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長い物語の終わりはハッピーエンドで
第4話 一千年のアウレリア王国期【2】
しおりを挟むヴィルタークに抱っこされて、連れて行かれた浴場は、各部屋に備え付けられた一人用のちいさなものでなく、かなり広かった。浴槽も大きくヴィルタークほどの男でも三人ははいれそうだ。竜の頭をかたどった彫像の口から、お湯が絶え間なく流れている。
広いお風呂で足を伸ばせるのはいいけれど、どうして一緒に入っているんだろう?
史朗はそれを隣に座るヴィルタークに訊ねなかった。いや、本当なら脱衣所でそれを聞くべきだったのに、まだ歴史書の記述に考えがどこか漂っていたから。
男同士だから別に裸を見られたところで、恥ずかしくもないというのもある。引きこもりではあるが小学生のときは、家族で温泉にいったこともある。
さてこの異世界に、共同浴場の概念があるかどうかわからないけど。
脱衣所では、黒いシャツを肩から落とした、ヴィルタークの、綺麗に筋肉のついた広い背がなぜかまぶしくて、目を逸らして自分の服のボタンに手をかけた。
そして、横に並んで大きな石の風呂にはいっている。隣のヴィルタークの広い肩幅に、厚みのある身体の輪郭。伸ばしていた足を縮こめて、貧相な自分の身体を隠したいという気持ちに一瞬なったが、やはり足を伸ばせる湯船でゆったり、くつろがなければもったい無いとやめた。
しかし、この体格差。なんか悔しい。
「文字が読めたのか?いや、あれだけ真剣に没頭していたんだ。理解してなければおかしいか」
「あ、はい」
しまった。こちらの世界の言葉で話していても、文字が読めるのはやはりおかしく感じるだろう。中世から近世ぐらいの文化水準だと思うが、それぐらいの時代の人々の識字率を考えれば、一般庶民は文字が読めなくてもおかしくはない。
まして、自分は異世界の人間なのだ。
「ドイツ語に似てるんです。あ、元の世界の国の言葉の一つなんですけど」
実際、この世界の言葉の響きも、それから文章の綴りもかなり似ているような気がした。
通信制の大学で第二外国語に史朗はドイツ語をとっていた。
「そちらは国ごとに違うのか?こちらは、地方や周辺国になまりはあるが、言葉は同じだからな」
「元は一つの王国だったからですか?」
「第二王国期には大陸全土を支配していたからな」
この国というより、世界の歴史は大きく三つに区分できる。神々の時代の第一王国期、三百年間の第二王国期、そして動乱の二百年の暗黒時代を挟んでの、五百年前から現在の第三王国期だ。
第一王国期というのは初めに神々の名前を連ねただけの黄金の楽園をうたい、そして最後は空から星が落ち、大地が砕け散る劇的な終焉によって幕を閉じる。その終末に七人の大賢者によって箱船に乗せられた者達が、このエァーデボーデンとよばれる大陸におりたった。それがアウレリア王家の祖先であり、次の第二王国期から人の王国が誕生し、歴史が始まるといっていい。
一つの国は大陸全土を支配するほど巨大化した果てに、王位継承の争いのため建国から三百年で三つに分裂。さらに有力貴族の反逆によって国は細分化されて、五公国二十五種族とよばれる大国小国乱立の二百年あまりの長い戦乱の暗黒時代を迎える。
それを終焉させたのが、約五百年のいままで続いている、第三王国期の初代国王だ。先の三つに分裂したアウレリア王家の一つ西方家の末裔だという。
彼は神獣である竜と心を通わせ、その背にまたがることを許された最初の騎士となった。さらに聖魔法の使い手であり、英雄の中の英雄王とその賛辞の詩が、歴史書に記述されていたが、初代というのはだいたい、神格化されるものだ。
その聖竜騎士王が、今の大陸南部を占めるアウレリア王国を再興した。大陸全土ではなく、季候も良く、土地も豊かな南部を領土とするだけでよしとした初代王は、統治者として賢明であり優秀であったと、史朗は感想をもった。
第二王国期の王国が滅んだのは、民が増え、富み栄えるままに、領土を拡大し続け、ついには大陸一つ丸ごと統治したが、あまりに巨大化しすぎたために中央から末端まで目が届かなくなり、統治不全となった。分裂は当然の結果だと言えただろう。
だから、英雄王は南部の豊かな土地をアウレリア王国とすることで、これ以上の領土拡大はならないと、子々孫々に命じたのだ。
周辺の諸国や、さらに北方辺境の国にもならない遊牧民族には、それでも元は一つの国の長であったと、宗主国として君臨すれど、統治も侵略もせず。小国同士の争いが起こっても、和平の仲裁役はするが深入りはしない。同時に、周辺国がアウレリアの領土を一歩たりとも脅かすようなことがあれば、断固として防衛することに歴代の王達は徹している。これを純血の誓いと称して。
この五百年、周辺国が滅んだり、その国境線の書き換えが度々起これど、アウレリアの領土は一ミリたりとも侵されたことはない。北方の早すぎる冬による飢餓での蛮族の襲来にも、百年前の急速に軍事力を増して周辺国を次々とのみ込んで、帝国を名乗った新興国も、国境で大敗させている。その大敗がきっかけで、帝国は滅んだ。
もちろん、外からの憂慮だけでなく、国内でも王位継承の争いや、外戚である有力貴族の反乱……など、事件は多々あったが、それでも国は初代王の定めた国土を維持し、民は外敵からの襲来を知らずの繁栄を保ってきた。
「聖女伝説についても、出てきました。第三王国期が始まって三人」
「竜の聖女と緋色の聖女、それに百年前の光の聖女だな」
この三人の話は小さな子どもから文字の読めない農夫まで知ってる話だという。アウレリア女神の教会にて、神官が盛んに語るからだとも。
この国というより、大陸は多神教であり、それぞれの国や部族を守る守護神があって、この王国は国名そのままの光と豊穣の女神アウレリア。
その女神の神託を受け大小様々な奇跡を起こし、教会が認定したものが聖女と呼ばれる。そのうち歴史に名を残した有名な聖女は三人。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
一番最初の聖女は、第三王国期の始祖である英雄王ジグムント一世の時代。その妹だ。突如神がかった彼女は、あなたこそこの二百年の暗黒の時代に光をもたらし王となるものとの女神アウレリアの神託を下した。さらには大陸の中央にそびえる霊峰オンハネスにて王となる試練を受けよと。
オンハネスの頂で、ジグムントはそこに住まう竜と三日三晩戦い続け、ついには屈服させた。己の命を取らぬ、英雄王の心に打たれた竜は、己の眷族たる真白き飛竜を彼に使わした。これが聖竜騎士のはじまりと言われる。
これを竜の聖女と呼ぶ。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
二代目は三百年の昔、あの暗黒の二百年前を思わせる。王国を二分させる内乱となりかけた。兄と弟、二人の王子が王位をあらそったのだ。
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だが、赤い夕日にそまる槍に囲まれた彼女は「おそれることはありません」と民衆に叫んだ。
「自分がここで天に召されるのは女神が定められたこと。歩みを止めてはなりません。正当なる王をこの都に迎え入れるのです!」
人々は王都の門を突き破り、槍が彼女の胸を貫いた。
追い詰められた弟王子は玉座の間にて自死し、兄は、玉座についた。
二代目聖女は、緋の聖女と呼ばれる。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
そして、三代目の聖女があらわれたのは百年前。
かの新興の帝国の時代だ。周辺の国を次々に併呑し、魔法帝国と国名を変え、王は魔法皇帝を名乗った。
元は力のない小国だった国が急速に拡大したのは、いびつに発展した魔法技術によってだ。膨大な魔力を秘めた深紅の魔宝石から放たれる閃光は、周辺国の民と国土を焼き尽くした。
さすがのアウレリア王国の聖竜騎士隊でも、対抗は不可能か?と思えたこの武器を前に、女神の預言を受けたという聖女が現れ、彼女は国境の平原から現れた巨大な魔兵器を前に、女神に祈りを捧げた。
そんなちっぽけな娘をあざ笑うがごとく、禍々しく赫い閃光が放たれたが、これは大地にひざまずき祈る彼女を守るように空に展開した、聖竜騎士団が連携して結んだ光の結界により防がれた。
閃光の威力すさまじく、大陸最強をうたわれる団員の魔力とて限界はある。結界があと一撃で耐えられないとなったときに、祈る少女の胸から、光の矢が放たれた。
それはひと筋の流星のごとく、巨大な魔宝石を貫き砕いた。強力な兵器を失った帝国軍は、地上に展開したアウレリア国軍の敵ではなかった。彼らは騎士の馬蹄に踏みにじられ、隊列を乱さず前進する歩兵の銀の槍に貫かれ、二時間足らずで総崩れとなった。
この国の時間の単位は、史朗のやってきた世界と変わらず二十四時間。午前と午後の十二時間単位。季節もまた春夏秋冬の四つの季節に、一月は三十日で、十二の月に分かれていた。時間は数字で、月も数字で呼ばれているが、別の古風な呼び名もある。ともあれ、前の世界と変わらない時間感覚というのはありがたい。
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三人目の聖女は光の聖女という。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
「今回はどんなことが起こったんですか?」
史朗はヴィルタークに訊ねた。国が滅ぶような困難が襲いかかったからこそ、女神の依り代たる聖女に助けを求めたのだろう。
わざわざ、異世界から召喚してだ。
「ビンネンメーア、この国では内海と呼ばれる、大陸一の湖が干上がりそうになってる。普段の水量の半分だ。これでは晩夏の小麦の収穫まで畑がもたない」
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「五百年も続く国なら、天候不順なんて十年に一度ぐらいはあるはずで、そのための国庫の蓄えとかないんですか?」
そのような重大事にまったく無策の国が、五百年も保つとは思えない。それに「鋭いな」とヴィルタークは苦笑し「国庫には三年以上の蓄えがある」と答えた。しかし、続けて。
「女神の神託があったのは確かだ」
ヴィルタークが語るには、王都の大聖堂で朝の祈りの手伝いをしていた少女に起こったという。
その身体は宙に浮かび、身体は女神の象徴たる光に包まれたというから本物の奇跡だ。それも、王都の住民達が集まった衆人環視の中で。
普段の娘とは違う、落ち着いた慈愛あふれる女性の声が高い大聖堂の天井に響いた。
『今、王国に危険な見えない足音が近づいてきています。これを退けるために、外の世界から月を呼ぶのです』
と。
文言だけ聞けば、曖昧なお告げであるが、これを女神アウレリアの神託ならば、それは聖女だと神官達は断言し、宮廷魔術師達は外の世界とは異世界だと結論付けたという。
「安直な思いつきですね」
「俺もそう思う」
「へ?」
浴槽で筋肉が綺麗についた腕を胸の前で組んだヴィルタークに思わず史朗はまぬけな声をあげてしまう。さらに彼は。
「さっぱりわからん神託だろう?」
「そ、そうですね、ふふ……」
形の良い額に深い皺を寄せたヴィルタークのいっそ真面目な顔をおかしくて吹き出せば、彼もつられるように「ははは」と豪快に笑った。
その笑顔もまた、彼が竜にまたがって飛ぶ蒼天の空のようだったが、一瞬後にはその笑いを収めて、また真顔となって口を開く。
「だが、あの少女とお前が異世界より召喚されたのは事実だ」
「……僕はオマケですけどね」
そもそもあんな無茶な召喚が成功したのが“奇跡”だ。史朗の計算で成功率など百万に一つといったところだった。
さらにそこに史朗が通り掛かることを考えると、それこそ天文学的確率だか……と考えて、彼は軽く目を見開く。
それが女神の“思惑”だとしたらだ。たしかに史朗から彼女に移った魔法紋章の力ならば、湖に雨を降らすぐらいの奇跡は起こせるだろう。
神という存在について、史朗は賢者として“いる”とは認識していた。
彼らは極めて高次元の存在だ。それこそ、異世界だろうと、別の宇宙だろうと、超越して同時に存在することも出来るし、逆にどこにも存在しない。ゆらぎのようなものだ。
そして、こちらの世界に干渉するのはなんらかの理由があるはずだが、しかし、それも不明だ。
それこそ、神様の言う通りという奴だ。
今回はそれにひっかかったか?と史朗がうなって考えていると。
「わっ!」
伸びた手にとうとつに濡れた前髪をかき上げられた。ずいっと顔が吐息がかかるほど近づく。わあ、ド迫力の美形だと史朗が内心でつぶやけば、相手も自分の顔をじっと見ていて。
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自分で言うなと声が聞こえたが、それは無視した。
一番賢い者だけに、質が悪いと言ったのは、同じ七月(ななつき)の女賢者だったか。
「そういえば、僕と女の子が召喚されたのは玉座の間でしたよね?」
「ああ、そうだ」
国の重要な聖女の召喚ならば、宮殿で一番大切な部屋なのはわかる。そこにすべての宮廷の人々が集まるのも。ヴィルターク以下の軍人に、貴族、宰相に皇太子殿下もいたか。
それだけ揃っていたのに、一人だけいない人物がいた。
「少し高い場所に黄金の椅子がありましたよね?あれは玉座ですか?」
「そうだ」
「だったら、王様はどうしたんですか?」
誰も座っていない空の玉座に史朗は違和感を覚えていた。聖女をこの世界に招くという重大な場に、どうして王が不在だったのか。
「いない」
「はい?」
「この国には、現在、王はいない。空位の状態だ」
「どうして?」といいかけて、くらりと目眩がした。上体がぐらりと傾いた史朗の上半身を、力強い片腕が支える。
「おい、しまった!長居しすぎた!のぼせたか!」
ヴィルタークの声が遠くに聞こえた。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
額に当てられた手は温かいのに、流れこんできたものはヒンヤリと心地よい。
寝台に横たえられていることはわかった。
「気がついたか?」
うっすら目をあけると、室内は灯りが落とされて暗いが、間近だと濃紺の瞳が綺麗に見えた。
「すまないな。長く話し過ぎた」
「いえ、僕も……」
興味深い話ばかりで、本と同じでのめり込みすぎた。知識の探求となると周りが見えなくなると、前世、誰に言われただろうか?ああ、全員が全員に呆れたような顔をされた気がする。
額に当てられた大きな手はやはり温かいのに、身体に流れこんでくる魔力はひやりと心地よい。のぼせた熱をとってくれているのだろう。
「いつも、すみません……」
「なにを言う。俺は俺の出来ることをやっているだけだ」
「とても気持ちいいです」
その手をごく自然に差し出せる人がどれだけいるだろうと、史朗は心地よさに目を閉じた。
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