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IFストーリー
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しおりを挟む──あれは、もう半年近く前のこと。
街一番の観光スポットで、有名なデートスポットでもある大教会に行ったことがある。
この街に引っ越してきてそれなりの時間は経ったけれど、義兄は大教会なんて興味ないし、……たぶんそういう場所は嫌いだろうから、興味はあっても連れて行ってと言うことは出来なくて。
ランブルト様に連れて行ってもらえた。
ちなみに、それが彼との初デートだった。
陽の光を通して、複雑な色を放つステンドグラスはとても神秘的で。
綺麗、とわたしは言った。
ランブルト様は大教会が設立された経緯やステンドグラスの説明をしてくれた後、最後にぽつりと「綺麗だ」と言った。
わたしも「そうですね」と言った。
でもすぐに、ランブルト様がステンドグラスではなくわたしを見つめていることに気付いた。異性からあんなに熱っぽく見られたのは初めてで、頬が赤くなるのが抑えられなかった。
それから、終始ランブルト様にリードされながら、初デートを楽しんだ。
昼間に動き回ったせいで疲れてしまって、ベンチで休憩した時のこと。
『愛しています』
また、初めての体験をした。
初めて、異性からそんな事を言われた。
『貴女じゃないと、俺はダメなんですよ』
鬼気迫る声だった。
腰を抱かれて、若葉色の瞳に覗き込まれて、人生で初めて異性からひたむきな愛を向けられた。結婚を前提にした交際の返事も求められた。でもわたしは……すぐにイエスと答えられなかった。
……それから、ずるずると時間が過ぎていった。
優しくて素敵なランブルト様に甘えて、甘えて、甘え続けた。
──これは、わたしとランブルト様の話なのに。
どうして。
わたしはいま、ハーフ吸血鬼の義兄に押し倒されているのだろう。
「──これ、どういう状況かちゃんと説明して?」
何も言えなかった。
口を開いても何も言葉が出てこなかった。
「答えられないの?」
わたしが視線を逸らすと、なぜか苛立ったような棘のある声が聞こえた。
ギシッとベッドが軋む音がして、義兄はわたしの体を跨ぐように膝立ちになる。じっとりと舐めるように見つめられている事に気付いて、少しでも義兄の視界に入らないように身を捩る。恥ずかしさにそっと目を閉じた。
「こんな下着、持ってなかったよね」
「っん、ぁ……や、触っちゃ……っあぁっ!」
いわゆる夜着だ。
肌触りのいい生地で、下着としては最高級品。ウエディングドレスがモチーフらしく、白を基調としたデザインはとても可愛らしい。肌が透けて見えるため、男心をくすぐる刺激的な夜着。
「は、ぅ……っん……ぁ………」
脇腹を指でなぞられたと思ったら、アゼル様は顔を近付けてきた。
首……というより、耳の下あたりに彼の鼻が軽く当たる。
「……発情した雌の匂い」
……わたし……発情してるの……?
「雄の匂いも纏わりついてる……」
ダメ……そんなに近づかないで……。
そんな耳もとで囁かないで……。
「…………もしかして、一晩中抱かれた?」
「っ、……っん、んぅ……っ!」
蛇のように絡みついてくる視線にすら、ビクビクッと体が反応してしまう。近くにあった枕に顔を押し当てた。
「……や……見ないで、ください……」
彼の手が、わたしの恥丘に近付いていることに気付いた。いま足を閉じているからソレは見えていないだろうけれど、察しの良い義兄なら気付いただろう。
指の腹が太ももを内側に触れる。
「あぅ……っ」
「また、こんなものを仕込まれて」
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