9 / 55
第9話-結界の外は……七年後
しおりを挟む ――明弘に抱きしめられ、告白された。もちろん答えは決まっている。私は声が震えないように注意しながら、返事を返した。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
「なんか調子狂うな」
明弘は笑いかけてきた。
「そだね.....わ、私ちょっとトイレに行ってくるね」
そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
そのまま止めていた車に積み込むと、目隠しをし、タイラップで手足を縛った。急いで運転席に乗り込み、車を発進させる。
今回、俺は唯を『九人目』にする事を決めた。理由は特に無いが、透を殺しておいて、唯だけ殺さない訳にはいかないだろう。そして『十人目』は唯の妹を殺すことにした。やはり姉妹は一緒にいないといけない。俺なりの優しさだ。
そして集大成として、『五人目』の為に幼稚園を襲撃する。将来幼稚園の先生になりたかったらしいし、いっぱい子供たちを送ってあげよう。
俺はそこまで考え、首を振った。ダメだ。今は『九人目』の殺害に集中しないと。気合いを入れ直すため、軽く頬を叩いた。そして気絶している唯を見る。
うん。今夜は焼き肉だな。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
「なんか調子狂うな」
明弘は笑いかけてきた。
「そだね.....わ、私ちょっとトイレに行ってくるね」
そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
そのまま止めていた車に積み込むと、目隠しをし、タイラップで手足を縛った。急いで運転席に乗り込み、車を発進させる。
今回、俺は唯を『九人目』にする事を決めた。理由は特に無いが、透を殺しておいて、唯だけ殺さない訳にはいかないだろう。そして『十人目』は唯の妹を殺すことにした。やはり姉妹は一緒にいないといけない。俺なりの優しさだ。
そして集大成として、『五人目』の為に幼稚園を襲撃する。将来幼稚園の先生になりたかったらしいし、いっぱい子供たちを送ってあげよう。
俺はそこまで考え、首を振った。ダメだ。今は『九人目』の殺害に集中しないと。気合いを入れ直すため、軽く頬を叩いた。そして気絶している唯を見る。
うん。今夜は焼き肉だな。
1
お気に入りに追加
309
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
*
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

完結·助けた犬は騎士団長でした
禅
BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。
ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。
しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。
強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ……
※完結まで毎日投稿します

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました
SEKISUI
BL
ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた
見た目は勝ち組
中身は社畜
斜めな思考の持ち主
なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う
そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される

【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 設定ゆるめ、造語、出産描写あり。幕開け(前置き)長め。第21話に登場人物紹介を載せましたので、ご参考ください。
★お試し読みは、第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる