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第24話 ドロップアイテムの掟
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ダンジョンは、順調に生命力を吸い取り成長している。冒険者だけでなく、地上の商人達の生命力も吸収し、成長速度は第6ダンジョンよりも遥かに速い。
まだ4・5階層は瓦礫に埋もれたままにしているが、その下には第6階層の空間が出来つつある。
だが、成長速度は早くても、ダーマからの竜鱗ドロップの無理難題に応えることは出来ない。
「どうやって、竜鱗をドロップさせるかだな?」
「宝箱じゃダメなんすか?」
「こんな浅い階層の宝箱から竜鱗を出してみろ。他のダンジョンから恨まれるぞ」
ダンジョンの宝箱にもルールがある。勇者のように谷町のいない冒険者の大半は、ダンジョンで生計を立てている。
しかし、浅い階層から竜鱗が排出されれば、簡単に財を築けてしまう。そのダンジョンには冒険者が殺到し、ダンジョンに潜ったり深い下層に行く為の努力を怠ってしまう。
「魔物を倒してドロップさせるしかないんっすね」
「ああ、サボってるように見えて、俺も常に考えてるんだ」
「でもドロップにも、ルールがあるんすよねっ」
今の第13ダンジョンにいる魔物は最弱の魔物の吸血虫のみ。宝箱と同様に、吸血虫に地竜の竜鱗をドロップさせるわけにはいかない。最下位の魔物の吸血虫であれば、それに見合った最下位のドロップアイテムである必要がある。
「だから、吸血虫のドロップアイテムは鉄貨なんだ」
何十匹倒して、やっとドロップするのが鉄貨一枚。収支が簡単にプラスになってはならない。
「でも、古代の鉄貨は大丈夫なんすか?結構な価値が付くかもしれないっすよ」
「ああ、それは心配してない。あれはレアドロップ扱いだ。価値に合わせてドロップ率を変えるだけでイイ」
「何か、先輩って詐欺師っぽいっすよね」
「それがダンジョン経営ってもんなんだ」
そしてドロップには他にも問題があり、それは魔物とドロップアイテムとの関係性。火属性の魔物が、水属性のアイテムを落とせばダンジョンは無法地帯になってしまう。
吸血虫が竜鱗をドロップするには、強さも分類としても全く関係性がない。さらには、通例として1つの魔物がドロップするのは2つから3つまでと決まっている。
「ミショウ、誰かいないのか?新しく出来る6階層辺りで、竜鱗をドロップさせれる魔物が?」
「無理を言うでない。残ってるのは第6ダンジョンでも31階層以降の魔物ばかりだぞ」
まだ6階層が出来始めたばかりの新設のダンジョン。それに3階層までは最弱の吸血虫しか出現しないのに、急激に魔物のレベルを上げて竜種を出現させるには無理がある。
「ローゼのところも無理だよな」
「ああ、妾も無理だな」
26階層のモンスター部屋に立て籠っていた魔物は、ローゼに徹底的に鍛えられている。それに、属性としても竜種とは離れた者しかいない。
古代ダンジョンにも竜鱗を落とすに相応しく、ダンジョンの上層に出現する都合の良い魔物。
「ミショウの知り合いでもイイけど、どこかに居ないのか?」
「俺様の成長した姿を見れば、ここに来たがるヤツは多いが、俺の知り合いは皆竜種だぞ」
「そうなんだよな。竜種なんだよな……。ザキさんの所に相談しに行くか」
「うむっ、ワシは絶対に行かん。行くなら、レヴィンとマリクで行ってくるが良い」
表情の分かりにくい竜種ではあるが、明らかにミショウの顔は渋い。そして、お調子者のマリクも巻き込まれまいと逃げにかかっている。
「ザキさんて誰なの?何処かに行く必要があるの?それなら、私もついて行くわ」
それ見たブランシュは、逆に興味を惹かれている。ダンジョンマスターであることの責任感もあるが、それ以上にまだ知らない世界への好奇心が強く表れている。
「ブランシュ様は、あんな偏屈爺に関わらんほうがイイ」
「そうっすよ、偏屈がうつるっす。それに、頑固者っす」
「ミショウもマリクも、諦めろ。あの目になったらブランシュは絶対に無理なんだ」
ミショウもマリクも拒絶すればする程に、ブランシュの決意を強固させる。
「古代竜の一体だ。地竜のミショウとは格が違う。機嫌が悪ければ、どうなるか分からないし、無事で帰ってこれる保証もないぞ」
「でも、レヴィンは行くんでしょ」
まだ4・5階層は瓦礫に埋もれたままにしているが、その下には第6階層の空間が出来つつある。
だが、成長速度は早くても、ダーマからの竜鱗ドロップの無理難題に応えることは出来ない。
「どうやって、竜鱗をドロップさせるかだな?」
「宝箱じゃダメなんすか?」
「こんな浅い階層の宝箱から竜鱗を出してみろ。他のダンジョンから恨まれるぞ」
ダンジョンの宝箱にもルールがある。勇者のように谷町のいない冒険者の大半は、ダンジョンで生計を立てている。
しかし、浅い階層から竜鱗が排出されれば、簡単に財を築けてしまう。そのダンジョンには冒険者が殺到し、ダンジョンに潜ったり深い下層に行く為の努力を怠ってしまう。
「魔物を倒してドロップさせるしかないんっすね」
「ああ、サボってるように見えて、俺も常に考えてるんだ」
「でもドロップにも、ルールがあるんすよねっ」
今の第13ダンジョンにいる魔物は最弱の魔物の吸血虫のみ。宝箱と同様に、吸血虫に地竜の竜鱗をドロップさせるわけにはいかない。最下位の魔物の吸血虫であれば、それに見合った最下位のドロップアイテムである必要がある。
「だから、吸血虫のドロップアイテムは鉄貨なんだ」
何十匹倒して、やっとドロップするのが鉄貨一枚。収支が簡単にプラスになってはならない。
「でも、古代の鉄貨は大丈夫なんすか?結構な価値が付くかもしれないっすよ」
「ああ、それは心配してない。あれはレアドロップ扱いだ。価値に合わせてドロップ率を変えるだけでイイ」
「何か、先輩って詐欺師っぽいっすよね」
「それがダンジョン経営ってもんなんだ」
そしてドロップには他にも問題があり、それは魔物とドロップアイテムとの関係性。火属性の魔物が、水属性のアイテムを落とせばダンジョンは無法地帯になってしまう。
吸血虫が竜鱗をドロップするには、強さも分類としても全く関係性がない。さらには、通例として1つの魔物がドロップするのは2つから3つまでと決まっている。
「ミショウ、誰かいないのか?新しく出来る6階層辺りで、竜鱗をドロップさせれる魔物が?」
「無理を言うでない。残ってるのは第6ダンジョンでも31階層以降の魔物ばかりだぞ」
まだ6階層が出来始めたばかりの新設のダンジョン。それに3階層までは最弱の吸血虫しか出現しないのに、急激に魔物のレベルを上げて竜種を出現させるには無理がある。
「ローゼのところも無理だよな」
「ああ、妾も無理だな」
26階層のモンスター部屋に立て籠っていた魔物は、ローゼに徹底的に鍛えられている。それに、属性としても竜種とは離れた者しかいない。
古代ダンジョンにも竜鱗を落とすに相応しく、ダンジョンの上層に出現する都合の良い魔物。
「ミショウの知り合いでもイイけど、どこかに居ないのか?」
「俺様の成長した姿を見れば、ここに来たがるヤツは多いが、俺の知り合いは皆竜種だぞ」
「そうなんだよな。竜種なんだよな……。ザキさんの所に相談しに行くか」
「うむっ、ワシは絶対に行かん。行くなら、レヴィンとマリクで行ってくるが良い」
表情の分かりにくい竜種ではあるが、明らかにミショウの顔は渋い。そして、お調子者のマリクも巻き込まれまいと逃げにかかっている。
「ザキさんて誰なの?何処かに行く必要があるの?それなら、私もついて行くわ」
それ見たブランシュは、逆に興味を惹かれている。ダンジョンマスターであることの責任感もあるが、それ以上にまだ知らない世界への好奇心が強く表れている。
「ブランシュ様は、あんな偏屈爺に関わらんほうがイイ」
「そうっすよ、偏屈がうつるっす。それに、頑固者っす」
「ミショウもマリクも、諦めろ。あの目になったらブランシュは絶対に無理なんだ」
ミショウもマリクも拒絶すればする程に、ブランシュの決意を強固させる。
「古代竜の一体だ。地竜のミショウとは格が違う。機嫌が悪ければ、どうなるか分からないし、無事で帰ってこれる保証もないぞ」
「でも、レヴィンは行くんでしょ」
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