15 / 46
因縁編
13 愛撫と、上書き・前編*
しおりを挟む兄様はもとより薬の耐性をつけていて、あの程度の量では効かなかったらしい。
婚約解消の話を済ませ中庭に戻った兄様は、わたしがいないことにすぐ気付いてリリーさんに詰め寄ったという。リリーさんはわたしの居場所を教える事を条件に、兄様に寝室に移動するよう言ってきたという。
本来ならそこで、痺れ薬の効いた兄様と体を重ねるつもりだったのだろう。でも兄様に薬は効いていなくて、兄様はリリーさんを拒絶した。リリーさんは膝から崩れ落ちて、子どものようにわんわん泣いてしまったらしい。
そして、わたしを閉じ込めている場所を教えたそうだ。
兄様はすぐにわたしのもとへ駆けつけてくれた。
痺れ薬の効いていない兄様と違って、わたしはまだ体が上手く動かせない。わたしを横抱きにしたまま、兄様は伯爵家の馬車に近づいた。御者はたぶん驚いていただろうけれど、兄様が睨んで黙らせたみたいだ。
馬車に乗り込んだ瞬間、わたしの首筋に兄様が顔をうずめてきた。唇で食まれ、舌で舐められ、歯を立てられる。兄様の愛情を受けるのは随分久しぶりのはずなのに、身体は覚えているらしく、すぐに甘い声が迸る。
「………っあっ、あ」
いつの間にか、兄様によってブラウスのボタンが外され、完全に上半身が露になっていた。じっくりと上から下まで舐めるように見つめられ、羞恥に頬が染まる。
「『兄様』のときは何もしないんじゃ……っ?」
「上書きしてるだけ」
「それ、へり、くつ……じゃっ……っ」
「ルディが俺を怒らせるのがいけないんだよ。俺以外の男を目で追いかけたらダメって言ったはずだよね」
「そんなこと言われても……っ」
「しかもまた男に抱き込まれるなんて、ね。
ねえルディ、君はどれだけ俺を嫉妬させたら気が済むのかな」
「あれはわたしのせいじゃ……っんあ」
完全に怒ってる雰囲気の兄様が、わたしの鎖骨を甘噛みした。ちょっと痛い。兄様はすぐ痕をつけようとする。これがなかなか消えないのだ。監禁されたときにつけられたものも、全然消えなくて、しばらく部屋から出られなかった。
「見えるところにつけないでっ」
「見える場所につけるから意味があるんだよ」
「そ、んな……っ」
兄様はわたしの胸のふくらみ部分を舐め始めた。
「ねえ、どこ触られたんだい? ここ?」
舌はそのまま膨らみを這い、胸の先っぽを舌先がつつく。空いたもう片方の胸は兄様の大きな手で形がかわるほどに揉みこまれ、先端は指と指の間に挟まれ、ぐにぐにされる。
「ひぁ………っああっ!」
体が動かないから、快楽を受け流すところがない。
嬌声が大きくなり、唇を噛んで耐え忍ぶ。馬車だから騒音がかき消してくれると思うけれど、御者の人に聞かれたくなかった。
色々なところに舌を這わせながら「ここは?」と、聞いてくる兄様。舌先がお腹の筋を伝い、おへそまで下りてくる。兄様の手が、わたしの太ももの内側に触れていた。
「やだ……、そこ触らないで……っ」
「……………」
兄様が何かに気付いた。
白いタイツについたシミを、忌々しく見ている。
「今日は確か、ミレッタさんが夜まで帰ってこないよね」
「え…………」
「お風呂に入ろうか。洗ってあげるよ」
11
お気に入りに追加
847
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
彼氏に別れを告げたらヤンデレ化した
Fio
恋愛
彼女が彼氏に別れを切り出すことでヤンデレ・メンヘラ化する短編ストーリー。様々な組み合わせで書いていく予定です。良ければ感想、お気に入り登録お願いします。
【本編完結】副団長様に愛されすぎてヤンデレられるモブは私です。
白霧雪。
恋愛
王国騎士団副団長直属秘書官――それが、サーシャの肩書きだった。上官で、幼馴染のラインハルトに淡い恋をするサーシャ。だが、ラインハルトに聖女からの釣書が届き、恋を諦めるために辞表を提出する。――が、辞表は目の前で破かれ、ラインハルトの凶悪なまでの愛を知る。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ヤンデレ義父に執着されている娘の話
アオ
恋愛
美少女に転生した主人公が義父に執着、溺愛されつつ執着させていることに気が付かない話。
色々拗らせてます。
前世の2人という話はメリバ。
バッドエンド苦手な方は閲覧注意です。
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる