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監禁編

08 蕩けて、喘いで、求めてしまって*

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 どれくらい、そうやっていただろう。
 わたしに舐められても、レザニード兄様は抵抗しなかった。あぐらをかき、拳は膝の上。固く目を閉じて、眉間に濃い皺を作っている。いつもみたいにわたしの中に指を入れられて喘がされると思っていたから、少しだけ拍子抜けする。おかげで集中できたから良いのだけれど。

 口淫のやり方は、よく分からなかった。
 学校の同級生や上級学年の子たちが話しているのを耳にしたことがあるけれど、わたしは恥ずかしくなってその場から離れてしまったから、これで合っているのか不明だ。

 何となく口をすぼめてみたり、裏筋を舐めてみたり。どこに舌を這わせれば感じるか、兄様の表情を逐一確認しながら探っていく。
 
「…………ッ」

 ビクンッとレザニード兄様のモノが震えて、膨張した。
 感じてくれているのだろうか。顔を見てみても、兄様は鼻から上を完全に手で覆ってしまっていて、どんな表情をしているのか分からなかった。

くわえて」

 いつのまにか兄様が、体を前屈みにしてわたしの耳もとに顔を近づけていた。ボソリと呟く兄様の声に導かれて、わたしは顔を上げる。超至近距離で目が合った。骨ばった指の隙間から見える瞳が、焦がれるような色気を宿していて。

 ぞくりっ、とわたしの背中が粟立つ。
 
「歯を立てないように、奥まで咥えて」

 言われるがまま、口を大きく開けて咥え込む。
 正直、兄様のモノは大きくて全部入りきらない。

「キャンディを舐めるみたいにやって。そう、イイ子……」

 わたしが一生懸命に舌を動かしていると、兄様がわたしの頭を撫で始める。「上手だよ」と囁く声は、完全に蕩け切っていた。

 しばらくして、レザニード兄様が小さく呻いた。口内でビクビクッとモノが暴れ、生温かい液体が喉の奥へと垂れていく。かなり奥まで咥え込んじゃったから、飲み込んじゃったけど……。でも、終わったのだ。舐めて、兄様が射精すればわたしの勝ち。これで晴れて監禁部屋から出て、家に帰れる。

 モノから口を離す。いつの間にか兄様がわたしの手枷を取り外そうとしていた。ガチャと重い音がして、わたしの腕が軽くなる。

 ずっと手枷をつけられていたから少し痕になっていた。
 労わる様に、兄様が痕を撫でる。
 わたしがベッドから起き上がろうとしたとき、兄様がわたしを抱き寄せた。腰ごとがっちり捕まえられて、身動きが取れない。顔から血の気が失せていく。

「や、約束が違います……!」
「約束は守るよ。明日にはルディを連れて家に戻る」
「じゃあこれは……──ひやぁあっ」

 わたしの下腹部に兄様の指が伝う。もうそこは、溢れすぎて洪水のようになって、太ももにまで垂れてしまっている。恥ずかしいから太ももを閉じてガードしたら、胸の先端にある蕾が指でこねくり回された。

 太ももが強引にこじ開けられ、垂れた愛液をねっとりと掬われる。裂け目に近づくけれど、決して直接触れてこない。ぐちゅぐちゅと音を立てるだけの行為に、わたしの眉間に力が入った。

「こんな発情状態の妹を家に帰せると思うかい。発散させてあげるよ」

 一発射精したことによって、ある程度の余裕を取り戻したらしい兄様が、わたしの首筋に唇を這わした。ちゅっ、と強く吸い付かれると同時に、濡れそぼってヒクついているソコに、ぬぷりと指が沈んだ。

「すっごい締め付け」
「あぁ……っっっ!!」

 少し指を動かされただけで、背筋がピンとなってしまう。
 兄様から離れないといけないのに、快楽に慣らされた体が全然言う事を利いてくれない。それどころか、より強い刺激を欲している自分がいる。

「こっちに顔向けて」

 対面座位。
 まだ顔に赤みが残っているけれど、兄様は余裕そうに見えた。兄様に顔を見られたくなくて背けるのだけれど、両耳を手で塞がれ、やや強引に顔を正面に向けさせられて、口づけられる。強引に入って来た兄様の舌がわたしの舌先に触れ、優しく愛撫してくる。

「ん…………っ!」

 ほぼ同タイミングで、わたしの太もも裏を兄様が持ち上げた。痛いほど敏感になっているそこに、兄様の猛々しいモノがぬちゅ……と触れる。ビクンと体を反応させれば、兄様に舌根を舐められた。こすぎあげるように舌を動かされて、否が応でも高まっていく。蜜壺から愛液が滴り落ちていくのが分かった。

 酸欠になりそうなほど長く重ねていた唇を離し、兄様の目が愉悦に細くなる。

「蕩けてるね」
「あぁ………っ」
「俺のが欲しいかい?」

 焦らすように、先端部分が擦れる。わたしは首を振ったけど、浅めに挿入された。辛い。苦しい……。わたしの体が早く『雄』を迎え入れたいときゅうきゅうしている。生理的な涙があふれると、兄様に舌で舐めとられた。

「にい、さま……っ」
「うん?」

 口走ってしまいそうになるのを懸命に堪える。
 なけなしの理性をかき集め、大きく首を振って拒絶する。震える手で兄様の胸板を押すと、兄様がわたしの太ももを支える手をどかし、体が重力に従って下へ落ちた。

 一気に貫かれる形になってしまって、声にならない喘ぎが漏れた。

 ちょっとでも動くと奥深いところがトントンされて、あまりの快楽に意識が飛びかける。嫌でも締め付けてしまって、中にある兄様の形状がダイレクトに伝わってくる。ビクビクと脈動し、兄様も限界が近いのだと悟った。

「ルディ」

 切なげに眉をひそめたレザニード兄様が、掠れ声でわたしの名前を呼ぶ。
 お願いだから、そんな顔で見ないでほしい。
 そんな声で呼ばれたら……。


「────好きだよ」


 蕩けるような声が、落ちてきて。

 わたしは。
 わたしは……っ。

「…………ッ」
「にい、さま………っ!」

 中で兄様が震えて、どくどくと大量の精が吐き出された。
 締め上げる力が強くなり、わたしの視界が白む。


 媚薬のせいだから。
 これは強制的に人を発情させる劇薬だから、と。


 わたしは、自分にそう言い聞かせて。

 自らの意思で兄様の頬を両手で包み込む。
 声に出さないように、細心の注意をはらって。

「─────です、兄様」

 呆然とするレザニード兄様に、そっとキスをした。



 兄様に、身を預けた。
 


 それから、何度も愛を注がれた。
 わたしも兄様を求めた。
 何度も何度も、獣のように。





 兄様はきっと、媚薬のせいだと思ってくれるだろう。





 終わったあとは、わたしは兄様に抱かれて、兄様と一緒に眠りについた。

 
 これでようやく。
 何の悔いも残さずに、笑顔で、エーベルト様のところへ行ける。

 きっと、笑顔で……。

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