272 / 329
オヤの街のハーフリングとオーク
272.帰還
しおりを挟む
どうしてこうなったのか···。後悔しても時既に遅し。後ろには数百のオーク達と、それを囲むように万を超えるウィプスが列なっている。
「オークもウィプスも、ほぼ全てじゃないか」
『それは、あなたの提示した契約条件のせいでしょ』
俺がオークに提示した契約は、フタガの岩峰に棲みかを与える代わりに、岩峰をハーピーより守るというもの。領主であるチェンの役目はフタガの岩峰を守ることにあり、それには如何なることをしても構わないというお墨付きを得ている。だからハーピーから岩峰を守る為にオークを利用しても、それは一向に問題にはならない。
もちろん俺の純白の翼と黒翼は見せている。ヒト族ではあるが精霊化と魔物化を同時に起こし、何を引き起こすか分からないという未知の存在。契約する相手としては、あまりにも存在が不安定過ぎて、俺が居なくなれば契約も無くなってしまう。
それに岩峰は険しく、翼がなければ頂上まで登ることは出来ない場所も多い。翼の無いオークを頂上まで運んでしまえば、2度と降りることは叶わない。オークに近付く者も少なくなるが、これまでよりも行動は制限される。
しかし守護者であるキングとロードは、俺の提案をあっさりと受け入れてしまった。解放されたオーク達も、ほとんどがそれに倣うように契約を受け入れてしまう。
「普通ならもっと反発してくる者がいてもイイだろ。条件だけ見れば悪い面も多い」
『弾かれた者同士で、通ずるものがあったんじゃないの?』
「旦那、あっしは聞いていないですぜっ」
急に契約を知らされたチェンは慌てて抗議してくるが、その時にはすでにオーク達とは契約を済ませてしまっている。
「ハーフリング族もエルフ族も文句はつけてこないから心配するな。後は蟲人族を納得させるだけだから、それは領主としての務めだと思って諦めろ。それにチェンの責任でもあるんだぞ」
「そんな事を言われても、あっしにはどうしようもないっすよ」
「言っておくけどな、それも決め手になっているんだからな!」
そして、チェンは自慢の大鎌を見つめる。大鎌だけでなく、ソースイの黒剣や漆黒の盾、ホーソンが好奇心を満たすために離さずに持っているオークの片鎌の黒槍。
「これが魔物達に伝わっている武器だなんて言われても···」
「その武器から所有者として認められているんだぞ」
俺が持つ精霊樹の杖では、オーク達に力を示す事が出来たとしても与える印象は良くない。しかしフタガの岩峰の領主たるチェンが、魔物達の武器である大鎌から持つ事を認められた存在であることの意味は大きい。
そしてオーク達は俺よりもチェンの事を疑わず、仮に俺がどうなろうもチェンの領地である限りは大丈夫であるという安心感を与えている。
「悪い風に考えるな。もうボッチの領主卒業だぞ」
『そうね、アシス初の魔物を従える領主様の誕生じゃない!』
「姐さんまで、酷いっすよ」
『だから、精霊も付けてあげたでしょ!』
そう言うとムーアは、オーク達を取り囲むウィプス達を眺める。
オーク達の契約は俺が提示したが、ウィプス達に対してはムーアがすでに話を付けている。俺達に助けられ力を目の当たりにしたウィプス達には、最初から契約を拒否出来ない雰囲気が出来上がっている。
大半のウィプスは、オークを監視することを建前としてフタガの岩峰に住み着くことになり、ルーク達に憧れを持った少数のウィプスだけが召喚精霊として付いてくることになると思うが、それは精霊達に任せている。
『チェン、大量のウィプス達よ。それでも私に文句でもあるの?数は力よ!』
「そっ、そんなっ。力で脅せって言うんすかっ?」
『私は何も言ってないわ。ただ早くしないと騒ぎが大きくなるわよ!』
ムーアに言われて、チェンは慌ててイスイの街を目指して飛んで行く。
『カショウ、ロード達との契約はどうなの?』
「今のところ上手く共存出来てるとは思うけど、ライバル意識が高そうだから暴走しないか気を付けないとな」
オークやウィプス達が棲みかを求めたのに対して、戦闘狂であるロード達はの望みは己の力を示す事。他種族よりも力を誇示することで種の存在を主張しようとしているのか、それとも種族という縛りから解放された自我なのかは分からない。
「ご心配無く。私が筆頭となって、レンもニッチもまとめますので」
そして、存在をアピールするようにラガートが黒翼が広がる。
「その自信はどこから来るんだ?」
「翼があれば武器は不要。力の差は歴然です!」
「頼もしいな。だけど、まずはオークを岩峰の上へと運ぶことから始まる。早く戻って、文句が出る前に終わらせるか!」
「オークもウィプスも、ほぼ全てじゃないか」
『それは、あなたの提示した契約条件のせいでしょ』
俺がオークに提示した契約は、フタガの岩峰に棲みかを与える代わりに、岩峰をハーピーより守るというもの。領主であるチェンの役目はフタガの岩峰を守ることにあり、それには如何なることをしても構わないというお墨付きを得ている。だからハーピーから岩峰を守る為にオークを利用しても、それは一向に問題にはならない。
もちろん俺の純白の翼と黒翼は見せている。ヒト族ではあるが精霊化と魔物化を同時に起こし、何を引き起こすか分からないという未知の存在。契約する相手としては、あまりにも存在が不安定過ぎて、俺が居なくなれば契約も無くなってしまう。
それに岩峰は険しく、翼がなければ頂上まで登ることは出来ない場所も多い。翼の無いオークを頂上まで運んでしまえば、2度と降りることは叶わない。オークに近付く者も少なくなるが、これまでよりも行動は制限される。
しかし守護者であるキングとロードは、俺の提案をあっさりと受け入れてしまった。解放されたオーク達も、ほとんどがそれに倣うように契約を受け入れてしまう。
「普通ならもっと反発してくる者がいてもイイだろ。条件だけ見れば悪い面も多い」
『弾かれた者同士で、通ずるものがあったんじゃないの?』
「旦那、あっしは聞いていないですぜっ」
急に契約を知らされたチェンは慌てて抗議してくるが、その時にはすでにオーク達とは契約を済ませてしまっている。
「ハーフリング族もエルフ族も文句はつけてこないから心配するな。後は蟲人族を納得させるだけだから、それは領主としての務めだと思って諦めろ。それにチェンの責任でもあるんだぞ」
「そんな事を言われても、あっしにはどうしようもないっすよ」
「言っておくけどな、それも決め手になっているんだからな!」
そして、チェンは自慢の大鎌を見つめる。大鎌だけでなく、ソースイの黒剣や漆黒の盾、ホーソンが好奇心を満たすために離さずに持っているオークの片鎌の黒槍。
「これが魔物達に伝わっている武器だなんて言われても···」
「その武器から所有者として認められているんだぞ」
俺が持つ精霊樹の杖では、オーク達に力を示す事が出来たとしても与える印象は良くない。しかしフタガの岩峰の領主たるチェンが、魔物達の武器である大鎌から持つ事を認められた存在であることの意味は大きい。
そしてオーク達は俺よりもチェンの事を疑わず、仮に俺がどうなろうもチェンの領地である限りは大丈夫であるという安心感を与えている。
「悪い風に考えるな。もうボッチの領主卒業だぞ」
『そうね、アシス初の魔物を従える領主様の誕生じゃない!』
「姐さんまで、酷いっすよ」
『だから、精霊も付けてあげたでしょ!』
そう言うとムーアは、オーク達を取り囲むウィプス達を眺める。
オーク達の契約は俺が提示したが、ウィプス達に対してはムーアがすでに話を付けている。俺達に助けられ力を目の当たりにしたウィプス達には、最初から契約を拒否出来ない雰囲気が出来上がっている。
大半のウィプスは、オークを監視することを建前としてフタガの岩峰に住み着くことになり、ルーク達に憧れを持った少数のウィプスだけが召喚精霊として付いてくることになると思うが、それは精霊達に任せている。
『チェン、大量のウィプス達よ。それでも私に文句でもあるの?数は力よ!』
「そっ、そんなっ。力で脅せって言うんすかっ?」
『私は何も言ってないわ。ただ早くしないと騒ぎが大きくなるわよ!』
ムーアに言われて、チェンは慌ててイスイの街を目指して飛んで行く。
『カショウ、ロード達との契約はどうなの?』
「今のところ上手く共存出来てるとは思うけど、ライバル意識が高そうだから暴走しないか気を付けないとな」
オークやウィプス達が棲みかを求めたのに対して、戦闘狂であるロード達はの望みは己の力を示す事。他種族よりも力を誇示することで種の存在を主張しようとしているのか、それとも種族という縛りから解放された自我なのかは分からない。
「ご心配無く。私が筆頭となって、レンもニッチもまとめますので」
そして、存在をアピールするようにラガートが黒翼が広がる。
「その自信はどこから来るんだ?」
「翼があれば武器は不要。力の差は歴然です!」
「頼もしいな。だけど、まずはオークを岩峰の上へと運ぶことから始まる。早く戻って、文句が出る前に終わらせるか!」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。
ユウ
ファンタジー
辺境伯爵家の次男シオンは八歳の頃から伯爵令嬢のサンドラと婚約していた。
我儘で少し夢見がちのサンドラは隣国の皇太子殿下に憧れていた。
その為事あるごとに…
「ライルハルト様だったらもっと美しいのに」
「どうして貴方はライルハルト様じゃないの」
隣国の皇太子殿下と比べて罵倒した。
そんな中隣国からライルハルトが留学に来たことで関係は悪化した。
そして社交界では二人が恋仲で悲恋だと噂をされ爪はじきに合うシオンは二人を思って身を引き、騎士団を辞めて国を出ようとするが王命により病弱な第二王女殿下の婚約を望まれる。
生まれつき体が弱く他国に嫁ぐこともできないハズレ姫と呼ばれるリディア王女を献身的に支え続ける中王はシオンを婿養子に望む。
一方サンドラは皇太子殿下に近づくも既に婚約者がいる事に気づき、シオンと復縁を望むのだが…
HOT一位となりました!
皆様ありがとうございます!
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~
アズドラ
ファンタジー
主人公タカトはテンプレ通り事故で死亡、運よく異世界転生できることになり神様にドラゴンになりたいとお願いした。 夢にまで見た異世界生活をドラゴンパワーと現代地球の知識で全力満喫! 仲間を増やして夢を叶える王道、テンプレ、モリモリファンタジー。
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎
って、何故こんなにハイテンションかと言うとただ今絶賛大パニック中だからです!
何故こうなった…
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
そして死亡する原因には不可解な点が…
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのかのんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
ダンジョンマスター先輩!!(冒険に)付き合ってあげるからオカルト研究会の存続に協力してください 2!! ~闇乃宮と涙怨の巫女~
千両文士
ファンタジー
関東地方の豊かな自然に囲まれた某地方都市、迷処町(まよいがまち)。
運命のいたずらによりこの地に蘇った五武神の試練・マヨイガの儀に5人の高校生男女が挑んでから20数年後・・・それぞれの道を歩んでいた5人は新たな宿命に引き寄せられるようにマヨイガダンジョンに帰結する。神紋もののふ、六武神、眷族魔物&式神、マヨイガ三勢力連合チームが新たに挑みしは突如神域に現れた謎多き『闇乃宮』!? そこで待ち受ける新たな試練とは……!?
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます
内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」
――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。
カクヨムにて先行連載中です!
(https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)
異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。
残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。
一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。
そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。
そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。
異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。
やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。
さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。
そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる