オットマンの上で

刺客慧

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第四話:玉と竿(下)

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(前回までのあらすじ)

 〇ンポのない双子のトイプー、ライジャとデズルは、まだ見もしていない双子のダルメシアンとのロマンスを夢見ていた。

 しかし外道の人鳥ペンギンに、お前らは宦官かんがんだから夢を見るな、と訳の分からない理論で未来を否定され、『項羽こうう劉邦りゅうほう』を見て絶望する。

 未来への希望を失った双子に救いの手を差し伸べたのはママだった。何と一晩でタマ竿さおをドッキング。

 彼らは男になった。

 双子は白ブリーフもっこり状態でオットマンに再臨さいりん暴言巨尻更年期前人鳥ペンギンちゃんに復讐を果たして、トップAV男優への道を突き進むのだった……。


***


 双子が去ってから、オットマンの上では何事もなかったかのように、芸術祭への準備が再開されていたように見えた。

「エゴン君……。エゴン君!」

「うぇし。何ですか先輩……」

「絵、それでいいの?」

 エゴンは先ほどまで裸婦画らふがを描いていたはずだが、いつの間にかその股間は白のブリーフがあり、そこだけ統一感に欠ける色彩とバランスが配されていた。ブリーフの白は先につきだそうとして途中でやめた跡がある。途中で冷静さを取り戻したのだろう。

「うす。別にこれでいいです」

「そう……」

 ジェイミーはエゴンの方に少し気を残しつつも、自分の彫刻ちょうこくに目を向けた。

 しかし感じる。エゴンの視線が明らかに自分の股間に向けられていることに……。背筋にダニが走った。それでも気にしないふりをして、彫刻の表情を掘り進める。

「先輩、できました!」

「早いね。さすが若いと勢いが違う」
 ジェイミーはエゴンの絵を改めて見たが、先ほどと何も違いがない。

「え、これで完成?」

「先輩、できましたよ!」
 エゴンの視線は絵に向いていない。興奮気味に自分の股間にチラチラと目を落としている。

 ジェイミーは見て仰天ぎょうてん。ワタが一部に凝集してエゴンの股間がもっこり膨らんでいた。

「何してんの、エゴン君」小声でジェイミーは注意する。

「だって、先輩。前、森口博子見て同じことしてたでしょ。俺も試してみよって」

「何で見てたの? それと、だからってここでやらなくたって……」

「先輩、俺らのこれって勃起ぼっきなんですか?」

「知らないよ! 元に戻して。早く! 誰かに見られる前に……」


***


 トイプードルの双子、ライジャとデズルはプテステージ本社事務所にいた。

 受付で俳優はいゆうデビューの意図を伝えると、地下一階の机も窓のない殺風景さっぷうけいでだだっ広い部屋に案内されたのだ。現在は部屋のはしに並べられているパイプ椅子に座っている。

 五分おきくらいにスタッフや他の俳優志望者が入ってきて徐々に部屋には人が増えている。
 俳優志望者たちはみなパンツ一丁だった。

「あのー。すみません」

 デズルの隣に座っていた二十代後半から三十前の無精ひげを生やした男性が話しかけてきた。明らかに自信がなさそうな雰囲気ふんいきだ。

「こんにちは」

「こんにちはでしゅ」

「お二人は、今日は男優の面接に参加されるのですよね? 初めてですか」

「男優? たぶんそうでしゅ。初めてでよろしくでしゅ」「おじさんは俳優ではないでしゅか」

「僕は副業です。お笑い芸人をしていて」

「お笑い芸人! かっこいいでしゅ」「立派でしゅ」

「いえいえ、どうも。失礼ですが、かなり若そうな感じですね」

「僕ら四歳でしゅ」「来年の一月に誕生日でしゅ」

「ええー! お二人とも未成年ですか? すごいな今の業界は。勉強になります」

 ドアが強く開いて、片腕に書類の束を乗せた男が入ってきた。明らかに他のスタッフと雰囲気が違うため、パイプ椅子に座っている者たちは一斉に身構えた。

「おはようございます!」男が挨拶をした。それに答えて皆も勢いよく、挨拶あいさつを返した。

「お集まりいただきありがとうございます。私、今回の監督の背負魚せおいうおです。プテステージの職員も兼任けんにんしています」

 皆、何も言わず神妙しんみょうにしていた。

「皆さんには本日、汁男優しるだんゆうとして、こうしてお集まりいただきましたが、希望される場合には弊社へいしゃと長期契約をしていただき、プロ男優としてのキャリアを築いていただきます。まずはお一人、お一人、この場で面接していきますので、よろしくお願いします」

 面接が順々に始まった。

 ……、……。
「では西瓦木にしかわらきさんは、以前、ボンデマンドグループで出演していたと、契約は残っていますか? 保険は?」

 細かな質問がされる様子を見ながら、双子の表情は無だった。何も考えていないのである。

「お二人は双子ですね。一緒に面接を行います」

「よろしくおねがいしましゅ」

「お二人、生年月日は」

「よくわからないでしゅ」「ぼくら、いつどこで生まれたでしゅか」

「そうですね……。お二人、腰のところにタグがありますよね。ちょっと写真を撮らせてください」

「これでしゅか?」

「はいはい、少々失礼。後で、こちらで製造年月日を調べておきますね」

「ありがとうございましゅ」

「お二人、かなり毛深いですね」

「僕ら生まれつき毛だらけでしゅ」

「んー。そうですか。申しておくと、今の男優さんはもれなく股間や上半身の剃毛ていもう、あるいは脱毛した状態で出演いただいています。ただ、お二人は犬っぽい見た目をしているので、体毛の件は一旦保留にしましょう。他のメーカー作品には出演されていますか」

「出てないでしゅ」

「病歴とかは」

「特にないでしゅ」「毎日健康でしゅ」

「直近で性交した日を教えてください」

「今日成功したでしゅ。二人でペンギンの腹にぶち込んだでしゅ」

「なるほど……、本日は汁男優なので結構ですが、後日検査を受けてもらいますのでよろしくお願いしますね。お二
人、長期契約希望ということで何か、展望かアピールがあればお聞きします」

「お金いっぱい稼ぐでしゅ」「稼いでお嫁しゃんもらうでしゅ」

「すばらしいバイタリティですね。よろしくお願いします」

 双子の面接で最後だった。背負魚監督は部屋に女優を招いた。

「おはようございまあす」
 女優は明るく、皆の顔を見ながら愛想を振りまいていた。ベージュのドレスを着ている。
「うちで契約している味噌咲梨央みそさきりおちゃんです。皆さんご存知ですよね。経歴は割愛かつあいしまーす」

「みんな、あたしのためにこんなに集まってくれたのー。ゲキエモ。よいちょまるー」

 一部から、いえー、うひょー、と沸き立つ気持ちが押さえられない感嘆があがった。双子も真似して遠吠えをあげた。

「はいはい、その辺で」

 監督から注意された。

「うるさかったでしゅか」「ごめんなしゃい」

「ちょっとこの子ら、ヌーイーじゃん。双子じゃん。ちっちゃくてモキュいー」
 ギラギラにデコレーションされたネイルの手で双子はあごをこねこね、なでなでされた。

 しかし男になった今日の双子は一味違う。簡単にはなびかない。

「失礼な。僕らは成犬でしゅ。たぶん……」「ちんちんはデカいでしゅ」

「きゃー、きゃわたーん! おこおこ。ぴえん、ごめんねー」

 話が進まないので監督が割って入った。女優は双子をはじめ皆に、頑張ろー、と激励を入れた。

 周りを見るとスタッフがカメラを構えていた。撮影はすでに始まっているらしい。

 女優がドレスを脱いで下着姿になった。監督の指示に従い、先頭の汁男優が女優の前に行った。
 
 パンツを脱がして出てきた竿サオを手でり始めた。その光景を見て二人は無表情のまま五秒ほど思考が止まった。

「何してるんだろうね、デズ」「僕らもあれされるのかな……、ライ」

「あれは、先頭の六、七人までですよ、後列の僕たちはかけるだけなので安心してください」
 先ほど話しかけてきたお笑い芸人のおじさんが、小言で教えてくれた。

「それよりも二人、合図がかかるので準備しておいた方がいいですよ」
 お笑い芸人のおじさんはパンツの上から自分のものをこすっていた。それを見て双子は首をかしげる。

「こすればいいんでしゅか」「こう? こう?」
 とりあえず真似をしてみたが何もなかった。

 隣を見てびっくり。お笑い芸人のおじさんの股間がライジャ以上にふくらんでいる。

「〇んぽってデカくなるでしゅか」「ライ、あれ……」

 女優の方を向き驚愕きょうがく。擦られていた竿は天に向かい反り返り、ギンギンに血管を張らせていた。驚きはそれだけではない。女優はそれを口に含んだのだ。

「食べた! 食べたでしゅ」「信じられないでしゅ! あれが男と女の本気……」

「お二人も同じです、必ずビンビンになりますよ! 大丈夫大丈夫」
 芸人のおじさんが励ます。双子はちょっと焦り、今後はお互いのものをこすりあってみた。

「ライのムニュムニュだねー」「デズのは玉までカチカチだなー」
 双子は一心不乱にこするがサイズに変化はない。

「そうだ、あれやろう」「あ、しょっか」
 パンツの上からだが、双子は交互にお互いのものを口に含んで、ちゅぱちゅぱとなめ合い始めた。次第に周りの汁男優たちの視線が、女優から双子の方に移る。みんな何か変な鳴き声のようなものが聞こえた気がした。ギョ、ギョ、とか、ちょっと、ちょっと、とか……。

 周りから、がんばれ、パンツぬいで、といろいろな声援がかかる。双子は一心不乱だった。

「ヌーイーちゃんたち、サゲサゲなの?」

 神業の如く三本四本と黒竿をさばいていた女優が双子の方に声をかけた。どうやらぶっかける順番が来ていたようだ。

「私が抜いたげる」
 女優が双子のふぐりを左右に持ちもみ始めた。

「うーん。何かこっち玉っぽくなーい。こっちカチカチだしー」
 不思議そうにマッサージをしながら女優は双子のパンツを下げた。
「あ……!」

 双子を含めて全員が同じ声を上げた。ライジャのパンツの中からカエルのぬいぐるみが出てきて女優の手のひらに乗り、デズルのパンツの中から、ピンク色のシフトレバーのノブと釣り用の重りが二個出てきた。

「きゃぱ! 外れちゃった……」

「ごめんなしゃい、外れちゃった」「僕も、外れちゃったでしゅ」

 女優はどうしようと、カメラを向いて少し照れて、監督の方を向いた。監督はカメラを止めさせて双子の方に歩いてきた。

「なんてことだ。君らは去勢きょせいされてたのですね……。こんなものまで付けて……」
 周りは見事なほどお通夜つやムードだった。一人として男はいなかった。そして、全ての処遇しょぐうは監督にゆだねられた。

「可哀そうに。だが付けチンは到底とうてい許されることではない……。君らは不合格です」

 そこに、お笑い芸人のおじさんが、いえ……、と双子をかばうように発言した。
「彼らを責めないでください。責められるのは僕だ」

 みんな、何故か懺悔ざんげを始めた芸人のおじさんを見た。

「僕は楽な小遣い稼ぎの感覚でここに来てました。汁男優をなめていた。彼らを見て学びました。必要なのは付けチンしてまでも、勝負の場に上がるプロ根性だ……」

 ほかの汁男優たちが悔しそうにしながら、それに呼応した。

「そうだ。彼らはお互いを助け合いながら、必死に立たせようとしていました。それに比べ、僕は卑しい……。立たなくてもこすってもらえるから大丈夫、と簡単に考えていました……」

「彼らを見て学びました。確実に濃いのを出せる汁男優であるために、時には周りに口のヘルプを求める姿勢が必要だと……」

 うむ、と監督は一つ頷いて、目を輝かせた。
「私は簡単に判断を下すところでした。彼らの反り立った決意を踏みにじる……。
 そんなことをして、気持ちよく顔射のできる現場ができるわけがない!」

「監督!」
「いいぞ、監督!」
「マジよいちょまるー!」

 スタッフも女優も男優たちも監督の言葉に一気に沸き立った。しかし、ふと冷静になったスタッフの一人が問いかけた。

「……。それで、彼らをどうやって続投させましょうか」

 周りは一斉に黙ってしまった。


***


 オットマンの上は待ちに待った芸術祭、その前夜祭の最中であった。

万道久瀬道夫まんどくせみちおさんでした!」

「センキュー! 明日も来るぜ!」

「ギャギャギャ」

「くんな! 道夫〇ねー!」

 万道久瀬道夫の渾身こんしんのロック演奏の後、観客は壇上に上がりウーファーを叩き壊したり、ドラムを蹴とばしたり、前夜祭で出し切る気満々だ。

「お母ちゃん。堪忍やでー。堪忍やでー」

 ペンギンちゃんはすでに泥酔して転がっている。ジェイミーはそれを羽交い絞めにして引きずっていた。エフィも同じようにゴミを拾いながら、酔っぱらいの面倒を見ていた。

 そこに、元気のない双子が帰ってきた。

 二人は何も声をかけられなかった。

 すでにその股間には白く輝くブリーフはなく、ドッキングされていた(単にブリーフの中に入っていただけだが)黄色いカエルのぬいぐるみと、取り外されたシフトレバーが後ろからついてきている。

「エフィしゃん、ジェイミーしゃん……」「新しい仲間でしゅ。仲良くしてほしいでしゅ」

 カエルはギョギョ、と鳴き声を発しながら前夜祭のステージの方に跳ねて行ってしまった。エフィはシフトノブの方を見る。

「これって、旦那の車についてたやつじゃ……」

「やつ、じゃないわよ」

 しゃべった。自立して歩いていることと言い、やはり生きている。

「あたし、ノブ子。手垢てあかにまみれたくないから、もうあのオヤジの車には戻らないわ」

「よ……。よろしく……」

「二人とも、今日はお疲れ様」

 ジェイミーは双子に声をかけたが、何となく何が起きたか察してしまい、その後の言葉が出なかった。

「偽物のちんちんに価値は無かったでしゅ」「僕ら一生、宦官かんがんでしゅ。どうしていいのか分からないでしゅ」

 エフィとジェイミーは顔を見合わせた。ジェイミーの視線はやや批判的だった。エフィは視線を逸らせた。

「ねえ。今日は疲れているのよ。もう休んだ方がいいわ」

「あ、そうそう」
 ジェイミーはどこからか、また、ハードカバーの本を出した。
 題名は『蒼穹の昴そうきゅうのすばる』。
 作者は『浅田次郎あさだじろう』。

「気晴らしにこれを読んでみるといいよ。宦官が活躍する本なんだ」

「ありがとうございましゅ」「この親切は忘れないでしゅ」

 双子はしなだれたまま去って行った。


***


 次の日の朝。

「おえー! おえー! へし折れたガードレールが見たいー!」
 ペンギンちゃんは朝が来ても酩酊めいてい状態のままでゲロを吐き出していた。あの後、夜中に起きて、そこから夜通し飲んでいたらしい。

 周りは本祭開幕の準備をしながら呆れて見ていた。やがてペンギンちゃんは自分の吐いたゲロの中に顔を突っ込んで動かなくなった。

 そんな中で、双子はオットマンの上に現れた。ご機嫌だった。

「おはよう。二人とも」

「おはようございましゅ。エフィしゃん」

「二人とも元気になったのね。良かった」

「ジェイミーしゃんの本のおかげで僕ら学んだでしゅ」「宦官かんがんにも立派な人がいたでしゅ。僕らも西太后せいたいごうに仕える立派な宦官になるでしゅ」

「あ、おはよう」
 ジェイミーも起きてきた。

「ジェイミーしゃーん!」「僕ら皇后に仕えるでしゅ。皇后! 皇后はどこにいましゅか?」

「皇后……。自称ならあそこにいるけど……」
 ジェイミーは汚物の中にうつ伏せのまま動かないペンギンちゃんを指さした。

「とりあえず背中さすってあげたら……」

 双子は飛び跳ねて向かい、ペンギンちゃんの背中をポコポコ叩きだした。

「……。君も大概無責任なことしたよね」
 ジェイミーはエフィをたしなめた。

 言い返せはしたが、エフィは、そうねごめんなさい、と深々と頭を下げて反省した。二人は本祭の準備に戻った。
 
 双子は相も変わらずポコポコとペンギンちゃんを叩いていた。

「すいませーん」

 双子は声をかけられた方を見ると、そこには小麦色のゴールデンレトリバーのぬいぐるみが座っていた。

「あ……」

「二人ともここの在住? 変なおじさんに頼まれてチェン家してきたんだけど、そこにいるみんな、ギスりまくっててわけわかんない。TBSだしー」

「そ、そ、そうでしゅ。住民でしゅ」「よ、よよ、よろしくおねがいしましゅ」

「りょ。やさしそうな地味メンいてチョーAS。あたしメルザ、一枚とっていいー」
 返事をする前にメルザは双子と肩を組み、自撮りを済ませた。双子は返事らしい返事が出せず、ひたすらどぎまぎしている。

「ボ、ボク、ライジャ、こっちはデズル……」「フフ、フ、双子でしゅ。ショ、職業は宦官でしゅ」

 メルザはスマホに目を落としたまま双子の話を聞いていた。
「へー、カンガン。流行ってるよねー」

「ソソ、そうなんでしゅか。知らなかったでしゅ」「メ、メ、メルザしゃんも宦官でしゅか?」
 インスタに写真を上げ終わり、メルザは真顔で双子を向いた。

「全然。あたし、女だし。それに去勢してないよ」

 双子は反応に困り、ますますうろたえた。
「キョ、キョ、きょせい……?」「オ、オ、おにゃのこ……。どうなってるでしゅか」

「マジ? 見たい? いいよ」
 メルザは立ち上がり、着ていたパンツを下着ごと勢いよくずり下した。

 双子の眼前に新世界が広がった……。


***


 芸術祭もすでに終幕が近づいている。フィナーレを前にして、今はクラシックが演奏されている。

 フィナーレは壇上だんじょうかかげられている、覇気のないベートーベンのような白髪で馬面のとある人物画に、観客席から槍やロケット花火で一斉集中砲火する段取りである。

「ちょっと、ジェイミー」
 エフィが息を切らせて走ってきた。

「どうしたの?」ジェイミーは聞いた。

「ライジャとデズルが上海行きの飛行機乗るって言って飛び出して行っちゃった」
 ジェイミーは、それを聞いてぼそっとつぶやいた。

「……。うーん。もう何も言うまい……」

「だめでしょ。何とかしないと」

 舞台の静かな雰囲気にとらわれほうけてけたままである。ジェイミーは、再びぼそっとつぶやいた。

「遥かな大陸へ……。いいなあ……」

「現実逃避しないで。あの子たち、自分たちの〇ンポを探しに中国へ行ったのよ!」

                                                  ‐了‐
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