ウサ耳おっさん剣士は狼王子の求婚から逃げられない!

志麻友紀

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鳴かない兎は銀の公子に溺愛される【シルヴァ×プルプァ編】

【32】ごめんなんていわないで、もっと欲しがっていいの※

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 怖くなんてなかったし、「ごめん……」なんて謝らないで欲しかった。プルプァは自分の頬に口づけられたお返しというように、苦しげにしわが寄っているシルヴァの眉間に口づけた。

「シルヴァなら、なにしてもいいの」
「プルプァ……そんなことを言ってはいけない」

 肩から薄物のガウンがそっとずらされて、肩に口づけられる。シルヴァの端正な唇が触れただけで「ん……」と声が漏れて肌が震えた。
 そんなガウンなんて丁寧に脱がせなくていいし、肩へのキスだってもっとキツくしていいのに。
 口付けはあの十七歳の誕生日から何度もした。くり返すうちに激しくなって、舌をからめられたときはびっくりしたけど、シルヴァならなにをしたってよかった。

 だってけして乱暴にはしない。
 いつだって優しい。

 あの長いキスのあとも、唇を離して肩で息をしているプルプァに、シルヴァは今みたいな苦しそうな顔で「ごめん」と謝った。
 謝って欲しくないと、プルプァはそのときもぐりぐりと広い肩に額をおしつけて、長い耳もすりすりしたのだけど。

「……シルヴァ苦しい? プルプァも……身体が熱くて苦しいの」
「プルプァ……」
「これはプルプァのせい? プルプァがシルヴァを苦しくしてるの?」
「そんなことはない! 苦しくない、苦しく……いや、苦しいんだ。プルプァが欲しくて……」

 「だけど酷くしたくない……」とシルヴァの聞いたことのない弱々しい声に、プルプァは男の頭をその胸に抱きしめる。銀の長い髪を撫でて、自分がシルヴァの頭を撫でるなんて、いつもと逆だとクスリと笑う。

「プルプァもシルヴァが欲しい……」
「プルプァ……」
「だから、これは酷いことじゃない。シルヴァの好きなように……優しく…して……あっ!」

 男の頭を撫でながら、その上でぴくぴく動く、銀色の狼の耳にそっとささやくと、じゅっと乳首を吸われた。むずがゆいのが強い、痛いぐらいの感覚。でもこれが欲しかったのだと、シルヴァの頭をぎゅっとさらに強く抱きしめる。

「あ、あ、あ……んぅ……」

 舌で舐め転がされて、もう片方の乳首も指でそっと摘ままれて指先で転がされて、びくびくと背を震える。その背のくぼみを大きな手でなぞられて「あ……」と声をあげる。

「シルヴァ……が…触れるとこ…ろ……全部が…熱い…の……」

 手だけではない。身体中に口づけられる、すべてがだ。唇を押し当てられて、ひりひりするぐらい吸われて、軽く歯も立てられた。そのたびに声が勝手に口から出た。

 やっぱり少し痛いのかもしれない。
 でも、痛いけど気持ち良くて。
 噛まれて食べられちゃうかもしれないと思う。
 それが怖い……のではなく。

「ん…んぅ……シルヴァ…プルプァ……食べちゃう…の……?」
「違う…プルプァ…ごめ…ん……プルプァに…優し…くした…い……愛し…あいたいんだ……」

 また“ごめん”って謝らなくていいのに。手を止めて苦しそうに自分の顔を見る男の顔を、震える両手でそっと挟んで、ひたいにそっと口づけた。これもいつもと逆だ……と思う。
 シルヴァにこうやって口づけられると、いつも“大丈夫”だと安心した。だから、シルヴァも同じように“大丈夫”だって思って欲しい。

「いいの……シルヴァ…なら…プルプァを…食べちゃっ…て…いいの……あ……っ!」

 そう言ったら肩にまた軽く歯を立てられた。キツく吸われて、やっぱり少し痛いけど気持ちいい。



「え? ……そこ触るの?」

 足の間に触れられてびっくりしたのは、触れられただけじゃなくて、それがプルプァの知らない形になっていたからだ。立ち上がって膨らんで固くなって粗相したわけではないのに、ぬるぬる濡れている。
 シルヴァの大きな手に包み込まれて、扱かれるとさらに身体の熱さがそこに集中して、なにかがせり上がるのに「ヘ、ヘン……」といえば。

「変じゃ…ない……私もこうなって…る」
「あ……」

 手をとられて導かれた先。触れたのはシルヴァの足のあいだ。プルプァと同じというけれど、同じ…じゃない。

「シルヴァの…もっと…大き…い……病気?」

 形を指でたどってそっと握りしめると、シルヴァが「はぁ……」と苦しそうに息を吐いた。

「違う…これは…プルプァが欲し…く…て……」
「……欲し…い……とこうなる…の? ……プルプァも……同…じ……あ…ぁ……」

 シルヴァの大きな手でさらに扱かれて、さらに身体が熱くなる。プルプァも手を動かそうとするけど、身体がしびれたようになって、いうことがきかない。

「や…だ……なん…か……はじけ……ちゃ…う……!」

 びくびくしていた腰がさらに大きく跳ねて、たしかにはじけた。シルヴァの手が白く濡れていた。それを彼が口許にもっていって、舐めたのにびっくりする。
 舐めていいのかな? とプルプァもシルヴァの手に、顔を寄せたら、やんわりと止められて遠ざけられた。どうして? ……と思う前に、足のあいだのさらに奥に触れられて、プルプァは目を丸くする。

「そこも……触れる…の……?」

 なにかがはじけて頭がいやに……はっきりしていたから、よけいに驚いた。シルヴァが「はぁ……」とまた苦しそうに息をはいた。

「…ここに…挿れたい……」

 お尻の間を指でなぞられて、さらにシルヴァの足の間の太くて長くて大きなそれを押しつけられた。火の様に熱いのに、背筋にぞくぞくした震えが走る。

「ここ…いれるの?」
「ああ、いれたい」

 いつもならもっと丁寧に説明してくれるシルヴァだけど、本当に苦しそうで、そんな余裕はないのだとわかる。
 いれたいのはシルヴァの火の様に熱くて固いこれだろう。プルプァがまた触れて形を確かめるようになぞると、シルヴァにその手を止められた。

「それ以上は…きつい……」
「苦しいの? シルヴァ」
「ああ、だから」
「あ…っ!」

 お尻の間をそれの先でなぞるようにされて、声をあげる。こんな大きいの入るのかな? 痛いかな? と思いながら「いいよ」とプルプァはこたえた。

「シルヴァ…ならいいの……プルプァになにをしても」
「……だから……そういうことは、男に……いっては……いけな…い……」
「んぁ……」

 指でそこをなぞられて、プルプァが先ほどはじけたもので濡れていたから、ぬるりと指先が入りこんでくる。
 指だけでもきつくて、シルヴァはそれでもゆっくりゆっくりやってくれた。けれど、二本目となると痛くて唇を噛みしめたら、「ダメだ」と唇を舐められて、それから指を抜かれた。

「やだ…っ……!」

 止めてはいやだという意味で叫んだら、身体をうつ伏せに返されて、それからお尻だけあげるような姿勢にされた。そして、指が入りこんできたところにぬるりとした感触。
 驚いて首だけねじ曲げる無理な体勢で振り返ったら、シルヴァの綺麗な顔が、高い鼻がそこにうまっていた。舐められている……と、かああっと頭が熱くなったのは、恥ずかしさだけではない。

「あ……あんっ!」

 ぴちゃりと舐められて、そこが熱い。背筋にまたぞくぞくと震えがはしる。舌をねじ込まれて唾液を流し込まれて、指一本でも違和感があったのが、二本目もいれられてヌルヌルと動いていた。
 プルプァの腰も無意識に揺れているのに気付かずに……。
 そして指が抜き取れて、後ろから抱きしめられるようにされて、シルヴァがなかに入ってきた。やっぱり指よりも大きくて熱くて、痛いのは……ある。あるけど、プルプァもシルヴァが欲しかったから、うれしいと思う。

 ゆるゆる、ゆりかごみたいに揺さぶられるうちに、痛みは遠く、熱いのだけがせり上がってくる。「あっ! あっ! あっ!」と声があがる。
 後ろから抱きしめるシルヴァの腕がいよいよ強く、長い耳にかかる息もさらに荒く熱い。肩や首筋になんども口づけられて、ひときわ強く突き上げられたときにうなじを強く吸われて、プルプァもひときわ甲高い声をあげた。

「……プルプァ……」
「あ……」

 でも、なかのシルヴァはまだ固くて熱いまま、ゆるゆる動かされて、プルプァは「お願い……」という。

「プルプァ……?」
「……シルヴァのお顔みたい…後ろから抱っこも好きだけど……お顔みたい……きゃぁ…っ!」

 ちょっと悲鳴みたい声があがってしまったのは、ぐるりと身体が返されたからだ。なかに挿入はいったまま。

「プルプァ……」

 自分を見おろすシルヴァの顔。汗に濡れて、やっぱりまだ苦しそうで眉間にしわがよっていて、それにプルプァの心臓もつかまれたみたいに、きゅうっとする。
 自分も汗に濡れた頬を、その精悍な頬に擦りつけて首に手を回して抱きつけば、シルヴァがまたプルプァの身体をゆらゆら揺らす。そのままに、プルプァは声をあげた。





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