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どうも魔法少女(おじさん)です。【3】~魔王降臨!!おじさんの昔のオトコ!?~

【23】卵はないない! その1

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「誰と誰のですか?」
「お前達のと言っておるではないか」

 思わず聞き返したコウジだが、はい、そう言ってましたねと思う。

 結婚式、結婚式、たしかにコウジはジークと婚約しているのだから、次は結婚だろう? いやいや、おじさんとしてはこのまま婚約状態で、一生結婚なんてしなくても……なんて口にしようものなら、一月ぐらい隣に座る王子様にベッドに閉じこめられそうだから言わないけど。

 いや、それに即位式って? フィルナンド王が退位するってことは、次の王様は誰だ? ああ、お前達だと王様言っていたっけ……ということは。

「陛下、私はコウジとの結婚は喜んでいたしますが、即位に関しては了承いたしておりません」

 ぐるぐるする思考に固まるコウジの横でジークは平時と同じく冷静だ。そうか、お前はおじさんとの結婚が嬉しいか? うん、お前がおじさん大好きなのはもう十分わかってるよ。

「……俺だってさ、お前とずっと一緒にいるって決めているけどさ」

 思わず口に出したら、ジークがすかさず反応してがっしり両手を握りしめられた。

「私も、あなたに永遠の愛を誓おう」
「……真顔でよく、小っ恥ずかしいセリフ言えるし、その顔だからなんかかっこいいのが腹立つな」

 いやいや、だから今は結婚式じゃなくて、結婚も重大ではあるが。

「王様、即位式ってなんですか?」
「だから、この際だから結婚式と即位式を同時にやってしまおうと言っているのだ」
「繰り返しますが、陛下。私は即位することを了承しておりませんし、同格の序列2位にコンラッドがおります」

 ジークの言葉にシオンと並んで座っているコンラッドにコウジも目を向ければ。

「私も了承した。それにジーク・ロゥが王となることを一番強く望んでいるのは、このフォートリオンの民だ」

 そういえばコンラッドは前々からジークこそが王に相応しいと考えていると、シオンから聞いたな……とコウジは思い出す。

 いや、それよりどうして国民が? とジークとコウジが口を開く前に、ピートが「ジーク・ロゥ兄様とコウジさんが、お屋敷で三日間“仲良く”されているあいだにですね」と、いつものごとく子供らしさを装ったあっけらかんとした、その実、人の悪い笑みをにっこりと見せて。

「王都に戻ってきた民のあいだでは、ジーク・ロゥ兄様と魔王との決戦の話でもちきりなんですよ」

 中央の広場の大きな映し鏡には、今も繰り返し繰り返し勇者ジークと魔王フィラースの戦いが流されているのだという。いや、それ、いつ記録したんだ? たぶん、ピートあたりがこっそり魔石で撮っていたのだろうが。

「王都だけでなくて、各都市や村々まで魔石の写しが転送で届けられていますからね。女神アルタナに選ばれし勇者ジーク・ロゥ兄様は、魔王を倒して国を救ったまさしく英雄、次代の王にこそ相応しいという声は、ますます高まるでしょうね」

 いや、それお前らが俺達が三日間屋敷に籠もってるのをいいことに、勝手に盛り上げたんだろうが! とコウジは言いたかったが、その前にピートが「あ、そうそう」とわざとらしく気がついたように。

「それから英雄の盟友たるコウジさんもですよ。まさか異世界の神が遣わした御使いだったなんて、やはり次代の王の王配に相応しいと、こちらの声も高くて」

 その言葉にコウジはぴきんと固まった。さらに追い打ちをかけるようにピートが「ぜひ、みんな背中に輝く漆黒の翼を背負われた神々しいお姿を拝見したいとですね……」と続けるのに「あああああああっ!!」と意味不明の叫びをあげる。

「俺のあの中二病真っ黒の恥ずかしい姿。みんな見たのかぁ! やめろ! 中央の広場の映像すぐ止めろ! 地方に飛ばした魔石も回収しろ!」

 「お、俺の真っ黒歴史……」と頭を抱えるコウジの肩を抱き寄せて「大丈夫、あなたもあの羽もとても美しい」とジークが慰めてくれる。

「いや、ジーク、論点はそこじゃねぇし。俺に関してのお前の目は節穴どころか、鍋にあいた大穴だからな!」

 コウジは両手でぐしゃぐしゃにした髪をそのままに、フィルナンド王達を見て「ハメやがったなぁ」と叫ぶ。王様にむかってこの言動はどうかと思うが、いや、まさしくこれハメられただろう? 

「陛下、なぜ私が次代の王なのです?」

 ジークはあくまで冷静だ。コウジもそれは疑問だ。
 たしかに、ジークは国の英雄として国民や兵士達には絶大な人気がある。が、宮廷の皆に憎まれたといってよい公式愛妾エノワールの息子だ。名門の貴族達は腹の中では、いまだジークは平民女の子とよい感情を抱いていない。

 災厄からの騒動続きで現在、王家の力が強まり貴族達の力が弱まっているとはいえ、将来的なことを考えれば、ジークが王となることは必ず波風が立つはずだ。
 「お前が王になるしかあるまい?」とフィルナンド王はなぜか断定口調でいう。





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