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第3話、神月家の秘密
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『来たのかしら』
「研究関連じゃないって一体何なんだ」
間もなく、出迎えにサアラと共に玄関に向かうとサアラが扉を開く。
扉が開き、その向こうに立っていたのはキャリーケースを持った一人の青年だった。
想像していた訳ではないものの、思いの外若い姿にサアラと彩音が目を丸くしていると視線の先の青年はニコリと笑みを浮かべた。そして
「神月彩音様でしょうか?」
「えっと……そう、ですけど」
彩音よりも遥かに身長が高く、薄手のコートを羽織りスラッと背筋を伸ばした茶髪の青年は二人を前に頭を下げた。
そして彼から発された言葉は二人に混乱と衝撃を齎す。
「初めまして。私は北条啓と申します。博様の命により、本日より貴方の執事をさせて頂く事になりこちらへ馳せ参じました」
「……はい?」
言葉を理解するのに数秒間の間が必要だった。
時が止まったかのように思考も途切れ、だが彼は彩音の名を知っていた。そして直前にある人物がここへ向かっているという電話から、彼こそがその人物だと頭では分かっていた。
困惑しながら彩音とサアラは彼を中に招き入れ、リビングの椅子に通すとサアラがお茶を目の前に置く。それに彼はお礼を述べると優雅な立ち振る舞いで湯のみに口をつける。
身長が高い事もそうだが、スラッと伸びた背筋とどこから感じられる雰囲気は気品を感じさせ湯のみを持つ動作だけでも息を呑んでしまう程に綺麗だった。
それはまるでどこかの王宮貴族のように煌びやかな……
『ええと、貴方が博士が来ると言っていた方……ですよね』
「ええ。……どこから説明すれば良いでしょうか」
コトリと湯のみが置かれると青年は悩むように切り出しだした。
「先程申し上げましたように、私は博様……つまり貴方のお父上の頼みでこちらに参りました。既に家事を得意とするロボットがいるとはお聞きしていましたが、都会に一人では心もとないだろうとの事で私も加わるようにと」
「……」
「私はお嬢様の身の回りの世話、および護衛を仰せつかって」
「お嬢様……」
その時扉が開く音がし数秒後、リビングに入る扉が開くと苦笑いしながら入ってくる父の姿があった。
それから父も腰を下ろし部屋の中には三人、困惑し続けている彩音とサアラに答えるように話を切り出した。
「よく聞いてくれ。確かに、父さんは彩音の事が心配だがサアラだけでは全てを見きれないだろう? そこで彼に護衛を頼んだんだ」
「なっ、護衛って大袈裟過ぎない? お嬢様じゃあるまいし」
そう戸惑いのまま投げかけるとそれまで爽やかに笑みを浮かべていた青年の表情が変わった気がし彩音は言葉を止める。
そしてそこに父の息を吐く音が聞こえ視線を戻すと
「もちろんあの事もあるが、東京はそれ以外にも危険な事が沢山ある。流石に夜遊びをするとまでは思わないけど危険な事に変わりはない」
日本内でも人口の多いこの場にて、父の言いたいことは何となく察せてしまい黙り込んでいると彼は意を決し彩音にある真実を語り始めた。
「隠していた訳でもないんだが、そろそろ話す時だろうと思っていたんだ」
「話す? ……何を……?」
「……実は我が一家はこれでもかなり歴史のある家でな。彼は本家に仕える執事なんだ」
「……は……?」
執事。漫画でしか見たことの無い言語が父の口から出る時があるとは思わなかった。そして今明かされた事に唖然としながら視線を移すと彼は向けられた視線に対して困ったように笑みを浮かべていた。
そんな中父は話し続け彩音は視線を戻し
「神月家は代々何らかの系統において名を残していてね。発明家だったり音楽家だったり、はたまた研究者だったりね」
「という事はお父さんは……」
「あぁいや、父さんはこちらへ来た側で神月家の血を受け継いでいるのは母さんだよ。あれでも母さんは国家から表彰されたこともあってね」
つまり、彼は正真正銘、神月家に仕える執事でありそれは彩音の本家でもあるという事になる。
だが、これまで生きてきた中でそんな話は聞いたこともないし、家も辺境地にあり金持ちのような素振りも無かったことを思い出す。だがそれに彼はこう言及した。
彩音の記憶にある家は別宅であり本当の家は名古屋内の別の場にあるのだと。そして
「確かに料理も物も贅沢とは言い難いやり方をしてきたが……それはただ父さんがそうしようと思っていたからだ。研究所を建てる上で今の場が環境が良かったし、神月家にはあの研究所や多方面で支援してもらっている」
「な、じゃああの研究所は」
「神月家の資産で建てられたものだよ」
「……」
それはあまりにも現実離れしていてまるで漫画のような展開。
素朴な料理にゲームがおもちゃが欲しいとねだれど中々買って貰えず、他の家庭と変わらぬ金銭感覚に貴族でもなんでもない一般国民だと思っていた。
「まあ、驚くのも無理はない。入学から一週間経って、話を聞く限り慣れ始めて好調のようだったからそろそろこの話をしてもいいかと思ったんだけど……」
「つまり、うちは貴族的なあれで……?」
「まあ、そうなのかもしれないな。彩音の想像する貴族というのは王族の事だろうが、長い歴史において名を馳せた家名……。そういう意味では名家に入るだろう」
一般国民だと思っていた彩音は名のある家の血筋を持ち、神月家は代々繋いできた由緒正しい家であると知り困惑し続けていた。
そしてこれまで知らされなかった本家に仕えるという執事、茶髪の青年がお嬢様と呼んだ理由が理解出来てしまった。
自身が正真正銘のお嬢様なのだと――
「だからってわざわざ護衛なんて要らないでしょ。これまでも無かったんだし」
彩音は父である博に訴えかけるも
「それはそうなんだが、東京だし、何故だか日本に魔物が現れたとも聞いたし警戒するに越した事はないだろう。何かあってからでは遅いんだ」
「それはそうだけど、私が魔法を使えることはお父さんも知ってるでしょ。魔物なんて倒して……そんな突然貴族みたいなことをされても……」
「それは十分に理解しているつもりだ。だが親としてどうしても心配してしまうのはわかるだろう?」
「……」
何も言い返せなくなり、黙り込んだ彩音を前にしばらく黙り込んでいた博だが、お茶を飲み干すとコップを置き立ち上がると近くにあったカバンを手に取った。
「これは家がどうだからとかではなく、一人の親としてしたいことなんだ。どうか分かってくれ」
「……」
「……サアラ、啓くん。彩音を頼んだよ。また折を見て様子を見に来るから」
そのまま父はリビングを出ていき、玄関の音が開き閉まる音が聞こえ去った事を物語ると部屋は静まり返った。
「…………」
「…………」
沈黙が流れ、彩音は納得いかないまま俯きながら黙り込みそんな彩音と残された北条啓を見てサアラはどう切り出せばいいか迷っている。
「あの……お嬢様?」
沈黙に耐えかね、俯いたままの彩音に話しかけようとするとそれは顔を上げ睨む彼女に遮られた。
「私はお嬢様じゃない」
「!」
その声に反応すると、彩音は北条啓を強く睨みつける。
「執事なんていらないし、例え魔物が襲ってこようと一人で戦えるから守られる必要はない。言っておくけど認めないから」
「……」
「絶対に絶対に、ぜええぇったいに認めないから!」
翌日の朝、歩いていた沙織は前方を歩く彩音の姿に気づき、ニヤリと笑うと飛びかかるように声をかけた。
しかし直後振り返った彩音はまるで生気を失ったようにやつれていた。
「あれ、彩音すごい顔してるけど何かあったの?」
「はは……はははは……」
「えっ本当にどうしたの」
「沙織……」
やがて、名を呼ばれると彩音は沙織の両肩に手を置き
「君は今日から正義のヒーローになって悪の組織と戦うんだ! とか言われたらどうする?」
「えっ急にどうしたのさ」
「実は君は魔の一族だったんだとか言われたりさ、実は貴方は名家のお嬢様だったんだとか言われたらさ……」
「一体どうしたのさ……何かおかしいよ?」
心配するように尋ねる沙織に対し彩音は口を閉じると黙り込む。
日が昇り、現実は現実のまま登校したもののそれはまるで少女漫画の世界ではないか。
さっきの例えがまさか現実にあるなんて誰が思い誰が信じるのか。
「この世界はどこへ向かうのか……」
沙織の心配の目にも気づかず、彩音は虚空に向かって呟いていた。
「えー、事情によって遅れてだが一人このクラスに来る生徒がいてな。少し前にイギリスから日本に来たらしいんだ」
朝会によって先生から発された言葉に彩音の表情は歪み、それはこの一連の流れが何かを知っているからである。
更に廊下に向かって入るよう投げかける担任の声に彩音は人知れずため息をついた。
「入ってきていいぞー」
扉からやってきた姿に誰もが茫然とした様子で目を向け、外国からやってきたと言う珍しさや見た目の流麗さからなのかプラス方面の言葉があちこちから聞こえてくる。
「帰国子女? 英語とかぺらぺらなのかな」
「ハーフってこと?」
「北条啓と申します。今日よりこの学校に編入することになりました」
単なるお辞儀ではなく、片手を胸に当てお辞儀する様はまさしく執事そのもの。
あれがただの真似事なら笑えるが本物の執事だと知る彩音にとっては全く笑えない冗談だ。
だが周りからは感心の小声が聞こえ
「ちょっと、かっこよくない?」
「背高い……話し方も王子様っぽい」
「イギリスで育ったのですがこの通り一通りの日本語も話せます。ただ……日本の文化は見聞きした程度なので是非教えて頂ければと思います」
自分でもわかるくらい顔は引きつっていた。
そして周りの声通り言葉遣いや所作がまるで少女漫画に描かれる貴族そのもののように気品を放ち、全くの他人であれば彼女らと同じく格好良いと思えただろう。
そう、無関係の他人ならば。
「へー編入生? まだ一週間ちょっとしか経ってないのに?」
昼休み。屋上に集まることがお決まりのようになっていた彩音と沙織と緋香琉とクロス。
その中で集まるなり沙織は今朝起きたことを緋香琉達に楽しそうに話していた。
「そう言えばイケメンな編入生が来たってクラスの女子が騒いでいたような……。キコクシジョとかなんとか……帰国子女ってなんだ?」
「外国に住んでた日本人が戻ってくることだよ。まあ今回の場合、生まれもイギリスみたいだから少し違うけど」
「とういうことは……日本に来るタイミングの関係で入学式に遅れたのかしら。だから正確には彼も新入生なのでは……?」
彼女らがあれこれ話し合う中彩音は無言のまま箸をつけていた。
そこにふと沙織が思い出したように振り向き問いかければ、その声に緋香琉が首を傾げ
「ところで彩音、朝言ってたあれなんだったのさ」
「あれ?」
「なんかね、朝様子がおかしかったんだよ。いきなり正義のヒーローがなんとかって」
一同が振り返ると表情を詰まらせ箸が止まり、視線に困惑するように視線を逸らす。
だが横目で彼女らを見ると黙り込んだままここで再会する前にそれぞれと成してきた事を思い出す。
そしてグッと手を握り込むと
「実は──」
「「え!?」」
昨日起きた事と、彼の正体を明かすと三人は愕然と言葉を失っておりその反応はそりゃそうなるだろうと納得出来てしまう。
そして彩音は未だに全てを受け入れられないまま明かされた家の真実に困惑しながら彼女らに問う。
「どう思う」
「それ……どこのゲームの話よ……」
と声を上げたのは沙織で、かつて彩音が魔法を使えることにも神と関わりがあると言ってもさほど驚かなかった彼女だが今は明らかに驚いた様子で
「乙ゲー? というか少女漫画でたまーにみる展開だけど……それ本当の話なの? まさかそんな事がリアルであるなんて……」
「……」
「……」
「むしろ嘘であって欲しかったくらいだよ」
「……何それ面白い。少女漫画の世界だけだと思ってたよ」
「まあ、言われてみれば私たちがエリアから力を貰ったのも突然だったしなー。それに比べたら、まだ現実的に有り得なくはない話のような気もしなくはないけど……」
緋香琉の発言から瞬く間に彩音は頭を抱え
「あああ……ただでさえめんどくさいことが起きてるのにさらにめんどくさいことに……」
「めんどくさいことって……そういうのって普通は喜ぶ事なんじゃないの? だってよく見る話の流れだと、それでお屋敷とかに住むんでしょ?」
女子であればほとんどの人が一度はお城に住んだりお姫様になって見たかったり夢に見ることではなかろうか、と沙織が尋ねると視線を向けた先彩音は額を押さえたまま
「いや確かにあったよ? あったけどさ……それはあくまで夢じゃん。普通はそんなの有り得ないって小さい頃の想像だけで終わるよ」
「まあ、日本は貴族って言うより富豪、というかそういうのって少し違うからね。で、彩音の家はどんな凄い所だったの? どこかの社長とか?」
「まあ、確かにお父さんは研究者だけど……。なんかうち、意図して一つのものに名を残してるんじゃなくて血を持つ世代が必ず何かそういう偉業を成し遂げてこうなってるみたいよ」
彩音の父が研究者であった事を緋香琉は知っており、彩音は訂正の為血を持つのは母だと話す。
すると緋香琉はふと考える素振りを見せながら
「そう言えば……彩音の母さんってあんまり見た事なかったなあ。彩音から話も聞いたことないし……」
「まあね。だってお父さん以上にお母さんは家にいなかったし、少し前に職業をお父さんから教えられるまで何も知らなかったんだよね」
「んで、母さんの職業って何だったんだ? キャビンアテンダントとか?」
「違う。傭兵なんだってさ」
その一言にクロスが目を丸くする中彩音の母は外国で傭兵団の団長をしてるのだと話す。
その内容は護衛や救助に留まらず、賊の討伐もあり時には殺し合いも多々あるとそれぞれ外国事情を知る彼女らは想像する。
それは合法とは言えど母も何人もの命を奪っており日本の在り方からそれを知られた場合彩音の事を考え日本より海外に滞在していたのだという。
「だからお父さんから教えられて、その後お母さんに会うまでお母さんの顔も覚えてなかったんだよね。お母さんの傭兵団は国家の護衛に雇われるくらい有名らしくてさ」
「えっ、何それすげえ」
「でも、それなら彩音も私達と一緒に世界を救った事がある訳だし……彩音も血筋に習った事はしてるってことよね?」
「まあ、偉業といえばそうかもしれないけど、それが家名を上げることになるとは思えないんだよね。実際世界は救われたけど私達に見返りは無いんだし」
「確かに……。つまり?」
「つまり、お父さんが言いたいのは研究者とか、有名人とか、世間から賛賞されるような事を言ってるんじゃないかな」
「…………」
僅か間の後、クロスが口を開きその言葉に緋香琉も身を乗り出す。
「教会にお祈りに来る人の中には貴族もいたから、私も従者やそう言った人達は見たことあるわ。それで、一体どんな人なの?」
「あっ、私も気になる~!」
「それは……」
「いくら彩音がそんな事言っても本物の執事なんて滅多に見られるものじゃないぞ!? 沙織はもう知ってるんだよな?」
その時、屋上の扉が開くと誰かの声が聞こえ三人は振り返った。
「こんなところにおられたのですね」
「あれ、北条君」
そこには制服に身を包んだ男子生徒が。
特別目立つ髪型でもなく、色も無難な茶髪だが容姿は整っている。
そんな見知らぬ男子生徒を見て緋香琉とクロスが目を丸くして見ていると、沙織の上げた声に視線を向けた。
「ほーじょーくん? 沙織の知り合いか?」
「違う違う。彼が例の『編入生』だよ」
そう告げる沙織に数秒の間を開け、やっと意味を理解した緋香琉は目を丸くし沙織から北条啓へ視線を向けた。
そして向けた先で彼はこちらに向かって歩み寄っており
「四限目を終えた後、すぐいなくなってしまわれるものですからどこへ行かれたのかと。危険ですからどこかへ行く際は一言声をかけてください」
「…………」
ふとクロスが彩音に視線を向けると、彼女は俯きながら額を押さえている。
そしてそれを見た沙織とクロスは彩音と編入生を交互に見て、やがて二人の脳内にある可能性が過ぎった。
「彩音、もしかして……」
沙織の問いに答えはなく、沈黙が答えを出していた。
「確か……鈴木さんでしたっけ」
沈黙の中、北条啓は彩音の近くにいる女生徒を一通り見るとつい今朝見覚えのある姿が目に留まる。
そして思い出すように名を挙げると沙織は頷き
「そうだよ。同じクラスだしさっきも話したけどなるほどなるほど。それっぽい雰囲気はただの雰囲気だけの話じゃなかったと言うことかあ」
「……?」
「うええええ、本物の執事とか初めて見たぞ!?」
続けて緋香琉も唖然としながら声を上げ、沙織と緋香琉に物珍しそうに視線を向けられた北条啓は疑問符を浮かべながら困惑していた。
そんな中驚きつつも、彼女らほど明確に表情を変えなかったクロスはふと思った疑問を呟いた。
「でも、どうして今まで知らなかったの? 名家についてはよく分からないけど貴族の血筋は何代も繋いでいくものじゃないの?」
「それにはある事情がありまして」
と北条啓は神月家に関する事を話し始めた。
神月家は一般的な貴族や名家とは違い、一つにおいて名を馳せ名家となったのではない。
様々なジャンルにおいて名を残すような功績を残し、生まれた子もまた何らかの分野で名を残してきた。それはまるで代を繋ぐ度に誰かがどこかで名を残すと約束されたようなものだと言われる程。
だが、ある時を期に一度は神月は名を表に出す事をやめたのだと言う。
「当時の主によって神月家は一般的な家庭へと落ちつきました。それから数十年……お嬢様のおじい様に当たる代から復活なされたのです」
「一度はやめたのにどうしてまた復活を?」
「当時の主は規模の膨張による混乱を避けるため落ちつかせようと決断なされました。しかし……規模が落ち着いた事、そして残されていた資産と……」
折角長年築きあげたこの一家の象徴を途絶えさせるのはもったいないと思い、これまでひっそりと受け継がれていた家名を子や子孫に改めて継ぎ託した。
その話を黙々と聞いていた彼女らだが、同じく彩音も話は理解しながら黙り込んでいた。それは父と北条啓によって真実を明かされた後ある不安を抱えていたからである。
突然知らされたとは言え、変わってしまった自分の立場に彼女らはどう思うのか。
それを知ったクラスメイトやかつての知り合い達は変わらず接することが出来るのか。
どこかで壁が出来てしまうのではないかと。
「研究関連じゃないって一体何なんだ」
間もなく、出迎えにサアラと共に玄関に向かうとサアラが扉を開く。
扉が開き、その向こうに立っていたのはキャリーケースを持った一人の青年だった。
想像していた訳ではないものの、思いの外若い姿にサアラと彩音が目を丸くしていると視線の先の青年はニコリと笑みを浮かべた。そして
「神月彩音様でしょうか?」
「えっと……そう、ですけど」
彩音よりも遥かに身長が高く、薄手のコートを羽織りスラッと背筋を伸ばした茶髪の青年は二人を前に頭を下げた。
そして彼から発された言葉は二人に混乱と衝撃を齎す。
「初めまして。私は北条啓と申します。博様の命により、本日より貴方の執事をさせて頂く事になりこちらへ馳せ参じました」
「……はい?」
言葉を理解するのに数秒間の間が必要だった。
時が止まったかのように思考も途切れ、だが彼は彩音の名を知っていた。そして直前にある人物がここへ向かっているという電話から、彼こそがその人物だと頭では分かっていた。
困惑しながら彩音とサアラは彼を中に招き入れ、リビングの椅子に通すとサアラがお茶を目の前に置く。それに彼はお礼を述べると優雅な立ち振る舞いで湯のみに口をつける。
身長が高い事もそうだが、スラッと伸びた背筋とどこから感じられる雰囲気は気品を感じさせ湯のみを持つ動作だけでも息を呑んでしまう程に綺麗だった。
それはまるでどこかの王宮貴族のように煌びやかな……
『ええと、貴方が博士が来ると言っていた方……ですよね』
「ええ。……どこから説明すれば良いでしょうか」
コトリと湯のみが置かれると青年は悩むように切り出しだした。
「先程申し上げましたように、私は博様……つまり貴方のお父上の頼みでこちらに参りました。既に家事を得意とするロボットがいるとはお聞きしていましたが、都会に一人では心もとないだろうとの事で私も加わるようにと」
「……」
「私はお嬢様の身の回りの世話、および護衛を仰せつかって」
「お嬢様……」
その時扉が開く音がし数秒後、リビングに入る扉が開くと苦笑いしながら入ってくる父の姿があった。
それから父も腰を下ろし部屋の中には三人、困惑し続けている彩音とサアラに答えるように話を切り出した。
「よく聞いてくれ。確かに、父さんは彩音の事が心配だがサアラだけでは全てを見きれないだろう? そこで彼に護衛を頼んだんだ」
「なっ、護衛って大袈裟過ぎない? お嬢様じゃあるまいし」
そう戸惑いのまま投げかけるとそれまで爽やかに笑みを浮かべていた青年の表情が変わった気がし彩音は言葉を止める。
そしてそこに父の息を吐く音が聞こえ視線を戻すと
「もちろんあの事もあるが、東京はそれ以外にも危険な事が沢山ある。流石に夜遊びをするとまでは思わないけど危険な事に変わりはない」
日本内でも人口の多いこの場にて、父の言いたいことは何となく察せてしまい黙り込んでいると彼は意を決し彩音にある真実を語り始めた。
「隠していた訳でもないんだが、そろそろ話す時だろうと思っていたんだ」
「話す? ……何を……?」
「……実は我が一家はこれでもかなり歴史のある家でな。彼は本家に仕える執事なんだ」
「……は……?」
執事。漫画でしか見たことの無い言語が父の口から出る時があるとは思わなかった。そして今明かされた事に唖然としながら視線を移すと彼は向けられた視線に対して困ったように笑みを浮かべていた。
そんな中父は話し続け彩音は視線を戻し
「神月家は代々何らかの系統において名を残していてね。発明家だったり音楽家だったり、はたまた研究者だったりね」
「という事はお父さんは……」
「あぁいや、父さんはこちらへ来た側で神月家の血を受け継いでいるのは母さんだよ。あれでも母さんは国家から表彰されたこともあってね」
つまり、彼は正真正銘、神月家に仕える執事でありそれは彩音の本家でもあるという事になる。
だが、これまで生きてきた中でそんな話は聞いたこともないし、家も辺境地にあり金持ちのような素振りも無かったことを思い出す。だがそれに彼はこう言及した。
彩音の記憶にある家は別宅であり本当の家は名古屋内の別の場にあるのだと。そして
「確かに料理も物も贅沢とは言い難いやり方をしてきたが……それはただ父さんがそうしようと思っていたからだ。研究所を建てる上で今の場が環境が良かったし、神月家にはあの研究所や多方面で支援してもらっている」
「な、じゃああの研究所は」
「神月家の資産で建てられたものだよ」
「……」
それはあまりにも現実離れしていてまるで漫画のような展開。
素朴な料理にゲームがおもちゃが欲しいとねだれど中々買って貰えず、他の家庭と変わらぬ金銭感覚に貴族でもなんでもない一般国民だと思っていた。
「まあ、驚くのも無理はない。入学から一週間経って、話を聞く限り慣れ始めて好調のようだったからそろそろこの話をしてもいいかと思ったんだけど……」
「つまり、うちは貴族的なあれで……?」
「まあ、そうなのかもしれないな。彩音の想像する貴族というのは王族の事だろうが、長い歴史において名を馳せた家名……。そういう意味では名家に入るだろう」
一般国民だと思っていた彩音は名のある家の血筋を持ち、神月家は代々繋いできた由緒正しい家であると知り困惑し続けていた。
そしてこれまで知らされなかった本家に仕えるという執事、茶髪の青年がお嬢様と呼んだ理由が理解出来てしまった。
自身が正真正銘のお嬢様なのだと――
「だからってわざわざ護衛なんて要らないでしょ。これまでも無かったんだし」
彩音は父である博に訴えかけるも
「それはそうなんだが、東京だし、何故だか日本に魔物が現れたとも聞いたし警戒するに越した事はないだろう。何かあってからでは遅いんだ」
「それはそうだけど、私が魔法を使えることはお父さんも知ってるでしょ。魔物なんて倒して……そんな突然貴族みたいなことをされても……」
「それは十分に理解しているつもりだ。だが親としてどうしても心配してしまうのはわかるだろう?」
「……」
何も言い返せなくなり、黙り込んだ彩音を前にしばらく黙り込んでいた博だが、お茶を飲み干すとコップを置き立ち上がると近くにあったカバンを手に取った。
「これは家がどうだからとかではなく、一人の親としてしたいことなんだ。どうか分かってくれ」
「……」
「……サアラ、啓くん。彩音を頼んだよ。また折を見て様子を見に来るから」
そのまま父はリビングを出ていき、玄関の音が開き閉まる音が聞こえ去った事を物語ると部屋は静まり返った。
「…………」
「…………」
沈黙が流れ、彩音は納得いかないまま俯きながら黙り込みそんな彩音と残された北条啓を見てサアラはどう切り出せばいいか迷っている。
「あの……お嬢様?」
沈黙に耐えかね、俯いたままの彩音に話しかけようとするとそれは顔を上げ睨む彼女に遮られた。
「私はお嬢様じゃない」
「!」
その声に反応すると、彩音は北条啓を強く睨みつける。
「執事なんていらないし、例え魔物が襲ってこようと一人で戦えるから守られる必要はない。言っておくけど認めないから」
「……」
「絶対に絶対に、ぜええぇったいに認めないから!」
翌日の朝、歩いていた沙織は前方を歩く彩音の姿に気づき、ニヤリと笑うと飛びかかるように声をかけた。
しかし直後振り返った彩音はまるで生気を失ったようにやつれていた。
「あれ、彩音すごい顔してるけど何かあったの?」
「はは……はははは……」
「えっ本当にどうしたの」
「沙織……」
やがて、名を呼ばれると彩音は沙織の両肩に手を置き
「君は今日から正義のヒーローになって悪の組織と戦うんだ! とか言われたらどうする?」
「えっ急にどうしたのさ」
「実は君は魔の一族だったんだとか言われたりさ、実は貴方は名家のお嬢様だったんだとか言われたらさ……」
「一体どうしたのさ……何かおかしいよ?」
心配するように尋ねる沙織に対し彩音は口を閉じると黙り込む。
日が昇り、現実は現実のまま登校したもののそれはまるで少女漫画の世界ではないか。
さっきの例えがまさか現実にあるなんて誰が思い誰が信じるのか。
「この世界はどこへ向かうのか……」
沙織の心配の目にも気づかず、彩音は虚空に向かって呟いていた。
「えー、事情によって遅れてだが一人このクラスに来る生徒がいてな。少し前にイギリスから日本に来たらしいんだ」
朝会によって先生から発された言葉に彩音の表情は歪み、それはこの一連の流れが何かを知っているからである。
更に廊下に向かって入るよう投げかける担任の声に彩音は人知れずため息をついた。
「入ってきていいぞー」
扉からやってきた姿に誰もが茫然とした様子で目を向け、外国からやってきたと言う珍しさや見た目の流麗さからなのかプラス方面の言葉があちこちから聞こえてくる。
「帰国子女? 英語とかぺらぺらなのかな」
「ハーフってこと?」
「北条啓と申します。今日よりこの学校に編入することになりました」
単なるお辞儀ではなく、片手を胸に当てお辞儀する様はまさしく執事そのもの。
あれがただの真似事なら笑えるが本物の執事だと知る彩音にとっては全く笑えない冗談だ。
だが周りからは感心の小声が聞こえ
「ちょっと、かっこよくない?」
「背高い……話し方も王子様っぽい」
「イギリスで育ったのですがこの通り一通りの日本語も話せます。ただ……日本の文化は見聞きした程度なので是非教えて頂ければと思います」
自分でもわかるくらい顔は引きつっていた。
そして周りの声通り言葉遣いや所作がまるで少女漫画に描かれる貴族そのもののように気品を放ち、全くの他人であれば彼女らと同じく格好良いと思えただろう。
そう、無関係の他人ならば。
「へー編入生? まだ一週間ちょっとしか経ってないのに?」
昼休み。屋上に集まることがお決まりのようになっていた彩音と沙織と緋香琉とクロス。
その中で集まるなり沙織は今朝起きたことを緋香琉達に楽しそうに話していた。
「そう言えばイケメンな編入生が来たってクラスの女子が騒いでいたような……。キコクシジョとかなんとか……帰国子女ってなんだ?」
「外国に住んでた日本人が戻ってくることだよ。まあ今回の場合、生まれもイギリスみたいだから少し違うけど」
「とういうことは……日本に来るタイミングの関係で入学式に遅れたのかしら。だから正確には彼も新入生なのでは……?」
彼女らがあれこれ話し合う中彩音は無言のまま箸をつけていた。
そこにふと沙織が思い出したように振り向き問いかければ、その声に緋香琉が首を傾げ
「ところで彩音、朝言ってたあれなんだったのさ」
「あれ?」
「なんかね、朝様子がおかしかったんだよ。いきなり正義のヒーローがなんとかって」
一同が振り返ると表情を詰まらせ箸が止まり、視線に困惑するように視線を逸らす。
だが横目で彼女らを見ると黙り込んだままここで再会する前にそれぞれと成してきた事を思い出す。
そしてグッと手を握り込むと
「実は──」
「「え!?」」
昨日起きた事と、彼の正体を明かすと三人は愕然と言葉を失っておりその反応はそりゃそうなるだろうと納得出来てしまう。
そして彩音は未だに全てを受け入れられないまま明かされた家の真実に困惑しながら彼女らに問う。
「どう思う」
「それ……どこのゲームの話よ……」
と声を上げたのは沙織で、かつて彩音が魔法を使えることにも神と関わりがあると言ってもさほど驚かなかった彼女だが今は明らかに驚いた様子で
「乙ゲー? というか少女漫画でたまーにみる展開だけど……それ本当の話なの? まさかそんな事がリアルであるなんて……」
「……」
「……」
「むしろ嘘であって欲しかったくらいだよ」
「……何それ面白い。少女漫画の世界だけだと思ってたよ」
「まあ、言われてみれば私たちがエリアから力を貰ったのも突然だったしなー。それに比べたら、まだ現実的に有り得なくはない話のような気もしなくはないけど……」
緋香琉の発言から瞬く間に彩音は頭を抱え
「あああ……ただでさえめんどくさいことが起きてるのにさらにめんどくさいことに……」
「めんどくさいことって……そういうのって普通は喜ぶ事なんじゃないの? だってよく見る話の流れだと、それでお屋敷とかに住むんでしょ?」
女子であればほとんどの人が一度はお城に住んだりお姫様になって見たかったり夢に見ることではなかろうか、と沙織が尋ねると視線を向けた先彩音は額を押さえたまま
「いや確かにあったよ? あったけどさ……それはあくまで夢じゃん。普通はそんなの有り得ないって小さい頃の想像だけで終わるよ」
「まあ、日本は貴族って言うより富豪、というかそういうのって少し違うからね。で、彩音の家はどんな凄い所だったの? どこかの社長とか?」
「まあ、確かにお父さんは研究者だけど……。なんかうち、意図して一つのものに名を残してるんじゃなくて血を持つ世代が必ず何かそういう偉業を成し遂げてこうなってるみたいよ」
彩音の父が研究者であった事を緋香琉は知っており、彩音は訂正の為血を持つのは母だと話す。
すると緋香琉はふと考える素振りを見せながら
「そう言えば……彩音の母さんってあんまり見た事なかったなあ。彩音から話も聞いたことないし……」
「まあね。だってお父さん以上にお母さんは家にいなかったし、少し前に職業をお父さんから教えられるまで何も知らなかったんだよね」
「んで、母さんの職業って何だったんだ? キャビンアテンダントとか?」
「違う。傭兵なんだってさ」
その一言にクロスが目を丸くする中彩音の母は外国で傭兵団の団長をしてるのだと話す。
その内容は護衛や救助に留まらず、賊の討伐もあり時には殺し合いも多々あるとそれぞれ外国事情を知る彼女らは想像する。
それは合法とは言えど母も何人もの命を奪っており日本の在り方からそれを知られた場合彩音の事を考え日本より海外に滞在していたのだという。
「だからお父さんから教えられて、その後お母さんに会うまでお母さんの顔も覚えてなかったんだよね。お母さんの傭兵団は国家の護衛に雇われるくらい有名らしくてさ」
「えっ、何それすげえ」
「でも、それなら彩音も私達と一緒に世界を救った事がある訳だし……彩音も血筋に習った事はしてるってことよね?」
「まあ、偉業といえばそうかもしれないけど、それが家名を上げることになるとは思えないんだよね。実際世界は救われたけど私達に見返りは無いんだし」
「確かに……。つまり?」
「つまり、お父さんが言いたいのは研究者とか、有名人とか、世間から賛賞されるような事を言ってるんじゃないかな」
「…………」
僅か間の後、クロスが口を開きその言葉に緋香琉も身を乗り出す。
「教会にお祈りに来る人の中には貴族もいたから、私も従者やそう言った人達は見たことあるわ。それで、一体どんな人なの?」
「あっ、私も気になる~!」
「それは……」
「いくら彩音がそんな事言っても本物の執事なんて滅多に見られるものじゃないぞ!? 沙織はもう知ってるんだよな?」
その時、屋上の扉が開くと誰かの声が聞こえ三人は振り返った。
「こんなところにおられたのですね」
「あれ、北条君」
そこには制服に身を包んだ男子生徒が。
特別目立つ髪型でもなく、色も無難な茶髪だが容姿は整っている。
そんな見知らぬ男子生徒を見て緋香琉とクロスが目を丸くして見ていると、沙織の上げた声に視線を向けた。
「ほーじょーくん? 沙織の知り合いか?」
「違う違う。彼が例の『編入生』だよ」
そう告げる沙織に数秒の間を開け、やっと意味を理解した緋香琉は目を丸くし沙織から北条啓へ視線を向けた。
そして向けた先で彼はこちらに向かって歩み寄っており
「四限目を終えた後、すぐいなくなってしまわれるものですからどこへ行かれたのかと。危険ですからどこかへ行く際は一言声をかけてください」
「…………」
ふとクロスが彩音に視線を向けると、彼女は俯きながら額を押さえている。
そしてそれを見た沙織とクロスは彩音と編入生を交互に見て、やがて二人の脳内にある可能性が過ぎった。
「彩音、もしかして……」
沙織の問いに答えはなく、沈黙が答えを出していた。
「確か……鈴木さんでしたっけ」
沈黙の中、北条啓は彩音の近くにいる女生徒を一通り見るとつい今朝見覚えのある姿が目に留まる。
そして思い出すように名を挙げると沙織は頷き
「そうだよ。同じクラスだしさっきも話したけどなるほどなるほど。それっぽい雰囲気はただの雰囲気だけの話じゃなかったと言うことかあ」
「……?」
「うええええ、本物の執事とか初めて見たぞ!?」
続けて緋香琉も唖然としながら声を上げ、沙織と緋香琉に物珍しそうに視線を向けられた北条啓は疑問符を浮かべながら困惑していた。
そんな中驚きつつも、彼女らほど明確に表情を変えなかったクロスはふと思った疑問を呟いた。
「でも、どうして今まで知らなかったの? 名家についてはよく分からないけど貴族の血筋は何代も繋いでいくものじゃないの?」
「それにはある事情がありまして」
と北条啓は神月家に関する事を話し始めた。
神月家は一般的な貴族や名家とは違い、一つにおいて名を馳せ名家となったのではない。
様々なジャンルにおいて名を残すような功績を残し、生まれた子もまた何らかの分野で名を残してきた。それはまるで代を繋ぐ度に誰かがどこかで名を残すと約束されたようなものだと言われる程。
だが、ある時を期に一度は神月は名を表に出す事をやめたのだと言う。
「当時の主によって神月家は一般的な家庭へと落ちつきました。それから数十年……お嬢様のおじい様に当たる代から復活なされたのです」
「一度はやめたのにどうしてまた復活を?」
「当時の主は規模の膨張による混乱を避けるため落ちつかせようと決断なされました。しかし……規模が落ち着いた事、そして残されていた資産と……」
折角長年築きあげたこの一家の象徴を途絶えさせるのはもったいないと思い、これまでひっそりと受け継がれていた家名を子や子孫に改めて継ぎ託した。
その話を黙々と聞いていた彼女らだが、同じく彩音も話は理解しながら黙り込んでいた。それは父と北条啓によって真実を明かされた後ある不安を抱えていたからである。
突然知らされたとは言え、変わってしまった自分の立場に彼女らはどう思うのか。
それを知ったクラスメイトやかつての知り合い達は変わらず接することが出来るのか。
どこかで壁が出来てしまうのではないかと。
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