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会長の電話
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「もしm『遅い』……それくらい待てないんですか、悠臣」
僕がもしもしとが言い終わる前に喋った電話の相手は生徒会長である神咲 悠臣だ。
朝早くに電話しておいてそれか、と思ったが、雅以外には演技しているのであまりキャラにあわないことは言えない。
本音を言えば、演技した僕なんかではなくて素の自分で話したいと思ったが、まあ、それも仕方ないかな。正体バレるとめんどくさいことになりそうだし。
「で、何の用ですか?こんなに早くに電話してきて用はないとか言いませんよね?」
『まぁな。お前が寝坊していないかと思ってな』
「……いくら僕の身長が低いからって子供扱いしないでくれませんか」
くそぅ、悠臣め。自分は186㎝あるからってバカにしてんのかっ!163㎝しかない僕への当てつけかっ!
本気でそう言ってやりたい。さっきも行ったように無理なものは無理なんだけど……
『子供扱いじゃねぇよ。お前、去年入学式サボったんだろ?1年だった去年はまぁいいとして、今年は生徒会役員なんだからサボんじゃねぇよってこと』
「去年のは不可抗力です。今年はサボりませんよ、流石に」
僕がそう返すと、悠臣は電話の向こうで笑っていた。
それに気づき、若干ムッとしたが、大人しく悠臣の返事を待った。
『それならいい。じゃ、切るが遅れんなよ?』
「分かってますよ。そういう悠臣こそ遅れないでくださいね」
『ハッ、誰に言ってんだよ。俺が遅れるわけないだろうが』
悠臣はそう言って電話を切った。
それから僕はスマホを耳から離し、画面に表示されていた悠臣の名前をじっと見つめていたらしい。
電話を切ったことで、今まで遠くで聞き耳を立てていた雅が近づいてきたかと思えば、ニヤニヤしながら僕をからかい始めた。
「おやぁ~?水姫君ってば、会長サマの名前なんかじーっと見つめてどうしたのかなぁ?」
「っ、み、雅っ!からかわないでよ!わかってるくせにっ」
「えー?俺が水姫の何をわかってるっていうんだ?そういう水姫は俺がなんのこと言ってるのかわかったの?」
「……うぅっ、その顔ヤメロっ!」
「うぐっ」
懲りずにニヤニヤと僕を小突く雅に僕はさっきのお返しとばかりに鳩尾にグーで殴ってやった。
ざまぁ。
「いつまでもそんな顔してるからだよ。これに懲りたら僕をからかわないでよね」
「いてて……水姫本気で殴った?」
「僕が本気で殴って雅が立ってられるわけないでしょうが。もちろん手加減したよ。今のは大体7割くらいの力かな」
僕がそういうと、雅は顔を引きつらせて恐る恐ると言った様子で僕に問いかける。
「おい……ちょっと待て今のが7割って、本気でやったらどうなるんだよ……」
「うん?雅だったら意識がなくなるってことはないだろうし……精々崩れ落ちるぐらいじゃない?まあ、そこらの下っ端レベルだったら意識がなくなるか吹っ飛ぶかってとこかな」
「うわー……俺そんなやつと一緒にいたのか……味方でよかったわ」
雅は僕を見て若干引いたような動作をする。失礼な。
「まあいいや。次に僕をからかったりしたらこれじゃ済まさないからね。あ、時間だ。じゃあ僕先に行くから」
「おーう。俺も今日はいつもより早いからもうちょいで出るわ」
「うん。戸締まりよろしく」
そう言って、僕は一度洗面所に行き地毛の長い銀髪をスプレーで黒髪に染め、生まれつきのエメラルドグリーンの目を黒いカラコンで隠してから部屋を出て悠臣達がいるであろう入学式会場の講堂へ向かって行った。
そして、水姫の去った部屋の中で、雅はポツリと独り言を呟いていた。
「……あいつ、電話中自分がどんな顔してんのかわかってんのかねぇ。あんだけ会長好き好きオーラ出しといて幼馴染の俺が気づかないわけないってのに。
もう、いっそのこと告っちゃえばいいのになー」
と、まあそんなことを。
ちなみに雅の主張。
「俺は水姫に恋愛感情は持ってない!」(キリッ
僕がもしもしとが言い終わる前に喋った電話の相手は生徒会長である神咲 悠臣だ。
朝早くに電話しておいてそれか、と思ったが、雅以外には演技しているのであまりキャラにあわないことは言えない。
本音を言えば、演技した僕なんかではなくて素の自分で話したいと思ったが、まあ、それも仕方ないかな。正体バレるとめんどくさいことになりそうだし。
「で、何の用ですか?こんなに早くに電話してきて用はないとか言いませんよね?」
『まぁな。お前が寝坊していないかと思ってな』
「……いくら僕の身長が低いからって子供扱いしないでくれませんか」
くそぅ、悠臣め。自分は186㎝あるからってバカにしてんのかっ!163㎝しかない僕への当てつけかっ!
本気でそう言ってやりたい。さっきも行ったように無理なものは無理なんだけど……
『子供扱いじゃねぇよ。お前、去年入学式サボったんだろ?1年だった去年はまぁいいとして、今年は生徒会役員なんだからサボんじゃねぇよってこと』
「去年のは不可抗力です。今年はサボりませんよ、流石に」
僕がそう返すと、悠臣は電話の向こうで笑っていた。
それに気づき、若干ムッとしたが、大人しく悠臣の返事を待った。
『それならいい。じゃ、切るが遅れんなよ?』
「分かってますよ。そういう悠臣こそ遅れないでくださいね」
『ハッ、誰に言ってんだよ。俺が遅れるわけないだろうが』
悠臣はそう言って電話を切った。
それから僕はスマホを耳から離し、画面に表示されていた悠臣の名前をじっと見つめていたらしい。
電話を切ったことで、今まで遠くで聞き耳を立てていた雅が近づいてきたかと思えば、ニヤニヤしながら僕をからかい始めた。
「おやぁ~?水姫君ってば、会長サマの名前なんかじーっと見つめてどうしたのかなぁ?」
「っ、み、雅っ!からかわないでよ!わかってるくせにっ」
「えー?俺が水姫の何をわかってるっていうんだ?そういう水姫は俺がなんのこと言ってるのかわかったの?」
「……うぅっ、その顔ヤメロっ!」
「うぐっ」
懲りずにニヤニヤと僕を小突く雅に僕はさっきのお返しとばかりに鳩尾にグーで殴ってやった。
ざまぁ。
「いつまでもそんな顔してるからだよ。これに懲りたら僕をからかわないでよね」
「いてて……水姫本気で殴った?」
「僕が本気で殴って雅が立ってられるわけないでしょうが。もちろん手加減したよ。今のは大体7割くらいの力かな」
僕がそういうと、雅は顔を引きつらせて恐る恐ると言った様子で僕に問いかける。
「おい……ちょっと待て今のが7割って、本気でやったらどうなるんだよ……」
「うん?雅だったら意識がなくなるってことはないだろうし……精々崩れ落ちるぐらいじゃない?まあ、そこらの下っ端レベルだったら意識がなくなるか吹っ飛ぶかってとこかな」
「うわー……俺そんなやつと一緒にいたのか……味方でよかったわ」
雅は僕を見て若干引いたような動作をする。失礼な。
「まあいいや。次に僕をからかったりしたらこれじゃ済まさないからね。あ、時間だ。じゃあ僕先に行くから」
「おーう。俺も今日はいつもより早いからもうちょいで出るわ」
「うん。戸締まりよろしく」
そう言って、僕は一度洗面所に行き地毛の長い銀髪をスプレーで黒髪に染め、生まれつきのエメラルドグリーンの目を黒いカラコンで隠してから部屋を出て悠臣達がいるであろう入学式会場の講堂へ向かって行った。
そして、水姫の去った部屋の中で、雅はポツリと独り言を呟いていた。
「……あいつ、電話中自分がどんな顔してんのかわかってんのかねぇ。あんだけ会長好き好きオーラ出しといて幼馴染の俺が気づかないわけないってのに。
もう、いっそのこと告っちゃえばいいのになー」
と、まあそんなことを。
ちなみに雅の主張。
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