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65 天才魔道具師?

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 「おいおい、アイツらがあの図体ずうたいで暴れたりしたらこの場所なんかあっという間に瓦礫の山だぞ」


 アジェスが地面が揺れるのを諦めた様に地面に胡座をかいて頬杖を付く。

 「え~・・・ お父様に泣かれちゃうわ。せっかく作ったのにって」


 え、ソコ? 思わずソフィアの顔を2度見するのは国王陛下。


 「なんなら父上が作り直しますか?」


 冷静にシルファに言われてブンブンと首を横に振る。


 「こんな面倒くせえもん作れるのはディアミドだけだ。俺はそういうのは苦手なんだ」


 ――知ってる~ 陛下大雑把ですもんねー。

 と、いわんばかりに騎士団長以下全員が首を縱にコクコクする。


 「そもそも何だってベヒモスのマスターを魔人様は探してますの?」


 パラパラと屋根から小さな屑が落ちてくるのを、魔法の障壁を片手間に作りその場の全員の頭上に展開して難なく防ぐソフィア。


 『知りたい?』

 「ええ」


 隣にやってきたシルファに腰を抱かれながら頷くソフィアに向けて、ニヤリと笑う魔人。


 『俺より強いやつが居ないってことを証明したいだけ』


 ――え?


 『その為にこの世界に魔素を降らせて魔力を人に与えたのさ』


 ――へ?


 『ベヒモス達は俺よりは少し劣るけど十分互角に戦える。でも魔物相手ばかりじゃつまらないから、俺と同じ思考形態を持ってた『人類』に魔力を持たせて育ててみようと思ったのサ』


 ――え?


 『最初は大量に魔素を投入し過ぎて、人がいっぱい死んで失敗しちゃってさぁ~ 人類が絶滅しかかったんだよネ』


 ――はッ?!


 『だからさ、魔素を取り込みすぎないようにベヒモスに仕事を与えたんだ。大気中に漂う魔素の1部を雨で地面に落として結晶化させて無害にするのサ。アイツが定期的に陸を歩き回れば土の中で燻ってる魔素が細かい結晶になるんだ。それがアイツの能力さ』


 ――・・・


 『水の中には『人』はいなかったから、適当に結晶化させときゃ、まあ水は無害になるからそれはレヴィアタンにやらせたんだ。そのうち待ってりゃ『人』の中から強いやつが現れて遊べるからサ』

 『え、じゃあ元々この世界の人間には魔力は無いって事?』


 魔人の中のリーナが急に割り込んできた。


 『そうだよ―。魔力は魔素を上手く取り込める様に身体が進化した奴が使えるようになる副産物だね。元々この世界には魔素もなかったんだ。上手く取り込ませるのに苦労したけどね』


 ――・・・・・・


 「じゃあ、もしこの世界をコピーしたものを作ったとしたら? その世界には魔素がないって事になる?」


 ソフィアの呟きに、シルファとアジェスが気付いて首を傾げる。


 『そうだね~。そもそも魔素はこの世界に無い異分子だからね。魔法は限られた魔物や俺みたいな魔人にしか使えない世界さ』

 「てことは、アレは失敗作じゃ無かった? って事?」


 思わずソフィアは従兄弟2人を交互に見て同意を求める。


 ――アレとは、例の魔導具アレである。

 シルファは頷き、アジェスは肩を竦めて見せた後で


 「どっちにせよお前は天才だよ」


 そう言って笑った。


 2人の肯定に、ぱああっと明るい顔になるソフィアを見て、


 「尊い・・・」


 と、里奈が両手を組んでウルウルしながら天を仰いでいたが、アジェスとシルファは見なかった事にしたらしい。


 ソフィア本人は全然気が付かなかったが・・・






 「じゃ、魔人様? ベヒモスの仕事が30年毎なのは何故ですの? しかも大きな結晶を作った後は霧散してしまう仕組みにした理由は?」


 多分1番ソフィアが疑問に思っていた事だろう――

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