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55 御前試合②
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「あ、あれ」
アジェスが魔術師の試合ブロックの1つを指さした。各々のオペラグラスを覗いていた王族席達全員が、彼の示す方向に目を向ける。
因みに今ここに居る王族はガチムチ陛下と妻である王妃、そしてシルファ、ソフィア、アジェスの5人だが他には護衛のための騎士団長と近衛騎士が2人、侍従長と例の侍女長といった顔ぶれだ。
「アレ。卒業パーティーの時にシルファにベタつきまくってた女だ」
「あ、ホントだ」
騎士団所属の魔術師の証である白いフード付きのマントに黄色の魔石をはめ込んだロッドを右手に持ち、2回りほど年上の魔術師と相対している。
「黄色ってことは得意なのは雷ってことか」
「? あれ? 学園の時は得意なのは火属性魔法だった気がするんだけど?」
学年が違っていても飛び級したソフィアは魔法実技はシルファ達3回生と同じ授業だった為、流石に忘れない。
「そうだったか? そう言わればそんな気もするな・・・」
興味がない相手にはとことん無関心なのだろうか。
首を傾げる王太子シルファ・・・
「本当に同一人物なのか? 俺には違う人間に見えるが」
「えー、でもあの金髪はどう見たってあの3年生でしょ?」
「お前ら同級生なのに名前くらい知らねえのかよ・・」
呆れた声を出すアジェスに向かい
「ウ~ン・・・ 同級生?」
「・・・」
首を傾げる2人。
「殿下、ソフィア様発言をいたしてもよろしいでしょうか?」
その時後ろで侍女長が挙手をした。
「え。あ、どうぞ」
「あの平民出身の魔術師の名はリーナでございます。現在王領区の最北端の森の調査団付きの魔術師として騎士団に所属しております」
「詳しいな侍女長」
感心したような口調のシルファに向かって
「はい。ソフィア様を蔑ろにする発言をしたものは全て私が記録しております」
その手には、いつの間にか持っていた黒い革表紙の分厚い手帳・・・
――閻魔帳かな? しかしいつの間に・・・
「再検査後に精神が弱いということで第一線から調査団に降格しました。何故かその際に得意魔法も火魔法ではなく、雷と土に変化しております」
「なんかあったのかしら?」
オペラグラスを除き込み試合中のリーナの動向を3人が確認する。
「以前のふてぶてしさが妙に無いな」
「うーん、相手の魔術師が怖いみたい。へっぴり腰だわ」
「うわ、あの石のサイズ何だよ・・・」
流石に叫び声は聞こえないがロッドにすがるように、一瞬中腰になった途端巨大な岩が空中に瞬時に現れて相手の魔術師の上に落下する。
不意を突かれた相手は、あっさり大岩の下敷きになったようで試合終了の合図の旗を審判が上げる。
「えげつないサイズだな・・・」
「「・・・うん」」
ブロック分けされた区画を覆い尽くすサイズの岩が頭の真上に急に現れたら流石に逃げようがないだろうなと、遠い目になったソフィアである・・・
アジェスが魔術師の試合ブロックの1つを指さした。各々のオペラグラスを覗いていた王族席達全員が、彼の示す方向に目を向ける。
因みに今ここに居る王族はガチムチ陛下と妻である王妃、そしてシルファ、ソフィア、アジェスの5人だが他には護衛のための騎士団長と近衛騎士が2人、侍従長と例の侍女長といった顔ぶれだ。
「アレ。卒業パーティーの時にシルファにベタつきまくってた女だ」
「あ、ホントだ」
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首を傾げる王太子シルファ・・・
「本当に同一人物なのか? 俺には違う人間に見えるが」
「えー、でもあの金髪はどう見たってあの3年生でしょ?」
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「・・・」
首を傾げる2人。
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その時後ろで侍女長が挙手をした。
「え。あ、どうぞ」
「あの平民出身の魔術師の名はリーナでございます。現在王領区の最北端の森の調査団付きの魔術師として騎士団に所属しております」
「詳しいな侍女長」
感心したような口調のシルファに向かって
「はい。ソフィア様を蔑ろにする発言をしたものは全て私が記録しております」
その手には、いつの間にか持っていた黒い革表紙の分厚い手帳・・・
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「再検査後に精神が弱いということで第一線から調査団に降格しました。何故かその際に得意魔法も火魔法ではなく、雷と土に変化しております」
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「えげつないサイズだな・・・」
「「・・・うん」」
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