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第6話 始まりのダンジョンの禁忌
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「魔力量が増えるって、マジックポーションと違うの?」
「いやっ、違う。確かに、魔力も回復する。だが、こいつは魔力保有量の上限を増やすんだ」
ラナが持っていたのは、魔力の上限をが増やしてくれる薬。だが規格外なのは、これを一定期間継続して飲み続ければ、効果は消えずに残り続ける。本当に魔力保有量が増やすことが出来る代物。
「この小さな一粒では微々たるものだが、継続出来れば冒険者達にとって大きな力になる」
ブランシュと目が合う。事の重大さに気付いたブランシュも、少し顔がこわばっている。魔力の保有量には限界がある。種族によっても魔力保有量は大きく変わり、それが種族の優劣さえ決めてしまう魔法優位の世界。
「問題は数でしょ。数が確保出来てこそ貴重なアイテム。でも数がなければ、大きな変化は起こせないはずよ」
俺とブランシュの視線が、自然とラナへと方へと向く。
「ラナ、他にもサプリは持ってるのかしら?」
「うんっ、いっぱい持ってる。姫様と、たーくさん作ったもん。ほらっ」
ラナがポケットから、無造作に出したサプリ。白色だけでなく、赤や青、緑と様々な色のがある。
「うんとねっ、これは力が強くなるの。これは、頭が良くなるの。それでね、これは体が丈夫になるの」
「魔力だけじゃないのか……」
「うん、お家には他にまだまだ沢山あるよ。姫様が、困ったらこれを優しそうな人に見せなさいって言ってたもん」
俺達は、凍りつくしかない。「サプリ」は子供のポケットに、お菓子のようにして持ち歩くべきものじゃない。ダンジョンの中でも、特に厳重に守られた場所で、しっかりと管理されなければならない代物。
「あっ、ダメよ」
ラナが、サプリを口に入れて食べてしまう。
「うんっ、どうして。サプリ、美味しいよ」
そう言うと、またポケットの中からサプリを取り出してみせる。破綻したダンジョンから発する、禍々しい魔力。それに触れても、存在が消滅しなかったのは「サプリ」のせいで間違いない。
「ねえ、他にサプリの事を知ってる人はいるのかしら?」
「うーんとね、姫様はドライアドだけの秘密だって言ってた」
再び、俺とブランシュの目が合う。ラナは決して知られてはならない存在。始まりのダンジョンで行われていた禁忌を知ってしまった。
「ドライアドの秘密を、私に秘密を教えてくれて大丈夫なの?」
「うん、ブランシュは大丈夫! 姫様と同じ匂いがするもん」
「ブランシュ、ラナと契約をしよう。それしか方法はない」
「分かってるわ。この子は守ってみせるわ」
「ねえ、けーやくって、なーに? 痛いことされるの?」
「違うわよ。ラナは、私と一緒にダンジョンで暮らしたい」
「うん、ブランシュと一緒がいい。あっちの目つきの悪いのはギリギリ合格にしてあげる」
「そう、ありがと。でもね、私達と一緒にダンジョンで生活する時は契約っていってね、守らなければならないお約束があるの。難しくはないけど、ちょっと不便になるわよ」
「するする。ラナは、お利口。お約束守れるー!」
「お約束するとね、ダンジョンの外に出れなくなるの。それでも大丈夫?」
「何だ、かんたーん。今までもダンジョンの中でずっと暮らしてきたもん」
ブランシュとラナ。ダンジョンマスターである熾天使と精霊の契約が成立する。ダンジョンが大地から吸収する上質で濃い魔力が、ラナの糧として供給されるされる。
ラナの体が仄かに光を帯び始める。ブランシュのハロの光が無ければ姿が見えなかった、消滅寸前に近かい体。それが今は生気に溢れ、発する魔力も強くなる。
そして、ラナの体にも変化が起こる。少しだけ身長が伸び、顔つきや体つきも引き締まって見える。それでもまだまだ少女で変わりないが、自身の成長を感じとったラナは嬉しそうに笑う。
「うわっ、お姉さんになった~。お仕事頑張って、いっぱいサプリつくらないと。ラナは、役に立つ精霊さんってことを証明するの」
「いやっ、違う。確かに、魔力も回復する。だが、こいつは魔力保有量の上限を増やすんだ」
ラナが持っていたのは、魔力の上限をが増やしてくれる薬。だが規格外なのは、これを一定期間継続して飲み続ければ、効果は消えずに残り続ける。本当に魔力保有量が増やすことが出来る代物。
「この小さな一粒では微々たるものだが、継続出来れば冒険者達にとって大きな力になる」
ブランシュと目が合う。事の重大さに気付いたブランシュも、少し顔がこわばっている。魔力の保有量には限界がある。種族によっても魔力保有量は大きく変わり、それが種族の優劣さえ決めてしまう魔法優位の世界。
「問題は数でしょ。数が確保出来てこそ貴重なアイテム。でも数がなければ、大きな変化は起こせないはずよ」
俺とブランシュの視線が、自然とラナへと方へと向く。
「ラナ、他にもサプリは持ってるのかしら?」
「うんっ、いっぱい持ってる。姫様と、たーくさん作ったもん。ほらっ」
ラナがポケットから、無造作に出したサプリ。白色だけでなく、赤や青、緑と様々な色のがある。
「うんとねっ、これは力が強くなるの。これは、頭が良くなるの。それでね、これは体が丈夫になるの」
「魔力だけじゃないのか……」
「うん、お家には他にまだまだ沢山あるよ。姫様が、困ったらこれを優しそうな人に見せなさいって言ってたもん」
俺達は、凍りつくしかない。「サプリ」は子供のポケットに、お菓子のようにして持ち歩くべきものじゃない。ダンジョンの中でも、特に厳重に守られた場所で、しっかりと管理されなければならない代物。
「あっ、ダメよ」
ラナが、サプリを口に入れて食べてしまう。
「うんっ、どうして。サプリ、美味しいよ」
そう言うと、またポケットの中からサプリを取り出してみせる。破綻したダンジョンから発する、禍々しい魔力。それに触れても、存在が消滅しなかったのは「サプリ」のせいで間違いない。
「ねえ、他にサプリの事を知ってる人はいるのかしら?」
「うーんとね、姫様はドライアドだけの秘密だって言ってた」
再び、俺とブランシュの目が合う。ラナは決して知られてはならない存在。始まりのダンジョンで行われていた禁忌を知ってしまった。
「ドライアドの秘密を、私に秘密を教えてくれて大丈夫なの?」
「うん、ブランシュは大丈夫! 姫様と同じ匂いがするもん」
「ブランシュ、ラナと契約をしよう。それしか方法はない」
「分かってるわ。この子は守ってみせるわ」
「ねえ、けーやくって、なーに? 痛いことされるの?」
「違うわよ。ラナは、私と一緒にダンジョンで暮らしたい」
「うん、ブランシュと一緒がいい。あっちの目つきの悪いのはギリギリ合格にしてあげる」
「そう、ありがと。でもね、私達と一緒にダンジョンで生活する時は契約っていってね、守らなければならないお約束があるの。難しくはないけど、ちょっと不便になるわよ」
「するする。ラナは、お利口。お約束守れるー!」
「お約束するとね、ダンジョンの外に出れなくなるの。それでも大丈夫?」
「何だ、かんたーん。今までもダンジョンの中でずっと暮らしてきたもん」
ブランシュとラナ。ダンジョンマスターである熾天使と精霊の契約が成立する。ダンジョンが大地から吸収する上質で濃い魔力が、ラナの糧として供給されるされる。
ラナの体が仄かに光を帯び始める。ブランシュのハロの光が無ければ姿が見えなかった、消滅寸前に近かい体。それが今は生気に溢れ、発する魔力も強くなる。
そして、ラナの体にも変化が起こる。少しだけ身長が伸び、顔つきや体つきも引き締まって見える。それでもまだまだ少女で変わりないが、自身の成長を感じとったラナは嬉しそうに笑う。
「うわっ、お姉さんになった~。お仕事頑張って、いっぱいサプリつくらないと。ラナは、役に立つ精霊さんってことを証明するの」
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