよ?」
「…………」
黙り込んだ蒼真を見て笑みを浮かべると
「そこでよければ、私と次なる試験に向けて特訓をするのはどうでしょう。手合わせをすれば何もしないよりは実戦経験も積まれるのではないかと思い……」
「断る」
と即答に笑みは消え、蒼真に試験を向けると蒼真は俯きながら
「俺はまだ、俺のやり方で強くなれるはずだ。少なくとも、貴様の手を借りるほど弱くはない」
「…………」
「次の試験から俺達と同じく試練を受けている者も参加しそれぞれ競うことになるだろう。そしてその第四試験は……明日の夕方行われる」
これまでの試験は予告もなく突如現実世界から切り離されたように別の空間に転移され、自身達だけによる個人試験だった。
しかし今回予告のあった第四試験と最終試験はこれまでと異なり、個人での試験ではなく受験者である天界人達が何度かに分けたうちの一つの会場に集まり試験に臨む。
そして試験内容からも天界人同士争う必要が出てきて、より危険が伴う為準備期間としてこうして事前に予告されるのだと言う。
「危険性に辞退を判断する人間も多くはない。故にその判断と心構えをさせる為の時間のようなものだ」
そして翌日、授業後蒼真に指示されるままやってきたのは屋上。
しばらく何もなく立ったままでいると、ふと気がついた時には見慣れない場所に立っていた事に気づいた。
『これより第四回天界人承認試験を開始する』
これまでと同じ試験を取り仕切る声が聞こえ、姿を見せることもなく空間内に響いていく。
『今回の試験内容は指定された場にある印を持って指定の場へ納めよ。それぞれに一つ印の場を示すヒントを与えるが、印の数は限られている為心してかかるように』
「…………」
『各受験者は天が用意した同一の会場に転移されそれが開始の合図となる。諸君らの健闘を祈る』
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