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SSS小話置き場
街で噂の雪の踊り子 お仕置き編
しおりを挟むノクトに肩に担がれたまま戻ったのは、宿泊している海辺のコテージ。アーテルとザリア夫婦も両隣のコテージに宿泊している。
コテージというが、南の島にあわせたひなびた外見はともかく、内装は南国風でありながら王侯貴族の館か? と見まごうほど豪奢なものだ。螺鈿の調度に籐の見事な編みこみ細工で出来た椅子やベッド。そのベッドには透ける白の天蓋付き。
香りは強くないが心地よい香がたかれ、手洗いようの銀の水盤には、南国の花と花びらが散らされ浮かぶ。
そんな部屋にパン! と響く音、パンパンパンと調子良く。
「やめぇ! 俺はもう尻を叩かれるようなガキじゃねぇ!」
「それよりも悪い子にはお仕置きが必要だからしてるんだ!」
「こ、このクソヘンタイ勇者がぁああ!」
ベッドに座ったノクトの膝にうつ伏せに抱えられて、スノゥは“おしおき”を受けていた。
そのお仕置きとは。
お尻ぺんぺん。
「お前のくそ力で叩かれたら、尻が割れる!」
「元から割れているだろうが!」
「アーテル、ザリア! 母様は、ヘンタイな父様にいじめられているぞ!」
「安心しろ、あの二人も双方の“保護者”から今頃同じようにお仕置きされている」
「うぉ~お互い男の趣味は最悪だったなぁ!」
そんなふざけた? やりとりの間にも、ぱんぱんという小気味良い音が響く。
「……くそ、尻がはれた!」
ようやく解放されたときには、スノゥは涙目で夫をにらみつけて「ぷぅ」と鳴いた。
「そうか? では見せてみろ」
「い、いや、見なくていい! うわ! 尻を抱えるなぁ!」
実は音が派手なわりには全然痛くなかった。痛くないからこそ、響く音が余計に屈辱だったというか。そういう効果を狙ってやったのだろう。この勇者様は。
まったく音だけさせても、妻の肌には傷をつけないなど、無駄に器用な勇者様だ。
「ふむ……赤くはなってないな」
「だから……尻をまじまじ見るな……」
ベッドの上、うつ伏せで尻をあげさせられてじっと見られている。長年夫婦のうえに倦怠期なんてどこへやら、毎日抱き合っている関係だって、スノゥにも恥じらいぐらいはある。
「しかし、この下履きはなんだ」
「着ろと言われたんだよ。だいたい、これを履かないと、このすけすけの腰布だけじゃ丸見えだろうが」
スノゥが身につけているのは、前は辛うじて隠してくれるが、脇は紐、臀部は丸出しの下履きだった。白く丸い尻尾も当然丸見えだ。
「なんだよ。冒険者の時代は腹出しのこれに似たような格好してたぜ。さすがに尻は丸出しじゃないが……ん……」
その丸い尻尾を大きな手の平で包まれ、揉まれて声をあげてしまった。
そしたら。
「ひゃあっ!」
とんでもない声をあげてしまったのは、ぺろりと舐められたからだ。どこを……って、尻を!
「な、舐めるな! このヘンタイ!」
「尻が腫れたと言っていたからな。舐めて治してやろうとしてる」
「言葉のあやだろうが! 本当は腫れてねぇのはわかっているクセに、あぅ……っ! 馬鹿ぁ! なめておいて、噛むなぁ……」
あとはもう流されるがままというか、こうなるとスノゥもよわいというか、舐めて噛まれたうえに、舌もいれられ……どこになんていえるか!
とろとろと唾液を流し込まれたうえに、指を抜き差しされる。いまだ下履きは履いたまま、それもペニスからこぼれる先走りの蜜でぐしゃぐしゃに濡れている。散々文句を言ったクセに、履かせたままなんて、これ気に入っているのか? と思ったら、ぐいと二本の指で弱い場所をえぐられるようにされて「あああ!」と声をあげる。
「あ……もう……っ!」
「もう、なんだ?」
「……っ!」
ここで聞くか? とうつ伏せの態勢から首だけ後ろを向いて涙目でにらみつける。憎たらしいぐらい余裕の微笑みを浮かべている夫の端正な顔があるが。
「ここ、こんなにして……それを聞きやがるか?」
「っ……!」
後ろ手にむんずと握りしめてやった前は、布をおしあげてガチガチだ。
「あんたのほうこそ、どうしてほしい?」
キツくにぎったそのあとは、優しくなでなでしてやる。このあんばいは、だてに人妻はん十年? やってないからな!
「お前のなかにはいりたい……」
「いいぜ、こいよ。正直な“良い子”にはご褒美あげなきゃな」
さっき“悪い子”といわれた仕返しに不敵に微笑んでやる。しかし、次に瞬間に「うあっ!」と声をあげる。
ぐしょぐしょの下履きをずらして、いきなり突き入れる馬鹿があるか! いや、十分濡らしたし指で慣らしたから痛みはない。ないというか太くて長いそれの先で的確に弱い場所を探るのはさすがだ。こらちも長年、人夫? してないというわけか?
「“良い子”はて、撤回……あ……、あんた……は“悪い子”だ……あ!」
「は……」と後ろから声がして「良い子がこんなことするわけがないだろう?」と後ろから抱きしめられて揺さぶられる。
そのたびにスノゥの腕や足を飾る腕輪がシャンシャンシャンと淫らな音を立てて……。
当然、朝まで離してもらえず、昼すぎにもそもそと起きたスノゥは、差し出されたミルクティを一口「ぷぅ」と不機嫌に鳴いた。
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作者の新作情報はtwitterにてご確認ください
https://twitter.com/sima_yuki
次回作→『落ちこぼれが王子様の運命のガイドになりました~おとぎの国のセンチネルバース~』
【同一作者の作品】
『チンチラおじさん転生~ゲージと回し車は持参してきた!~』
ハズレ勇者のモップ頭王子×チンチラに異世界転生しちゃった英国紳士風おじさま。
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【完結】婚約破棄の慰謝料は36回払いでどうだろうか?~悪役令息に幸せを~
【完結】どうも魔法少女(おじさん)です。
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