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第19話 第3ダンジョンの司令官ダーマ
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地竜ミショウが力を解放したことで、第13ダンジョンに集まってきた黒子天使達は、力の差を思い知らされている。
地位や権力ではなく純粋に個の持つ力で、ダンジョンの中で冒険者達に見せる紛い物の力ではない。
「カショウ、逃がしてイイのか?」
「ああっ、ブランシュが決めたことだ。他にやるべきことも多いしな」
パラパラと逃げて行く黒子天使が見えるが、ブランシュは去れと宣言している以上、捕まえる訳にもいかない。
まだ3対ではなく2対4枚の翼の熾天使ブランシュに、正式ではなく準扱いの格下のダンジョン。先のないダンジョンと思われ、他のダンジョンは関心のないフリをしている。しかし、それは騙し合いで隙あらば潜り込むの機会を狙っている。
「先輩っ、戻ってください。ダーマさんから通信らしいっすよ」
「ああ、今戻る」
モニターに映し出されているのは、笑みを浮かべるロマンスグレーの黒子天使。
「レヴィン、何か忘れてないか?」
ヒケンの森から魔物が溢れ出す可能性があった為、その面倒ごとを押し付けたのが大学時代の恩師でもあり、第3ダンジョンの司令官でもあるダーマ。
「緊急事態だったので、連絡が遅れました。第3ダンジョンが近いので、つい昔の縁に甘えてしまいまして……」
「そうじゃない。まだ、就任の挨拶を受けておらんぞ。年長者であり、最寄りのダンジョンの司令官への礼節を欠いてはおらんかな?」
「ああ、それはブランシュと一緒に挨拶をと思いまして」
「何を入っておる。すでにブランシュからは、挨拶を受けておるぞ」
横目でブランシュを見ると、エヘッと笑って見せる。確か、大学時代もそうだった。上手く立ち回るブランシュに対して、いつも俺は後手にまわり怒られていた。
「準ダンジョン扱いなので、天界に呼ばれることもないと思いますが、機会があれば改めて挨拶にでも……」
「心配するな。今からそっちに行ってやる」
「大丈夫ですよ、そこまでは迷惑はかけれません。何とかやれてますから」
「違うわ。用事があるのは、ブランシュの方にだ。礼儀も知らんヤツの顔なぞ誰が見たいと思うか!」
モニターの隅には、拘束された黒子天使達の姿が映し出される。恐らくは、第13ダンジョンに潜入しようとしていた黒子天使達で間違いない。
「他ダンジョンの機密を盗もうとするヤツらじゃ。捕らえてやったから、好きに使うが良い。噂のダンジョンも見てみたいしのう」
つくづく食わせ物の爺さんだと、改めて実感する。俺達に恩を売るフリをして、すでに捕らえた黒子天使達からは情報を抜き取っている。第13ダンジョンが特殊だと分かれば、他のダンジョンよりも先に堂々といっちょかみしてくる図々しさ。
そしてその日の内には、ダーマがヒケンの森へとやってくる。予め事前準備していなければ、出来ない用意周到さでもある。
「ほう、意外と広いのう」
「ダンジョンの影響が及ぶのは、今のところヒケンの森の8割り程度でしょうか」
もちろん、ダーマの相手をするは俺ではなくブランシュ。これまでの関係性もあるし、ブランシュはダーマに隠し事はしないスタンスのようだ。
第13ダンジョンが及ぼす影響は、地下だけに留まらず地上のヒケンの森にも及び、まだまだ広がりを見せている。
ダンジョンが吸い上げた良質な魔力は、地上に出ると急速に大気中へ拡散される。しかし第13ダンジョンだけは、地上に魔力が留まり続ける。だから、魔物から襲われていた黒子天使達がダンジョン内と同じように力を発揮出来た。
「まだまだ広がっておるのなら、先々が楽しみだのう」
「ええっ、でも未知の部分も多いので、これからもお力添えよろしくお願いします」
「この森に人が住み着けば、ダンジョンも成長するか。古代のダンジョンも中々面白そうだのう。なあ、レヴィン!」
黙ったままでいた俺に、急に話を振ってくる。ダーマが一瞬だけ見せた目は鋭く、教え子の今後の期待するようには見えない。
「いや、まだどんな危険があるか検証してみないと分かりません。しばらくは様子見も必要かと」
「それでも、呼び水は必要だ。遠慮するな、もう手配はしてあるから、好きに使うがイイ」
「はいっ、仰せのままに」
地位や権力ではなく純粋に個の持つ力で、ダンジョンの中で冒険者達に見せる紛い物の力ではない。
「カショウ、逃がしてイイのか?」
「ああっ、ブランシュが決めたことだ。他にやるべきことも多いしな」
パラパラと逃げて行く黒子天使が見えるが、ブランシュは去れと宣言している以上、捕まえる訳にもいかない。
まだ3対ではなく2対4枚の翼の熾天使ブランシュに、正式ではなく準扱いの格下のダンジョン。先のないダンジョンと思われ、他のダンジョンは関心のないフリをしている。しかし、それは騙し合いで隙あらば潜り込むの機会を狙っている。
「先輩っ、戻ってください。ダーマさんから通信らしいっすよ」
「ああ、今戻る」
モニターに映し出されているのは、笑みを浮かべるロマンスグレーの黒子天使。
「レヴィン、何か忘れてないか?」
ヒケンの森から魔物が溢れ出す可能性があった為、その面倒ごとを押し付けたのが大学時代の恩師でもあり、第3ダンジョンの司令官でもあるダーマ。
「緊急事態だったので、連絡が遅れました。第3ダンジョンが近いので、つい昔の縁に甘えてしまいまして……」
「そうじゃない。まだ、就任の挨拶を受けておらんぞ。年長者であり、最寄りのダンジョンの司令官への礼節を欠いてはおらんかな?」
「ああ、それはブランシュと一緒に挨拶をと思いまして」
「何を入っておる。すでにブランシュからは、挨拶を受けておるぞ」
横目でブランシュを見ると、エヘッと笑って見せる。確か、大学時代もそうだった。上手く立ち回るブランシュに対して、いつも俺は後手にまわり怒られていた。
「準ダンジョン扱いなので、天界に呼ばれることもないと思いますが、機会があれば改めて挨拶にでも……」
「心配するな。今からそっちに行ってやる」
「大丈夫ですよ、そこまでは迷惑はかけれません。何とかやれてますから」
「違うわ。用事があるのは、ブランシュの方にだ。礼儀も知らんヤツの顔なぞ誰が見たいと思うか!」
モニターの隅には、拘束された黒子天使達の姿が映し出される。恐らくは、第13ダンジョンに潜入しようとしていた黒子天使達で間違いない。
「他ダンジョンの機密を盗もうとするヤツらじゃ。捕らえてやったから、好きに使うが良い。噂のダンジョンも見てみたいしのう」
つくづく食わせ物の爺さんだと、改めて実感する。俺達に恩を売るフリをして、すでに捕らえた黒子天使達からは情報を抜き取っている。第13ダンジョンが特殊だと分かれば、他のダンジョンよりも先に堂々といっちょかみしてくる図々しさ。
そしてその日の内には、ダーマがヒケンの森へとやってくる。予め事前準備していなければ、出来ない用意周到さでもある。
「ほう、意外と広いのう」
「ダンジョンの影響が及ぶのは、今のところヒケンの森の8割り程度でしょうか」
もちろん、ダーマの相手をするは俺ではなくブランシュ。これまでの関係性もあるし、ブランシュはダーマに隠し事はしないスタンスのようだ。
第13ダンジョンが及ぼす影響は、地下だけに留まらず地上のヒケンの森にも及び、まだまだ広がりを見せている。
ダンジョンが吸い上げた良質な魔力は、地上に出ると急速に大気中へ拡散される。しかし第13ダンジョンだけは、地上に魔力が留まり続ける。だから、魔物から襲われていた黒子天使達がダンジョン内と同じように力を発揮出来た。
「まだまだ広がっておるのなら、先々が楽しみだのう」
「ええっ、でも未知の部分も多いので、これからもお力添えよろしくお願いします」
「この森に人が住み着けば、ダンジョンも成長するか。古代のダンジョンも中々面白そうだのう。なあ、レヴィン!」
黙ったままでいた俺に、急に話を振ってくる。ダーマが一瞬だけ見せた目は鋭く、教え子の今後の期待するようには見えない。
「いや、まだどんな危険があるか検証してみないと分かりません。しばらくは様子見も必要かと」
「それでも、呼び水は必要だ。遠慮するな、もう手配はしてあるから、好きに使うがイイ」
「はいっ、仰せのままに」
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