どうも魔法少女(おじさん)です。 異世界で運命の王子に溺愛されてます

志麻友紀

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番外編

黒猫おじさんのお話いろいろ、その3

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   結局はネコ


 本日の黒猫じゃない……おじさん。

「ネコばっかでいるのもなあ。どこでも寝られるのがいいけどよ」

 ほてほて街歩きです。なじみの本屋に寄り、本を一冊手に持ち、あとは屋敷に送ってくれと、これまたなじみの茶店へ。


本日のランチは米に挽肉と野菜を炒めたのをかけたもの。

「この世界に米があるって知ったとき感激したぜ」

 本を読みながらもしゃもしゃ食べて、店をあとにして。
 そして、なぜかひょいと護衛の影を無意識に巻いて、ネコじゃないけど適当な屋根の上でお昼寝です。

「あなたはやってることは、けっきょくネコと変わらないな」

 すよすよ寝ていたら、王子様が迎えにきました。

「お前もよく俺の居る場所わかるなあ」
「あなたの居場所はなんとなくわかる」
「王子様、ネコ探しの才能あるんじゃないか?」
「あなた限定だ」


   何着ても王子様! 


 本日のおじさん。
 黒猫じゃなくておしのびで街歩きです。スーツを脱いで平民の服を着れば結構目立たないのです。
 が。

「なんでお前が後ろからついてくる! !」

 ジークは平民の服着ても無理でした。

「私は今日休日だ。あなたと楽しんではいけないのか?」

 頭の上の見えないお耳が、しおしおと萎れるのが見えて「仕方ねぇな」とおじさんは、王様になった王子様と街歩き。
 まあ、当然お忍びなんて出来ないんですが、王子様となじみの古本屋を巡り、なじみのカフェでランチ楽しんで帰りました。

「ま、悪くねえなあ……って! なんで翌日の王都新聞の絵姿になってる!!」

 全然お忍びじゃないお忍びですw


   王子様とおじさんのデート


 本日のおじさんと王子様……のデート。

「……デートって言ってもなあ~男同士でどこ行くんだよ」
「あなたの行きたいところでいい」
「それっていつものコースだぞ」

 行きつけの古書店で「お前も興味あるのか?」と二人で同じ本を顔を寄せ合い見る二人。

 これまた行きつけの茶店で違うランチを注文して「それ、どんな味だ?」と一口だけジークのフォークからもらうおじさん。

ぶらぶら街歩きして、露店で買ったクレープを、「一口食べるか?」とジークに。


すべて翌日の王都新聞にでかでかと写真が載りました。

「……だから他に載せる記事なかったのかよ? ホント暇だよな……」


   王子様のお楽しみ


 本日の黒猫おじさん。

 ジークは本日は忙しく執務室でお疲れの様子。

 机で黒猫姿くつろいでいたおじさんは、伸びてうつ伏せに寝ていた姿から、くるりとへそ天になっておっぴろげて。

「吸うか?」

 ぱふりとおじさんの腹に顔をうずめて、すーはーする王子の姿に、執務室の扉を開けかけてそっと閉めた、秘書官でした。

「で、殿下はただいま、休憩中です」

 まさか、愛しいネコちゃん吸ってますと言えません。



   王子様が狼になりました


 本日の黒猫おじさんと

「とうとう完全に狼になっちまいやがった……」

 王子様が狼になりました。おじさんも黒猫になりました。というか、人型のおじさんに狼さんがのしかかってきたので、さすがにこれは人として越えてはいけない一線だろうと、慌てて黒猫になったのでした。

「俺もよ、お前がどんな姿でも好きだけどよ。やっぱりよ、その姿でヤルのはいかんと思うんだよ」

 狼姿の王子様がじっと黒猫おじさんを見つめます。ぺろんと顔を舐められました。

「ま、舐めるぐらいなら……っておわっうわっ! お前、舐めすぎ……つうか、そこ、腹くすぐった……ふにゃ!」

 べろんべろんに舐められて、ぐっしょり濡れたおじさんは、メイドさんの手によりお風呂に入れられました。
 狼姿の王子様は執事のケントンに怒られてしょんぼりしてます。

「ひでぇめにあった……」

 とかなんとかいいながら、狼さんの身体によりかかった、へそ天で寝ました。




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