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新入生歓迎会
鬼ごっこ終了~。 バレたその後の疾風くん
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鬼ごっこの長いんだか短いんだかわからない4時間は終わった。
今は全校生徒が体育館に集まり、結果発表の時を待っている。
そして、学校全体に自分がキングであるとバレた疾風といえば……
「キング~~~!!!」
「ちょ、おい、くっつくな!」
「今までどこにいたんすか~~!!」
「いいから離れてくれないか!!」
「嫌です!!」
重度のキング信者であるミナこと新條 湊に体育館の隅で引っ付かれていた。
その周りをCLOWNメンバーが囲んでいる。
そんな家族同然のメンバー達を見守る狼牙はやはり微笑ましそうで。
反面、海斗は不機嫌そうに2人を見ていた。
もはや海斗の気持ちは当の本人である疾風以外には筒抜けとなっている。
嫉妬心が強すぎて湊に殺気を向けるくらいなのだから。
殺気に当てられた近くにいたCLOWNメンバーは震え上がっていたが、殺気を向けられた当人である湊は平然と、それどころが海斗を見てニヤリと笑い、先程よりも疾風にくっつく。
くっつかれた疾風はもちろん戸惑い、狼狽していた。
が、その顔に海斗に抱えられていた時のような赤面はなかった。
湊にくっつかれている今、疾風に顔にあるのは困惑だけだ。
まあ、疾風に自覚はないのだが。
「な、なんなんだ、お前ら」
「だって!」
「キングが帰ってきたんですよ!」
「そ、そんなに嬉しいことなのか?」
今ここにいるCLOWNメンバーの顔は、端から見てもわかるくらい嬉しそうだった。
鈍い疾風でもわかるくらいには。
「もちろんですよ!!」
「キングは俺らの総長ですから!!」
メンバーの一人が総長と言った時、また体育館にざわめきが広がる。
そのざわめきで疾風はあれ?と思わずにはいられない。
「なあ、俺、総長って言ってなかったっけ?」
「ああ。キングの名前が広がっていたのは強姦を未遂に防いだことからだしなぁ」
「そうだったっけ」
「そうだよー。俺が連れてきたけど、誰も総長とは言ってないからねー。」
「んー……そうだったかなぁ」
噂で、狼牙が俺を探していると言ったことは聞いていたが、キング、とは言わなかったのか。
思えば、そうだった気がするような……
「まあいっか」
「軽い!よくないよ疾風君!」
「あ、おかえり梓、どうだった~?」
「……ただいま。流石に最後までは生き残れなかったよ。もうちょっとだったんだけどね……ってそうじゃなくって!」
「あー、ごめんなー、言ってなくて。見つかるまでは隠れておきたくてな~」
「うんまあ、それはわかったんだけど……」
俺はそう言って、ヘラっと笑う。
そしたら梓は俺を見て溜息をついて言う。
他に、何があるんだろう?
他に何があったかなぁ、と考え込んでいると、今まで引っ付いてた湊が離れた。
無理やり引き剥がされたと言ったほうが正しいが。
しかし疾風は考え込んでいて気付かない。
もちろん、湊を引き剥がした海斗が疾風を腕の中に閉じ込め、抱き締めたことにも気付いていない。
疾風には、1つ考え込むと、周りが見えなくなる癖がある。
長い付き合いである海斗はもちろんそれを知っていた。
疾風に周りが見えていなくて無抵抗なのををいいことに、逃げられないようにしたのだ。
疾風が自分の腕にいることに満足した海斗はさっきまでの不機嫌はどこへ行ったのか、満面の笑みで御満悦。
嬉しそうに、愛おしいものを見る目で疾風を眺めながら、抱き締めている。
そんな海斗に驚いた顔をしていた梓だが、未だに考え込んで気付いていない疾風に呆れて溜息をついたのだった。
「疾風君、戻って来て」
「ぶつぶつぶつ…………はっ!って、カイ!?な、何してんの!?」
「何って、疾風を抱き締めてるのー」
「は、離してくれ!今すぐに!」
「やーだよー」
そう言った海斗は、離すどころが尚更強い力で疾風を抱き締める。
思ったより力が強かったようで、海斗の胸に顔を押し付けられて息がほぼできない状態の疾風は息を吸おうと必死で海斗を押しのけようとする。
……したのだが、やはり身長や体格からして、無理だった。
ちなみに疾風は159cm、海斗は178cm。20cm近く違う。
疾風が小さく華奢なのに対し、海斗は鍛えているのでわりと体格はいい。
疾風も鍛えてはいるし、喧嘩も、中2で総長に上り詰められるほど強いのだが、いかんせん、筋肉はあまりつかなかった。腹筋も割りたかったのだがやはり、割れなかったのだ。
その体格のせいで喧嘩するとき相手に嘗められることはわりと毎回であった。
「む、むぐー!!むー!!」
「あ、ごめん息できなかった?」
「ぷはっ!はー、はー……」
必死で訴えた結果、息はできるようになったが、海斗は疾風を離さず、結局さっきよりは弱いが、離すまいと強い力で抱き締められたままだった。
「俺は離して欲しいって言ってるんだけど……?」
「ヤダ。……だって、こうでもしないと俺から離れちゃうじゃない」
「何言ってんの。もう、逃げたりしないから大丈夫だよ。ちゃんとここにいる」
「うー……なんか違う」
「何が?」
周りにいた全校生徒はこのとき、全員一致で同じことを考えていたであろう。
(違う!!そうじゃない!!副委員長はCLOWNからじゃなくて自分から離れるなと言っているんだ!)
と、ね……
鈍い!鈍すぎるぞ疾風!!鈍すぎて海斗が可哀想だ!!!(号泣)By.全校生徒
今は全校生徒が体育館に集まり、結果発表の時を待っている。
そして、学校全体に自分がキングであるとバレた疾風といえば……
「キング~~~!!!」
「ちょ、おい、くっつくな!」
「今までどこにいたんすか~~!!」
「いいから離れてくれないか!!」
「嫌です!!」
重度のキング信者であるミナこと新條 湊に体育館の隅で引っ付かれていた。
その周りをCLOWNメンバーが囲んでいる。
そんな家族同然のメンバー達を見守る狼牙はやはり微笑ましそうで。
反面、海斗は不機嫌そうに2人を見ていた。
もはや海斗の気持ちは当の本人である疾風以外には筒抜けとなっている。
嫉妬心が強すぎて湊に殺気を向けるくらいなのだから。
殺気に当てられた近くにいたCLOWNメンバーは震え上がっていたが、殺気を向けられた当人である湊は平然と、それどころが海斗を見てニヤリと笑い、先程よりも疾風にくっつく。
くっつかれた疾風はもちろん戸惑い、狼狽していた。
が、その顔に海斗に抱えられていた時のような赤面はなかった。
湊にくっつかれている今、疾風に顔にあるのは困惑だけだ。
まあ、疾風に自覚はないのだが。
「な、なんなんだ、お前ら」
「だって!」
「キングが帰ってきたんですよ!」
「そ、そんなに嬉しいことなのか?」
今ここにいるCLOWNメンバーの顔は、端から見てもわかるくらい嬉しそうだった。
鈍い疾風でもわかるくらいには。
「もちろんですよ!!」
「キングは俺らの総長ですから!!」
メンバーの一人が総長と言った時、また体育館にざわめきが広がる。
そのざわめきで疾風はあれ?と思わずにはいられない。
「なあ、俺、総長って言ってなかったっけ?」
「ああ。キングの名前が広がっていたのは強姦を未遂に防いだことからだしなぁ」
「そうだったっけ」
「そうだよー。俺が連れてきたけど、誰も総長とは言ってないからねー。」
「んー……そうだったかなぁ」
噂で、狼牙が俺を探していると言ったことは聞いていたが、キング、とは言わなかったのか。
思えば、そうだった気がするような……
「まあいっか」
「軽い!よくないよ疾風君!」
「あ、おかえり梓、どうだった~?」
「……ただいま。流石に最後までは生き残れなかったよ。もうちょっとだったんだけどね……ってそうじゃなくって!」
「あー、ごめんなー、言ってなくて。見つかるまでは隠れておきたくてな~」
「うんまあ、それはわかったんだけど……」
俺はそう言って、ヘラっと笑う。
そしたら梓は俺を見て溜息をついて言う。
他に、何があるんだろう?
他に何があったかなぁ、と考え込んでいると、今まで引っ付いてた湊が離れた。
無理やり引き剥がされたと言ったほうが正しいが。
しかし疾風は考え込んでいて気付かない。
もちろん、湊を引き剥がした海斗が疾風を腕の中に閉じ込め、抱き締めたことにも気付いていない。
疾風には、1つ考え込むと、周りが見えなくなる癖がある。
長い付き合いである海斗はもちろんそれを知っていた。
疾風に周りが見えていなくて無抵抗なのををいいことに、逃げられないようにしたのだ。
疾風が自分の腕にいることに満足した海斗はさっきまでの不機嫌はどこへ行ったのか、満面の笑みで御満悦。
嬉しそうに、愛おしいものを見る目で疾風を眺めながら、抱き締めている。
そんな海斗に驚いた顔をしていた梓だが、未だに考え込んで気付いていない疾風に呆れて溜息をついたのだった。
「疾風君、戻って来て」
「ぶつぶつぶつ…………はっ!って、カイ!?な、何してんの!?」
「何って、疾風を抱き締めてるのー」
「は、離してくれ!今すぐに!」
「やーだよー」
そう言った海斗は、離すどころが尚更強い力で疾風を抱き締める。
思ったより力が強かったようで、海斗の胸に顔を押し付けられて息がほぼできない状態の疾風は息を吸おうと必死で海斗を押しのけようとする。
……したのだが、やはり身長や体格からして、無理だった。
ちなみに疾風は159cm、海斗は178cm。20cm近く違う。
疾風が小さく華奢なのに対し、海斗は鍛えているのでわりと体格はいい。
疾風も鍛えてはいるし、喧嘩も、中2で総長に上り詰められるほど強いのだが、いかんせん、筋肉はあまりつかなかった。腹筋も割りたかったのだがやはり、割れなかったのだ。
その体格のせいで喧嘩するとき相手に嘗められることはわりと毎回であった。
「む、むぐー!!むー!!」
「あ、ごめん息できなかった?」
「ぷはっ!はー、はー……」
必死で訴えた結果、息はできるようになったが、海斗は疾風を離さず、結局さっきよりは弱いが、離すまいと強い力で抱き締められたままだった。
「俺は離して欲しいって言ってるんだけど……?」
「ヤダ。……だって、こうでもしないと俺から離れちゃうじゃない」
「何言ってんの。もう、逃げたりしないから大丈夫だよ。ちゃんとここにいる」
「うー……なんか違う」
「何が?」
周りにいた全校生徒はこのとき、全員一致で同じことを考えていたであろう。
(違う!!そうじゃない!!副委員長はCLOWNからじゃなくて自分から離れるなと言っているんだ!)
と、ね……
鈍い!鈍すぎるぞ疾風!!鈍すぎて海斗が可哀想だ!!!(号泣)By.全校生徒
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