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監禁編
03 兄様の嫉妬*
しおりを挟むレザニード兄様が、わたしの固く閉ざされた秘唇に触れた。
「すっごい。……ぬるぬるだよ、ルディ」
『すごいね。今日はたくさん本を読めたね、偉いよ、ルディ』
甘い声とともに、昔の記憶が蘇った。
レザニード兄様はわたしが難しい本を最後まで読むと、とても優しい声で褒めてくれた。わたしは嬉しくなって、もっと褒められたくて本を読んだ。勉強も頑張った。
違う。
これは、あのときのレザニード兄様じゃない。
優しかったレザニード兄様はもういない。
いまレザニード兄様は、わたしをベッドに縛り付け、身動き取れない状態にして犯そうとしている。
怖い……。
「嬉しいな。感じてくれたんだ」
「違…………っんん!」
真正面にいるレザニード兄様がわたしの太ももに触れ、ぐいっと開脚させる。あられもない恰好。容易に他人──しかも兄様に見せるものじゃなくて、羞恥のあまり頬が赤くなる。頬に流れた涙は、兄様に優しく指で拭われた。
「大丈夫。大丈夫だよ」
「やだ……怖い……怖いよ兄様…………っん!?」
優しく頭を撫でられたと思ったら、噛みつくようなキスをされる。
そのうちに、レザニード兄様の指がわたしの大切な部分を暴いていく。しどしどと溢れ出る愛液を壁面にぬりたくりながら、奥へ。甘い痺れが背筋を駆け抜け、少しだけ腰が揺れる。
「…………っ?」
「ここかな」
唇を離したレザニード兄様が、嬉しそうに目を細める。
嫌だと首を振っても、止まってくれない。
指が動かされ、くの字に折れ曲がった。
今までの非じゃないくらいの強烈な熱が広がり、明らかに大きくなった声が漏れ始める。
ぐちゅぐちゅ……。
「ひっ……あっ……ああっ!」
「可愛いねルディ。我慢してるのかい?」
目の奥がチカチカした。
眉間に力が入ってしまい、睨むような形になってしまうと、兄様が耳もとで囁いてきた。
「煽るのが上手だね」
「ん、……やっああっ!」
「泣き顔も堪らないな……」
ナカがきゅんっと収縮して、一気に熱が弾けてしまう。
「上手にイけたね」
兄様が、ぐったりするわたしの身体を支える。
体に……力が入らない。
終わった、のかな……?
兄様が指を抜いてくれた。満足してくれたのかもしれない。あるいは飽きたのかも。なんでもいいから、早くここから逃げ出したい。
そういえばここ、どこなんだろう。
わたしは三日前からこのベッドに繋がれている。両腕が縛られているから、食事はもちろん兄様に食べさせられている。窓はなく、部屋にあるのはベッドだけ。扉は一つで、兄様が出ていくと外から鍵をかけられる。
ここは自宅じゃない。たぶん、レザニード兄様がわたしを閉じ込める目的で作った秘密の部屋だ。
わたしがここに閉じ込められる前にやっていたこと。
それは……。
兄様に内緒で、エーベルト様に無断で会いに行こうとした。
でもすぐに見つかって、笑顔を浮かべられた。
『君は俺のものなんだから、他の男のもとへ行こうだなんてダメだよ。分からないのかい? 仕方ないな、ちょっと早いけどこっちにおいで。ずっと一緒にいようね、ルディ』
捕まって、ここへ連れてこられた。
あとはもう、ずっと兄様に体をまさぐられ続けている。
最後まではしない。
兄様は自分の服さえ脱ぐことなく、わたしの体を大きな手で蹂躙している。
今日は初めて秘所を暴かれた。
じゃあ、次は……?
「うぐっ!?」
強烈な痛みを感じて、下腹部を見やる。
指……じゃない。
レザニード兄様の熱くて太いモノが、わたしを貫いていた。
「ルディが欲しがってからにしようと思ったけれど、俺が我慢できなくなった。ごめんね」
「やぁ……んっ、ああっ!」
兄様がわたしに尻を突き出させた。動くたびに愛液がぐちゅりと卑猥な音を立て、ざらざらの壁を熱く長いものが擦り上げていく。
こんな獣みたいな姿勢……!
「……………やっぱり」
兄様はわたしを貫いたまま、わたしの背中に覆いかぶさってきた。
優しかったレザニード兄様の声が、急に一トーン低くなる。
明らかに怒気をはらんでいる。
でもそれ以上に、泣きそうな声だと、わたしは思った。
「ルディ。…………処女じゃなかったんだね」
「っ」
何も言えない。
首を縦に振ることも横に振ることも出来ない。
あの日。
あの土砂降りの雨を凌ぐために入った洞窟の中で、エーベルト様に純潔を捧げた。
婚約者だけど、結婚前の性交渉は醜聞ものだ。もし婚約が破棄になっても、女性側は処女じゃないから傷物扱い。もう誰も貰い手がいないから、家同士が婚前交渉を禁止していることが多い。
好きだったから。
拒めなかった。
エーベルト様に欲しいと言われて、嬉しくなってしまった。
「ねえルディ」
レザニード兄様がわたしの耳を噛んだ。すでに彼のモノがわたしの奥深い所に届いているというのに、純潔を捧げたわたしを責めるようにグリグリと押し込まれる。圧迫感は強いけれど、それ以上に、久しぶりに迎えた雄を喜んでいる己の体が、本当にイヤだと思った。
「さっきから締め付けがすごいのだけど、もしかしてエーベルト君とのこと思い出した?」
「違…………やっ」
「……ッ!」
余裕のない兄様の声。
わたしの耳に、兄様の舌が入り込んでくる。
耳を舐められると、まるで耳を犯されているような感覚に陥った。ぴちゃりと鳴る水音。
ずぐんっと腰を叩きつけられる。
怒りの感情を乗せて、激しく、強く。
嫉妬……?
分からない。
いったい何に対して、兄様が怒っているのか。
「エーベルト君ね」
「?」
「このあいだ知らない女性とキスをしていたよ」
嘘だ……。
エーベルト様が、そんなことするはずない。
「嘘です。エーベルト様が、そんなこと……ありえません! あっ……んっ!」
「俺も目を疑ったさ。でも、事実だよ。しかも何回も、濃厚なものをね。俺とルディがやってるやつみたいな」
「や、だ……っ!」
兄様が再びわたしの唇を覆う。
最後に口端に垂れた唾液をじゅるじゅると吸われると、どうしようもない甘い疼きが体を支配する。気が付けば、わたしは腰を兄様に押し当てていた。まるで自分から求めているみたいな仕草に、かっと顔が赤くなる。兄様はにこりと王子様みたいに微笑み、腰を打ち付ける。一度限界まで引き抜き、奥まで一気に貫かれると視界の端で白い星が飛んだ。
痙攣と喘ぎが止まらない。
女性を扱うことに慣れているのか、兄様は的確にわたしの弱点を突いてくる。
「あっ……ふ、あぁっ!」
兄様がわたしの腰を掴み、引き寄せ、より深い場所を抉る。
否が応でもわたしが『女』であることを知らしめる、その場所に。
「ここに、出されたことはあるかい?」
真上から体重をかけて押し込まれて、圧迫感で息が出来なくなる。
ねじ込むように、兄様の熱い棒が子宮口近くをゴリゴリと突く。
わたしの耳朶に兄様の蠱惑的な声が落ちた。
「教えて」
ふるふると首を振った。
「そう? 嘘ついてないよね?」
「ほ、ん……とうっ……です。彼は……外に……、出しまし──っあぁああっ!」
「よかった。こっちは俺が初めてなんだね」
何度も何度も激しく抜き挿しされると、体がガクガクする。
ばちゅんぐちゅんと水の音に犯され、快楽の波が押し寄せる。
どんどんスピードがあがっていくと、恐れていたアレが来てしまう。
焦るわたしに反して、皮肉にも体のほうは歓喜に震え始めた。
「やだ……兄様、早く抜いて……っ!」
「ダメだよ。ルディは俺だけのルディなんだから。今から、何もかも染めてあげる。たっぷり啼いてね?」
「や───んっ、あっぁぁあっ!」
「……ッ!」
びゅるびゅると、熱い液体を受け止めて。
わたしは大きな嬌声をあげて、深すぎる絶頂を味わった。
意識が落ちていく。
そんななかで。
わたしは、レザニード兄様の声を聞いた。
「俺の名前を呼んで、俺だけを見てよ。ルディ」
悲しみを乗せた、声だった。
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