30 / 68
美羽ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美羽√(15)
しおりを挟む家族に『私の事を彼女にしたいと思う?』などと聞かれたら、他の人はどう答えるのだろうか。
そんな想像をしてみても、いくら親身になっても、俺はすんなりと答えを出す事が出来なかった。
それは何故か……簡単な話だ。彼女が、神楽坂美羽という少女が俺の『妹』という立場だからだろう。
「……ねぇ、どうなの?兄者」
「どうって言われてもなぁ」
美羽の事は別に嫌ってなど居ないが、それでも彼女にして良いかどうかなど別問題だろう。個人的問題ではなく、世間体の話で言えば有り得ない話だ。兄妹で恋をして、付き合ったという話を俺は現実世界では知らない。創作の世界、それこそ、アニメや小説、漫画には多々見られる光景だ。
だが……これは現実だ。俺が答えに迷って当然のはずなのだが、美羽の迫る顔を見ていると答えを出し兼ねている自分が居る事を自覚してしまう。
「……美羽の事は、俺は嫌いじゃない」
「――じゃあっ!」
「でも美羽、お前とは彼女にはなれないと思うぞ」
「何で?」
悲しそうな表情を浮かべる美羽の事を見て、俺は心の奥底にある良心がズキンと痛む。だがしかし、俺はそれを答えなくてはならない。一人の男として、兄として、明確な答えを出さなくてはならない。
「真面目な話。俺はお前との血の繋がりは無いから、付き合えるし、ぶっ飛んだ話を言うと結婚だって出来るだろうさ。だけど、それは出来ない。血の繋がりが有っても無くても、俺にとっては大事な妹なんだ。妹なんだよ、美羽」
「……」
「その事実は変わらないし、変える事は出来ない。俺とお前との間には、恋愛だけで越えて良い壁が無いんだ。俺がお前の兄じゃなくて、本当の、ただの友人関係だったら付き合ってたかもしれない。それぐらい美羽は魅力的な女の子だ。元気で明るくて、誰にでも分け隔てなく接して、優しい女の子だ」
「……っ……」
「でも俺はっ――」
「そ、そうだよね。ご、ごめんね?兄者。困らせるような質問して、もう良いから……美羽、ちょっと明日日直なの思い出したから、もう寝るね?お、おやすみ!」
「――美羽っ」
ダッダッダと廊下を走る音が離れて行き、俺の部屋の扉はゆっくりと閉まっていく。俺は去っていく美羽の背中に手を伸ばしたまま、微かに見えた横顔によって手が止まってしまった。
「……っ(兄貴失格だな、俺は)」
微かに見えた美羽の横顔は、俺には泣いているようにしか見えなかった。だから美羽は、逃げるように部屋から飛び出して行ったんだと思う。いや、そうとしか考えられないからこそ、俺はこうして悔しがっているのだ。もっと、ちゃんとした答えを出せたんじゃないかって、俺は一人で後悔するのであった――。
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる