ウサ耳おっさん剣士は狼王子の求婚から逃げられない!

志麻友紀

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狼勇者とウサ耳剣士と可愛い子供達は最強家族!【ノクト×スノゥ+子供達編】

【6】あんただからいいんだ※

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 どさりと長身の上に倒れこむ形になる。
 噛みつくみたいに口づけられた。

「ん…ぅ……」

 かっぷりと唇で唇をおおわれて、口中を肉厚の舌でなめ回されるのにケダモノみてぇ……と石榴色の瞳を細めて、ふ……と笑う。
 逃がさないとばかりにつかまれた手首は痛くて、こりゃ指のあとが残るな……と思う。治癒魔法ですぐに治るけれど。

 別にそんな必死に掴まなくても逃げないのに……。
 この狼からは……。

 自分の手首を押さえる男の大きな手。その手の甲に小さな赤い点があるのを見つける。
 毒針か? 
 普段なら戦うことも知らない相手に、ノクトが遅れを取ることなんてない。だが“証拠”が無ければいけないと、わざとあの小娘達の誰かから受けたのか。
 王族の身体を臣下である貴族が毛筋ほども傷つけたならば即叛逆罪ものだ。そんな愚かなことをしたのかと思う。
 ノクトは純血種で勇者だ。多少の毒なら耐性があるし、中級の治癒魔法まで取得してるから毒も自分で消せる。

 ただしそれが毒ならば……なのだが。
 媚薬ならば身体に害はないとして治癒魔法は効かない。
 それはスノゥも以前、身をもって体験してる。
 あれはこの男の求婚から逃げ回っていたときに、自分の娘をノクトに嫁がせたい貴族の手先に狙われた。

「い…っ……!」

 そんなことを考えていると、こちらに集中しろとばかりに耳の先に軽く牙を立てられた。はむはむと長い耳をたどる唇に「ほんと、あんたこのお耳、好きだな」とつぶやく。
 左耳の根元、朝、この狼自らがつけた薔薇の花。それを彼の牙が引きちぎる。しゅるりと解かれるリボンと舞い散る白い薔薇の花弁が、ほこりっぽい倉庫の床に落ちる。
 やっぱりいつもより野生だな……と、こちらをじつと見るギラギラと薄暗い室内で輝く銀月の瞳を、みつめ返す。
 耳の根元にちくりとした牙の感触、それから頬も口づけるというより、まるで食べるみたいに大口開けてはむりと、軽く痛みを感じるほど牙が食い込む。

「食べられるのは困るんだけど……な……」

 はくりと息をついたのは、首筋の血管のうえに牙を立てられたからだ。太古の狩る狩られるの関係だった記憶が呼び覚まされるように。ぶるりと身体が震えた。
 でも。

「あんたならいいか……」

 そういったとたん、邪魔だとばかりレースとフリルのドレスシャツの胸元。クラバットごと引き裂かれた。ああ、こりゃマダム・ヴァイオレットが泣くな……と、どうでもいいことを思う。
 乳首をじゅっと吸われて「ああぁ……」と声をあげる。はあはあ……と荒い息が苦しそうだ。それでも健気に自分を高めようとしてくれる、この若い狼が可愛いが。

「あんたのほうこそ、こっちが苦しんじゃないのか?」

 軽く膝をたてて、柔らかな鹿革のブリーチに包まれた膨らんだ股間をなぞれば、びくりと覆い被さる広い肩がはねた。その隙を逃さずに、彼の肩を押して体勢を逆転する。
 その長身の腹にまたがって、後ろ手にブリーチの前をひきずり下ろせば、勢いよく飛び出してくるペニス。乱暴につかめば、すでにそれは臨戦態勢でぴきぴきと血管が浮き出しているのを指先に感じる。

「こりゃ、そうとう強いの使われてないか?」

 握りしめて扱いてやると下から低いうめき声が聞こえる。これでよくまあ、いきなりのしかかってツッコんで来なかったものだ。
 実は覚悟していたのだ。そうされても仕方ないと切れたとしても治癒の歌でなんとかなるし。ツッコまれながら歌うのはかなり間抜けであるが。

「よしよし、あとは俺がしてやるからな」

 強い媚薬の効果ですぐにでも繋がりたいだろうに、それを必死で我慢して、ケダモノのように自分をぺろぺろ愛撫してきた若い夫がすっかり愛おしくなって、握りしめていたえらの張りだした亀頭を撫で撫でしてやったら「う……」と苦しそうに息を吐く。
 これでは生殺しだな……と己のブリーチも下ろして尻を丸出しにする。さすがに慣らさずに上に乗っかるのは無謀かと、相手の先走りで濡れた指をアヌスにあてがおうとしたが。

「え?」

 その手を押さえられて、ぐるりと視界が反転してまたも組み敷かれる。今度はうつ伏せに尻を突き出す格好で。
 これはいよいよツッコまれるのか? と覚悟を決めたが、次にきたのは固いペニスではなく、ぬるりとした感触。それは尻たぶを舐めアヌスを舐めるだけでなく、その下の蟻の門渡りから陰嚢の裏にかけて、何度も肉厚の舌が往復する。

「あ……はっ……も…あんた…は……」

 まったくどこまで忍耐強いのだと思う。すぐさまにもはじけそうな己の欲望を抱えて、それでも番の身体を労るように準備をほどこすなんて……だ。
 舌先をアヌスにねじ込まれ唾液を流し込まれてあえぐ。「あ、もぅ…早く……」とうながせば、腰を両手で掴まれる。後ろから一気に貫かれる。

「んんんっ!」

 濡れていたために一気に奥まで、ずん……と。やはりいつもより、さらに大きいような気がする。そのままケダモノの体勢で後ろから揺さぶられる。いつもなら初めは慣らすようにゆっくりとなのだが、ガツガツとがっついて。
 突かれるまま「あ、あ、あ」と声が出る。そして身体の奥に感じる熱。いつもよりこれも早い……というのは本人の名誉のためにいうが、やはり媚薬を盛られた上に、我慢に我慢を重ねたせいだろう。
 はあ……と二人で息をつく。スノゥのペニスは衰えておらず、力強いまま胎にみっちりと満ちている。一度ぐらいで治まるわけないよな……と思っていたときに異変は起こった。

「う…あっ!」

 自分のうちにある長大なペニスが、さらに大きくなったように感じたのだ。正確にはつながっている根元付近が、より太く膨らんだ。まるで栓をされたかのように。
 軽く混乱しながらも、自分で尻を揺さぶってみるが、太いペニスはなかに入ったまま、びくとも動かずにやはりぴたりと吸い付くように離れない。

「す、ま…ない……」
「ノクト?」

 閨ごとが始まってから、ひと言も言葉を発さなかった彼は苦しそうにいう。

「太古の祖先の血がこうさせ……ると聞く。蓋をして子胤をこぼさぬ…よう……雌が孕むま…で……」

 ああ、なるほどと思う。強すぎる媚薬のせいで一時的な先祖返りまで起こしたのかと。純血種ならばわかる。
 あとで調べたら狼や犬には射精が終わるまで抜けないように、そんな機能があるんだそうだ。
 「すまない」ともう一度繰り返す夫を振り返れば、銀月の瞳が興奮とこれ以上はスノゥに強いたくないという迷いに、ゆらゆらと揺れて濡れたように光って見えた。
 ふ……とスノゥは微笑んで、無理な体勢ではあるが片手を伸ばして、男の黒髪の頭を引き寄せる。唇に唇を寄せて。

「あんただから、なにしてもいいんだって、いっただろう?」

 口づけあい舌をからめて、揺さぶられるままに声をあげた。



   ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇



「あ…は…ぅ……」

 それから何度なかに出されて、自分も何度イッたやら。吐き出すものが無くなった桃色のペニスは、半勃ちのまま少しうなだれてぽたぽたと、涙みたいなしずくをこぼしている。
 後ろから膝の上に抱きあげられて、足を抱え上げられて揺さぶられていた。うつ伏せで腕を突っ張っている気力もなくなって、ぺたんと床にふせたら、身体を起こされて膝に抱っこされたのだ。正直、後ろの胸板に寄りかかれるからこの体勢のほうが楽だ。
 それで延々また揺さぶられているわけだけど。
 吐き出すものが無くなった前とは裏腹に、男の精をたっぷり受けた胎がかすかに膨らんで見えて、まるで身籠もっているようだ。

────いや、本当にそうなるかもな。

 なんて思った瞬間に、えらく長く揺らされていたな……っていうノクトのペニスが中で震えてはじける。こちらはもう出すものはないけれど、ぶるりと身体を震わせた。
 そして、ずるりと胎内からぬけていく、萎えた長大なものにようやく終わったのか……とふうと息をつく。

「スノゥ……」
「ん……」

 横抱きに抱え直されて、顔中のあちこちにいたわるように唇を押し当てられた。吐き出すもの吐きだしてしまえば、男には賢者の時間があるなんていわれるし、スノゥも多少は冷静になる瞬間がある。
 この狼さんだってそうだろうに、こんな風にしたあとの雌を慰撫することも丁寧だ。まったく立派な雄だと思う。
 大きな手で二つの長い耳も撫でられて、石榴色の目を細める……というか、とろりとそのまま睡魔に誘われる。元から男に預けていた身体をよりいっそうくたりと寄りかからせて。

「スノゥ?」
「うん……すんごい疲れ…た」

 「眠ぃ……」と半ば寝言みたいにつぶやいて、目を閉じた。







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