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タイコの湖
317.欠けた魔石
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「力は回復させれなくても、せめて見えるようにしてやれないのか?」
ゴルゴンを象徴する力は、見たものを石へと変える瞳にある。その目はゴルゴンの魔石の結晶でもあり、目の前のゴルゴンの魔石は大きく欠損してしまっている。
目が魔石であることの利点は、視覚に大きな力を得ることで、石化の能力はその最たるものになる。しかし、魔石を表に見せることは、弱点をさらけ出すことにもなる。それだけでなく魔石に傷を負えば、同時に視力も失うというリスクがある。
『あら、優しいのね。見えるようなっても能力が戻らなければ、回復させることに意味はないのかもしれないわよ』
冷たいようにも聞こえるムーアの言葉だが、視線はブロッサの方を向き、その答を待っている。
「視力だけでイイのなら、方法がないことはなイワ。でも、失敗する可能性の方が高イワ」
「どうすればイイんだ?」
「まず失った分を補うだけの、量と質を兼ね備えた魔石が必要ヨ」
ゴブリンやハーピーの中位から下位種の魔石は大量に持っている。しかし、意識して魔石を回収しているつもりはなく、収集癖があるクオンが知らないうちに回収している。だから、実際にどれくらいの魔石を持っているかを把握出来ていない。
『あることにはあるけど、私たちが集めたものは多くないわよ』
ムーアがそういうのは、影の中にある魔石を見ているからになる。戦いや緊迫した状況の中でも、クオンが回収されていた魔石は多く、俺達が回収した魔石よりもクオンの集めた魔石は遥かに多い。
影の中でコレクションのように集められた魔石は、それ以外にも沢山ある。しかしクオンが大事そうにしている姿を見ているだけに、それを簡単に使わせて欲しいとは言えない。
それをクオンが察してくれたのか、影の中から次々と魔石が浮かんでくる。影の中から出てくる魔石は、整然と並ぶようにして出てくるが、同じゴブリンの魔石であったとしても形や僅かな色の違いで仕分けされ、そこにはクオンの拘りが伺える。
そして、それとは別にクオンが大きな宝箱を持って影の中から出てくる。ゴブリンキングの王冠には操作させない、クオンのコレクションの中でものお気に入りの物なのだろう。
「うんしょっ」
そして、クオンがその箱を開けると中には、明らかに中位種以上の大きくて輝く魔石が入っている。中にはフタガの岩峰やクオカの洞穴のワームだけじゃなく、幾つもの見たことのない魔石も並べられ、クオンがこれまでに集めたお気に入りのコレクションであることは間違いない。
「うんっ、えいっ!」
さらに覚悟を決めたのか、首に掛けていた七色に輝くリッチの魔石を、コレクションの中に加える。リッチの魔石は、何をされるかが分かっているのか、微かに震えている。
「これは、クオンの集めた魔石じゃないのか?」
「うん、使ってイイの。また魔石は集めれる。それにゴルゴンが裏切れば、その魔石をコレクションにするの」
一瞬だけクオンの声には、タダノカマセイレ以上の冷気が感じられ、その場の空気が凍りつく。
「早くしないと、ゴルゴンの魔石がダメになってしまうの」
「ああっ、それなら魔石を使わせてもらうよ」
ブロッサとガーラが、山積みになったゴブリンやハーピーの魔石を無視して、クオンの宝箱へと近付いてくる。やはり欠損した魔石を回復させるには、質の高い魔物の魔石が必要になるようで、ゴブリンやハーピージェネラル以下の魔石は使えないみたいだ。
しかし、宝箱の中から一つ一つ丁寧に魔石を取り出してみるが、ブロッサとガーラの表情は厳しいままで変わらない。そして最後の一つを宝箱に戻すと、ブロッサの手が止まってしまう。
「どうなんだ?」
「残念だけど、ゴルゴンに適した魔石は無さそウネ」
ゴルゴンの魔石は、あくまでも両目の部分になる。それに合う大きさで、欠けた部分を補うだけの質がなければならない。大きさがあっても質が無い、質があっても大きすぎる等、適合する条件は厳しい。
「全く可能性はないのか?」
「今から魔石を結合させたり、質を高めるには時間が足りなイワ。一番可能性があるのはラミアの魔石だけど、大きさは申し分ないけど質が足りナイ」
「それでも少しは、効果があるんだろ」
「目に見えた効果は無いと思っテ。それでもイイ?」
その時、七色に輝く魔石がカタカタと音を立てる。
ゴルゴンを象徴する力は、見たものを石へと変える瞳にある。その目はゴルゴンの魔石の結晶でもあり、目の前のゴルゴンの魔石は大きく欠損してしまっている。
目が魔石であることの利点は、視覚に大きな力を得ることで、石化の能力はその最たるものになる。しかし、魔石を表に見せることは、弱点をさらけ出すことにもなる。それだけでなく魔石に傷を負えば、同時に視力も失うというリスクがある。
『あら、優しいのね。見えるようなっても能力が戻らなければ、回復させることに意味はないのかもしれないわよ』
冷たいようにも聞こえるムーアの言葉だが、視線はブロッサの方を向き、その答を待っている。
「視力だけでイイのなら、方法がないことはなイワ。でも、失敗する可能性の方が高イワ」
「どうすればイイんだ?」
「まず失った分を補うだけの、量と質を兼ね備えた魔石が必要ヨ」
ゴブリンやハーピーの中位から下位種の魔石は大量に持っている。しかし、意識して魔石を回収しているつもりはなく、収集癖があるクオンが知らないうちに回収している。だから、実際にどれくらいの魔石を持っているかを把握出来ていない。
『あることにはあるけど、私たちが集めたものは多くないわよ』
ムーアがそういうのは、影の中にある魔石を見ているからになる。戦いや緊迫した状況の中でも、クオンが回収されていた魔石は多く、俺達が回収した魔石よりもクオンの集めた魔石は遥かに多い。
影の中でコレクションのように集められた魔石は、それ以外にも沢山ある。しかしクオンが大事そうにしている姿を見ているだけに、それを簡単に使わせて欲しいとは言えない。
それをクオンが察してくれたのか、影の中から次々と魔石が浮かんでくる。影の中から出てくる魔石は、整然と並ぶようにして出てくるが、同じゴブリンの魔石であったとしても形や僅かな色の違いで仕分けされ、そこにはクオンの拘りが伺える。
そして、それとは別にクオンが大きな宝箱を持って影の中から出てくる。ゴブリンキングの王冠には操作させない、クオンのコレクションの中でものお気に入りの物なのだろう。
「うんしょっ」
そして、クオンがその箱を開けると中には、明らかに中位種以上の大きくて輝く魔石が入っている。中にはフタガの岩峰やクオカの洞穴のワームだけじゃなく、幾つもの見たことのない魔石も並べられ、クオンがこれまでに集めたお気に入りのコレクションであることは間違いない。
「うんっ、えいっ!」
さらに覚悟を決めたのか、首に掛けていた七色に輝くリッチの魔石を、コレクションの中に加える。リッチの魔石は、何をされるかが分かっているのか、微かに震えている。
「これは、クオンの集めた魔石じゃないのか?」
「うん、使ってイイの。また魔石は集めれる。それにゴルゴンが裏切れば、その魔石をコレクションにするの」
一瞬だけクオンの声には、タダノカマセイレ以上の冷気が感じられ、その場の空気が凍りつく。
「早くしないと、ゴルゴンの魔石がダメになってしまうの」
「ああっ、それなら魔石を使わせてもらうよ」
ブロッサとガーラが、山積みになったゴブリンやハーピーの魔石を無視して、クオンの宝箱へと近付いてくる。やはり欠損した魔石を回復させるには、質の高い魔物の魔石が必要になるようで、ゴブリンやハーピージェネラル以下の魔石は使えないみたいだ。
しかし、宝箱の中から一つ一つ丁寧に魔石を取り出してみるが、ブロッサとガーラの表情は厳しいままで変わらない。そして最後の一つを宝箱に戻すと、ブロッサの手が止まってしまう。
「どうなんだ?」
「残念だけど、ゴルゴンに適した魔石は無さそウネ」
ゴルゴンの魔石は、あくまでも両目の部分になる。それに合う大きさで、欠けた部分を補うだけの質がなければならない。大きさがあっても質が無い、質があっても大きすぎる等、適合する条件は厳しい。
「全く可能性はないのか?」
「今から魔石を結合させたり、質を高めるには時間が足りなイワ。一番可能性があるのはラミアの魔石だけど、大きさは申し分ないけど質が足りナイ」
「それでも少しは、効果があるんだろ」
「目に見えた効果は無いと思っテ。それでもイイ?」
その時、七色に輝く魔石がカタカタと音を立てる。
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