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IFストーリー
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【まえがき】
『ハーフヴァンパイアは虚弱義妹を逃さない』のIFストーリーですが、本作だけでも楽しめるようにしてます。
本編よりもヤンデレ感強めで退廃的&インモラルエロを重視しています。
本作のシチュタグです。
嫉妬/執着/独占欲 束縛/愛激重/ヤンデレ・闇落ちヒーロー/最後まで快楽に抗うヒロイン&快楽堕ち/ラストのみ♡表現有/キスマーク/お互い意識し合う男達/見せつけ/ダーク/黒髪美形/金髪美形/言葉責め/玩具/調教/クリ舐め/魔力注入/中出し/3P/歪んだ三角関係/快楽漬け/触手/後孔/二穴挿し/魔法/魔力/メリバ風3Pエンド/インモラル
------------
冬になると太陽の沈みが早い。さっきまでまばらだったガス灯の光が、そこかしこでオレンジ色の光を放つようになっている。……とっても寒い。ほぉっと息を吐くと、見事なまでに白い息だ。
わたしがいま立っている場所は、待ち合わせ場所として有名な巨大な噴水前。夏なら大量の水を噴き上げているところだけれど、あいにく冬なので水は出ていない。
いくら暑がりなわたしでも、ずっと外で待ち続けるのはちょっと堪える。
「ねぇ、ちょっと見てあの人! すっごい美形……っ!」
「金髪だわ……っ! あの人も誰かと待ち合わせしているのかしら……!」
周りの若い女性陣の声に導かれて見てみれば、向こうから背の高い金髪の男性が歩いてきた。
「待って、あの人“白王子”じゃないっ!?」
「え、うそ。間近で見るの初めてっ! あんなかっこいいの……!!」
明らかに質がいいと分かる上等な冬用コートを身に纏う彼は、黄色い悲鳴に微笑み一つを返している。女性の扱いなんてお手の物なのだろう。
周りから羨望の視線を一心に浴びながら、彼はまっすぐわたしのほうへ歩いてきた。
「お待たせしてすみません」
「あんまり待ってないので、そんな気にしなくても……」
「いいえ、気にします。寒空の下、大切な女性を一人で待たせてしまったのですから」
にこりと微笑む彼は、ランブルト・ホイットニー様。
六つ年上の二十五歳。
名門貴族であるホイットニー家のご令息である。ホイットニー家は古くからある貴族の家柄で、潤沢な資金でたくさんの会社に出資したりしている。
正真正銘の、お坊ちゃまだ。
ランブルト様がパーティに出席すると、彼と婚約したい女性たちがどっと押し寄せる。ただ家柄がいいだけじゃなく、眉目秀麗で気遣いができて、女性の扱いも手慣れている。
金髪で白い正装を着こなす彼が王子様風に見えるところから、白王子と呼ばれるようになったのだとか。
貴族だけじゃなくて中・上流階級の貴婦人にまで呼び名が届いているのだから、彼がいかに人気者かよく分かる。
わたしも、実はハッシュフィードという令嬢だった。
ハッシュフィードは魔物狩りを家業にする貴族の家柄。
でも家が火事に遭って没落してしまったため、今はただの庶民。その時から家格の差があったのに、今となっちゃランブルト様は雲の上の存在だ。
お金持ちのご子息で、王子様みたいに華やかな顔立ちをしていて。
甘くて魅力的な声で、いつも囁いてくる。
「こんなに手が冷たくなってる。……私が温めてさしあげますよ」
いつの間にか、彼がわたしの手を掴んでいた。生温かい息を吹きかけられ、撫で回すようにさわさわと手の甲を触れられる。どうしても、身体が反応してしまう……。
「あぁ、顔が赤くなった。やっぱり可愛い人だ」
「からかわないで、ください……」
「大好きなので、からかいたくなりますよ。これで貴女の心を私でいっぱいに出来るのなら本望だ。伊達に五年も片想いしてませんよ?」
「…………」
ランブルト様がこんなちっちゃい女に構う理由は、わたしが初恋の人だかららしい。
ことの始まりは五年前──わたしがまだ十四歳のとき。
そのとき、まだ家は没落していなかった。
家の用事でハッシュフィード家を訪れていたランブルト様が、足を怪我した。偶然ランブルト様を発見したわたしが、治癒魔法をかけて世話をしたことがある。
どうやら、一目惚れしたらしい。
本当はすぐにでもわたしと婚約を結びたかったらしいのだけれど、そのあとハッシュフィード家が没落し、わたしが庶民になって行方が分からなくなったため、その時は諦めたらしい。
わたしがこの街に引っ越して、ランブルト様と再会する機会があった。そこで、結婚を前提にした交際を申し込まれたのだ。
「じゃあ、行きましょうか」
「…………あ、の」
「ん?」
モジモジしていると、ランブルト様はすぐに理解したような顔になる。わたしの腰を抱き寄せ、耳もとで囁いてきた。
「久しぶりだから、欲しくてたまらなくなりました?」
背中にぞわぞわとしたものが走る。ギュッと目を閉じて、軽く首を振ると、クスクスと笑う声が聞こえた。
「いいですよ。女神様のお望み通りに」
ランブルト様がわたしの手を掴み、恋人のように指を絡ませてくる。かたちのよい唇が近づいてきて、わたしの唇に重なった。
「ん、ふぅ……っ」
するりと舌が入り込んできて、軽く口内を舐め回される。流れ込んでくる唾液が甘い。ビクッと体を震わせて耐えていると、意外と早くランブルト様が離れていった。
「ぁ…………っ」
「物欲しそうな顔してますね」
きゅっ、と唇を引き結ぶ。
心臓がドカドカと音を立てていた。
「可愛いな。でも今はダメ。ここは人目につきますから、これ以上の魔力はあげられませんよ?」
わたしは、常に魔力を消費する体質だ。
そのせいで虚弱になってしまい、ろくに働くことが出来ない。
薬を飲むことでその場しのぎになっているけれど、気を抜くとすぐに倒れてしまう。
ランブルト様はそれを知った上で、定期的にキスをしてわたしに魔力をくれる。
魔力譲渡────れっきとした“治療”だ。
彼の魔力はとっても甘くて……キスされると、いつも頭がぽわんとしてしまう。
「じゃあ、行きましょうか。久しぶりのデート」
差し出されたランブルト様の手を、わたしはそっと掴んだ。
『ハーフヴァンパイアは虚弱義妹を逃さない』のIFストーリーですが、本作だけでも楽しめるようにしてます。
本編よりもヤンデレ感強めで退廃的&インモラルエロを重視しています。
本作のシチュタグです。
嫉妬/執着/独占欲 束縛/愛激重/ヤンデレ・闇落ちヒーロー/最後まで快楽に抗うヒロイン&快楽堕ち/ラストのみ♡表現有/キスマーク/お互い意識し合う男達/見せつけ/ダーク/黒髪美形/金髪美形/言葉責め/玩具/調教/クリ舐め/魔力注入/中出し/3P/歪んだ三角関係/快楽漬け/触手/後孔/二穴挿し/魔法/魔力/メリバ風3Pエンド/インモラル
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冬になると太陽の沈みが早い。さっきまでまばらだったガス灯の光が、そこかしこでオレンジ色の光を放つようになっている。……とっても寒い。ほぉっと息を吐くと、見事なまでに白い息だ。
わたしがいま立っている場所は、待ち合わせ場所として有名な巨大な噴水前。夏なら大量の水を噴き上げているところだけれど、あいにく冬なので水は出ていない。
いくら暑がりなわたしでも、ずっと外で待ち続けるのはちょっと堪える。
「ねぇ、ちょっと見てあの人! すっごい美形……っ!」
「金髪だわ……っ! あの人も誰かと待ち合わせしているのかしら……!」
周りの若い女性陣の声に導かれて見てみれば、向こうから背の高い金髪の男性が歩いてきた。
「待って、あの人“白王子”じゃないっ!?」
「え、うそ。間近で見るの初めてっ! あんなかっこいいの……!!」
明らかに質がいいと分かる上等な冬用コートを身に纏う彼は、黄色い悲鳴に微笑み一つを返している。女性の扱いなんてお手の物なのだろう。
周りから羨望の視線を一心に浴びながら、彼はまっすぐわたしのほうへ歩いてきた。
「お待たせしてすみません」
「あんまり待ってないので、そんな気にしなくても……」
「いいえ、気にします。寒空の下、大切な女性を一人で待たせてしまったのですから」
にこりと微笑む彼は、ランブルト・ホイットニー様。
六つ年上の二十五歳。
名門貴族であるホイットニー家のご令息である。ホイットニー家は古くからある貴族の家柄で、潤沢な資金でたくさんの会社に出資したりしている。
正真正銘の、お坊ちゃまだ。
ランブルト様がパーティに出席すると、彼と婚約したい女性たちがどっと押し寄せる。ただ家柄がいいだけじゃなく、眉目秀麗で気遣いができて、女性の扱いも手慣れている。
金髪で白い正装を着こなす彼が王子様風に見えるところから、白王子と呼ばれるようになったのだとか。
貴族だけじゃなくて中・上流階級の貴婦人にまで呼び名が届いているのだから、彼がいかに人気者かよく分かる。
わたしも、実はハッシュフィードという令嬢だった。
ハッシュフィードは魔物狩りを家業にする貴族の家柄。
でも家が火事に遭って没落してしまったため、今はただの庶民。その時から家格の差があったのに、今となっちゃランブルト様は雲の上の存在だ。
お金持ちのご子息で、王子様みたいに華やかな顔立ちをしていて。
甘くて魅力的な声で、いつも囁いてくる。
「こんなに手が冷たくなってる。……私が温めてさしあげますよ」
いつの間にか、彼がわたしの手を掴んでいた。生温かい息を吹きかけられ、撫で回すようにさわさわと手の甲を触れられる。どうしても、身体が反応してしまう……。
「あぁ、顔が赤くなった。やっぱり可愛い人だ」
「からかわないで、ください……」
「大好きなので、からかいたくなりますよ。これで貴女の心を私でいっぱいに出来るのなら本望だ。伊達に五年も片想いしてませんよ?」
「…………」
ランブルト様がこんなちっちゃい女に構う理由は、わたしが初恋の人だかららしい。
ことの始まりは五年前──わたしがまだ十四歳のとき。
そのとき、まだ家は没落していなかった。
家の用事でハッシュフィード家を訪れていたランブルト様が、足を怪我した。偶然ランブルト様を発見したわたしが、治癒魔法をかけて世話をしたことがある。
どうやら、一目惚れしたらしい。
本当はすぐにでもわたしと婚約を結びたかったらしいのだけれど、そのあとハッシュフィード家が没落し、わたしが庶民になって行方が分からなくなったため、その時は諦めたらしい。
わたしがこの街に引っ越して、ランブルト様と再会する機会があった。そこで、結婚を前提にした交際を申し込まれたのだ。
「じゃあ、行きましょうか」
「…………あ、の」
「ん?」
モジモジしていると、ランブルト様はすぐに理解したような顔になる。わたしの腰を抱き寄せ、耳もとで囁いてきた。
「久しぶりだから、欲しくてたまらなくなりました?」
背中にぞわぞわとしたものが走る。ギュッと目を閉じて、軽く首を振ると、クスクスと笑う声が聞こえた。
「いいですよ。女神様のお望み通りに」
ランブルト様がわたしの手を掴み、恋人のように指を絡ませてくる。かたちのよい唇が近づいてきて、わたしの唇に重なった。
「ん、ふぅ……っ」
するりと舌が入り込んできて、軽く口内を舐め回される。流れ込んでくる唾液が甘い。ビクッと体を震わせて耐えていると、意外と早くランブルト様が離れていった。
「ぁ…………っ」
「物欲しそうな顔してますね」
きゅっ、と唇を引き結ぶ。
心臓がドカドカと音を立てていた。
「可愛いな。でも今はダメ。ここは人目につきますから、これ以上の魔力はあげられませんよ?」
わたしは、常に魔力を消費する体質だ。
そのせいで虚弱になってしまい、ろくに働くことが出来ない。
薬を飲むことでその場しのぎになっているけれど、気を抜くとすぐに倒れてしまう。
ランブルト様はそれを知った上で、定期的にキスをしてわたしに魔力をくれる。
魔力譲渡────れっきとした“治療”だ。
彼の魔力はとっても甘くて……キスされると、いつも頭がぽわんとしてしまう。
「じゃあ、行きましょうか。久しぶりのデート」
差し出されたランブルト様の手を、わたしはそっと掴んだ。
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