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第四章 最愛の番
七
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拓海の部屋は写真で埋め尽くされていた。
机の上には封筒と写真が重なりあって小高い山になっている。写真や封筒は机から落ちていたり、部屋の床、廊下にまで写真は散らばっていた。
こんな状態で生活してたのか。
南は一枚写真を拾う。
……これは。あの時無理やりにでも話を聞いておくべきだった。
秀也と一緒に写っている女性に見覚えがあった。
ああ、彼の元婚約者の。
過去南の元にも彼女の婚約の話が来ていた。しかし、南が断ろうとする前に秀也との婚約の話が上がり、婚約の縁は無かったことになった。そのため、彼女の顔だけは知っていたが、どんな人物なのかまでは知らなった。
南は拓海の様子が落ち着いてきたのを確認して、玄関で病院に午前中に戻れないことを伝える。
「すみません、お昼過ぎには戻ります」
電話の奥で、副院長が拓海の様子を酷く心配しているのが伝わってくる。
「なんとなく原因は分かった気がします。俺が出来る事は今のうちにしておこうと思います」
南は「失礼します」と言って電話を切ると部屋に戻る。
「先輩、運んでくれてありがとうございます」
拓海はかすれた声で言った。ベッドに寝かせた拓海の方を見ると、手で顔を隠していた。
見られたくなかったよな。でも、俺はお前がこんな状態でいるのに気づけて、良かったと思ったんだ。
だから、もう見て見ぬ振りはしない。
南はベッドの下にしゃがみ、拓海の頭を撫でた。
「拓海、一緒に暮らさないか?」
手を顔から離し、驚いた顔をする拓海。南は二コリと笑う。
「それは」
「こんな事が続いてるから体調も壊したんだろ」
南は部屋を見渡す。拓海の顔が迷いを見せる。
まだ、足りないか。
「院長も心配してるし、それに拓海の休みが続いた今持ってる患者が不安になるんじゃないか?」
拓海は自分の置かれている状況と秀也への罪悪感を深く考えるためにか黙り込み、暫くして決心したらしく「お邪魔しても良いですか?」と南に言った。
傷心しているところを付け込んで、ちょっと嬉しいなんて喜んで、最低だな、俺。
「取りあえず、絶対に必要な物だけ持って、俺の家に行こうか」
拓海は顔を上げ、「い、今からですか?」と言った。
「今すぐだ」
南は拓海に必要な物を言わせ、それらを準備する。
玄関で靴を履く時、拓海は写真が足の裏にくっついたのを取った。南は写真を見つめている拓海の手からそれを優しく奪った。靴箱の上に置いて、拓海の腕を引いて車に乗り自宅に向かった。
気分が悪い。拓海がこんな部屋で過ごしていたのを知って、気が狂いそうだ。
机の上には封筒と写真が重なりあって小高い山になっている。写真や封筒は机から落ちていたり、部屋の床、廊下にまで写真は散らばっていた。
こんな状態で生活してたのか。
南は一枚写真を拾う。
……これは。あの時無理やりにでも話を聞いておくべきだった。
秀也と一緒に写っている女性に見覚えがあった。
ああ、彼の元婚約者の。
過去南の元にも彼女の婚約の話が来ていた。しかし、南が断ろうとする前に秀也との婚約の話が上がり、婚約の縁は無かったことになった。そのため、彼女の顔だけは知っていたが、どんな人物なのかまでは知らなった。
南は拓海の様子が落ち着いてきたのを確認して、玄関で病院に午前中に戻れないことを伝える。
「すみません、お昼過ぎには戻ります」
電話の奥で、副院長が拓海の様子を酷く心配しているのが伝わってくる。
「なんとなく原因は分かった気がします。俺が出来る事は今のうちにしておこうと思います」
南は「失礼します」と言って電話を切ると部屋に戻る。
「先輩、運んでくれてありがとうございます」
拓海はかすれた声で言った。ベッドに寝かせた拓海の方を見ると、手で顔を隠していた。
見られたくなかったよな。でも、俺はお前がこんな状態でいるのに気づけて、良かったと思ったんだ。
だから、もう見て見ぬ振りはしない。
南はベッドの下にしゃがみ、拓海の頭を撫でた。
「拓海、一緒に暮らさないか?」
手を顔から離し、驚いた顔をする拓海。南は二コリと笑う。
「それは」
「こんな事が続いてるから体調も壊したんだろ」
南は部屋を見渡す。拓海の顔が迷いを見せる。
まだ、足りないか。
「院長も心配してるし、それに拓海の休みが続いた今持ってる患者が不安になるんじゃないか?」
拓海は自分の置かれている状況と秀也への罪悪感を深く考えるためにか黙り込み、暫くして決心したらしく「お邪魔しても良いですか?」と南に言った。
傷心しているところを付け込んで、ちょっと嬉しいなんて喜んで、最低だな、俺。
「取りあえず、絶対に必要な物だけ持って、俺の家に行こうか」
拓海は顔を上げ、「い、今からですか?」と言った。
「今すぐだ」
南は拓海に必要な物を言わせ、それらを準備する。
玄関で靴を履く時、拓海は写真が足の裏にくっついたのを取った。南は写真を見つめている拓海の手からそれを優しく奪った。靴箱の上に置いて、拓海の腕を引いて車に乗り自宅に向かった。
気分が悪い。拓海がこんな部屋で過ごしていたのを知って、気が狂いそうだ。
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