【R18】執愛の果テに悪女は咲き誇る 〜悪役令嬢が手玉に取ったと思い込んでいた男に捕まって逃げられなくなる話~

べらる

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【前書き】
R18です。
他サイトでNTR企画として書いたものを同名義で転載しております。
寝取り寝取られ/魔法による聖紋反転/体から堕とそうとしてくる/鬼畜要素/緊縛/立って挿入/言葉攻/執着攻/拉致監禁/ムリヤリ/中出し/狂気・微狂愛/見せつけ?








大丈夫な方のみどうぞ
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 その日は、卒業パーティだった。

 魔法学園の高等部三学年──
 卒業生だけでなく、名門の貴族令嬢・令息が集まり、卒業生と最後の交流をする記念すべき日。
 
 特別その日は、学園一の美男美女の婚約発表が電撃的にされたとあって、パーティ会場は例年以上の賑わいを見せている。

 一人は、精霊王の生まれ変わりとも称される眉目秀麗な人物。
 王族の証である白金プラチナ・ブロンドの髪を持ち、常に涼やかな笑みを浮かべて女性を虜にする男である。

「ルキアルゼン王太子殿下よ!」
「噂に違わぬ美しさ……。あの瞳の色、まるで蛋白石オパールのようだわ……!」
「まさに精霊王の生き写し……!」
「見て、殿下の周りにたくさんの微精霊たちが集まっているわ……っ!」

 ルキアルゼン・ハロルド・シーエンス殿下。
 第一王子にして、立太子を終えたばかりの若き王太子。その美しさもさることながら、魔法の実力は魔法学園の歴代トップに君臨すると言われる天才魔法使いである。

「で、その隣にいらっしゃるのが……」
「そうそう、本日の主役!! ティンゼル姫よ!!」

 イリーティア・ロン・ティンゼル。
 爵位のない下級貴族の出身で、十五歳という遅さで魔法学園に編入。筆記試験を満点で通過し、奨学金を手にして学園に編入してきたと噂の才女である。

「本当にお美しい方ね……」
「ええほんと、おとぎ話でみた《妖精姫》のようだわ……」
「なんて綺麗な淡い金色オフ・ゴールドの髪……どうやって手入れなさっているのかしら……」

 太古の昔──

 大地に瘴気と獰猛な獣たちがのさばっていた頃、世界は暗黒の闇に包まれていた。すべての精霊を統べる精霊王は、その現状を憂い、闇を払って世界に安寧をもたらしたとされている。

 その精霊王が唯一愛したとされているのが、美しい妖精族の姫君だ。

 イリーティアがルキアルゼン王太子から寵愛されているという噂はかねてより流れており、その話になぞらえて、ティンゼル姫と呼ばれるようになったのだとか。

「王太子殿下とティンゼル姫の、いわばキューピッドのような役割を果たした殿方についてご存知かしら?」

 一人の令嬢がしたり顔をすると、他の二人の令嬢が食い気味に近付いた。貴族令嬢とはいえ中身は普通の女の子。彼女たちは浮いた話に興味津々なのである。

「二人をくっつけたのは、なんとオルフェンス様なのよ」
「王太子殿下の傍付きの……!?」

 こちらもこちらでビッグネームである。
 ルキアルゼン王太子殿下と同じく魔法学園の生徒でありながら、王立騎士団に所属しているエリート騎士だ。

 他を寄せ付けない独特の雰囲気を放つオルフェンスが、まさかキューピッド的な役割を果たしていたとは。

 三人揃って黒髪の美貌の騎士を思い浮かべているなか、一人だけが「あら?」と何かを思い出した。

「でもイリーティア様って、オルフェンス様と恋仲だったんじゃなかったかしら……?」

 さすがに内容が内容な点あって、ひそひそ声になる令嬢。
 残りの二人も顔を近づけて、興味深げに話を聞いている。

「あくまでウワサよ、ウワサ。ほら、オルフェンス様がイリーティア様にベタ惚れだったって話もあったじゃない?」
「あったわ。確か、滅多に笑わないオルフェンス様がイリーティア様に微笑んだとかなんとか……!」
「そうそう。それにほら、半年前……イリーティア様が階段から突き落とされた事件があったじゃない?」
「痛ましい事件だったわ。イリーティア様、その時のショックで在学中の記憶を無くされたのよ……!」
「そうそう! あれが起きるキッカケが、そもそもイリーティア様がオルフェンス様と恋仲だったのに、ルキアルゼン王太子殿下をそそのかしたって犯人が思い込んで、イリーティア様を階段から突き落としたって……」

 話がヒートアップしそうなところで、会場全体に優雅な音楽が流れ始めた。
 会場の真ん中で、イリーティアとルキアルゼン王太子のダンスが始まるのだ。

 こうしちゃいられない、と三人の令嬢はダンスの特等席に向かったのだった。




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