【R18】ハーフヴァンパイアは虚弱義妹を逃がさない ~虚弱体質の元貴族令嬢は義兄の執着愛に囚われる~

べらる

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第4章 ハーフヴァンパイア

38 キスを我慢して・後編*

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「ビクビクしてる。また自分でシたの?」
「っちょ、っとでも、早く終わらせようと思って……っ」

 わたしの秘所に指が埋まっていく。アゼル様は前戯に事欠かない人だから、そのぶん治療に時間がかかってしまう。

 この行為に時間をかけたくなかった。

 アゼル様の髪が真っ白になったら。
 目の色が赤くなったら。
 銀の耳環で苦しみ始めたら。

 そう思うと、こんなことをさせている自分がイヤになる。
 アゼル様を突き放して、もうわたしに触れないでって言いたくなる。

 だから、事前に解しておいた。

「君の状態を確認するためでもあるのだけど」
「昨日もしてもらったので……っ」
「……俺が好んでやってる。遠慮しなくていい」
「……っ、あ、ぁ……っ、!」

 胸を大きく揉みこまれる。胸の先端を摘まれ、こねられ、膝がガクつく。本当は立っているだけでつらい。目の前にある扉により掛かるようにして、耐えるだけ。

 でもベットには行かない。
 わたしがそうしてほしいと頼んだ。
 もっと深く求めてしまいそうになるから。
 きっと、我慢できなくなる。

 ──キスしてほしいと言いたくなるから。

「っひぁ、っん、ぁ……」

 アゼル様が指を抜き、わたしの腰に腕を巻き付けた。
 ヌルヌルの秘唇に熱い先端がこすりつけられる。昨日も感じた、アゼル様のソレ。前の粒を押し潰されて、たまらず背中が反り上がる。

 期待に震える肉体カラダ
 魔力がほしいと、肉ひだがうごめく。

 湧き上がった欲望を隠すように、目を閉じて。

「ど、してっ、いつも後ろ、なんですか?」

 わたしとしては、アゼル様と向き合う必要がない──つまりキスしにくい体勢のほうが、結果的にキスを我慢出来るからいいのだけれど。

 要望を伝えたわけじゃないのに、いつもこの体位バックなのが、無性に気になった。

「ちゃんとした理由ならあるよ」
「なん、ですかっ?」
 
 猛々しく主張するモノがぬぷりと埋まった瞬間。
 アゼル様の唇がわたしの耳近くにまで寄ってくる。

「君の顔を見てるといじめたくなるから」

 …………え?
 いじめたく……なる……?

「ひぁ……ん!?」

 恐怖に似た震えがゾクゾクと走るのと同時に、腰を押し進められる。熱いモノが入ってくる感覚だけで頭が真っ白になっていき、目の奥でチカチカと星が飛んだ。

「はっ、ぁっっ!」

 耐え忍んでいても声が漏れてしまう。
 防音のための魔法が張られているのだけど、薄い扉を隔てた向こうにいるヨル君の存在が気になってしまう。

「ふわぁ……ねっむ……」

 え……っ!?

 扉の外からヨル君の声が聞こえて、とっさに口を手で覆う。そうだ……この魔法、中の音は遮断するけど、外からの音は聞こえるんだっけ。

「あれ……ユフィがいない……?」

 わたしが部屋にいないってことに気付かれた……!
 
 どうしよう。いなくなったと分かれば、ヨル君は探し回る。まずこの部屋が怪しいって思うだろう。

「ってことは、ご主人の部屋……?」

 わたしが発情したときにアゼル様と何をしているのか、ヨル君は知っている。
 そういう時になったら、いつもマザルク先生が気を利かせてヨル君を外に連れ出してくれているのだ。

 でも、頼みの綱となるマザルク先生は外出中だ。
 ヨル君の足音が近づいてきて、とっさに後ろを振り返った。今すぐ恰好を正したいから抜いてほしい。

「ヨル君が……っ!」

 アゼル様の顔を見ようとしたら、緩慢だった腰使いが急に荒くなった。えぐるように突き上げられ、揺さぶられる。反応する場所だけを的確になぶってくる動きに「ぁ、ぁあ゛」と悲鳴が漏れた。扉に爪を立てるようにして何とかやりすごした、刹那。

「はっ、ふぁぐぅっ!?」

 逃げないように腰をがっちりと掴んでいたアゼル様が、今度は口を塞いできた。しかもただ塞ぐだけじゃなくて、三本の指が入ってくる。舌を指の腹でぞりぞりと刺激され、奥まで突っ込まれて、息苦しいほど。──でも、それ以上に下半身から送り込まれる快感の大波に翻弄され、生理的な涙がほろほろと流れる。

「────少し、静かにしてて」

 低いテノールボイスが耳朶を打つ。口の中に指を突っ込まれたら、喋れるわけもないのに。

「ヨル」
「あれ? ご主人買い出しに行ってなかった?」
「三十分ほどまえに帰ってきた。いま着替えてるから、用事があるなら外に出るよ」
「べつに用事なんてないんだけど、さ。それよりユフィいないんだけど?」
「ユフィは師匠と一緒に出かけてるよ。たぶん美味しいものでも食べに行ったんじゃないかな」

 アゼル様は魔法を部分的に解除して、薄い扉越しにヨル君と喋り始めた。びっくりしすぎて、目を見開いてしまった。

「ぁ……ぁっ!」

 今声を出すと確実に聞こえる。
 アゼル様の指にちゅうちゅうと吸い付いて、声が漏れないようにひたすら耐えた。

「すぐに帰って来るって言ったから許可したんだけど、まだ帰ってきてない。心配だからユフィの後を追いかけてほしい」
「えー。ハーフのおっさんがいるなら僕行かなくてよくない?」
「師匠はいざってときに頼りにならない。ヨルが行かないとダメだ」
「眠いのにー」

 ぐっ、ぐっ、と腰を動かされる。
 どうしてこんな事をしながら、声はいつもと一緒なの?
 どうしてそんなに平然としていられるの?

 膨らんだ先端部分がナカをノックした瞬間、脳髄を震わされた気がした。ちゅっ、ちゅっ……と、ソコに。雄に吸い付いている感覚が、ぶわぁっと全身瞬く間に広がる。猫が爪とぎするみたいに、扉に深く爪を立ててしまう。

「わかったよ。ちぇー、眠いのになぁ」

 どうやら、ヨル君は行ってくれるらしい。
 ほっとするのとナカのモノが膨らむのが同時で。
 温かい液体を吐きだされた瞬間に「ぁふぁっ!」と声が出てしまった。

「なにか聞こえなかった?」
「さあ。俺には聞こえなかったけれど」
「あっそ」
「……さっさと行け」
「へいへい」

 途中から、扉の前にヨル君がいるかどうかも分からなくなった。吐精されたことで身体がより熱くなり、彼の中に残った精を搾り取ろうと蠢いている。痙攣し続ける膣内を堪能するように、愛液と精液をかき混ぜながら再び抽送が開始されて、じゅぽっ、じゅぽっ、といやらしい音が鳴った。

「あぁ、や、どうして……ッ!」

 いつの間にかわたしの口からアゼル様の指が抜かれていて……。
 どうやらわたしは、力が抜けて床に座り込んでしまったらしい。床に顔を押し当てていると、お腹に腕を回されて上半身を後ろに引っ張られる。

「いっ、った、のに!! や、まッて……ぁ、ぁああ゛っ、っはッ、あぁあッ!」

 衰えを知らないどころか、一回り太くなった熱い雄が、背面座位になってしまったことで、深く最奥に突き刺さる。その状態で突き上げられると、脳を揺さぶられているかのようだ。

「ッぁ、あッ、んァ、ぁああっ!!」
「量を流し込めば、発情の回数が減るかもしれないと思って……ね」
「ッぁ、ああっ、んっああ!」
「…………ッでも、二回が限界かな」

 テノールボイスが掠れている。本当は感じているけれど我慢してるんだ、という事が伝わって、嬉しいやら申し訳なさやら、色々な感情がごちゃっと襲ってくる。わたしが願った通り早く終わらせようとしてくれているのか、残った精を叩きつけようとするような激しい上下の動きに、ただただ翻弄された。

 わたしの手が、空虚を掴む。
 対面なら抱き着けるけれど、これだと空気しか掴むことが出来ない。

「……ぎゅっ、て、してほし……っ」

 切なさと、激しさと、過ぎた快感に、頭が真っ白になって、何も考えられない。

「煽るのは禁止」 

 その声に、失敗したかな、と怖くなってしまう。アゼル様の顔を見たかったけれど、手で阻止された。お仕置きのように肉芽を押しつぶされて、また達してしまう。喉が反って、打ち震える。再びどちゅっと重い塊が子宮口に押し付けられ、精液魔力を欲しがった内壁がぎゅうぎゅうっと締め付けていく。

「ひっあ、み、耳……っかじ、っちゃ……やだぁ……!」

 れろれろと舌で舐められる。耳たぶに吸い付かれると同時に、胸を鷲掴みにされて、赤い尖りを人差し指と中指で挟まれ、グニグニされる。
 そんなときでも限界まで開かれた秘唇では、肉竿が出たり入ったりを繰り返しているわけで。

「ひ、ぁあ……あぁ、っ、ああっっ!!」

 バチバチと散る火花に、浜に打ち上げられた魚のように全身がビクビクと跳ねた。



 


 

「……寝ちゃってました?」

 いつの間にか、わたしの部屋に移動している。
 どうやら、うとうとしていたらしい。
 アゼル様に頭を撫でられて、安心したのかもしれない。

「寝てたよ。とても気持ちよさそうに」
「え、あれからどれだけ経ちました?」
「二時間くらいかな。もうすぐ陽が沈む」

 見事に発情も収まっている。
 アゼル様からたっぷりと魔力を貰ったせいだろう。

「ヨル君は?」
「さっき師匠と一緒に帰ってきた。眠い中外に行ったのにユフィが家にいるって分かって、不機嫌オーラ全開だから、しばらく近づかないほうがいい」
「あ……っ」

 心の中で、ごめんヨル君、と謝っておく。




 そして、それからまた月日が流れて。

 ────新薬が、完成した。

 

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