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美羽ルート

ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美羽√(15)

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 家族に『私の事を彼女にしたいと思う?』などと聞かれたら、他の人はどう答えるのだろうか。
そんな想像をしてみても、いくら親身になっても、俺はすんなりと答えを出す事が出来なかった。
それは何故か……簡単な話だ。彼女が、神楽坂美羽という少女が俺の『妹』という立場だからだろう。

 「……ねぇ、どうなの?兄者」
 「どうって言われてもなぁ」

 美羽の事は別に嫌ってなど居ないが、それでも彼女にして良いかどうかなど別問題だろう。個人的問題ではなく、世間体の話で言えば有り得ない話だ。兄妹で恋をして、付き合ったという話を俺は現実世界では知らない。創作の世界、それこそ、アニメや小説、漫画には多々見られる光景だ。
 だが……これは現実だ。俺が答えに迷って当然のはずなのだが、美羽の迫る顔を見ていると答えを出し兼ねている自分が居る事を自覚してしまう。

 「……美羽の事は、俺は嫌いじゃない」
 「――じゃあっ!」
 「でも美羽、お前とは彼女にはなれないと思うぞ」
 「何で?」
 
 悲しそうな表情を浮かべる美羽の事を見て、俺は心の奥底にある良心がズキンと痛む。だがしかし、俺はそれを答えなくてはならない。一人の男として、兄として、明確な答えを出さなくてはならない。

 「真面目な話。俺はお前との血の繋がりは無いから、付き合えるし、ぶっ飛んだ話を言うと結婚だって出来るだろうさ。だけど、それは出来ない。血の繋がりが有っても無くても、俺にとっては大事な妹なんだ。妹なんだよ、美羽」
 「……」
 「その事実は変わらないし、変える事は出来ない。俺とお前との間には、恋愛だけで越えて良い壁が無いんだ。俺がお前の兄じゃなくて、本当の、ただの友人関係だったら付き合ってたかもしれない。それぐらい美羽は魅力的な女の子だ。元気で明るくて、誰にでも分け隔てなく接して、優しい女の子だ」
 「……っ……」
 「でも俺はっ――」
 「そ、そうだよね。ご、ごめんね?兄者。困らせるような質問して、もう良いから……美羽、ちょっと明日日直なの思い出したから、もう寝るね?お、おやすみ!」
 「――美羽っ」

 ダッダッダと廊下を走る音が離れて行き、俺の部屋の扉はゆっくりと閉まっていく。俺は去っていく美羽の背中に手を伸ばしたまま、微かに見えた横顔によって手が止まってしまった。

 「……っ(兄貴失格だな、俺は)」

 微かに見えた美羽の横顔は、俺には泣いているようにしか見えなかった。だから美羽は、逃げるように部屋から飛び出して行ったんだと思う。いや、そうとしか考えられないからこそ、俺はこうして悔しがっているのだ。もっと、ちゃんとした答えを出せたんじゃないかって、俺は一人で後悔するのであった――。
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