12 / 53
第12話 第13ダンジョンの誕生
しおりを挟む
強制的に天界から転移させられ、見えてきた光景はヒケンの森の廃ダンジョン。立入禁止区域にあるが、それでも侵入者を考慮して入口は巧妙に隠されている。
廃ダンジョンの入口は幾つかあり、ラーミウが俺とブランシュを転移させた先は、俺たちが使っている入口の真正面。
無事天界から戻ってこられたと安堵している暇はなさそうで、ダンジョンの入口には目を見開いて俺とブランシュを凝視しているマリクがいる。
「マリク、先ずは説明を聞け」
「あー、先輩がハロ持ち天使を泣かせてる~っ!」
「違うぞ、マリク。これは、違うんだ!」
しかし、俺に抱きついて泣いている天使に、戸惑う俺という構図。“違う”と繰り返せば繰り返すほどに、俺の説得力は無くなる。
「天界に連れていかれたと思って心配してたのに、まさか悪さを働いてるなんて信じられな~い」
マリクが騒ぎだすと、ダンジョンの中から地竜ミショウと亡者の女剣士ローゼも出てくる。
「何だと、この非常時に女遊びじゃと!」
「やっぱり、黒子天使はどれもこれも信用ならんゲスばかり」
「ちょっと待て、これは俺の上司だぞ。新しく新設される、第13ダンジョンを治める熾天使代理のブランシュ。俺たちの上司になる熾天使だ。そうだよな、ブランシュ。早く説明してやってくれ」
「そんな見え透いた嘘をつくとは、見損ないましたぞ」
普段は寡黙な黒子天使のカシューまでが、俺に非難の声を上げてくる。立場は違えど、俺とブランシュが並べば、皆ブランシュに味方をする。
「そうだ、ブランシュ、早くダンジョンを!ダンジョンマスターであることを、証明するんだ」
ダンジョンから黒子天使や魔物達が出てきたことで、ブランシュは少し冷静さを取り戻す。幼馴染みのブランシュから、今は凛とした熾天使の顔付きへと変わっている。
ダンジョンの入口に手を翳し、魔方陣を指で描きながら詠唱を行うと、騒がしかった黒子天使や魔物達もその姿に見惚れている。
「リボーン・ダンジョン……。えっ、そんなはずは?」
「どうした、ブランシュ?」
「ダンジョンから魔力が感じられません」
魔法リボーン・ダンジョンは、地下遺跡となってしまったダンジョンに再び活力を与え、ダンジョンとして甦らせる魔法。ダンジョン蘇生の魔法使えることこそが、ダンジョンマスターの証明になる。
「ブランシュ、第13ダンジョンは何階層になるんだ?」
「下の2階層は瓦礫に埋もれていますが、ダンジョンの規模は5階層です」
通常のダンジョン創造では、魔法クリエイト・ダンジョンを使い、10階層のダンジョンが造られる。
だが、第6ダンジョンの大半と第7ダンジョンが壊滅したばかりで、魔力を大きく消費するクリエイト・ダンジョンは使えない。
だから今は魔力消費を抑える為に、廃ダンジョンを再生する魔法リボーン・ダンジョンを使った。そして、それはまだ3対6枚ではなく2対4枚の翼のブランシュでも行使出来る魔法になる。
「そうか、魔物の数が多すぎるんだ!」
慌ててダンジョンの中に入れば、中には第6ダンジョンから転移してきた魔物で埋め尽くされている。
「レヴィン、これは……」
ブランシュは、廃ダンジョンの中に第6ダンジョン下層の魔物全てが潜んでいる光景に絶句している。
「第6ダンジョン下層の魔物達だ。全て俺の指示でここに非難させた」
「26階層のモンスター部屋の魔物も居ますよ、先輩。大丈夫っすか?」
「ダメに決まってるだろ。ダンジョンの吸い上げる魔力に対して、魔物の数が多すぎるんだ」
「それって、ダンジョンが出来てすぐにブラックアウトするってことっすか?」
「みんな、魔力の吸収を抑えろ。安心しろ、直ぐにはブラックアウトしない」
「直ぐじゃなかったら、どうなるんすか?」
「最下層を目指す。黙って俺についてこい!」
時間の余裕はなく、有無を言わさずブランシュを抱きかかえる。ひしめく魔物達を飛び越えて、最短で魔方陣を目指し、後ろにはマリクとカシューが続く。目指す先は、第6ダンジョンから転移してきた魔方陣のある3階層。
「何してるんだ。遅すぎるぞ、レヴィン。魔方陣はまだ生きている」
そして、俺達を使えるのは黒子天使のシーマ。第6ダンジョン内の魔法や、マジックアイテムを統括する黒子天使。
「シーマ、直ぐに転移を始めてくれ」
「ホントに、人使いの荒い奴だ。後でしっかりと埋め合わせはしてもらうからな」
廃ダンジョンの入口は幾つかあり、ラーミウが俺とブランシュを転移させた先は、俺たちが使っている入口の真正面。
無事天界から戻ってこられたと安堵している暇はなさそうで、ダンジョンの入口には目を見開いて俺とブランシュを凝視しているマリクがいる。
「マリク、先ずは説明を聞け」
「あー、先輩がハロ持ち天使を泣かせてる~っ!」
「違うぞ、マリク。これは、違うんだ!」
しかし、俺に抱きついて泣いている天使に、戸惑う俺という構図。“違う”と繰り返せば繰り返すほどに、俺の説得力は無くなる。
「天界に連れていかれたと思って心配してたのに、まさか悪さを働いてるなんて信じられな~い」
マリクが騒ぎだすと、ダンジョンの中から地竜ミショウと亡者の女剣士ローゼも出てくる。
「何だと、この非常時に女遊びじゃと!」
「やっぱり、黒子天使はどれもこれも信用ならんゲスばかり」
「ちょっと待て、これは俺の上司だぞ。新しく新設される、第13ダンジョンを治める熾天使代理のブランシュ。俺たちの上司になる熾天使だ。そうだよな、ブランシュ。早く説明してやってくれ」
「そんな見え透いた嘘をつくとは、見損ないましたぞ」
普段は寡黙な黒子天使のカシューまでが、俺に非難の声を上げてくる。立場は違えど、俺とブランシュが並べば、皆ブランシュに味方をする。
「そうだ、ブランシュ、早くダンジョンを!ダンジョンマスターであることを、証明するんだ」
ダンジョンから黒子天使や魔物達が出てきたことで、ブランシュは少し冷静さを取り戻す。幼馴染みのブランシュから、今は凛とした熾天使の顔付きへと変わっている。
ダンジョンの入口に手を翳し、魔方陣を指で描きながら詠唱を行うと、騒がしかった黒子天使や魔物達もその姿に見惚れている。
「リボーン・ダンジョン……。えっ、そんなはずは?」
「どうした、ブランシュ?」
「ダンジョンから魔力が感じられません」
魔法リボーン・ダンジョンは、地下遺跡となってしまったダンジョンに再び活力を与え、ダンジョンとして甦らせる魔法。ダンジョン蘇生の魔法使えることこそが、ダンジョンマスターの証明になる。
「ブランシュ、第13ダンジョンは何階層になるんだ?」
「下の2階層は瓦礫に埋もれていますが、ダンジョンの規模は5階層です」
通常のダンジョン創造では、魔法クリエイト・ダンジョンを使い、10階層のダンジョンが造られる。
だが、第6ダンジョンの大半と第7ダンジョンが壊滅したばかりで、魔力を大きく消費するクリエイト・ダンジョンは使えない。
だから今は魔力消費を抑える為に、廃ダンジョンを再生する魔法リボーン・ダンジョンを使った。そして、それはまだ3対6枚ではなく2対4枚の翼のブランシュでも行使出来る魔法になる。
「そうか、魔物の数が多すぎるんだ!」
慌ててダンジョンの中に入れば、中には第6ダンジョンから転移してきた魔物で埋め尽くされている。
「レヴィン、これは……」
ブランシュは、廃ダンジョンの中に第6ダンジョン下層の魔物全てが潜んでいる光景に絶句している。
「第6ダンジョン下層の魔物達だ。全て俺の指示でここに非難させた」
「26階層のモンスター部屋の魔物も居ますよ、先輩。大丈夫っすか?」
「ダメに決まってるだろ。ダンジョンの吸い上げる魔力に対して、魔物の数が多すぎるんだ」
「それって、ダンジョンが出来てすぐにブラックアウトするってことっすか?」
「みんな、魔力の吸収を抑えろ。安心しろ、直ぐにはブラックアウトしない」
「直ぐじゃなかったら、どうなるんすか?」
「最下層を目指す。黙って俺についてこい!」
時間の余裕はなく、有無を言わさずブランシュを抱きかかえる。ひしめく魔物達を飛び越えて、最短で魔方陣を目指し、後ろにはマリクとカシューが続く。目指す先は、第6ダンジョンから転移してきた魔方陣のある3階層。
「何してるんだ。遅すぎるぞ、レヴィン。魔方陣はまだ生きている」
そして、俺達を使えるのは黒子天使のシーマ。第6ダンジョン内の魔法や、マジックアイテムを統括する黒子天使。
「シーマ、直ぐに転移を始めてくれ」
「ホントに、人使いの荒い奴だ。後でしっかりと埋め合わせはしてもらうからな」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった
ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」
15歳の春。
念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。
「隊長とか面倒くさいんですけど」
S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは……
「部下は美女揃いだぞ?」
「やらせていただきます!」
こうして俺は仕方なく隊長となった。
渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。
女騎士二人は17歳。
もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。
「あの……みんな年上なんですが」
「だが美人揃いだぞ?」
「がんばります!」
とは言ったものの。
俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?
と思っていた翌日の朝。
実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた!
★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。
※2023年11月25日に書籍が発売!
イラストレーターはiltusa先生です!
※コミカライズも進行中!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる