【運命】に捨てられ捨てたΩ

諦念

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第四章 最愛の番

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それから半年が経った頃。拓海の元に写真が送られてくるのは止まらなかった。
回数を重ねるごとに、写真の中の秀也と女性の表情が柔らかくなっていた。
それは、拓海の自律神経を刺激し、体調にまで及び始めた。
 仕事行かなきゃ。……今日も届いてる。
仕事に行く前にポストの中に毎度同じ封筒が入っている事に気付き、拓海はお腹が痛くなった。
ストレスを抱えたままなんとか病院に着き、控室で着替えていると、南も着替えのために控室に入ってきた。
「おはよう」
「あ、おはようございます」
南は青白い顔で挨拶を返した拓海の異変に気付いたらしく、「大丈夫か?」と心配するような声で聞いてきた。
「ちょっと体調崩したみたいで、医者なのに駄目ですよね」
「……無理するなよ?」
「はい」と拓海は心臓が痛むのを堪えて言った。

拓海の様子に気付いたのは南だけでは無かった。
始業のミーティングの時間に、院長と副院長、看護師たちから心配の声を掛けられた。
「新条先生体調悪い?」
「あら、本当。顔色が悪いわね」
「今日は休んだ方が良いんじゃないかな?」
「いえ、そんな」
まだ耐えられると思っていた拓海は困惑した。
 そこまで酷いのか?
院長から今日は帰りなさいと言われて、そのまま帰ることになった。
控室に戻り、着たばかりの白衣を脱いで帰り支度をしていると南が中に入ってきた。
「家まで送ってく」
「え! あの、大丈夫です、一人で帰れます」
拓海は迷惑を掛けられないと思い、断った。
南は拓海の言葉を聞いても、そのまま白衣を脱いで「結構しんどいだろ?」と言った。
「それにな院長から頼まれたんだ。だから、気にすんな」
「院長が?」
「ああ、送ったらすぐ戻るからその間は二人で大丈夫だって」
「すみません。ありがとうございます。実は結構辛くて」
「あんまり、俺に遠慮すんな」
「そんな、甘えてばかりで申し訳ないです」
「……準備できたか?」
南はちょうど準備を終えた拓海を見て言った。
外に出ると、車を出して助手席を開けた南に「乗って」と言われた拓海は席に座りシートベルトを締め「よろしくお願いします」と南に言った。南は返事をして、拓海に自宅までの道をカーナビに入力してもらうと「家に着くまで寝てていいよ。近くなったら起こすから」と言った。
「ありがとうございます」
 眠くはなかったけど、南先輩の運転が丁寧で眠くなってきたな。
拓海は不眠症が続いていたからか、車の心地よい揺れのなか、いつの間にか目を閉じていた。
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