【運命】に捨てられ捨てたΩ

諦念

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第四章 最愛の番

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 南先輩、相変わらず優しかったな。甘えすぎて本当に申し訳なさすぎる。
拓海は南の家から自宅に戻ると、ポストの中に入っていた一通の封筒を取り出す。
 誰だ? 名前が書いてないな。
【新条 拓海様】と自分の住所が書いてあるだけで、送り主の名前も住所も書いていなかった。
拓海は封を開けると中から写真が滑り出して床に散らばった。
「ああ、やっちゃっ、た……」
写真を拾う時、そこに写っていた見覚えのある二人に手が止まった。落ちた五枚の写真には同じ人物が写っていた。
「秀也と、あの時の……」
頭に浮かんだ女性と写真に写る女性が一致した拓海は、「はは」と乾いた笑い声を出した。
 今も一緒にいるのか。
写真の背景には日本ではない事を示していた。そして、どれも場所や時間、服装が違い何日も共に行動をしているのがうかがえた。
アメリカに行くといった秀也は、決して一人で行くとは言っていなかった。
 言う必要が無いと思われるほど、いつの間にか俺に無関心になったのか。いや、そうさせてしまった理由は自分にあるだろ。
拓海は差出人が分からない以上、この写真について言及する相手が秀也以外思いつかなかった。しかし、秀也がアメリカに渡った後から、秀也と連絡が取れなくなっていた。
 あ、今日もまた非通知から電話あったのか。
秀也に連絡を取ろうとスマホを手にすると、画面に着信履歴が残っていた。三日前から、非通知の電話が掛かってくるようになった。一日目は五回以上もの電話があり、どれも拓海は仕事中だっため気づかなかった。家に帰ってから気づいたため、その量に気分が悪くなり、そのまま放置した。二日目は二回ほどあり、二回目は拓海が帰宅してから電話があり、電話に出ようとしたら切られた。拓海は良い気がせず、それからは気づいても無視をする事にした。
 はあ、嫌がらせか? 非通知の電話と秀也の写真を送りつけてくるなんて、俺たちの事を知っている奴しかいないよな。しかも、アメリカにいる秀也の写真を撮れるとしたら、二人以上関係してるだろうな。警察に通報するか? いや、通報したところで、この写真と非通知の電話だけじゃ証拠にもならないか。なぜ秀也の写真が送られてきたのか、問われてもよく分からないし。見方によって、自分に浮気現場を伝えようとしてきたように思えるもんな。
拓海はため息をついた。
 はあ、どうしようか。……秀也と連絡が取れないんじゃ様子見しかないよな。
封筒に写真を戻し、何かあった時の為にと棚の中に仕舞った。
 疲れた。せっかく南先輩とのご飯楽しかったのに。
拓海はベッドに倒れ込み、現実から逃げるように瞼を閉じた。
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