72 / 110
72 テイマー?
しおりを挟む
「ポチ?」
『ハイッ?』
「貴方、身体は元々無いのよね」
『無いです』
答えを聞いて眉根を寄せるソフィア。
「じゃあ、今テイムしたのはスタンさんの身体がセット済み状態のポチなの? 流石に成人男性をテイムするのは憚られるわ・・・」
それを聞いて、顎に手を当て考えるように首を傾げるスタン。
『多分大丈夫だと思う。俺はスタンっていう名前があるって自分で自覚しているからな。さっきので『ポチ』が俺の真名になった訳じゃないから』
肩を竦めるスタン。
「スタンさん詳しいですね」
『コレでも元冒険者だからな』
「成る程。では、リーナさんもでしょうか?」
『ウ~ンそれは分からんな』
「え? 何で」
スタンは腕組をして考え込む。
『人は身体と心が揃っていて、人格形成がされてるだろ? 俺は元々その状態だ。そこに余計な奴らが入ってる』
「ええ。確かに」
『『ポチ』と『小娘』は俺の身体に間借りしてるが精神体の『個』として成り立ってる。だから俺の口を使って喋れる位の自我があるんじゃないかな? まあ、俺から出て行きゃキチンと分かるかもな。ただ『小娘』の方は俺と違ってひょっとするとテイムされてるかもしれん』
『『・・・・』』
『さっきのリナって子が『小娘』の元の身体なんだろう?』
「ええ。ただ、前世の記憶に塗り替えられた魂が今は中に居て動いてます。本来なら精神体が引っ張り出された時に身体は死んでる筈だったんでしょ? ということは、今のリーナさんの身体の持ち主は里奈さんじゃないでしょうか?」
『え・・・』
『うん。多分そうだと思うよ~』
「ポチ。あなた兎に角スタンさんから出てらっしゃい。ややこしいから」
『は~い』『・・・』
テイムされた魔人、素直である・・・。
×××
黒い靄がスタンの体から出てくる様子はさながら怪奇現象のようでグロかったが、何とか終わり、黒い靄とスタンは別々に立ち上がる。
「痛え・・・」
か、に見えたがスタンだけその場に蹲った。
「ああ。殴る蹴るの暴行を加えましたからね。私が・・・『recover』」
温かな光が彼の身体を包みこんだ。
「おお。スゴイなアンタ。回復魔法も使えるんだ」
「まあ、そこそこですが」
腕を回したり足を上げたりして確認するスタンを他所に靄の方は、やがて人型になった。
「やっぱり、リーナさんの姿ですね」
フードを被った姿はリーナのものだったが、実体は無い様で時折ユラユラ揺れたりボヤけたりを繰り返しているように見える。
「困ったわ。シルファに相談しようかしら・・・」
『何か依代があったらそこに入れるとは思うんだけどサ・・・』
「他人様の身体はだめですよ」
『はぁ~い』『・・・』
依代って、お人形とか? と、ソフィアは思わず首を傾げる。
「おかしいわ。テイマーを目指してたわけじゃないんだけど・・・」
ソフィアは最強の魔法少女を目指している乙女である。
・・・・。
『ハイッ?』
「貴方、身体は元々無いのよね」
『無いです』
答えを聞いて眉根を寄せるソフィア。
「じゃあ、今テイムしたのはスタンさんの身体がセット済み状態のポチなの? 流石に成人男性をテイムするのは憚られるわ・・・」
それを聞いて、顎に手を当て考えるように首を傾げるスタン。
『多分大丈夫だと思う。俺はスタンっていう名前があるって自分で自覚しているからな。さっきので『ポチ』が俺の真名になった訳じゃないから』
肩を竦めるスタン。
「スタンさん詳しいですね」
『コレでも元冒険者だからな』
「成る程。では、リーナさんもでしょうか?」
『ウ~ンそれは分からんな』
「え? 何で」
スタンは腕組をして考え込む。
『人は身体と心が揃っていて、人格形成がされてるだろ? 俺は元々その状態だ。そこに余計な奴らが入ってる』
「ええ。確かに」
『『ポチ』と『小娘』は俺の身体に間借りしてるが精神体の『個』として成り立ってる。だから俺の口を使って喋れる位の自我があるんじゃないかな? まあ、俺から出て行きゃキチンと分かるかもな。ただ『小娘』の方は俺と違ってひょっとするとテイムされてるかもしれん』
『『・・・・』』
『さっきのリナって子が『小娘』の元の身体なんだろう?』
「ええ。ただ、前世の記憶に塗り替えられた魂が今は中に居て動いてます。本来なら精神体が引っ張り出された時に身体は死んでる筈だったんでしょ? ということは、今のリーナさんの身体の持ち主は里奈さんじゃないでしょうか?」
『え・・・』
『うん。多分そうだと思うよ~』
「ポチ。あなた兎に角スタンさんから出てらっしゃい。ややこしいから」
『は~い』『・・・』
テイムされた魔人、素直である・・・。
×××
黒い靄がスタンの体から出てくる様子はさながら怪奇現象のようでグロかったが、何とか終わり、黒い靄とスタンは別々に立ち上がる。
「痛え・・・」
か、に見えたがスタンだけその場に蹲った。
「ああ。殴る蹴るの暴行を加えましたからね。私が・・・『recover』」
温かな光が彼の身体を包みこんだ。
「おお。スゴイなアンタ。回復魔法も使えるんだ」
「まあ、そこそこですが」
腕を回したり足を上げたりして確認するスタンを他所に靄の方は、やがて人型になった。
「やっぱり、リーナさんの姿ですね」
フードを被った姿はリーナのものだったが、実体は無い様で時折ユラユラ揺れたりボヤけたりを繰り返しているように見える。
「困ったわ。シルファに相談しようかしら・・・」
『何か依代があったらそこに入れるとは思うんだけどサ・・・』
「他人様の身体はだめですよ」
『はぁ~い』『・・・』
依代って、お人形とか? と、ソフィアは思わず首を傾げる。
「おかしいわ。テイマーを目指してたわけじゃないんだけど・・・」
ソフィアは最強の魔法少女を目指している乙女である。
・・・・。
0
お気に入りに追加
565
あなたにおすすめの小説
【完結】名ばかりの妻を押しつけられた公女は、人生のやり直しを求めます。2度目は絶対に飼殺し妃ルートの回避に全力をつくします。
yukiwa (旧PN 雪花)
恋愛
*タイトル変更しました。(旧題 黄金竜の花嫁~飼殺し妃は遡る~)
パウラ・ヘルムダールは、竜の血を継ぐ名門大公家の跡継ぎ公女。
この世を支配する黄金竜オーディに望まれて側室にされるが、その実態は正室の仕事を丸投げされてこなすだけの、名のみの妻だった。
しかもその名のみの妻、側室なのに選抜試験などと御大層なものがあって。生真面目パウラは手を抜くことを知らず、ついつい頑張ってなりたくもなかった側室に見事当選。
もう一人の側室候補エリーヌは、イケメン試験官と恋をしてさっさと選抜試験から引き揚げていた。
「やられた!」と後悔しても、後の祭り。仕方ないからパウラは丸投げされた仕事をこなし、こなして一生を終える。そしてご褒美にやり直しの転生を願った。
「二度と絶対、飼殺しの妃はごめんです」
そうして始まった2度目の人生、なんだか周りが騒がしい。
竜の血を継ぐ4人の青年(後に試験官になる)たちは、なぜだかみんなパウラに甘い。
後半、シリアス風味のハピエン。
3章からルート分岐します。
小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
表紙画像はwaifulabsで作成していただきました。
https://waifulabs.com/
王太子の愚行
よーこ
恋愛
学園に入学してきたばかりの男爵令嬢がいる。
彼女は何人もの高位貴族子息たちを誑かし、手玉にとっているという。
婚約者を男爵令嬢に奪われた伯爵令嬢から相談を受けた公爵令嬢アリアンヌは、このまま放ってはおけないと自分の婚約者である王太子に男爵令嬢のことを相談することにした。
さて、男爵令嬢をどうするか。
王太子の判断は?
【完結】王女様の暇つぶしに私を巻き込まないでください
むとうみつき
ファンタジー
暇を持て余した王女殿下が、自らの婚約者候補達にゲームの提案。
「勉強しか興味のない、あのガリ勉女を恋に落としなさい!」
それって私のことだよね?!
そんな王女様の話しをうっかり聞いてしまっていた、ガリ勉女シェリル。
でもシェリルには必死で勉強する理由があって…。
長編です。
よろしくお願いします。
カクヨムにも投稿しています。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
【完結】 悪役令嬢は『壁』になりたい
tea
恋愛
愛読していた小説の推しが死んだ事にショックを受けていたら、おそらくなんやかんやあって、その小説で推しを殺した悪役令嬢に転生しました。
本来悪役令嬢が恋してヒロインに横恋慕していたヒーローである王太子には興味ないので、壁として推しを殺さぬよう陰から愛でたいと思っていたのですが……。
人を傷つける事に臆病で、『壁になりたい』と引いてしまう主人公と、彼女に助けられたことで強くなり主人公と共に生きたいと願う推しのお話☆
本編ヒロイン視点は全8話でサクッと終わるハッピーエンド+番外編
第三章のイライアス編には、
『愛が重め故断罪された無罪の悪役令嬢は、助けてくれた元騎士の貧乏子爵様に勝手に楽しく尽くします』
のキャラクター、リュシアンも出てきます☆
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
悪役令嬢ですか?……フフフ♪わたくし、そんなモノではございませんわ(笑)
ラララキヲ
ファンタジー
学園の卒業パーティーで王太子は男爵令嬢と側近たちを引き連れて自分の婚約者を睨みつける。
「悪役令嬢 ルカリファス・ゴルデゥーサ。
私は貴様との婚約破棄をここに宣言する!」
「……フフフ」
王太子たちが愛するヒロインに対峙するのは悪役令嬢に決まっている!
しかし、相手は本当に『悪役』令嬢なんですか……?
ルカリファスは楽しそうに笑う。
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
悪役令嬢と転生ヒロイン
みおな
恋愛
「こ、これは・・・!」
鏡の中の自分の顔に、言葉をなくした。
そこに映っていたのは、青紫色の髪に瞳をした、年齢でいえば十三歳ほどの少女。
乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』に出てくるヒロイン、そのものの姿だった。
乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』は、平民の娘であるヒロインが、攻略対象である王太子や宰相の息子たちと交流を深め、彼らと結ばれるのを目指すという極々ありがちな乙女ゲームである。
ありふれた乙女ゲームは、キャラ画に人気が高まり、続編として小説やアニメとなった。
その小説版では、ヒロインは伯爵家の令嬢となり、攻略対象たちには婚約者が現れた。
この時点で、すでに乙女ゲームの枠を超えていると、ファンの間で騒然となった。
改めて、鏡の中の姿を見る。
どう見ても、ヒロインの見た目だ。アニメでもゲームでも見たから間違いない。
問題は、そこではない。
着ているのがどう見ても平民の服ではなく、ドレスだということ。
これはもしかして、小説版に転生?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる