108 / 329
フタガの石峰のハーピー
108.呪われの迷い人
しおりを挟む
ハーピーロードとクイーンが倒されると、他の岩峰に居たはずのハーピー達も姿を消してしまう。
また岩峰の頂上にあった結界は、何者かによって全てが破壊され、ワームがハーピー達に襲いかかったようだ。ワームがハーピーを飲み込んだにしても、全てのハーピーが岩峰の頂上に居たわけではない。クオンの探知でも、棲みかの洞窟の中から気配は感じられないので、どこかに逃げたのだとは思う。この近辺なら、エルフ族の住む迷いの森辺りだろう。
そして、残された結界は、ハーピークイーンの岩峰の結界の1つだけになる。そこからヒケンの森やオオザの崖、タカオの廃鉱との繋がりが解明出来れば、やはりタカオの街のドワーフが関係している事になる。
時間がかかるかもしれないが、ホーソンがその証拠を見つけ出すと思う。それに金属の精霊ミュラーなら、精霊達を縛った鎖や結界の鎖の秘密を解き明かす手助けになるはず。
しかし、タカオのドワーフに繋がる手掛かりは簡単に見つかる。ハーピークイーンのいた岩峰の洞窟の中は整備され、明らかに人の手が加わった部屋となっている。
廃鉱のように所々で光る玉が照明として使われているが、1つの部屋の中で光る玉が大量に見つかる。光る玉はマッツと深い繋がりのある商会の紋章が入った箱に入れられ、これだけを見れば間違いなく関係している事になる。
「こんなに簡単に証拠が見つかると思うか?」
『繋がっているのは間違いなくても、これを証拠とするなら簡単過ぎるわね。どう、ホーソン?』
「証拠としては弱いかもしれませんが、蟲人族との仲違いをさせるには十分かもしれません」
「作戦が失敗しても、種族間が仲違いさせれば大丈夫ってところか」
『そうね、この箱は無かった事にするしかないわね』
「まあ、それが妥当なとこだな」
後で知ることになるが、ハーピー達の襲撃の後で領主のマッツと一部の幹部が忽然と消えてしまう。そして、保護されたドワーフの中でも腕利きの職人も一緒に行方不明となる。
また、マッツが居なくなる事により特殊な金属が入手出来なくなり、タカオの街のドワーフの武器や防具の特殊性は薄れ、少しずつ衰退して行く。
衰退して行く者があれば、俺はその逆になる。ハーピーロードやクイーンを倒した事によって大きく実力を示した事になる。
しかしムーアやチェンの悪のりで、俺の間違った解釈が急速に広まる。
“呪われの迷い人カショウ”
精霊化は一種の呪いの状態になる。そのまま融合が進むのか、それとも別々となり戻ることが出来るかは分からない。
そして、俺がこの世界でも避けられる存在である事を初めて実感する。
精霊化が進んだ場合は、精霊として存在はするが、意識はなくなりヒトとしての存在は消えてしまう。
木の精霊が宿ったのら、滅びるまで木のままで過ごす。迷いの森にさ迷う者は、精霊に身体は乗っ取られてしまうと云われているのは精霊化する事であるらしい。
これが木の精霊ではなく火の精霊なら、どうなってしまうだろうか?精霊化が進み、俺の存在が無くなってしまうと、急に精霊化が進み身体が燃えてしまう。
そういう存在が街中にいると、それは危険でしかない。そして、俺の場合は、魔力をため込み急に爆発してしまう不安因子でしかない。
そして、そこに更に魔物化という要素が加わる。ある日突然魔物化し暴れてしまうのではないかという危険性と恐怖は消すことが出来ない。
チェンが蟲人族に対して、ハーピー達を倒した迷い人は、魔物化の呪いにかかってしまったと大々的に触れ回る。俺が遠くから見せた、白い翼は精霊化した証で、黒い翼は魔物化した証。
ヒト族と精霊と魔物が混ざった不安定な状態は、悪意のある感情が伝わる事で簡単にバランスを崩してしまう。
呪われた迷い人には、絶対に近寄ってはならない!
そのお陰なのか、そのせいなのか、遠巻きに岩峰を監視する蟲人族以外は姿を見せない。
ソースイは思う存分にワームと戦い、ホーソンは結界の調査を行う。
そして、俺はハーピークイーンから得た魔力吸収スキルの特訓になる。
魔力で吸収スキルは危険で、無意識でも周りの魔力を吸い取ってしまう。
「ファイヤーボール」
『ストーンバレット』
「ウォーターボール」
「ポイズンボム」
クオン、ムーア、チェン、ブロッサが放つ魔法が、俺に襲いかかる。勿論、ウィプス達は連携魔法を放つ隙を狙っている。
「もっと少しずつ使いこなすんじゃないのか?」
『実戦形式の方が早いわよ。私のストーンバレットだけを吸収しないようにしてね』
「うん、カショウ頑張るの!」
また岩峰の頂上にあった結界は、何者かによって全てが破壊され、ワームがハーピー達に襲いかかったようだ。ワームがハーピーを飲み込んだにしても、全てのハーピーが岩峰の頂上に居たわけではない。クオンの探知でも、棲みかの洞窟の中から気配は感じられないので、どこかに逃げたのだとは思う。この近辺なら、エルフ族の住む迷いの森辺りだろう。
そして、残された結界は、ハーピークイーンの岩峰の結界の1つだけになる。そこからヒケンの森やオオザの崖、タカオの廃鉱との繋がりが解明出来れば、やはりタカオの街のドワーフが関係している事になる。
時間がかかるかもしれないが、ホーソンがその証拠を見つけ出すと思う。それに金属の精霊ミュラーなら、精霊達を縛った鎖や結界の鎖の秘密を解き明かす手助けになるはず。
しかし、タカオのドワーフに繋がる手掛かりは簡単に見つかる。ハーピークイーンのいた岩峰の洞窟の中は整備され、明らかに人の手が加わった部屋となっている。
廃鉱のように所々で光る玉が照明として使われているが、1つの部屋の中で光る玉が大量に見つかる。光る玉はマッツと深い繋がりのある商会の紋章が入った箱に入れられ、これだけを見れば間違いなく関係している事になる。
「こんなに簡単に証拠が見つかると思うか?」
『繋がっているのは間違いなくても、これを証拠とするなら簡単過ぎるわね。どう、ホーソン?』
「証拠としては弱いかもしれませんが、蟲人族との仲違いをさせるには十分かもしれません」
「作戦が失敗しても、種族間が仲違いさせれば大丈夫ってところか」
『そうね、この箱は無かった事にするしかないわね』
「まあ、それが妥当なとこだな」
後で知ることになるが、ハーピー達の襲撃の後で領主のマッツと一部の幹部が忽然と消えてしまう。そして、保護されたドワーフの中でも腕利きの職人も一緒に行方不明となる。
また、マッツが居なくなる事により特殊な金属が入手出来なくなり、タカオの街のドワーフの武器や防具の特殊性は薄れ、少しずつ衰退して行く。
衰退して行く者があれば、俺はその逆になる。ハーピーロードやクイーンを倒した事によって大きく実力を示した事になる。
しかしムーアやチェンの悪のりで、俺の間違った解釈が急速に広まる。
“呪われの迷い人カショウ”
精霊化は一種の呪いの状態になる。そのまま融合が進むのか、それとも別々となり戻ることが出来るかは分からない。
そして、俺がこの世界でも避けられる存在である事を初めて実感する。
精霊化が進んだ場合は、精霊として存在はするが、意識はなくなりヒトとしての存在は消えてしまう。
木の精霊が宿ったのら、滅びるまで木のままで過ごす。迷いの森にさ迷う者は、精霊に身体は乗っ取られてしまうと云われているのは精霊化する事であるらしい。
これが木の精霊ではなく火の精霊なら、どうなってしまうだろうか?精霊化が進み、俺の存在が無くなってしまうと、急に精霊化が進み身体が燃えてしまう。
そういう存在が街中にいると、それは危険でしかない。そして、俺の場合は、魔力をため込み急に爆発してしまう不安因子でしかない。
そして、そこに更に魔物化という要素が加わる。ある日突然魔物化し暴れてしまうのではないかという危険性と恐怖は消すことが出来ない。
チェンが蟲人族に対して、ハーピー達を倒した迷い人は、魔物化の呪いにかかってしまったと大々的に触れ回る。俺が遠くから見せた、白い翼は精霊化した証で、黒い翼は魔物化した証。
ヒト族と精霊と魔物が混ざった不安定な状態は、悪意のある感情が伝わる事で簡単にバランスを崩してしまう。
呪われた迷い人には、絶対に近寄ってはならない!
そのお陰なのか、そのせいなのか、遠巻きに岩峰を監視する蟲人族以外は姿を見せない。
ソースイは思う存分にワームと戦い、ホーソンは結界の調査を行う。
そして、俺はハーピークイーンから得た魔力吸収スキルの特訓になる。
魔力で吸収スキルは危険で、無意識でも周りの魔力を吸い取ってしまう。
「ファイヤーボール」
『ストーンバレット』
「ウォーターボール」
「ポイズンボム」
クオン、ムーア、チェン、ブロッサが放つ魔法が、俺に襲いかかる。勿論、ウィプス達は連携魔法を放つ隙を狙っている。
「もっと少しずつ使いこなすんじゃないのか?」
『実戦形式の方が早いわよ。私のストーンバレットだけを吸収しないようにしてね』
「うん、カショウ頑張るの!」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる