乙女ゲームの悪役法師陰陽師に転生した俺は、どうやら昔助けた秀麗な半妖陰陽師を狂わせているようです。

雨宮一楼

文字の大きさ
上 下
54 / 55

第54話−女主人公 橘香澄に似た男は転生者

しおりを挟む
週末

クライスの妹の婚約披露パーティーへ車で向かう。

「クライスの妹って何歳?」

「14歳?だっけ?」

王子の誕生日パーティーで2人が踊っているのを見たっきり。クライスと似てる金髪の綺麗な女の子だった。



「名前は?」

何も知らないな。ルイスは笑いながらえーと?

「アメリア?だな。」

と答えた。

バートリー家の家の少し手前で車を止めて貰う。結構、玄関前は人が多く出席者が多いのが解る。

・・・と思っていたら原因は会長だった。



「そういや玄関前で待ち合わせてたな。」

握手会の様に会長に握手を求めて中へ入っていく御令嬢や御子息達。

私達を見付けた会長は遅い!!と言い放った。

その途端に視線が此方へ向かう。

「ルナリー様にルイス様だわ!!」

あはは。握手会突入。



「さあ、時間になりますから中へ。」

見かねたバートリー家の使用人が声を掛けてくれて漸く中へ入る事が出来た。



「会長、申し訳ない。」

「いやいや、待ち合わせは玄関前は今後は却下だな。」

目立つ場所は避けよう。



相変わらず広くて豪華な大理石の玄関ルームを抜けてパーティールームへ案内される。

パーティールームはレストランが開けるくらいの広さがあった。

立食パーティー形式で今日も食べる暇が無さそうな気がする。



庶民にはこれを食べない感覚が未だに解らない。勿体ないよなあ。



クライスは両親の隣で挨拶をしている様だ。御令嬢達が次々に挨拶に来ている。

「僕達も御両親には挨拶しておこうか。」

会長と共にクライス達の元へ。途中、色々な方々から声を掛けられるのでやっと辿り着けた。



「本日はお招きありがとうございます。」

「おめでとうございます。」

クライスの御両親は嬉しそうに

「まあ!ようこそ!いつもクライスがお世話になっております。」

と丁寧にお辞儀をされた。

「やっと来たねー。もう辛い。」

クライスがゲンナリと愚痴を言う。



「こんにちは。お招きありがとうございます。」

背後から王子とキャサリンが声を掛ける。

本日のメンバーは揃った。



「もう握手会は嫌だわ・・。」

キャサリン達も此処に来るまでに相当捕まったようだ。



「では、お父様、お母様。今日は会長と一緒におりますので。」

クライスは嬉しそうに此方へ。御両親は会長に息子が我儘を言ってすみませんと謝っていた。

シャッフルダンスの件は無事に両親にOKを貰えた様だ。



私達の婚約披露パーティーの時の様に御両親の挨拶からパーティーが始まった。

妹さんの結婚相手は同級生のビクター君と言う。好青年になりそうな感じ。今は可愛い感じの子だ。



ダンスも14歳ってまだ可愛らしい。2人とも綺麗な顔立ちだし今まで婚約していなかったのが不思議なくらいだ。

いや、クライスや会長にカインにジョージも婚約してないから普通なのかな。



「クライス様は誰と踊られるのかしら?」

「誰も御令嬢が御一緒じゃないわ!」

「もしかして?え?ケビン様?いやーん!素敵!」



御令嬢達、聞こえてますよー。その通りですよー。

クライスと会長は笑いを堪えて聞こえないフリをしている。

やっぱり素敵なのね。

エリザベス様程では無くても皆、こう言うの好きなんだなあ。



「さあ、行こうか会長。」

「ああ。レッツゴーだね。」

クライスが会長をエスコートして前へ出る。

続いて王子をエスコートするルイス

キャサリンをエスコートする私と続くと御令嬢達や御子息達の声援の様な歓喜の悲鳴の様な。

キャー!!!と言う声と共に拍手が起こった。



「ノネット・クライムの皆様だわ!」

「クライス様とケビン様!お似合いですわ!」

「あら!ジェファーソン様とルイス様の方がお似合いよー!」

「キャサリン様とルナリー様、可愛い!!」



好き放題言ってる声が周囲から聞こえる。



「何と言うかウケるよな。」

「アイドルって大変なのね。」

キャサリンと踊りながら呟く。お陰様で男性のパートもすっかり覚えてしまった。



「ねぇ。クライス見てよ。」

キャサリンがクライスと会長の方へ視線を向ける。

「う。。何かめっちゃ嬉しそう。」



「どんだけ御令嬢嫌いなのかしら。困った奴だわー。」

「会長が本気で好きになったらどうするんだろうな?」

2人で顔を見合わせる。



「私は会長を応援するかなあ。」

キャサリンが真剣な顔で言う。

「まあ、そうなるか。」

そうなったらそうしよう。うん。



ダンスは無事に終了し主役の妹さんと婚約者よりも大きい拍手を貰ってしまった。



幸せそうな御令嬢達。そしてもっと幸せそうなクライス。



「お疲れー!任務完了だよな?」

6人で部屋の隅へ移動。



「ありがとうー!本当に助かったー!」

クライスは本当に嬉しそうだ。

勿論、会長も。



今日は隅でこっそり食事出来そう。

「美味いな。」

「うん。クライスの家の料理人も凄いなあ。」

ルイスもモグモグ。



「マッケンジー夫妻食べ過ぎだぞ。」

会長に笑いながら突っ込まれる。お腹空いてるしー。



パーティーは無事に終了。

クライスにお茶でも飲んで行きなよ!と客間に案内された。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

王道にはしたくないので

八瑠璃
BL
国中殆どの金持ちの子息のみが通う、小中高一貫の超名門マンモス校〈朱鷺学園〉 幼少の頃からそこに通い、能力を高め他を率いてきた生徒会長こと鷹官 仁。前世知識から得た何れ来るとも知れぬ転校生に、平穏な日々と将来を潰されない為に日々努力を怠らず理想の会長となるべく努めてきた仁だったが、少々やり過ぎなせいでいつの間にか大変なことになっていた_____。 これは、やりすぎちまった超絶カリスマ生徒会長とそんな彼の周囲のお話である。

転生したけど赤ちゃんの頃から運命に囲われてて鬱陶しい

翡翠飾
BL
普通に高校生として学校に通っていたはずだが、気が付いたら雨の中道端で動けなくなっていた。寒くて死にかけていたら、通りかかった馬車から降りてきた12歳くらいの美少年に拾われ、何やら大きい屋敷に連れていかれる。 それから温かいご飯食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、柔らかいベッドで寝かせてもらったり、撫でてもらったり、ボールとかもらったり、それを投げてもらったり───ん? 「え、俺何か、犬になってない?」 豹獣人の番大好き大公子(12)×ポメラニアン獣人転生者(1)の話。 ※どんどん年齢は上がっていきます。 ※設定が多く感じたのでオメガバースを無くしました。

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

特等席は、もういらない

香野ジャスミン
BL
好きな人の横で笑うことができる。 恋心を抱いたまま、隣に入れる特等席。 誰もがその場所を羨んでいた。 時期外れの転校生で事態は変わる。 ※エブリスタ、ムーンライトノベルズでも同時公開してます 僕の居場所も、彼の気持ちも...。 距離を置くことになってしまった主人公に近付いてきたのは...。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

処理中です...