全寮制男子高校生活～行方不明になってた族の総長が王道学園に入学してみた～

新入生歓迎会

新入生歓迎会 海斗side2

「ぅ、んん……カイ……？」

その声を聞いた瞬間、突然フラッシュバックしたのは半年前のこと。

『キングー？起きて起きてー。ロウが御乱心だよー』
『……おい、何故そこで俺を出すんだ……』
『だってそっちの方が信憑性あるじゃん』
『そんなモノないだろうが……』
『んん……カイ……寝かせてくれないか』
『えー、暇だから起きてよー』
『お前に付き合うとろくな目に合わない……だから寝かせ、ろ……すー………』
『ちょっとキングー！寝ないでよー！起ーきーてー！』

「カイ……どうした」

その声を聞き、我に帰る。
間違いない。
その声は、懐かしいキングの、優しい声だ。

「キ、ング？」
「んー……何、カイ」

どうやら寝ぼけているようだ。
何度も、寝ているキングを無理やり起こしていて寝起きが悪いのを知っていたから、そんなところも懐かしい。

「ほん、もの……？」
「何言ってるの……俺は俺だよ」

まだ完全に目を覚ましていないらしい。

「……見つけた、キング。これで、俺達の元に戻ってきてくれるよね……？」
「んー……約束、したからな……すぅ」

寝息が聞こえて、小さく笑ってしまった。
そういえば、キングの本当の名前を聞いていなかったな、なんて、思いながら。

夢じゃないことを確かめたくて、キングを抱き締めた。
ちゃんと、感触もするし、暖かい。

それを確認した途端、頬に涙が流れる。
一度流れてしまうと止まらなくなった。

それから海斗は、眠っている疾風を抱き締めたまま、静かに泣いていた。
こんなに早く見つけられたことを、嬉しく思いながら。