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どうも魔法少女(おじさん)です。【2】~聖女襲来!?~おじさんと王子様が結婚するって本当ですか!?

【22】センチなセリフを蹴り上げて、俺達は生き残るぞ※

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 アルタナの空間から出た時、フィルナンドとロンベラスは六人が異空間へと連れ去られた、そのようなことなど全く気づいていない様子だった。
 それでもたった今アルタナ女神の“神託”を受けたというコウジ達の話を、王と将軍はすんなりと信じた。

 そして、聖女との対面はもはや避けられないと王に話した。
 聖女をこのままフォートリオンに置けば置くほど“汚染”は広がる。聖女の輿が王都に到達するのを待っている場合ではない。こちらから王都を出て臨むべきだと。
 これはその対面を口実に聖女をその場に足止めする目的もある。

 もちろん話し合いなどであちらが大人しく引き下がるとは思えない。聖女は王と三王子をモルガナ女神の信仰へと改宗させるのが目的だと、ハッキリ口にしているのだから。
 もちろん、こちら側としてもそんなものは断固拒否だ。しかし、あちらが魅了に洗脳の術にくわえて、聖女側に走った王子達まで有している以上“力づく”の争いになることも確実だ。

「勝機はあるのか?」

 フィルナンド王は短く訊ねた。女神アルタナの神託はあれど、無策で神の依り代となっている聖女に会うつもりはないと。そこは現実的な統治者としての言葉だ。
 それに関してはアルタナ女神の空間でジークとコウジ達六人は話し合っていた。ジークが主な作戦の方針を立ててみんなが意見を出して、まとめていく。災厄退治のときと同じような光景がそこにあった。

 ジークがそこで決まった作戦を話し、「よかろう」と王が了承した。王都を出るのは明日と決まった。ずいぶんと急な話であるが、聖女の輿を一刻も早く足止めしなければならない。
 対面に応じると王宮よりさっそく早馬の使者が出された。その使者が魅了されては元も子もない。使者は大神殿に仕える実力のある若手の神官達で固められた。強力な浄化の魔力をもつ彼らならば聖女の力も跳ね返すことが出来る。

 王が都を出るとなれば、本来はその仕度に急ぎでも数日はかかるものだ。それを一日どころか、昼過ぎに終了した会議から、明日の朝旅立つのだから、たった半日で仕度をしなければならない。侍従も文官も将校達も大わらわの作業となった。
 そして、深夜、せわしくなくジークの執務室に出入れしていた人々も去り、部屋にはジークにコウジ、そしてロンベラス将軍の姿があった。

「……では第二の局面となった場合、陛下にコンラッド殿下、ピート殿下とそのパートナー殿を守り、部隊は撤退しろと?」

 ロンベラスのいう第二の局面とは、話し合いは当然決裂。戦闘となってこちらの敗戦が濃厚となった場合の処置だ。
 負けるとわかっていて戦争を起こす馬鹿はいないが、戦局不利となった場合の想定は必要だ。まして、今回の戦いの相手は“神”なのだ。どんな不測の事態が起こるかわからない。

 こちらが有利と思っていたのが一転して、総崩れとなる可能性が十分にあった。
 だからジークはロンベラスにそのような状況となった場合、王と二人の王子、そして当然同行するパートナー達を守り、王都へと撤退しろと命じたのだ。

 「まあ負け戦となりゃ、なりふりかまわずケツまくって逃げたヤツが生き残る」と茶化すコウジに、ロンベラスは強い視線を向ける。

「あなた方はどうされるのです?」

 さすがにこの将軍様はごまかされないか? とコウジはくわえ煙草で皮肉に唇の片端をつり上げる。ジークは答えた。

「私達は残る」
「陛下と二王子方を守り、ジーク・ロゥ殿下、あなたは全軍撤退せよと私に命じられた。たった、お二人で残られるおつもりですか?」

 「そうだ」と短く答えたジークにコウジは「俺達二人で十分だろう」と煙草を吹かす。
 追撃にはいるだろう聖女側の十七人の王子達をたった二人で足止めするとは無謀に聞こえる。だが、ジークとコウジならば可能だとロンベラスにはわかったのだろう。彼は深い息を一つつき、そして口を開いた。

「陛下はこのことをご承知なのですか?」
「話してはいない。だが大局において陛下が間違った判断はなされないはずだ」

 ジークが平坦な声で答える。息子を見捨てて逃げることは出来ないと、そのような感傷的な感情を振りまわして、国の命運を見誤る王ではないと言っているのだ。
 おそらくそうなればフィルナンドは、残る者達を振り返りもせずに去るだろうと。

「コンラッド殿下もピート殿下も納得されるとは思いません」
「それも陛下の命令ならば二人は従うだろう」

 したたかなピートはともかく、生真面目で融通のきかないコンラッドはシオンとともに、自分達も残ると言いだすのは想定内だ。だが、それもフィルナンド王が命じればコンラットは従うし、シオンも連れて行かれるだろう。

「なぜ……あなた達なのですか?」

 これは将軍としてではなくロンベラス個人としての言葉だった。コウジは「俺達が適任だろう」と答える。「強いんだからさ」とこれまた茶化して。

「まあ現実的に考えて、コンラッド王子が生き残ったほうが反感は少ないってことだ。言葉は悪いがピート王子は予備だ」

 これでコンラッドが残りジークが帰ったとすれば、貴族達の反発は必至だ。同列の序列2位とはいえ、コンラッドが準妃の子の正嫡であり、ジークが妾腹なのは変えられない事実だ。
 ピートが予備と言ったのも、男のコウジではどう逆立ちしたって子は望めないが、シオンとマイアは違う。王家の血の存続からしても、あちらの生存が優先順位が高い。

「王都に撤退したあとはどうなります? 聖女は依然、このフォートリオンに残ることになる」
「その点に関しても心配はいらない」

 次に告げたジークの言葉にロンベラスは半ば愕然としたまま、それでも二人に深々と礼をして部屋を去って行ったのだった。



   ◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇



 汚染がどうしようもなくなったら、創造した大地の一部を切り捨てるしかない。
 女神アルタナの空間で呼び出されたジークとコウジ達はそう告げられた。

 切り捨てられた大地は女神モルガナの創造地へと吸い込まれ統合されるという。そして新たに別れた空間のあいだに虚海が広がるのだと。
 自分の創造した地を切り捨てる。これは最終手段だとアルタナは言った。

「それがモルガナの目的よ。初めからこのフォートリオンのすべてをなんて狙っていないわ。
 わたしが諦めて自分が占領した地を切り捨てるのを待っているのよ」

 この最終手段をアルタナの空間から戻ったジーク達は、フィルナンドに話さなかった。
 ただジークは二人の王子に告げたのだ。「不測の事態が起こり敗色が濃厚となった時点で、陛下と全軍を避難させる」と。
 二人の王子とそのパートナー達はもちろん、自分達も切り離された地に残り、戦い続けると思っていただろうが。

「さて、俺達が戻ってきたら、シオンちゃんには確実に怒られそうだけどなあ。マイアちゃんは泣くかな?」

 将軍が去り、閉まった扉を見つめてコウジがつぶやく。ジークを振り返り。

「俺はお前と心中するつもりはないぜ」
「私もあなたと共に生きるつもりだ」

 死地に残るというのに、お互いそんな気もないことにコウジは笑う。「嬉しかったぜ」と言えば、さすがに怪訝な顔をされたが。

「自分は残るから、あなたは生きろなんて陳腐なセリフ言ったら、ぶっ飛ばしてやるところだった」
「あなたは愛する人だが、同時に私とともに戦うものだ。背中を預けるに足る盟友だ」
「うん」

 自然に唇が重なる。それはすぐに深いキスとなり、舌をからめて混ざり合った唾液をこくりと呑み干す。
 自分よりも背の高いジークの首に腕を絡めて、背中に手を回されて抱きしめられるような形で、とんと背中がついた。見上げた執務室の天井。
 押し倒された場所にコウジは気づく。

「ここでヤるの?」
「ヤりたい」

 こういうときの王子様は素直だ。
 押し倒されている場所はジークの広い執務机だ。

「仕事場でセックスなんて悪い上司だなぁ」

 こんな場所で……なんて生真面目さも恥じらいもおじさんにはないから、まあからかい半分だ。
 そんなこと言っている間にも、首にぶら下がっていたネクタイは解かれて、シャツの裾から手をいれられて脇腹をなぞられて「ん……」と声があがる。

「あ、声漏れないようにしろ…よ……」

 耳の後ろから首筋にはう唇。いつものように喉仏に軽く歯を立てられて息を呑む。自分にのしかかる青年の銀の後ろ髪をぐしゃりと掴む。

「防音の結界は張ってある」
「用意が……いい……」

 しかし、香油なんて用意はない。うつ伏せにされて、やな予感がしたがやっぱり舐められた。

「……それ……よせ…っ…馬鹿ぁ!」

 いくら浄化の魔法を使っているとはいえ、おじさんにだってなけなしの恥じらいはあるのだ。まあ、舐められて指をいれられてしまえば「もう、よこせよ!」と言ってしまったって仕方ないだろう。なにしろ、この王子様はせっせとおじさんの身体を開発してくれたのだ。
 望みのものがあたえられて、ネコが甘えるような声が自分の喉から漏れる。

「あ……でっか…い……っ……!」

 イイ場所を王子様の長くて太いのでグリッとされてのけぞる。思わずぐしゃりと握りしめたものに、目を見開いた。

「これ、やばい書類じゃね?」
「構わない」
「か、構うだろ…う……き、機密って赤い判子が……うわっ! あ、深い、すげ……! 奥まで……きちまって……いいから…あ……」

 けっきょくあえぎまくって書類をぐしゃぐしゃにした。王子様がかまわないと言っているからいいんだろう。あとで自分でしわを伸ばせ。





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