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第1話 プロローグ

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 数多の神々と、幾つもの世界が存在する。神々は天界に暮らし、地上に熾天使を遣わすことで、世界を支配する。

 その目的は、ただ1つ。全ての力の源となる魔力を、少しでも多く集めること。魔力を多く保有する神こそが、唯一無二の絶対的な存在となり得る。

 魔力を集める方法には2つある。生命の鼓動から生まれる魔力と、大地の奥深くから湧き出す魔力。だが生命の鼓動から発生する魔力は微々たるもので、圧倒的に大地からもたらされる魔力が多い。

 だから、神々はより多くの魔力を得る為に、幾つものダンジョンを造った。深いダンジョンほど、効率良く魔力を回収することが出来、また良質な魔力が採れる。
 だが、神々であっても万能ではなく、ダンジョンをという存在の全てを知り、操れるわけではない。深いダンジョンを造るためには、ダンジョンに生命力を与え成長させるしか方法がなく、オリハルコンやヒヒイロカネをもってしても、ダンジョンには傷一つ付ける事が出来ない。

 だから、神々は試行錯誤した。多くの冒険者達を、ダンジョンに呼び込む為のプロパガンダ。ダンジョンの深層に辿り着けば、富や名声・栄誉が手に入るという甘い罠。それに誘われて、ダンジョンには多くの冒険者達が集まる。

 しかし、ダンジョンを運用するに当たって、絶対にやってはならない禁忌がある。

『需要魔力が供給魔力を超えてはならない』

 神が強力な加護やスキルを与え、冒険者達をダンジョンで強力な魔物と戦わせることは可能だ。しかし、与えた加護やスキルの魔力消費量が、保有する魔力を超えた場合には災厄が訪れる。
 その禁忌を犯せば、世界は崩壊するだけではなくダンジョンを司る者の存在は消滅する。それは神であっても、避けることが出来ない理。

 そのリスクを回避する為に、生み出された存在が熾天使。ダンジョンマスターに任命された熾天使は、ありとあらゆる手を駆使し、一人でも多くの冒険者をダンジョンに誘う。神々の我儘を叶えるために、どんな手段も厭わない。

 それが、語られることのない世界の真実。
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