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第3章 ホイットニー家
28 淫らな熱に溺れて。貴女が、ただ欲しかっただけ・前編(ランブルト視点)**
しおりを挟む「ジレットは俺の母に拾われて、ホイットニー家の使用人になった人だから、母への熱がすごくてね。息子の面倒をしっかり見ろっていう言伝を預かって以来、俺への態度を一層厳しくしてきたんですよ」
「あっ、うぅ…………っんんっ」
「優男みたいな見た目をしているけれども、ジレットは鬼畜でね。昔は妙な反抗意識があって、素直に勉学に励まなかった日には、算術と歴史の授業を倍に増やされたんです。それより武術の稽古がしたいって言い返したら『ホイットニー家に学のない武人は必要ありません』と言ってきて、永遠に説教。さらに授業を増やされて『このままだと武人になれませんねぇ』って半笑い。あぁ、いま思い出しただけで腹が立つな。──ねえ、貴女もそう思うでしょう?」
「ん、んっ、はぁ……ぅ、っんやぁ……」
ベッド端からランブルトが微笑みかければ、いじらしくて愛らしくて可愛い金色の悪いの妖精は、熱っぽい息を吐きだしていた。
「ら……、ん、ぶる……と……様……っ」
「ん?」
「これ……早く、外して……っ」
「どれです?」
本当は腕を動かして指し示したいのだろうが、束縛魔法によって彼女の四肢は固定され、足にいたっては様子を観察できるように開かせてある。男を誘うようにヒクつく赤い陰唇には、大量の涎を垂れ流しながらラティアの杭を咥え込まされていた。
極力痛みがないように束縛しているが、改めて見るとまぁ、淫靡で、いやらしくて、目に毒な光景である。束縛されて足を開きっぱなしの羞恥心と、絶えず下半身から上ってくる快楽で、ぐちゃぐちゃに蕩けた彼女は、涙を流しながら訴えてくる。
「これ、……とって、くださ──っぁああっ!」
「取ったらお仕置きにならないでしょう?」
「ど、して……お、しおきする、の…………?」
濡れたマラカイトの瞳が見上げてくる。
ゾクゾクとした精神的満足感が背筋を駆け抜けた。ほの昏い感情が満たされ、愉悦に口端が歪むのを懸命に抑える。
クセになりそうなほどの優越的感覚に酔いしれたあと、ランブルトはいつものような甘く優しい笑みを見せた。
「俺、怒ってるんですよ?」
「あ……」
「貴女は俺を狂わせた。俺の強い決意を踏みにじった。ねえ、分かるでしょう、ユフィ? ちゃんと責任は取らないと、ね?」
あの時は、本気でユフィを諦めるつもりだった。
すべて義兄に任せた方が彼女の為になると本気で思っていた。
そんな決意を彼女は簡単にぶち壊してきた。
怒っているのは本当。
だが、それ以上に嬉しかったのが本音。
ゆえに、ランブルトはこうやって彼女に──優しい女神と悪いの妖精の両方の側面を持つ初恋の人に、このような甘美なお仕置きを施している。
「俺の心がどれだけかき乱されたか、こうでもしないと分からないでしょう? あぁ、でもこれだとお仕置きの意味がなくなりそうだ。もう少しだけ強めてみようかな?」
ラティアの杭の律動を強めてやれば、彼女は涙を流して身を捩る。
「何だか気持ちよさそうに見えるね?」
「やっ、だぁ……っんぁ、あっ、あああ!」
「お仕置きなのに一人で気持ちよくなるつもり? それは許さないですよ?」
「ふ、ふぇえ…………」
絶頂しそうになったところで、にゅぽんっと杭を出してやると、彼女は戸惑った顔でこっちを見てくる。どうして? と言いたげな顔があまりにいじらしい。
「あれだけ抜いてって言ってたのに、どうしてそんな顔になるのかな?」
「え、ぁ、だって……っ」
嗜虐心を抑えぬまま、杭を挿れたり出したり、敏感な肉粒の周りをわざとかすめるように動かしてやれば、物欲しげに彼女の腰が揺れる。
「初めて会った時は、貴女がここまで淫蕩な人だと思っていなかったな」
「ふっ、うぅ……っんく、やっ……ふぁ、ぁああっ」
「いつからこんなオモチャでグズグズするような体になったのでしょうね?」
「らん、ぶると様が、毎日さわってくる、からぁ……!!」
「へえ、あんなに治療だ治療だって自分に言い聞かせていたのに、自分の身体がこうなったのは俺が触ってたからって言いたいんだ?」
「うっ……」
魔法による治療を行うという建前のもと、ランブルトは毎夜のようにユフィを寝所に連れ込んでいた。そのときにユフィは「これは治療」と自分に言い聞かせながら、いじらしくも耐えようとし、結局耐え切れず哭かされていた。
ユフィの感度がより良くなったのは、ランブルトが毎日触れ続けていたからである。
「や、ぁっ……やだ……っつらい、んです……っ」
「つらいってどういう風に?」
「ず、っと体が疼いて……あたま、おかしく、なりそうで……っ」
「それで?」
「だ、から……っ」
「言ってごらん?」
「…………っ」
「言わないと分からないな」
「…………ぃ、きたい……です……っ」
大好きな人に瞳を潤ませながら懇願されて、ぐっとこない男がいるだろうか。
特にユフィの場合、快楽に弱いくせに性に関することは口走らない羞恥心の強い娘だ。
夜伽の最中の嬌声すら抑えようとするし、気持ちいいという言葉はもちろん、自ら“イキたい”だなんて絶対に言ってこない。それを言わせるために日夜体に悪戯し続けてきたのだが、媚薬を盛られてようやく口にしたのだ。──この子が。
「可愛いな……」
キスもしておらず、彼女の体液を取り込んでいないはずの己の声が、妙に熱っぽいことにランブルトは気付いていた。
先に我慢できなくなるのは俺かもな、と早速負ける予想をしながら、おもむろに手を──今まで触れてこなかった彼女の胸に伸ばす。
瑞々しく果実のように実ったソレは、小柄な見た目に反して大きめ。おわん型に張ったシミ一つない白い双丘は美しいの一言に尽き、つつましやかに乗っている赤い乳首は、男ならしゃぶりつきたくなるほど扇情的である。
性的な刺激に反応して硬く尖った乳首を、ピンッ、と爪弾きしてやれば、上体が大きく揺れる。
彼女が身悶えるたびに揺れる乳房に熱視線を送りつつ、浅い入口付近しか弄られていない濡れそぼった秘めやかな場所に、もう一度だけ杭の先端を近づける。
ピクッ、と彼女の体が震えて、ランブルトはクスクスと笑った。
「イかせてくれるって期待した?」
「っや、ぁ……っ」
「まだ夜は始まったばかりでしょう? 耐えて、話の続きを聞かせてください。じゃないと俺が貴女に“話”をすることになりますよ? これじゃあ話し合いにはなりませんね?」
「あ、っ、ああっ、ん、ら、ん゛、いっっ────!!」
杭がぷっくりとした肉芽を掠って、白い喉がそりあがった。
でもすぐに杭が離れて、絶頂することが出来なかった彼女は、はぁはぁと荒い息を繰り返す。
「いま勝手にイこうとした? ダメだって言ったんですがね」
「ごめ、……んな、さい……っ」
「ああ、でもそれでもいいな。まずは俺の話を聞いてくれますか?」
快楽に蕩けてもなお自尊心を保とうする可愛い彼女の手首を掴んで、愛らしい顔に身を寄せる。彼女の肌からは蜜ような甘い匂いがして、強すぎる色香にクラクラしてしまう。細い首に舌を這わせれば、彼女の小さな口から子犬のような鳴き声があがる。
「さて、どこから始めようか。まずは俺が貴女と出会う前から──」
*
「──ということになって、何回やっても攻撃が通らないんです。ジレットの奴はああ見えて武芸にも秀でてますから、そのときは手も足も出ずに苦い思いをしました」
「っは、ぁ……んっ、やぁ……ぁっ」
「ユフィ? ちゃんと聞いてます?」
「あ、ああっ、やっ、ぐにぐにっ、しないでっ! それっ、や、だぁ……っ!」
「聞いてなかったでしょう?」
「き、いてる。聞いてたからぁ……っ」
「本当に……?」
「本当ですっ」
頬を桜色に染め上げ、じっとりと汗をかき、半開きの口から堪えきれない甘い声が漏れるユフィは、もうベッドから一歩も出られないほど足腰が立たなくなっており、ランブルトの腕の中で小刻みな痙攣を繰り返している。
彼女の脇に腕を差し込んで、ぷっくりとおわん型に膨らんだ胸をぐにぐにと揉みこむ。形のよくハリの良い肌が、手に吸い付てくる感じがとても好ましい。ときおり、敏感な先端をこするように指を動かして、ビクビクと跳ね続ける肢体を視姦し続けた。
「どんな内容でした?」
「じ、ジレットさんにっ、怒られてっ、魔法の稽古を……っ」
「怒られたんじゃなくて、こっちの話を無視してきたジレットに俺が勝負を挑んだんです。やっぱり聞いてなかったでしょう」
熟れた秘唇に埋められた杭をツンツンと優しく叩いてやれば、涙をポロポロと流してユフィは喘いだ。
「もう、ゆるひてぇ……っ」
「許すとは何をでしょう? 話を聞いていなかったこと? 貴女がなかなか返事をしてくれなかったこと? 俺に“待て”を言い続けたこと? 好きな人がいないと嘘を吐いたこと?」
「うっ、うぅううっ、っぁうっ。やっ、やだぁ……っ!」
何度も寸止めを繰り返されたことによって、彼女の思考はもう正常ではなくなっている頃だ。狙って作った状況だが、こうなるまでにそれなりの時間と忍耐を要した。忍耐というのは、理性という意味である。
「う、うぅ……やっ、あぁあっ」
「ねえ、今日は俺に話をするために来たのでしょう? しなくてもいいのですか? 俺に良いように体を遊ばれて、それだけでいいの?」
「あっ、くぅぅう……うぅ、も、ゆるひてぇ……っ!」
むろん、この間も彼女の下半身に埋められたラティアの杭が不規則なリズムで快楽を与え続けている。この律動は絶妙だ。気持ちよくはなるがイクほどの強い刺激ではない。
「つらい、の……っ。らんぶ、る、とさまぁ……っ!」
急に力強く襟を掴まれて、快感に溶けたマラカイトの瞳が見上げてくる。
「もう、ダメ、なんです……っ!」
「……ッ」
(この子は……)
その上目遣いが、どれだけの破壊力を伴っているのか気付いているのだろうか。
胸を相手に押し付けることで、潰されて、卑猥な形に歪んでいるのは、計算なのだろうか。
(無意識に、夢遊魔の恩恵を使いこなしているんだろうな)
夢遊魔に寄生された人間は、放つフェロモンで人から好かれやすくなる。
だがそれは、あくまで好かれやすくなるだけで、嫌われるときは嫌われる。
必ず異性に恋愛感情を抱かせられるか、という話においては、昔から様々な議論がなされてきたが、学者たちは最終的に「NO」という結論を出した。
本人の美醜と生まれ持った人間性に勝るものはない。
その点において、ユフィの容姿は完璧である。
庇護欲を掻き立てるような顔立ち、可憐な声、普段から日差しを避けているために確立された白く滑らかな肌、華奢な肩、ほっそりとした手足。
人間性においては花丸満点をあげたいところだ。
ゆえに、──魔性である。
「らんぶるとさま……!」
「ッ」
もう一度名前を呼ばれ、ユフィが顔を近づけてくる。
あともう少しで唇が触れ合いそうだ。
「可愛すぎる……」
顔をそらして、ランブルトはボソッと呟く。
そのあと、ユフィの唇をゆっくりと親指でなぞった。
「昨日、医務室で俺に何でもするって言ったこと、覚えてます?」
「は、い……」
「ああ、それは良かった」
ベッドから降りて、トラウザーズの前をくつろげる。荒々しく主張する己の雄を手に持ち、柔らかな彼女の唇に押し付けた。
「舐めて、俺を満足させてください」
「え、と……」
「……もしかして、口淫はしたことない?」
こくりと頷くユフィを見ると、彼女の初めてをちょうだいできた嬉しさが湧き上がってくる。
「じゃあやってみましょうか。束縛魔法は解除しますね。舌を出してごらん?」
「っ、んぅ……」
濃厚な雄の匂いに吸い寄せられたのか、はたまた有無を言わさない迫力に負けたのか。
ユフィは遠慮がちに赤い舌を伸ばして舐め始めた。気持ちよくなっているか確認するべく、チラチラと見上げてくるのが愛らしい。どろっとした黒い感情がふつふつと湧き上がって、思わず彼女の頭頂部に手を置く。
「もっと唾液を出して、『いつも気持ちよくしてくれてありがとうございます』って言いながら丹念に舐めあげないと、俺を満足させるなんてできないですよ?」
「い、つも、きもひよく、ひてくれて、あひがとうございまふ」
「ねえ、その手はどうして動いていないの? ただのお飾り?」
「ん、んふぁ……?」
「動かさないとダメでしょう? 唾液を垂らして、滑りをよくして、指で輪っかを作ってしごかないととても満足なんてさせられませんよ?」
可愛らしい舌で愛撫しながら男のモノをチコチコと扱く。
その光景の艶かしさたるや、筆舌に尽くしがたいものがあった。
「ふぁ、ん──ッああ!?」
「こらこら。誰が勝手に休んでいいって言ったんです?」
「ご、めんなっさ、──ん、ふぅっ!?」
「ちゃんと舐めてくださいね」
奉仕する彼女に容赦なくラティアの杭が襲う。刺激の強さで桃のようなお尻が高く突きあがっているが、おそらくこれも無意識だろう。
本当は身を捩りたいのだろうが、舐め続けろという命令を守るために、涙を流しながら耐えている。なんと健気で、いじらしいことだろう。
「……ッ、は……」
(舐められるだけでも、これだけの催淫効果があるのか……)
直接取り込んだわけではないというに、湧き上がってくる射精欲にぶるりと身が震える。もっと愉しみたい。もっとこの子に触れられたい。この子が、自らの欲望の為とはいえ、奉仕してくれている甘美なひとときを、もっと長く、もっと味わっていたい。
──今晩だけでも。
「ら、んぶると、様、きもちぃ……?」
理性なき深緑の瞳と視線がぶつかる。
愛らしい少女が、猛々しく屹立した雄に舌を這わし、嬉しそうに頬ずりする光景に──そのあまりの淫靡な絵面に、ゴクリと唾を飲み込んだ。
(本当にこの子は、俺を狂わせるのがうまいな)
ランブルトは口角を上げて「これでは満足できませんね」とホラを吹いた。するとユフィはあからさまに絶望したような顔になる。
おそらく、満足させられなかったらもっとキツいお仕置きでも受けると思っているのだろう。
「じゃあ今度はしゃぶってみようか、口を開けて」
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