78 / 329
フタガの石峰のハーピー
78.迎撃準備
しおりを挟む
タカオの街の壁が、はっきりと見えてくる。街の西門の上空に蠢いているは、間違いなくハーピーの群れ。
翔べるハーピーにとっては、10mの壁は意味がない。そしてハーピーは、どこから集めたのか分からないが、両足に岩を掴んでいる。
もちろん、目的は殺戮と破壊。岩を落としてから自身も急降下し、生きた者を襲う。鳥頭と言っていたが、統率された動きを見せる。石や物を落とすタイミングや急降下するタイミングが揃っているし、自滅するような事はない。
そして急降下して生き物を襲い、掴んではまた空へ舞い上がる。まだ遠くにしか見えないが、その光景から異様さは伝わる。
「本当にあれが、鳥頭のハーピーなのか?」
『上位種の影響かしら?だけど上位種でも夜は目が見えなくなるから、もう少し耐えれば巣に帰るはず』
タカオの街も無抵抗ではない。防衛隊が組織され、ラップ達がコボルトに襲われているところに駆け付けたのは、副隊長のドロー。
このタカオの街自体が安全な所にある訳ではないので、訓練はされているはず。
ここに住むドワーフにしても、ほとんどが武器を鍛える為、その良し悪しを判断出来る程度に武器は扱える。
それは集まってきた住人達も同じで、商人であれば護衛を数人は雇っている。多少の魔物の群れでも、全く問題ないはず。
それでも、上空に連れていかれる人影が見える。上空から攻撃出来る優位性は大きい。
「ドワーフ達はあまり信用は出来ないし手の内を見せたくはないが、現状を見ると仕方がないな」
『仕方がないわね。門の近くなら、獣人やオニ族が多かったわ』
射程距離に入った所で、ウィプス達3人の連携技のサンダービームを放つ。
サンダービームは、ハーピーの一番集まっている所を目掛けて放たれる。そしてハーピーの群れの中へと吸い込まれ、パラパラと落下するハーピーが見える。
少しでも倒せて、こちらに気付いてくれれば良い。それに、こちらも空を飛ぶ魔物との戦いは初めてになる。
街の中のまとまった数を相手にするよりは、まず少ない数のハーピーを相手にしたい思いもある。声には出さないが、“こっちに気付け”と思う。
そしてハーピーが思惑通りに動く・・・。
黒い塊から欠け落ちたかのように、1つの塊が動き出し、こっちに向かってくる。
「多すぎるぞ。100体はいるんじゃないか?」
『それだけの驚異と認定されたってじゃない』
こっちに向かってくるハーピー達は、黒い塊だったのが、次第に横と縦に、俺達を包み込む網のようにと隊列を変えて行く。
岩は持っておらず、遠距離攻撃が出来る相手にスピードを落とすような事もしない。
地上近くを飛んでくるハーピーは、ソースイとハンソ。
ウィプス達は上空での空中戦。ドッグファイトは初めて見るが、ハーピーと比べてると1段階と2段階も速さは上なので心配はない。
そしてムーア、ブロッサは魔法で援護する。
ブロッサには何も言ってはいないが、すでにポイズンミストで壁や罠を張っている。こっちを振り返ってサムズアップしてくるから、作業完了したのだろう。
俺の場合は、ブレスレットの中や影からの援護もある。
展開したマジックソード2本はダークが操る。今の俺だと10mくらい離れても、マジックソードやシールドを維持出来る。その範囲なら、ダークは地上でも上空でも自由に動け、遊撃手のように立ち振舞える。
何も言わずに現れた純白の翼。俺自身も飛ぶ事が出来るし、いざという時は俺を守る盾になる。ゴブリンキングの時よりも羽ばたきは力強くなり、翼も一回り大きくなった。その翼を見せ付けるかのように、1度だけ大きく広げる。
俺は、ゴブリンキングの杖を影から取り出す。マトリから杖を受け取ると魔力を流す。
ハーピー達を倒す必要はなく、翼を傷つけて飛べなくすれば良い。そしてウィンドトルネードは、当たらなくても周囲を巻き込んで影響を与える。ハーピー達相手には最適の魔法。もちろん、マトリが魔力操作を補助してくれる。
そして反対の左手は、マジックシールドの操作。純粋に盾というより、バーレッジがいつでも発動できるように準備している。
全てを抜けて接近してくるハーピーがいれば、フォリーのシェイドが迎え撃つ。光の影響を受けるが、至近距離であるならば効果は十分に期待出来る。
最初の頃は、1度で何個の魔力操作なんて出来るか!と思ったが、やれば出来るもんだなと思う。
「さて、始めるか!」
翔べるハーピーにとっては、10mの壁は意味がない。そしてハーピーは、どこから集めたのか分からないが、両足に岩を掴んでいる。
もちろん、目的は殺戮と破壊。岩を落としてから自身も急降下し、生きた者を襲う。鳥頭と言っていたが、統率された動きを見せる。石や物を落とすタイミングや急降下するタイミングが揃っているし、自滅するような事はない。
そして急降下して生き物を襲い、掴んではまた空へ舞い上がる。まだ遠くにしか見えないが、その光景から異様さは伝わる。
「本当にあれが、鳥頭のハーピーなのか?」
『上位種の影響かしら?だけど上位種でも夜は目が見えなくなるから、もう少し耐えれば巣に帰るはず』
タカオの街も無抵抗ではない。防衛隊が組織され、ラップ達がコボルトに襲われているところに駆け付けたのは、副隊長のドロー。
このタカオの街自体が安全な所にある訳ではないので、訓練はされているはず。
ここに住むドワーフにしても、ほとんどが武器を鍛える為、その良し悪しを判断出来る程度に武器は扱える。
それは集まってきた住人達も同じで、商人であれば護衛を数人は雇っている。多少の魔物の群れでも、全く問題ないはず。
それでも、上空に連れていかれる人影が見える。上空から攻撃出来る優位性は大きい。
「ドワーフ達はあまり信用は出来ないし手の内を見せたくはないが、現状を見ると仕方がないな」
『仕方がないわね。門の近くなら、獣人やオニ族が多かったわ』
射程距離に入った所で、ウィプス達3人の連携技のサンダービームを放つ。
サンダービームは、ハーピーの一番集まっている所を目掛けて放たれる。そしてハーピーの群れの中へと吸い込まれ、パラパラと落下するハーピーが見える。
少しでも倒せて、こちらに気付いてくれれば良い。それに、こちらも空を飛ぶ魔物との戦いは初めてになる。
街の中のまとまった数を相手にするよりは、まず少ない数のハーピーを相手にしたい思いもある。声には出さないが、“こっちに気付け”と思う。
そしてハーピーが思惑通りに動く・・・。
黒い塊から欠け落ちたかのように、1つの塊が動き出し、こっちに向かってくる。
「多すぎるぞ。100体はいるんじゃないか?」
『それだけの驚異と認定されたってじゃない』
こっちに向かってくるハーピー達は、黒い塊だったのが、次第に横と縦に、俺達を包み込む網のようにと隊列を変えて行く。
岩は持っておらず、遠距離攻撃が出来る相手にスピードを落とすような事もしない。
地上近くを飛んでくるハーピーは、ソースイとハンソ。
ウィプス達は上空での空中戦。ドッグファイトは初めて見るが、ハーピーと比べてると1段階と2段階も速さは上なので心配はない。
そしてムーア、ブロッサは魔法で援護する。
ブロッサには何も言ってはいないが、すでにポイズンミストで壁や罠を張っている。こっちを振り返ってサムズアップしてくるから、作業完了したのだろう。
俺の場合は、ブレスレットの中や影からの援護もある。
展開したマジックソード2本はダークが操る。今の俺だと10mくらい離れても、マジックソードやシールドを維持出来る。その範囲なら、ダークは地上でも上空でも自由に動け、遊撃手のように立ち振舞える。
何も言わずに現れた純白の翼。俺自身も飛ぶ事が出来るし、いざという時は俺を守る盾になる。ゴブリンキングの時よりも羽ばたきは力強くなり、翼も一回り大きくなった。その翼を見せ付けるかのように、1度だけ大きく広げる。
俺は、ゴブリンキングの杖を影から取り出す。マトリから杖を受け取ると魔力を流す。
ハーピー達を倒す必要はなく、翼を傷つけて飛べなくすれば良い。そしてウィンドトルネードは、当たらなくても周囲を巻き込んで影響を与える。ハーピー達相手には最適の魔法。もちろん、マトリが魔力操作を補助してくれる。
そして反対の左手は、マジックシールドの操作。純粋に盾というより、バーレッジがいつでも発動できるように準備している。
全てを抜けて接近してくるハーピーがいれば、フォリーのシェイドが迎え撃つ。光の影響を受けるが、至近距離であるならば効果は十分に期待出来る。
最初の頃は、1度で何個の魔力操作なんて出来るか!と思ったが、やれば出来るもんだなと思う。
「さて、始めるか!」
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
欲しいものはガチャで引け!~異世界召喚されましたが自由に生きます~
シリウス
ファンタジー
身体能力、頭脳はかなりのものであり、顔も中の上くらい。負け組とは言えなそうな生徒、藤田陸斗には一つのマイナス点があった。それは運であった。その不運さ故に彼は苦しい生活を強いられていた。そんなある日、彼はクラスごと異世界転移された。しかし、彼はステ振りで幸運に全てを振ったためその他のステータスはクラスで最弱となってしまった。
しかし、そのステ振りこそが彼が持っていたスキルを最大限生かすことになったのだった。(軽い復讐要素、内政チートあります。そういうのが嫌いなお方にはお勧めしません)初作品なので更新はかなり不定期になってしまうかもしれませんがよろしくお願いします。
騎士団に入る事になりました
セイラ
恋愛
私の名前はレイラ・エバーガーデン。前世の記憶を持っている。生まれは子爵家で、家庭を支える為に騎士団に入る事に。
小さい頃から、師匠に鍛えられていたレイラ。マイペースで無自覚な性格だが、悪戯を企む時も。
しかし、周りから溺愛される少女の物語。
チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~
ふゆ
ファンタジー
私は死んだ。
はずだったんだけど、
「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」
神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。
なんと幼女になっちゃいました。
まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!
エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか?
*不定期更新になります
*誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください!
*ところどころほのぼのしてます( ^ω^ )
*小説家になろう様にも投稿させていただいています
かぶっていた猫が外れたら騎士団にスカウトされました!
灯倉日鈴(合歓鈴)
ファンタジー
伯爵令息にプロポーズされて幸せ絶頂期だったエレノアは、恋敵に階段から突き飛ばされたことで並外れた身体能力がバレてしまい、婚約破棄されてしまう。
落ち込む彼女の前に、王国騎士団に所属する第三王子フィルアートが現れる。
「王国騎士団に入れ、エレノア・カプリース」
「やだ」
騎士とか剣術とか、そんな汗臭い熱血青春はお断り!
……それなのに、結局騎士団に入ることになって……。
ワケアリ令嬢と有能(だけど恋愛面ではポンコツ)王子、そして二人を取り巻く人々と魔獣の騒がしい日々。
※以前投稿した作品を長編用に設定を整え書き直しました。
※カクヨム様にも投稿しています。
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
異世界を服従して征く俺の物語!!
ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。
高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。
様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。
なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
キスから始まる主従契約
毒島らいおん
BL
異世界に召喚された挙げ句に、間違いだったと言われて見捨てられた葵。そんな葵を助けてくれたのは、美貌の公爵ローレルだった。
ローレルの優しげな雰囲気に葵は惹かれる。しかも向こうからキスをしてきて葵は有頂天になるが、それは魔法で主従契約を結ぶためだった。
しかも週に1回キスをしないと死んでしまう、とんでもないもので――。
◯
それでもなんとか彼に好かれようとがんばる葵と、実は腹黒いうえに秘密を抱えているローレルが、過去やら危機やらを乗り越えて、最後には最高の伴侶なるお話。
(全48話・毎日12時に更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる