ウサ耳おっさん剣士は狼王子の求婚から逃げられない!

志麻友紀

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SSS小話置き場

一夜限りのバーレスク お仕置き編※

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 ノクトの肩に担がれたまま、スノゥはそう大きくもない街を出た。外には荒野が広がっており、通常なら真っ暗なはずだが、街道沿いにかがり火が焚かれて、大きな天幕が並んでいた。
 近くに利用できる城館が場合はともかく、辺境の村などの視察では、このような天幕を利用することが多い。
 以前ならばこの街にも貴族用の宿屋などがあったのだが、とっくの昔に閉鎖している。今は旅の商人が利用する小さな宿屋が一軒きりだ。
 ノクトの肩に担がれたスノゥの姿に、警備の兵士達は目を丸くしたがなにも言わなかった。ノクトは大股で中心のひときわ大きな天幕へと向かい中へと入る。
 野戦用の天幕の中ではあるが、天蓋付きでないにしろ、組み立て式の大きな立派な寝台が中央におかれていた。

「わあっ!」

 いささか乱暴にスノゥはノクトの肩から放り投げられた。頑丈な寝台はしっかりとその細身の身体を受けとめてくれた。

「おい! ちょいまてっ!」
「待たない」

 当然のようにのしかかってきた夫の顔をぐいとスノゥは押しのけた。勇者様にして、いまやサンドリゥムの国政を担う宰相にして大公閣下の超絶美形の顔を、こんな風に扱えるのはやはりこの妻しかいない。
 こちらも、見た目だけならばその白の色もあいまって、儚げ系美青年にしか見えないのだが。ちなみに二人はすでに百歳近くなのだが、そこは三百歳の寿命を誇る純血種。いまだ青年と呼べる若々しい外見をしていた。

「ちゃんとする! ヤルのはわかってるが、服を脱がせろと言っているんだ。この待てが出来ない、馬鹿狼! こいつは借り物の衣装なんだぞ!」

 スノゥがそう怒鳴れば、不承不承といった様子でノクトがその身を離す。スノゥは「まったく」と文句をいいながら、借り物の衣装を脱ぐ。
 それだけでなく、下履きまで脱いですっ裸に、そのまま仰向けに寝っ転がる。

「さあ、ヤルか」
「情緒がないな……」
「お、その気を無くしましたか?旦那様?」

 スノゥは仰向けから寝台に四つん這いとなって、ノクトに尻を向けて、その丸い尻尾をふりふりとする。もちろん“その気”にさせるつもりなんてない。むしろ、さらに萎えさせるための色気もなんにもない行為のつもりだったが……。

「…………」

 ごくりと生唾を呑み込む音がして「え?」と思った瞬間に、後ろからのしかかられた。

「あ、あんた! これでその気になるのかよ!」
「私はいつでもお前に本気だ。愛しているからな」
「……こういうときに言うか?俺モあんたを愛しているけどよ」

 初めは真顔で『愛してる』なんていう相手に照れたものだ。しかし、長年過ごすうちにその照れくささもなくなり、さらには言葉には言葉で返すことを覚えた。
 本気の愛してるには。
 愛しているを。

「ん……」

 正面に向き直ったスノゥはノクトの首に腕を回し口づける。
 ぴちゃぴちゃと淫らな音を立てて舌を絡ませあいながら、スノゥの手は下へと伸びる。夫の膨らんでいる前立てをなぞり、器用に片手でボタンを外して、飛び出してきたものを握りしめる。
 重ねている唇から息を飲む気配がして、スノゥはその石榴色の目を細める。初めから勢いがあったそれは、手で数度扱けばすでにガチガチとなった、まったくどこまで元気になるんだか。
 そんなことを思いながら、唇を離して握りしめているものに、唇を寄せると「待て」止められた。

「なんだ。もういれてぇの?」
「いきなりいれたら、お前が傷つくだろう。私も舐める」
「……わかった」

 まったく、奔放なスノゥに怒ったノクトが、何度、肩に担ぎ上げて寝台に連れ込んだか……両手の指どころか、それの倍重ねたって数えれないぐらいだ。しかし、どんなに嫉妬に狂っていようとも、この愛しい夫は妻に対する気遣いを忘れたことはない。
 一方的な欲望な押しつけではない。だから、拒めないのだが。

「ふぅ……ん……」

 ノクトのぶ厚い身体の上に、スノゥが乗っかり、お互い頭は反対側、足のあいだに埋める。スノゥの薄桃色のペニスもまた、しっかり立ち上がって先から滴をこぼしていた。
 触れられてもいないが、長年連れ添った相手のものをいじって舐めればこうなるだろう……と、開き直る。
 そんな思考も、前を舐められるだけでなく、後ろに滑った唾液をまとった指が、アヌスにつぷりと入りこんできて霧散する。もう知られ尽くした、弱い場所をいじられる。指が一本までは耐えたが、二本となって抜き差しする動きとなって、早々に降参した。

「も、いれろよ……」

 口にふくんでいたたくましいペニスから口を離す。

「いいのか?」
「だから、これ、いれろっ……て……」

 ちゅっと愛しい夫の分身の先に口づければ、そのぶ厚い身体にのっていた体勢をたちまち入れ替えられて、足を抱え上げられる。その身体がわりこんできて、熱い楔がはいりこんでくるのに「あああっ!」と声をあげる。
 ゆるゆるとした動きが激しくなり、一度互いに達して、ノクトはスノゥのなかをスノゥは己の腹を濡らす。

「これで……」
「終わる訳ないだろう?私の憤りは収まっていない」
「だろうな……ぁ……」

 これは夜明けまでかな?とはじめの覚悟を胸のうちでつぶやいて、夫のたくましい肩に頬をすりよせたのだった。

 やがて、ひと夜限りの踊り子が背負った羽を、三人娘が背負うこととなる。彼女達の踊りは旅の者達を癒し、美味い料理とともに街唯一の酒場は昔の賑わいを取りもどしたという。





   END




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